特定商品等の預託等取引契約に関する法律

特定商品等の預託等取引契約に関する法律
(昭和六十一年五月二十三日法律第六十二号)


最終改正:平成二一年六月五日法律第四九号

第一条  この法律は、特定商品及び施設利用権の預託等取引契約の締結及びその履行を公正にし、並びに預託等取引契約に係る預託者が受けることのある損害の防止を図ることにより、預託等取引契約に係る預託者の利益の保護を図ることを目的とする。

第二条  この法律において「預託等取引契約」とは、次に掲げる契約をいう。
 当事者の一方が相手方に対して、内閣府令で定める期間以上の期間にわたり政令で定める物品(以下「特定商品」という。)の預託(預託を受けた特定商品の返還に代えて金銭その他これに代替する物品を給付する場合を含む。)を受けること(信託の引受けに該当するものを除く。)及び当該預託に関し財産上の利益を供与することを約し、又は特定商品の預託を受けること(信託の引受けに該当するものを除く。)及び当該内閣府令で定める期間以上の期間の経過後一定の価格(一定の方法により定められる価格を含む。)により当該特定商品を買い取ることを約し、相手方がこれに応じて当該特定商品を預託することを約する契約
 当事者の一方が相手方に対して、施設の利用に関する権利であつて政令で定めるもの(以下「施設利用権」という。)を前号の内閣府令で定める期間以上の期間管理すること(信託によるものを除き、当該期間の経過後当該施設利用権に代えて金銭その他これに代替する物品を給付する場合を含む。)及び当該管理に関し財産上の利益を供与することを約し、又は施設利用権を管理すること(信託によるものを除く。)及び当該内閣府令で定める期間以上の期間の経過後一定の価格(一定の方法により定められる価格を含む。)により当該施設利用権を買い取ることを約し、相手方がこれに応じて当該施設利用権を管理させることを約する契約
 この法律において「預託等取引業者」とは、預託等取引契約に基づき特定商品の預託を受けること又は施設利用権を管理すること(当該預託等取引契約の目的とするために当該特定商品又は施設利用権を販売することを含む。)を業として行う者(他の法律の規定でこれにより預託等取引契約の締結及びその履行の公正並びに預託等取引契約に係る預託者が受けることのある損害の防止が確保されるものの適用を受ける者として政令で定めるものを除く。)をいう。
 この法律において「勧誘者」とは、預託等取引業者が預託等取引契約の締結又は更新についての勧誘(当該預託等取引契約の目的とするために当該特定商品又は施設利用権を購入させることについての勧誘を含む。以下同じ。)を行わせる者をいう。
 この法律において「預託者」とは、預託等取引業者と預託等取引契約を締結した者をいう。

第三条  預託等取引業者は、預託等取引契約を締結しようとするときは、顧客に対し、当該預託等取引契約を締結するまでに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
 預託等取引契約の内容及びその履行に関する事項であつて内閣府令で定めるものについての当該預託等取引契約の概要
 預託等取引業者の業務及び財産の状況に関する事項であつて内閣府令で定めるもの
 預託等取引業者は、預託等取引契約を締結したときは、預託者に対し、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、当該預託等取引契約の内容及びその履行に関する次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
 商品の種類、数量及び価額又は施設利用権の内容及び価額
 商品の預託を受ける期間又は施設利用権を管理する期間
 供与される財産上の利益の内容並びに供与の時期及び方法(特定商品又は施設利用権を買い取る契約にあつては、買取価格又はその算定方法)
 預託等取引業者が預託者から手数料を徴収する場合にあつては、その手数料の料率又は額並びにその徴収の時期及び方法
 契約の解除に関する事項(第八条第一項から第三項まで並びに第九条第一項及び第二項の規定に関する事項を含む。)
 損害賠償額の予定(違約金を含む。)に関する定めがあるときは、その内容
 商品を預託者に返還すること又は施設利用権を預託者に取得させること(当該返還すること又は当該取得させることに代えて金銭その他これらに代替する物品を預託者に給付することを含む。)を担保するための措置の有無及び当該措置が講ぜられている場合にあつてはその内容
 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

第四条  預託等取引業者又は勧誘者は、預託等取引契約の締結又は更新についての勧誘をするときは、預託等取引契約に関する事項及び特定商品又は施設利用権の購入に関する事項であつて、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして政令で定めるものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
 預託等取引業者は、預託等取引契約の解除を妨げる目的をもつて、預託等取引契約に関する事項であつて、預託者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして政令で定めるものにつき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

