8
第六十八条
第六十条第二項各号に掲げる公告があつた後、施行者は、土地調書及び物件調書を作成しなければならない。
3
土地調書又は物件調書の記載について関係権利者のすべてに異議がないときは、前項において準用する
土地収用法第三十六条
の規定による立会いは、省略することができる。
第六十九条
地方公共団体又は機構等は、施行地区内の土地に存する建築物に居住する者で施設建築物に入居することとなるものを一時収容するため必要な施設その他第一種市街地再開発事業の施行のため欠くことのできない材料置場等の施設を設置するため必要な施行地区外の土地又はこれに関する所有権以外の権利を使用することができる。
2
前項の規定による使用に関しては、
土地収用法
の規定を適用する。
第二節 権利変換手続
第一款 手続の開始
第七十条
施行者は、第六十条第二項各号に掲げる公告があつたときは、遅滞なく、登記所に、施行地区内の宅地及び建築物並びにその宅地に存する既登記の借地権について、権利変換手続開始の登記を申請し、又は嘱託しなければならない。
2
前項の登記があつた後においては、当該登記に係る宅地若しくは建築物の所有権を有する者又は当該登記に係る借地権を有する者は、これらの権利を処分するには、国土交通省令で定めるところにより、施行者の承認を得なければならない。
3
施行者は、事業の遂行に重大な支障が生ずることその他正当な理由がなければ、前項の承認を拒むことができない。
4
第二項の承認を得ないでした処分は、施行者に対抗することができない。
5
権利変換期日前において第四十五条第六項、第百二十四条の二第三項又は第百二十五条の二第五項の公告があつたときは、施行者(組合にあつては、その清算人)は、遅滞なく、登記所に、権利変換手続開始の登記の抹消を申請しなければならない。
第七十一条
個人施行者若しくは再開発会社の施行の認可の公告、第十九条第一項の公告又は事業計画の決定若しくは認可の公告があつたときは、施行地区内の宅地の所有者、その宅地について借地権を有する者又は施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者は、その公告があつた日から起算して三十日以内に、施行者に対し、第八十七条又は第八十八条第一項及び第二項の規定による権利の変換を希望せず、自己の有する宅地、借地権若しくは建築物に代えて金銭の給付を希望し、又は自己の有する建築物を他に移転すべき旨を申し出ることができる。
2
前項の宅地、借地権若しくは建築物について仮登記上の権利、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記若しくは処分の制限の登記があるとき、又は同項の未登記の借地権の存否若しくは帰属について争いがあるときは、それらの権利者又は争いの相手方の同意を得なければ、同項の規定による金銭の給付の希望を申し出ることができない。
3
施行地区内の建築物について借家権を有する者(その者がさらに借家権を設定しているときは、その借家権の設定を受けた者)は、第一項の期間内に施行者に対し、第八十八条第五項の規定による借家権の取得を希望しない旨を申し出ることができる。
4
施行者が第十一条第一項の規定により設立された組合である場合においては、最初の役員が選挙され、又は選任されるまでの間は、第一項又は前項の規定による申出は、第十一条第一項の規定による認可を受けた者が受理するものとする。
5
第一項の期間経過後六月以内に第八十三条の規定による権利変換計画の縦覧の開始(個人施行者が施行する第一種市街地再開発事業にあつては、次条第一項後段の規定による権利変換計画の認可。以下この項において同じ。)がされないときは、当該六月の期間経過後三十日以内に、第一項若しくは第三項の規定による申出を撤回し、又は新たに第一項若しくは第三項の規定による申出をすることができる。その三十日の期間経過後更に六月を経過しても第八十三条の規定による権利変換計画の縦覧の開始がされないときも、同様とする。
6
事業計画を変更して従前の施行地区外の土地を新たに施行地区に編入した場合においては、前項前段中「第一項の期間経過後六月以内に第八十三条の規定による権利変換計画の縦覧の開始(個人施行者が施行する第一種市街地再開発事業にあつては、次条第一項後段の規定による権利変換計画の認可。以下この項において同じ。)がされないときは、当該六月の期間経過後」とあるのは、「新たな施行条の規定による手続に必要な期間の経過後、遅滞なく、施行地区ごとに権利変換計画を定めなければならない。この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、都道府県(第二条の二第四項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。以下同じ。)又は機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)にあつては国土交通大臣の、個人施行者、組合、再開発会社、市町村(同項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。第百九条を除き、以下同じ。)又は市のみが設立した地方住宅供給公社(第二条の二第六項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。以下同じ。)にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。
2
第七条の十三の規定は、個人施行者が権利変換計画について認可を申請しようとする場合について準用する。この場合において、同条第一項中「施行地区となるべき区域」とあるのは、「施行地区」と読み替えるものとする。
3
第五十条の四の規定は、再開発会社が権利変換計画について認可を申請しようとする場合について準用する。この場合において、同条第一項中「施行地区となるべき区域」とあるのは、「施行地区」と読み替えるものとする。
4
第一項後段及び前二項の規定は、権利変換計画を変更する場合(政令で定める軽微な変更をする場合を除く。)に準用する。
5
施行地区が工区に分かれているときは、権利変換計画は、工区ごとに定めることができる。この場合において、権利変換に関する規定中「施行地区」とあるのは、「工区」とする。
第七十三条
権利変換計画においては、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めなければならない。
二
施行地区内に宅地、借地権又は権原に基づき建築物を有する者で、当該権利に対応して、施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等を与えられることとなるものの氏名又は名称及び住所
三
前号に掲げる者が施行地区内に有する宅地、借地権又は建築物及びその価額
四
第二号に掲げる者に前号に掲げる宅地、借地権又は建築物に対応して与えられることとなる施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等の明細及びその価額の概算額
