中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律

中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律
(昭和五十二年六月二十五日法律第七十四号)


最終改正:平成一七年七月二六日法律第八七号

第一条  この法律は、中小企業者の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれのある大企業者の事業の開始又は拡大に関し、一般消費者等の利益の保護に配慮しつつ、その事業活動を調整することにより、中小企業の事業活動の機会を適正に確保し、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第二条  この法律において「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者(次項第二号に掲げる者を除く。)をいう。
 資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
 資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの
 この法律において「大企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。
 前項各号のいずれかに該当する者以外の者(会社及び個人に限る。)であつて事業を営むもの
会社法 (平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項 の規定により議決権を有するものとみなされる株主を含む。)又は総社員の議決権の二分の一以上に相当する議決権を単独で有する関係その他その事業活動を実質的に支配することが可能なものとして主務省令で定める関係を持つているもの

第三条  大企業者は、事業の開始又は拡大に際しては、当該事業と同種の事業を営んでいる中小企業者の利益を不当に侵害することのないように配慮しなければならない。

第四条  大企業者の事業の開始又は拡大に際し、当該事業と同種の事業を営んでいる中小企業者と当該大企業者との間において事業活動の調整に関する問題が生じたときは、その双方の当事者は、早期に、かつ、誠意をもつて、自主的な解決を図るように努めなければならない。

第五条  中小企業団体(特定の事業を行う者であることをその直接又は間接の構成員(以下単に「構成員」という。)の資格とし、かつ、その構成員の大部分が中小企業者である団体であつて政令で定める要件に該当するものをいう。以下同じ。)は、大企業者が当該特定の事業と同種の事業につき当該中小企業団体の構成員たる相当数の中小企業者の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれのある事業の開始又は拡大の計画を有していると認めるときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣に対し、当該計画の内容に関し、その開始又は拡大の時期、規模その他の主務省令で定める事項について調査するよう申し出ることができる。
 前項の規定による申出であつて都道府県の区域を超えない区域をその地区とする中小企業団体がするものは、当該区域を管轄する都道府県知事を経由してしなければならない。
 主務大臣は、第一項の規定による申出があつた場合において、当該申出に相当の理由があると認めるときは、当該申出に係る事項について必要な調査を行い、その結果を当該中小企業団体に通知するものとする。

第六条  中小企業団体は、大企業者が当該中小企業団体の構成員の資格に係る特定の事業と同種の事業につき事業の開始又は拡大をすることが当該中小企業団体の構成員たる相当数の中小企業者が現に供給している物品又は役務に対する需要の減少をもたらすことによりこれらの中小企業者の経営の安定に著しい悪影響を及ぼす事態が生ずるおそれがあると認めるときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣に対し、次条第一項の規定による勧告をするよう申し出ることができる。
 前項の規定による申出であつて都道府県の区域を超えない区域をその地区とする中小企業団体がするものは、当該区域を管轄する都道府県知事を経由してしなければならない。
 都道府県知事は、前項の規定により当該都道府県知事を経由してされた申出について、その申出に係る大企業者の当該事業の開始又は拡大の計画の実施がその申出をした中小企業団体の構成員たる中小企業者の経営の安定に及ぼす影響等に関し、主務大臣に対し、意見を申し出ることができる。この場合において、都道府県知事は、当該中小企業団体の構成員たる中小企業者の経営の安定に及ぼす影響等に関し、都道府県中小企業調停審議会の意見を聴くことができる。
 主務大臣は、第一項の規定による申出があつたときは、その旨を当該申出に係る大企業者に通知するものとする。

第七条  主務大臣は、前条第一項の規定による申出があつた場合において、当該申出をした中小企業団体及び当該申出に係る大企業者の間において同項に規定する事態の発生を回避することが困難であり、かつ、当該事態の発生を回避することにより中小企業の事業活動の機会を適正に確保する必要があると認められるときは、中小企業政策審議会の意見を聴いて、当該大企業者に対し、当該事業の開始若しくは拡大の時期を繰り下げ、又は当該事業の規模を縮小すべきことを勧告することができる。
 前項の規定による勧告の内容は、前条第一項に規定する事態の発生を回避するために必要な限度を超えないものであり、かつ、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないものでなければならない。
 主務大臣は、第一項の規定による勧告をした場合において、大企業者がその勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
 主務大臣は、第一項の規定による勧告をするとき又はしないこととするときは、あらかじめ、経済産業大臣の意見を聴かなければならない。
 主務大臣は、第一項の規定による勧告をしたときはその旨及びその勧告の内容を、同項の規定による勧告をしないこととしたときはその旨及びその理由を、前条第一項の規定による申出をした中小企業団体に通知するものとする。

第八条  中小企業政策審議会は、前条第一項の規定により意見を聴かれた場合において、その意見を定めようとするときは、第六条第一項の規定による申出をした中小企業団体及び当該申出に係る大企業者並びに主務省令で定めるところにより選定した一般消費者、関連事業者その他の利害関係者の意見を聴かなければならない。