第五条  預託等取引業者又は勧誘者は、次に掲げる行為をしてはならない。
 威迫する言動を交えて、預託等取引契約の締結若しくは更新についての勧誘をし、又は預託等取引契約の解除を妨げること。
 預託等取引契約に基づく債務又は預託等取引契約の解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
 前二号に掲げるもののほか、預託等取引契約に関する行為であつて、顧客又は預託者の保護に欠けるものとして内閣府令で定めるもの

第六条  預託等取引業者は、内閣府令で定めるところにより、当該預託等取引業者の業務及び財産の状況を記載した書類を、預託等取引契約に関する業務を行う事業所に備え置き、預託者の求めに応じ、閲覧させなければならない。

第七条  内閣総理大臣は、預託等取引業者が第三条から前条までの規定に違反する行為をし、かつ、当該行為を引き続きするおそれがあると認めるとき、又は勧誘者が第四条第一項若しくは第五条の規定に違反する行為をし、かつ、当該行為を引き続きするおそれがあると認めるときは、その預託等取引業者に対し、一年以内の期間を定めて、預託等取引契約の締結若しくは更新についての勧誘を行い若しくは当該勧誘を勧誘者に行わせることを停止し、又は預託等取引契約に関する業務の全部若しくは一部を停止すべきことを命じ、その他顧客又は預託者の利益を保護するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 内閣総理大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。

第八条  預託者は、第三条第二項の書面を受領した日から起算して十四日を経過したときを除き、書面により預託等取引契約の解除を行うことができる。この場合において、預託等取引業者は、当該預託等取引契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
 前項の預託等取引契約の解除は、当該預託等取引契約の解除を行う旨の書面を発した時に、その効力を生ずる。
 第一項の預託等取引契約の解除があつた場合において、当該預託等取引契約に係る商品の返還に要する費用又は施設利用権を預託者に取得させるために要する費用は、預託等取引業者の負担とする。
 前三項の規定に反する特約で預託者に不利なものは、無効とする。

第九条  預託者は、第三条第二項の書面を受領した日から起算して十四日を経過した後においては、将来に向かつて預託等取引契約の解除を行うことができる。
 預託等取引業者は、預託等取引契約が解除された場合には、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、当該預託等取引契約が締結された時における当該特定商品又は施設利用権の価額の百分の十に相当する額を超える額の金銭の支払を預託者に対して請求することができない。この場合において、第三条第二項の書面に記載された商品又は施設利用権の価額は、預託等取引契約が締結された時における当該特定商品又は施設利用権の価額と推定する。
 前二項の規定に反する特約で預託者に不利なものは、無効とする。

第十条  内閣総理大臣は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより預託等取引業者若しくは勧誘者に対し報告をさせ、又はその職員に、預託等取引業者の事業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第十一条  第三条から第六条まで、第八条及び第九条の規定は、預託等取引契約で預託者が営業のために又は営業として締結するものについては、適用しない。

第十一条の二  内閣総理大臣は、第二条第一項第一号若しくは第二号若しくは第二項、第四条第一項若しくは第二項又は第十条第一項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、消費者委員会に諮問しなければならない。

第十二条  この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要とされる範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第十三条  内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提供、説明その他必要な協力を求めることができる。

第十三条の二  内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を消費者庁長官に委任する。

第十四条  次の各号の一に該当する者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 第四条第一項又は第二項の規定に違反した者
 第七条第一項の規定による命令に違反した者

第十五条  第三条第一項又は第二項の規定に違反して書面を交付せず、又は虚偽の記載のある書面を交付した者は、五十万円以下の罰金に処する。

第十六条  次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 第六条の規定に違反して書類を備え置かず、若しくは預託者の求めに応じて閲覧させず、又は虚偽の記載のある書類を備え置き、若しくは預託者に閲覧させた者
 第十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第十七条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

   附 則

(施行期日)
 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
 第三条第二項、第八条及び第九条の規定は、この法律の施行前に締結された預託等取引契約については、適用しない。

   附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

   附 則 (平成二一年六月五日法律第四九号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、消費者庁及び消費者委員会設置法(平成二十一年法律第四十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第九条の規定 この法律の公布の日

(罰則の適用に関する経過措置)
第八条  この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第九条  附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。