五
第三号に掲げる宅地、借地権又は建築物について先取特権、質権若しくは抵当権の登記、仮登記、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記又は処分の制限の登記(以下「担保権等の登記」と総称する。)に係る権利を有する者の氏名又は名称及び住所並びにその権利
六
前号に掲げる者が施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等に関する権利の上に有することとなる権利
七
施行地区内の建築物について借家権を有する者(その者がさらに借家権を設定しているときは、その借家権の設定を受けた者)で、当該権利に対応して、施設建築物の一部について借家権を与えられることとなるものの氏名又は名称及び住所
八
前号に掲げる者に借家権が与えられることとなる施設建築物の一部
九
施設建築敷地の地代の概算額及び地代以外の借地条件の概要
十
施行者が施設建築物の一部を賃貸しする場合における標準家賃の概算額及び家賃以外の借家条件の概要
十一
第七十九条第三項の規定が適用されることとなる者の氏名又は名称及び住所並びにこれらの者が施行地区内に有する宅地、借地権又は建築物及びその価額
十二
施行地区内の宅地若しくは建築物又はこれらに関する権利を有する者で、この法律の規定により、権利変換期日において当該権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施設建築敷地若しくはその共有持分、施設建築物の一部等又は施設建築物の一部についての借家権を与えられないものの氏名又は名称及び住所、失われる宅地若しくは建築物又は権利並びにその価額
十三
組合の参加組合員に与えられることとなる施設建築物の一部等の明細並びにその参加組合員の氏名又は名称及び住所
十四
第五十条の三第一項第五号又は第五十二条第二項第五号(第五十八条第三項において準用する場合を含む。)に規定する特定事業参加者(以下単に「特定事業参加者」という。)に与えられることとなる施設建築物の一部等の明細並びにその特定事業参加者の氏名又は名称及び住所
十五
第四号及び前二号に掲げるもののほか、施設建築敷地又はその共有持分及び施設建築物の一部等の明細、その帰属並びにその管理処分の方法
十六
新たな公共施設の用に供する土地の帰属に関する事項
十七
権利変換期日、土地明渡しの予定時期及び工事完了の予定時期
2
宅地又は借地権を有する者が当該宅地の上に建築物を有する場合において、当該宅地、借地権又は建築物について担保権等の登記に係る権利があるときは、これらの宅地、借地権又は建築物は、それぞれ別個の権利者に属するものとみなして権利変換計画を定めなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
一
担保権等の登記に係る権利の消滅について関係権利者のすべての同意があつたとき。
二
宅地と建築物又は借地権と建築物とが同一の担保権等の登記に係る権利の目的となつており、かつ、それらのすべての権利の順位が、宅地と建築物又は借地権と建築物とにおいてそれぞれ同一であるとき。
3
借地権の設定に係る仮登記上の権利があるときは、仮登記権利者が当該借地権を有する場合を除き、宅地の所有者が当該借地権を別個の権利者として有するものとみなして、権利変換計画を定めなければならない。
4
宅地又は建築物に関する権利に関して争いがある場合において、その権利の存否又は帰属が確定しないときは、当該権利が存するものとして、又は当該権利が現在の名義人に属するものとして権利変換計画を定めなければならない。ただし、借地権以外の宅地を使用し、又は収益する権利の存否が確定しない場合にあつては、その宅地の所有者に対しては、当該権利が存しないものとして、その者に与える施設建築物の一部等を定めなければならない。
第七十四条
権利変換計画は、災害を防止し、衛生を向上し、その他居住条件を改善するとともに、施設建築物及び施設建築敷地の合理的利用を図るように定めなければならない。
2
権利変換計画は、関係権利者間の利害の衡平に十分の考慮を払つて定めなければならない。
第七十五条
権利変換計画は、一個の施設建築物の敷地は一筆の土地となるものとして定めなければならない。
2
権利変換計画は、施設建築敷地には施設建築物の所有を目的とする地上権が設定されるものとして定めなければならない。
3
第七十三条第一項第二号に掲げる者が取得することとなる施設建築物の所有を目的とする地上権の共有持分及び当該施設建築物の共用部分の共有持分の割合は、政令で定めるところにより、その者が取得することとなる施設建築物の一部の位置及び床面積を勘案して定めなければならない。
第七十六条
権利変換計画においては、施行地区内に宅地を有する者に対しては、施設建築敷地の所有権が与えられるように定めなければならない。
2
二以上の施設建築敷地がある場合において、各宅地の所有者に与えられる施設建築敷地は、当該第一種市街地再開発事業のうち建築敷地及び公共施設の整備に関する事業を
土地区画整理法
(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業として施行したならば、当該宅地につき換地と定められるべき土地の属すべき施設建築敷地とする。
3
一の施設建築敷地について二人以上の宅地の所有者が所有権を与えられるときは、当該施設建築敷地は、各宅地の価額に応ずる割合によりこれらの者の共有に属するものとする。
4
第七十一条第一項の申出をした宅地の所有者の有する宅地については、施行者をその宅地の所有者とみなして前三項の規定を適用する。
第七十七条
権利変換計画においては、第七十一条第一項の申出をした者を除き、施行地区内に借地権を有する者及び施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者に対しては、施設建築物の一部等が与えられるように定めなければならない。組合の定款により施設建築物の一部等が与えられるように定められた参加組合員又は特定事業参加者に対しても、同様とする。
2
前項前段に規定する者に対して与えられる施設建築物の一部等は、それらの者が権利を有する施行地区内の土地又は建築物の位置、地積又は床面積、環境及び利用状況とそれらの者に与えられる施設建築物の一部の位置、床面積及び環境とを総合的に勘案して、それらの者の相互間に不均衡が生じないように、かつ、その価額と従前の価額との間に著しい差額が生じないように定めなければならない。この場合において、二以上の施設建築敷地があるときは、その施設建築物の一部は、特別の事情がない限り、それらの者の権利に係る土地の所有者に前条第一項及び第二項の規定により与えられることと定められる施設建築敷地に建築される施設建築物の一部としなければならない。
3
宅地の所有者である者に対しては、その者に与えられる施設建築敷地に第八十八条第一項の規定により地上権が設定されることによる損失の補償として施設建築物の一部等が与えられるように定めなければならない。