第九条  主務大臣は、第六条第一項の規定による申出に係る大企業者が当該申出に係る事業の開始又は拡大についての計画を実施することにより第七条第一項に規定する措置を執らせることが著しく困難となる事態が生ずると認めるときは、中小企業政策審議会の意見を聴いて、当該大企業者に対し、同項の規定による勧告が行われるまでの間の応急の措置として六月以内の期間を定めて、当該事態の発生を回避するために必要な限度を超えない範囲内において、当該計画の実施を一時停止すべきことを勧告することができる。この場合において、当該期間内に同項の規定による勧告をすることができない特別の事情があると認められるときは、中小企業政策審議会の意見を聴いて、六月を超えない範囲内において当該期間を延長することを妨げない。
 第七条第三項の規定は、前項の規定による勧告に準用する。

第十条  主務大臣は、第七条第一項の規定による勧告をするときは、中小企業政策審議会の意見を聴いて、当該勧告に係る第六条第一項の規定による申出をした中小企業団体に対し、当該勧告に係る事業と同種の事業に係る中小企業の競争力の強化及び一般消費者の利益の増進のために当該中小企業団体の構成員たる中小企業者が講ずべき設備の近代化、技術の向上、事業の共同化その他のその事業活動の改善のための方策を示して必要な指導を行うものとする。

第十一条  主務大臣は、第七条第一項の規定による勧告を受けた大企業者が、同条第三項の規定によりその勧告に従わなかつた旨を公表された後において、なお正当な理由がなくてその勧告に係る措置を執らなかつた場合において、第六条第一項に規定する事態が生ずることにより同項の規定による申出をした中小企業団体の構成員たる中小企業者の相当部分の事業の継続が著しく困難となるおそれがあると認められるときは、中小企業政策審議会の意見を聴いて、当該大企業者に対し、当該勧告に係る措置を執るべきことを命ずることができる。
 第七条第四項の規定は、前項の規定による命令に準用する。
 第八条の規定は、第一項の規定により中小企業政策審議会が意見を聴かれた場合に準用する。

第十二条  削除

第十三条  主務大臣は、第七条、第九条及び第十一条の規定の施行に必要な限度において、第六条第一項の規定による申出に係る大企業者に対し、その業務に関し報告させることができる。

第十四条  この法律の規定は、小売業(飲食店業を除く。)又はその業種について第六条第一項に規定する事態の発生が回避されることとなる措置が他の法令において講じられている業種で政令で定めるものに属する事業につき、大企業者が事業の開始又は拡大をする場合には、適用しない。

第十五条  この法律における主務大臣は、大企業者が開始し又は拡大しようとする事業を所管する大臣とする。
 この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。

第十五条の二  第五条第二項及び第六条第二項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。

第十六条  第十一条第一項の規定による命令に違反した者は、三百万円以下の罰金に処する。

第十七条  第十三条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、十万円以下の罰金に処する。

第十八条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。

   附 則 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (昭和五六年六月一二日法律第八三号) 抄

(施行期日)
   附 則 (平成一一年七月一六日法律第八七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 第一条中地方自治法第二百五十条の次に五条、節名並びに二款及び款名を加える改正規定(同法第二百五十条の九第一項に係る部分(両議院の同意を得ることに係る部分に限る。)に限る。)、第四十条中自然公園法附則第九項及び第十項の改正規定(同法附則第十項に係る部分に限る。)、第二百四十四条の規定(農業改良助長法第十四条の三の改正規定に係る部分を除く。)並びに第四百七十二条の規定(市町村の合併の特例に関する法律第六条、第八条及び第十七条の改正規定に係る部分を除く。)並びに附則第七条、第十条、第十二条、第五十九条ただし書、第六十条第四項及び第五項、第七十三条、第七十七条、第百五十七条第四項から第六項まで、第百六十条、第百六十三条、第百六十四条並びに第二百二条の規定 公布の日

(国等の事務)
第百五十九条  この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。

(処分、申請等に関する経過措置)
第百六十条  この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。

(不服申立てに関する経過措置)
第百六十一条  施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
 前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(手数料に関する経過措置)
第百六十二条  施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)
第百六十三条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第百六十四条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
 附則第十八条、第五十一条及び第百八十四条の規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。

(検討)
第二百五十条  新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、新地方自治法別表第一に掲げるもの及び新地方自治法に基づく政令に示すものについては、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜、適切な見直しを行うものとする。

第二百五十一条  政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

第二百五十二条  政府は、医療保険制度、年金制度等の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って、検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

   附 則 (平成一一年七月一六日法律第一〇二号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日

(職員の身分引継ぎ)
第三条  この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。

(別に定める経過措置)企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第十二条  第十九条の規定による改正前の中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律(以下この条において「旧法」という。)第二条第二項に規定する大企業者で第十九条の規定による改正後の中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律第二条第二項に規定する大企業者でないものに係る旧法第五条第一項又は第六条第一項の規定による申出であって第十九条の規定の施行前にされたものに関する調査、通知、勧告、公表、指導、勧告に係る措置を執るべき旨の命令又は報告については、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)
第十四条  この法律(附則第一条ただし書に規定する規定については、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第十五条  附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要となる経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

   附 則 (平成一三年一一月二八日法律第一二九号) 抄

(施行期日)
 この法律は、平成十四年四月一日から施行する。
(罰則の適用に関する経過措置)
 この法律の施行前にした行為及びこの法律の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 (平成一七年七月二六日法律第八七号) 抄

 この法律は、会社法の施行の日から施行する。