4
権利変換計画においては、第一項又は前項の規定により与えられるように定められる施設建築物の一部等以外の部分は、施行者に帰属するように定めなければならない。
5
権利変換計画においては、第七十一条第三項の申出をした者を除き、施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者から当該建築物について借家権の設定を受けている者(その者がさらに借家権を設定しているときは、その借家権の設定を受けた者)に対しては、第一項の規定により当該建築物の所有者に与えられることとなる施設建築物の一部について、借家権が与えられるように定めなければならない。ただし、当該建築物の所有者が第七十一条第一項の申出をしたときは、前項の規定により施行者に帰属することとなる施設建築物の一部について、借家権が与えられるように定めなければならない。
第七十八条
施行地区内の宅地若しくはその宅地に存する借地権又は施行地区内の土地に権原に基づき所有される建築物について担保権等の登記に係る権利が存するときは、権利変換計画においては、当該小となる施設建築物の一部の処理)
第七十九条
権利変換計画を第七十四条第一項の基準に適合させるため特別な必要があるときは、第七十七条第二項又は第三項の規定によれば床面積が過小となる施設建築物の一部の床面積を増して適正なものとすることができる。この場合においては、必要な限度において、これらの規定によれば床面積が大で余裕がある施設建築物の一部の床面積を減ずることができる。
2
前項の過小な床面積の基準は、政令で定める基準に従い、施行者が審査委員の過半数の同意を得、又は市街地再開発審査会の議決を経て定める。この場合において、市街地再開発審査会の議決は、第五十七条第四項第一号(第五十九条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる委員の過半数を含む委員の過半数の賛成によつて決する。
3
権利変換計画においては、前項の規定により定められた床面積の基準に照らし、床面積が著しく小である施設建築物の一部又はその施設建築物の一部についての借家権が与えられることとなる者に対しては、前二条の規定にかかわらず、施設建築物の一部等又は借家権が与えられないように定めることができる。
第八十条
第七十三条第一項第三号、第十一号又は第十二号の価額は、第七十一条第一項又は第五項(同条第六項において読み替えて適用する場合を含む。)の規定による三十日の期間を経過した日における近傍類似の土地、近傍同種の建築物又は近傍類似の土地若しくは近傍同種の建築物に関する同種の権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額とする。
2
第七十六条第三項の割合の基準となる宅地の価額は、当該宅地に関する所有権以外の権利が存しないものとして、前項の規定を適用して算定した相当の価額とする。
第八十一条
権利変換計画においては、第七十三条第一項第四号、第九号又は第十号の概算額は、政令で定めるところにより、第一種市街地再開発事業に要する費用及び前条第一項に規定する三十日の期間を経過した日における近傍類似の土地、近傍同種の建築物又は近傍類似の土地若しくは近傍同種の建築物に関する同種の権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額を基準として定めなければならない。
第八十二条
権利変換計画においては、第一種市街地再開発事業により従前の公共施設に代えて設置される新たな公共施設の用に供する土地は、従前の公共施設の用に供される土地の所有者が国であるときは国に、地方公共団体であるときは当該地方公共団体に帰属し、その他の新たな公共施設の用に供する土地は、当該公共施設を管理すべき者(その者が
地方自治法
(昭和二十二年法律第六十七号)
第二条第九項第一号
に規定する
第一号
法定受託事務(以下単に「第一号法定受託事務」という。)として当該公共施設を管理する地方公共団体であるときは、国)に帰属するように定めなければならない。
第八十三条
個人施行者以外の施行者は、権利変換計画を定めようとするときは、権利変換計画を二週間公衆の縦覧に供しなければならない。この場合においては、あらかじめ、縦覧の開始の日、縦覧の場所及び縦覧の時間を公告するとともに、施行地区内の土地又は土地に定着する物件に関し権利を有する者及び参加組合員又は特定事業参加者にこれらの事項を通知しなければならない。
2
施行地区内の土地又は土地に定着する物件に関し権利を有する者及び参加組合員又は特定事業参加者は、縦覧期間内に、権利変換計画について施行者に意見書を提出することができる。
3
施行者は、前項の規定により意見書の提出があつたときは、その内容を審査し、その意見書に係る意見を採択すべきであると認めるときは権利変換計画に必要な修正を加え、その意見書に係る意見を採択すべきでないと認めるときはその旨を意見書を提出した者に通知しなければならない。
4
施行者が権利変換計画に必要な修正を加えたときは、その修正に係る部分についてさらに第一項からこの項までに規定する手続を行なうべきものとする。ただし、その修正が政令で定める軽微なものであるときは、その修正部分に係る者にその内容を通知することをもつて足りる。
5
第一項から前項までの規定は、権利変換計画を変更する場合(政令で定める軽微な変更をする場合を除く。)に準用する。
第八十四条
施行者は、権利変換計画を定め、又は変更しようとするとき(政令で定める軽微な変更をしようとする場合を除く。)は、審査委員の過半数の同意を得、又は市街地再開発審査会の議決を経なければならない。この場合においては、第七十九条第二項後段の規定を準用する。
2
前項の規定は、前条第二項の意見書の提出があつた場合において、その採否を決定するときに準用する。
第八十五条
第七十三条第一項第三号、第十一号又は第十二号の価額について第八十三条第三項の規定により同条第二項の意見書を採択しない旨の通知を受けた者は、その通知を受けた日から起算して三十日以内に、収用委員会にその価額の裁決を申請することができる。
2
前項の規定による裁決の申請は、事業の進行を停止しない。
3
土地収用法第九十四条第三項
から
第八項
まで、第百三十三条及び第百三十四条の規定は、第一項の規定による収用委員会の裁決及びその裁決に不服がある場合の訴えについて準用する。この場合において必要な技術的読替えは、政令で定める。
4
第一項の規定による収用委員会の裁決及び前項の規定による訴えに対する裁判は、権利変換計画において与えられることと定められた施設建築敷地の共有持分又は施設建築物の一部等には影響を及ぼさないものとする。
第三款 権利の変換
第八十六条
施行者は、権利変換計画若しくはその変更の認可を受けたとき、又は権利変換計画について第七十二条第四項の政令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、及び関係権利者に関係事項を書面で通知しなければならない。
2
権利変換に関する処分は、前項の通知をすることによつて行なう。
3
権利変換に関する処分については、
行政手続法
(平成五年法律第八十八号)
第三章
の規定は、適用しない。
第八十六条の二
施行者は、権利変換計画若しくはその変更(権利変換期日に係るものに限る。以下この条において同じ。)の認可を受けたとき、又は第七十二条第四項の政令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、施行地区を管轄する登記所に、権利変換期日その他国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。
第八十七条
施行地区内の土地は、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、新たに所有者となるべき者に帰属する。この場合において、従前の土地を目的とする所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する。
2
権利変換期日において、施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者の当該建築物は、施行者に帰属し、当該建築物を目的とする所有権以外の権利は、この法律に別段の定めがあるものを除き、消滅する。ただし、第六十六条第七項の承認を受けないで新築された建築物及び他に移転すべき旨の第七十一条第一項の申出があつた建築物については、この限りでない。
第八十八条
施設建築物の敷地となるべき土地には、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、施設建築物の所有を目的とする地上権が設定されたものとみなす。ただし、権利変換期日以後第百条の公告の日までの間は、権利変換計画の定めるところに従い、施行者がその地代の概算額を支払うものとする。
2
施設建築物の一部は、権利変換計画において、これとあわせて与えられることと定められていた地上権の共有持分を有する者が取得する。
3
第七十三条第四項の規定により借地権が存するものとして権利変換計画が定められたときは、当該借地権を有するものとされた者が取得した施設建築物の一部等は、その取得の際、その者から当該借地権の設定者とされた者に対し、当該借地権の存しないことの確定を停止条件として移転したものとみなす。
4
建物の区分所有等に関する法律第一条
に規定する建物の部分若しくは附属の建物で権利変換計画において施設建築物の共用部分と定められたものがあるとき、権利変換計画において定められた施設建築物の共用部分の共有持分が
同法第十一条第一項
若しくは
第十四条第一項
から
第三項
までの規定に適合しないとき、又は権利変換計画において定められた施設建築物の所有を目的とする地上権の共有持分の割合が
同法第二十二条第二項
本文(
同条第三項
において準用する場合を含む。)の規定に適合しないときは、権利変換計画中その定めをした部分は、それぞれ
同法第四条第二項
、第十一条第二項若しくは第十四条第四項又は第二十二条第二項ただし書(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定による規約とみなす。
5
施行地区内の建築物について借家権を有していた者(その者がさらに借家権を設定していたときは、その借家権の設定を受けた者)は、権利変換計画の定めるところに従い、施設建築物の一部について借家権を取得する。
第八十九条
施行地区内の宅地、借地権又は建築物について存する担保権等の登記に係る権利は、権利変換期日以後は、権利変換計画の定めるところに従い、施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等に関する権利の上に存するものとする。
第九十条
施行者は、権利変換期日後遅滞なく、施行地区内の土地につき、従前の土地の表題部の登記の抹消及び新たな土地の表題登記(
不動産登記法
(平成十六年法律第百二十三号)
第二条第二十号
に規定する表題登記をいう。)並びに権利変換後の土地に関する権利について必要な登記を申請し、又は嘱託しなければならない。
2
施行者は、権利変換期日後遅滞なく、第八十七条第二項の規定により施行者に帰属した建築物については所有権の移転の登記及び所有権以外の権利の登記の抹消を、施行地区内のその他の建築物については権利変換手続開始の登記の抹消を申請し、又は嘱託しなければならない。
3
権利変換期日以後においては、施行地区内の土地及び第八十七条第二項の規定により施行者に帰属した建築物に関しては、前二項の登記がされるまでの間は、他の登記をすることができない。
第九十一条
施行者は、施行地区内の宅地若しくは建築物又はこれらに関する権利を有する者で、この法律の規定により、権利変換期日において当該権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施設建築敷地若しくはその共有持分、施設建築物の一部等又は施設建築物の一部についての借家権を与えられないものに対し、その補償として、権利変換期日までに、第八十条第一項の規定により算定した相当の価額に同項に規定する三十日の期間を経過した日から権利変換計画の認可の公告の日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額に、当該権利変換計画の認可の公告の日から補償金を支払う日までの期間につき年六パーセントの割合により算定した利息相当額を付してこれを支払わなければならない。この場合において、その修正率は、政令で定める方法によつて算定するものとする。
2
収用委員会は、前項の規定による補償を受けるべき者に対し第八十五条第一項の規定による裁決をする場合において、その裁決で定められた価額が前項に規定する相当の価額として施行者が支払つた額を超えるときは、次に掲げる額の合計額を支払うべき旨の裁決をあわせてしなければならない。
一
その差額につき第八十条第一項に規定する三十日を経過した日から権利変換計画の認可の公告の日までの前項に規定する物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額及び権利変換計画の認可の公告の日から権利変換期日までの間の同項に規定する利息相当額
二
前号の額につき権利変換期日後その支払いを完了する日までの日数に応じ年十四・五パーセントの割合による過怠金
第九十二条
施行者は、次の各号の一に該当する場合においては、前条に規定する補償金(利息相当額を含む。)及び過怠金(以下「補償金等」という。)の支払に代えてこれを供託することができる。
一
補償金等を受けるべき者がその受領を拒んだとき、又は補償金等を受領することができないとき。
二
施行者が過失がなくて補償金等を受けるべき者を確知することができないとき。
三
施行者が収用委員会の裁決した補償金等の額に対して不服があるとき。
四
施行者が差押え又は仮差押えにより補償金等の払渡しを禁じられたとき。
2
前項第三号の場合において、補償金等を受けるべき者の請求があるときは、施行者は、自己の見積り金額を払い渡し、裁決による補償金等の額との差額を供託しなければならない。
3
施行者は、第七十三条第四項の場合においては、権利変換計画において存するものとされた権利に係る補償金等(併存し得ない二以上の権利が存するものとされた場合においては、それらの権利に対する補償金等のうち最高額のもの)の支払に代えてこれを供託しなければならない。
4
施行者は、先取特権、質権若しくは抵当権又は仮登記若しくは買戻しの特約の登記に係る権利の目的物について補償金等を支払うときは、これらの権利者のすべてから供託しなくてもよい旨の申出があつたときを除き、その補償金等を供託しなければならない。
5
前四項の規定による供託は、施行地区内の土地の所在地の供託所にしなければならない。
6
施行者は、第一項から第四項までの規定による供託をしたときは、遅滞なく、その旨を補償金等を取得すべき者(その供託が第三項の規定によるものであるときは、争いの当事者)に通知しなければならない。
第九十三条
前条第四項の先取特権、質権又は抵当権を有する者は、同項の規定により供託された補償金等に対してその権利を行うことができる。
第九十四条
差押えに係る権利については、第九十一条第一項の規定にかかわらず、施行者は、権利変換期日までに、同項の規定により支払うべき金額を当該差押えによる配当手続を実施すべき機関に払い渡さなければならない。ただし、強制執行若しくは担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。以下単に「競売」という。)による代金の納付又は滞納処分による売却代金の支払があつた後においては、この限りでない。
2
前項の規定により配当手続を実施すべき機関が払渡しを受けた金銭は、配当に関しては、強制執行若しくは競売による代金又は滞納処分による売却代金とみなし、その払渡しを受けた時が強制競売又は競売に係る配当要求の終期の到来前であるときは、その時に配当要求の終期が到来したものとみなす。
3
強制競売若しくは競売に係る売却許可決定後代金の納付前又は滞納処分による売却決定後売却代金の支払前に第一項本文の規定による払渡しがあつたときは、売却許可決定又は売却決定は、その効力を失う。
4
差押えに係る権利について第九十一条第二項の裁決があつたときは、施行者は、その補償金等を当該差押えによる配当手続を実施すべき機関に払い渡さなければならない。
5
施行者は、前項の場合において、収用委員会の裁決した補償金等の額に対して不服があるときは、同項の規定による払渡しをする際、自己の見積り金額を同項に規定する配当手続を実施すべき機関に通知しなければならない。
6
第一項及び前二項の規定は、仮差押えの執行に係る権利に対する補償金等の払渡しに準用する。
7
施行者に補償金等の支払を命ずる判決が確定したときは、その補償金等の支払に関しては、第一項の規定による補償金等の例による。この場合において、施行者が補償金等を配当手続を実施すべき機関に払い渡したときは、補償金等の支払を命ずる判決に基づく給付をしたものとみなす。
8
第一項、第四項又は前二項の規定による補償金等の裁判所への払渡し及びその払渡しがあつた場合における強制執行、仮差押えの執行又は競売に関しては、最高裁判所規則で
民事執行法
(昭和五十四年法律第四号)又は
民事保全法
(平成元年法律第九十一号)の特例その他必要な事項を、その補償金等の裁判所以外の配当手続を実施すべき機関への払渡し及びその払渡しがあつた場合における滞納処分に関しては、政令で
国税徴収法
(昭和三十四年法律第百四十七号)の特例その他必要な事項を定めることができる。
第四款 土地の明渡し
第九十五条
権利変換期日において、第八十七条の規定により失つた権利に基づき施行地区内の土地又は建築物を占有していた者及びその承継人は、次条第一項の規定により施行者が通知した明渡しの期限までは、従前の用法に従い、その占有を継続することができる。ただし、第六十六条の規定の適用を妨げない。
第九十六条
施行者は、権利変換期日後第一種市街地再開発事業に係る工事のため必要があるときは、施行地区内の土地又は当該土地にある物件を占有している者に対し、期限を定めて、土地の明渡しを求めることができる。
2
前項の規定による明渡しの期限は、同項の請求をした日の翌日から起算して三十日を経過した後の日でなければならない。
3
第一項の規定による明渡しの請求があつた土地又は当該土地にある物件を占有している者は、明渡しの期限までに、施行者に土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転しなければならない。ただし、第九十一条第一項又は次条第三項の規定による支払がないときは、この限りでない。
4
前条の規定により建築物を占有する者が施行者に当該建築物を引き渡す場合において、当該建築物に、第六十六条第七項の承認を受けないで改築、増築若しくは大修繕が行われ、又は物件が付加増置された部分があるときは、第八十七条第二項の規定により当該建築物の所有権を失つた者は、当該部分又は物件を除却して、これを取得することができる。
土地収用法第九十四条第二項
の規定による補償額の裁決を申請することができる。
5
第八十五条第二項及び第三項、第九十一条第二項及び第三項、第九十二条並びに第九十三条の規定は、第二項の規定による損失の補償について準用する。
第九十八条
第九十六条第三項の場合において次の各号の一に該当するときは、市町村長は、施行者の請求により、土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者に代わつて、土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転しなければならない。
一
土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者がその責めに帰することができない理由によりその義務を履行することができないとき。
二
施行者が過失がなくて土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者を確知することができないとき。
2
第九十六条第三項の場合において土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者がその義務を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても明渡しの期限までに完了する見込みがないときは、都道府県知事等は、施行者の請求により、
行政代執行法
(昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。
3
前項の場合において、都道府県知事等は、義務者及び施行者にあらかじめ通知した上で、当該代執行に要した費用に充てるため、その費用の額の範囲内で、義務者が施行者から受けるべき前条第一項の補償金を義務者に代わつて受けることができる。
4
施行者が前項の規定に基づき補償金の全部又は一部を都道府県知事等に支払つた場合においては、この法律の適用については、施行者が都道府県知事等に支払つた金額の限度において、前条第一項の補償金を支払つたものとみなす。
第九十九条
市町村長は、前条第一項の規定により土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転するに要した費用を第九十六条第三項の規定により土地若しくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者から徴収するものとする。
2
前条第三項及び第四項の規定は、市町村長が前項の規定によつて費用を徴収する場合に準用する。
3
市町村長は、第一項に規定する費用を前項において準用する前条第三項の規定によつて徴収することができないとき、又は徴収することが適当でないと認めるときは、第一項に規定する者に対し、あらかじめ、納付すべき金額、納付の期限及び場所を通知して、これを納付させるものとする。
4
市町村長は、前項の規定によつて通知を受けた者が同項の規定によつて通知された期限を経過しても同項の規定により納付すべき金額を完納しないときは、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
5
前項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに第三項の規定により納付すべき金額を納付しないときは、市町村長は、国税滞納処分の例によつて、これを徴収することができる。この場合における徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
第四款の二 施設建築物の建築等の特例
第九十九条の二
施行者は、施設建築物(権利変換計画において第七十三条第一項第二号に掲げる者(施行者を除く。)がその全部を取得するように定められたものを除く。)の建築を他の者に行わせることができる。
2
前項の規定により施設建築物の建築を施行者以外の者に行わせるときは、権利変換計画においてその旨及び施行者が取得する施設建築物の全部又は一部のうちその建築を行う者(以下「特定建築者」という。)に取得させるものを定めなければならない。
3
第一項の規定により施行者以外の者が建築を行う施設建築物(以下「特定施設建築物」という。)の全部又は一部は、権利変換計画において定めるところにより第八十八条第二項(第百十一条において読み替えて適用する場合を含む。)及び第百十条第二項の規定にかかわらず、特定建築者が取得する。
第九十九条の三
施行者は、国、地方公共団体、地方住宅供給公社、日本勤労者住宅協会その他政令で定める者を特定建築者とする場合を除き、国土交通省令で定めるところにより、特定建築者を公募しなければならない。
2
施行者は、特定建築者を公募したときは、次の各号に掲げる条件を備えた者で、その者が次条の規定により提出した特定施設建築物の建築の工期、工事概要等に関する計画(以下「建築計画」という。)及び管理処分に関する計画が事業計画及び権利変換計画に適合し、かつ、当該第一種市街地再開発事業の目的を達成する上で最も適切な計画であるものを特定建築者としなければならない。
一
特定施設建築物を建築するのに必要な資力及び信用を有する者であること。
二
第九十九条の六第二項の規定による譲渡の対価の支払能力がある者であること。
3
施行者(都道府県及び市町村を除く。)は、前項の規定により特定建築者を決定するときは、あらかじめ、機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)にあつては国土交通大臣の、個人施行者、組合、再開発会社又は市のみが設立した地方住宅供給公社にあつては都道府県知事の承認を受けなければならない。
第九十九条の四
特定建築者となろうとする者は、国土交通省令で定めるところにより、施行者に建築計画及び当該特定施設建築物の管理処分に関する計画を提出しなければならない。
第九十九条の五
施行者は、特定施設建築物の敷地の整備を完了したときは、速やかに、その旨を特定建築者に通知しなければならない。
2
特定建築者は、前項の通知を受けたときは、建築計画に従つて特定施設建築物を建築しなければならない。
3
前項の場合においては、特定建築者は、当該特定施設建築物の敷地を使用することができる。
第九十九条の六
特定建築者は、特定施設建築物の建築工事を完了したときは、速やかに、その旨を施行者に届け出なければならない。
2
施行者は、前項の届出があつた場合において、特定建築者が建築計画に従い特定施設建築物の建築を完了したと認めるときは、速やかに、第九十九条の二第三項の規定により当該特定建築者が取得することとなる特定施設建築物の全部又は一部の所有を目的とする地上権又はその共有持分を譲渡しなければならない。
第九十九条の七
特定建築者は、建築計画に従い当該特定施設建築物を建築することができないやむを得ない事情があるときは、事業計画及び権利変換計画に適合する範囲内において、施行者の承認を受けて、建築計画を変更することができる。
第九十九条の八
施行者は、特定建築者が建築計画に従つて特定施設建築物を建築しなかつた場合においては、その者を特定建築者とする決定を取り消すことができる。
2
施行者は、前項の規定により同項の決定を取り消した場合においては、特定建築者及び特定施設建築物の敷地又は当該敷地にある物件を占有している者に対し、相当の期限を定めて、当該敷地の明渡しを求めることができる。
3
前項の規定により明渡しの請求があつた特定建築者及び特定施設建築物の敷地又は当該敷地にある物件を占有している者は、明渡しの期限までに、施行者に当該敷地を引き渡し、又は物件を移転しなければならない。
4
施行者は、第一項の規定により同項の決定を取り消した場合においては、新たに特定建築者を決定するときを除き、自ら当該特定施設建築物の建築を行わなければならない。
5
第九十九条の三第三項の規定は第一項の規定により同項の決定を取り消す場合について、第九十八条第一項及び第二項並びに第九十九条(第二項を除く。)の規定は第三項の場合について準用する。この場合において、第九十八条第二項中「都道府県知事等」とあるのは、「都道府県知事」と読み替えるものとする。
第九十九条の九
施行者は、特定建築者に対し、特定施設建築物の建築に関し、その適切な遂行を確保するため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又はその特定施設建築物の建築の促進を図るため必要な勧告、助言若しくは援助をすることができる。
第九十九条の十
施行者は、政令で定める公共施設の整備に関する工事について特殊の技術を要する等特別の事情がある場合においては、当該工事の全部又は一部を当該公共施設の管理者又は管理者となるべき者に行わせることができる。
第五款 工事完了等に伴う措置
第百条
施行者は、施設建築物の建築工事が完了したときは、速やかに、その旨を、公告するとともに、第八十八条第二項又は第五項の規定により施設建築物に関し権利を取得する者に通知しなければならない。
第百一条
施行者は、施設建築物の建築工事が完了したときは、遅滞なく、施設建築物及び施設建築物に関する権利について必要な登記を申請し、又は嘱託しなければならない。
2
施設建築物に関する権利に関しては、前項の登記がされるまでの間は、他の登記をすることができない。
第百二条
権利変換計画において施設建築物の一部等が与えられるように定められた者と当該施設建築物の一部について第七十七条第五項本文の規定により借家権が与えられるように定められた者は、家賃その他の借家条件について協議しなければならない。
2
第百条の公告の日までに前項の規定による協議が成立しないときは、施行者は、当事者の一方又は双方の申立てにより、審査委員の過半数の同意を得、又は市街地再開発審査会の議決を経て、次の各号に掲げる事項について裁定することができる。この場合においては、第七十九条第二項後段の規定を準用する。
三
敷金又は借家権の設定の対価を支払うべきときは、その額
3
施行者は、前項の規定による裁定をするときは、賃借りの目的については賃借部分の構造及び賃借人の職業を、家賃の額については賃貸人の受けるべき適正な利潤を、その他の事項についてはその地方における一般の慣行を考慮して定めなければならない。
4
第二項の規定による裁定があつたときは、裁定の定めるところにより、当事者間に協議が成立したものとみなす。
5
第二項の裁定に関し必要な手続に関する事項は、国土交通省令で定める。
6
第二項の裁定に不服がある者は、その裁定があつた日から六十日以内に、訴えをもつてその変更を請求することができる。
7
前項の訴えにおいては、当事者の他の一方を被告としなければならない。
第百三条
施行者は、第一種市街地再開発事業の工事が完了したときは、すみやかに、当該事業に要した費用の額を確定するとともに、政令で定めるところにより、その確定した額及び第八十条第一項に規定する三十日の期間を経過した日における近傍類似の土地、近傍同種の建築物又は近傍類似の土地若しくは近傍同種の建築物に関する同種の権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額を基準として、施設建築敷地、その共有持分若しくは施設建築物の一部等を取得した者又は施行者の所有する施設建築物の一部について第七十七条第五項ただし書の規定により借家権が与えられるように定められ、第八十八条第五項の規定により借家権を取得した者ごとに、施設建築敷地、その共有持分若しくは施設建築物の一部等の価額、施設建築敷地の地代の額又は施行者が賃貸しする施設建築物の一部の家賃の額を確定し、これらの者にその確定した額を通知しなければならない。
2
前項の規定により確定した地代の額は、当事者間に別段の合意がない限り、施設建築敷地について当事者の合意により定められた地代の額とみなす。ただし、その額に不服がある者は、前項の通知を受けた日から六十日以内に、訴えをもつてその増減を請求することができる。
3
前項ただし書の訴えにおいては、当事者の他の一方を被告としなければならない。
第百四条
前条第一項の規定により確定した施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等の価額とこれを与えられた者がこれに対応する権利として有していた施行地区内の宅地、借地権又は建築物の価額とに差額があるときは、施行者は、その差額に相当する金額を徴収し、又は交付しなければならない。同項の規定により確定した施設建築敷地の地代の額と第八十八条第一項ただし書の規定により支払つた地代の概算額とに差額があるときも、同様とする。
2
第九十九条の二第三項の規定により特定建築者が特定施設建築物の一部を取得する場合においては、施行者は、特定建築者が取得する部分以外の部分に係る特定施設建築物の整備に要した費用の額を政令で定めるところにより確定し、当該費用の額と第九十九条の六第二項の規定による譲渡の対価の額とに差額があるときは、その差額に相当する金額を徴収し、又は交付しなければならない。
第百五条
前条第一項に規定する宅地、借地権又は建築物が先取特権、質権若しくは抵当権又は仮登記若しくは買戻しの特約の登記に係る権利の目的となつていたときは、これらの権利者のすべてから供託しなくてもよい旨の申出があつたときを除き、施行者は、同項の規定により交付すべき清算金の交付に代えてこれを供託しなければならない。第九十二条第五項及び第六項の規定は、この場合について準用する。
2
前項の先取特権、質権又は抵当権を有していた者は、同項の規定により供託された清算金に対してその権利を行うことができる。
第百六条
第百四条第一項の規定により徴収すべき清算金は、政令で定めるところにより、利子を付して分割して徴収することができる。
2
個人施行者以外の施行者は、第百四条第一項の規定により徴収すべき清算金(前項の規定により利子を付したときは、その利子を含む。以下同じ。)を滞納する者があるときは、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促することができる。
3
前項の督促をするときは、組合にあつては定款で定めるところにより、再開発会社にあつては規準で定めるところにより、地方公共団体又は機構等にあつては政令で定めるところにより、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額の範囲内の延滞金を徴収することができる。
4
第二項の督促を受けた者がその督促状において指定した期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、地方公共団体又は機構等は、国税滞納処分の例により、同項の清算金及び前項の延滞金を徴収することができる。この場合における二項中「前条第一項」とあるのは、「第百六条第二項」と読み替えるものとする。
第百七条
第百四条第一項の清算金を徴収する権利を有する施行者は、その納付義務者に与えられる施設建築物の一部の上に先取特権を有する。
2
前項の先取特権は、第百一条第一項の規定による登記の際に清算金の予算額を登記することによつてその効力を保存する。ただし、清算金の額がその予算額を超過するときは、その超過額については存在しない。
3
第一項の先取特権は、不動産工事の先取特権とみなし、前項本文の規定に従つてした登記は、
民法第三百三十八条第一項
前段の規定に従つてした登記とみなす。
第百八条
第一種市街地再開発事業により施行者が取得した施設建築物の一部等は、次に掲げる場合を除き、公募により賃貸し、又は譲渡しなければならない。この場合において、施行者は、賃貸又は譲渡後の施設建築物の一部等が当該第一種市街地再開発事業の目的に適合して利用されるよう十分に配慮しなければならない。
一
巡査派出所、電気事業者の電気工作物その他公益上欠くことができない施設の用に供するため必要があるとき。
二
施行地区内に宅地、借地権若しくは権原に基づき存する建築物を有する者又は施行地区内の建築物について借家権を有する者の居住又は業務の用に供するため特に必要があるとき。
三
再開発会社が施行する第一種市街地再開発事業にあつては、当該再開発会社の株主又は社員の居住又は業務の用に供するため特に必要があるとき。
四
施行地区が第二条の三第一項第二号又は第二項の地区内にある場合において、当該地区内に宅地、借地権若しくは権原に基づき存する建築物を有する者又は当該地区内の建築物について借家権を有する者であつて、当該地区内における他の市街地再開発事業又は
土地区画整理法
による土地区画整理事業、
密集市街地整備法
による防災街区整備事業若しくは都市計画事業の施行に伴い当該宅地、借地権、建築物又は借家権を失い、かつ、当該権利に対応する権利を与えられないものの居住又は業務の用に供するため特に必要があるとき。
2
施行者が地方公共団体であるときは、施行者が第一種市街地再開発事業により取得した施設建築敷地若しくはその共有持分、施設建築物の所有を目的とする地上権又は施設建築物の一部等の管理処分については、当該地方公共団体の財産の管理処分に関する法令の規定は、適用しない。
第百九条
第一種市街地再開発事業の施行により設置された公共施設は、当該公共施設の整備に関する工事が完了したときは、その存する市町村の管理に属する。ただし、法律又は規準、規約、定款若しくは施行規程に管理すべき者の定めがあるときは、それらの者の管理に属するものとする。
第五款の二 施設建築敷地内の道路に関する特例
第百九条の二
都市計画法第十二条の四第一項第一号
に掲げる地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち
同法第十二条の十一
の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。)内における第一種市街地再開発事業その他政令で定める第一種市街地再開発事業については、事業計画において、施設建築敷地の上の空間又は地下に道路を設置し、又は道路が存するように定めることができる。
2
前項の規定により事業計画において施設建築敷地の上の空間又は地下に道路を設置し、又は道路が存するように定めた場合においては、権利変換計画は、第七十五条第一項の規定にかかわらず、一個の施設建築物の敷地のうちその上の空間又は地下に道路を設置し、又は道路が存することとなる部分(以下この項において「一個の施設建築物の敷地の道路部分」という。)については、それ以外の部分と別の筆の土地となるものとして定めなければならない。この場合において、当該一個の施設建築物の敷地の道路部分は、特別の事情がない限り、一筆の土地となるものとして定めなければならない。
3
前項前段に規定する場合においては、権利変換計画は、施設建築敷地のうちその上の空間又は地下に道路を設置し、又は道路が存することとなる部分(以下「施設建築敷地の道路部分」という。)には、第七十五条第二項に定めるもののほか、当該道路の所有を目的とする
民法第二百六十九条の二第一項
の地上権が設定されるものとして定めなければならない。
4
第二項前段に規定する場合においては、第八十二条の規定にかかわらず、権利変換計画において、第一種市街地再開発事業により従前の道路に代えて設置される新たな道路に係る前項に規定する地上権は、従前の道路の用に供される土地の所有者が国であるときは国に、地方公共団体であるときは当該地方公共団体に帰属し、その他の新たな道路に係る同項に規定する地上権は、当該道路を管理すべき者(その者が第一号法定受託事務として当該道路を管理する地方公共団体であるときは、国)に帰属するように定めなければならない。
5
第二項前段に規定する場合においては、権利変換計画において、従前より存する道路に係る第三項に規定する地上権は、当該道路の管理者(その者が第一号法定受託事務として当該道路を管理する地方公共団体であるときは、国)に帰属するように定めなければならない。
6
第二項前段に規定する場合においては、権利変換計画において、第七十三条第一項各号に掲げる事項のほか、国土交通省令で定めるところにより、第三項に規定する地上権の明細及びその帰属並びにその存続期間その他の条件(
民法第二百六十九条の二第一項
後段の制限を加える場合にあつては、その制限を含む。)の概要を定めなければならない。
7
第二項から前項までの規定により権利変換計画を定めた場合においては、施設建築敷地の道路部分には、第八十八条第一項に定めるもののほか、権利変換期日において、権利変換計画の定めるところに従い、
民法第二百六十九条の二
の規定により道路の所有を目的とする
同条第一項
の地上権が設定されたものとみなす。
8
第八十八条第六項の規定は、前項の規定による地上権の設定について準用する。
第六款 権利変換手続の特則
第百十条
施行者は、権利変換期日に生ずべき権利の変動その他権利変換の内容につき、施行地区内の土地又は物件に関し権利を有する者及び参加組合員又は特定事業参加者のすべての同意を得たときは、第七十三条第二項から第四項まで、第七十五条から第七十八条まで、第八十条、第八十一条、前条第二項後段及び第百十八条の三十二第一項の規定によらないで、権利変換計画を定めることができる。この場合においては、第八十三条、第百二条、第百三条及び第百八条第一項の規定は、適用しない。
2
前項の規定により権利変換計画を定めた場合においては、第八十七条から第八十九条までの規定にかかわらず、権利変換計画の定めるところにより、権利変換期日において土地及び土地に存する物件に関する権利の得喪及び変更を生じ、当該第一種市街地再開発事業により建築される施設建築物に関する権利は、権利変換計画の定めるところにより、これを取得すべき者が取得する。
4
第一項の場合においては、次の表の上欄に掲げる規定の同表中欄に掲げる字句は、同表下欄に掲げる字句に読み替えて、これらの規定を適用する。
第四十条第一項、第七十三条第一項第十三号及び第十四号 |
施設建築物の一部等 |
施設建築敷地又は施設建築物に関する権利 |
第四十四条 |
第八十八条第一項の規定による地上権 |
借地権 |
第四の抹消 |
第九十条第二項及び第三項、第九十六条第四項 |
第八十七条第二項 |
第百十条第二項 |
第九十条第二項 |
及び所有権以外の権利の登記の抹消 |
並びに権利変換に伴い消滅した権利の登記及び権利変換手続開始の登記の抹消 |
第九十五条 |
第八十七条 |
第百十条第二項 |
第九十九条の六第二項 |
地上権又はその共有持分 |
施設建築敷地に関する権利 |
第百条 |
第八十八条第二項又は第五項 |
第百十条第二項 |
第百八条第二項 |
施設建築敷地若しくはその共有持分、施設建築物の所有を目的とする地上権又は施設建築物の一部等 |
施設建築敷地又は施設建築物に関する権利 |
第百十一条
施行者は、第七十五条第二項の規定により権利変換計画を定めることが適当でないと認められる特別の事情があるときは、同項の規定にかかわらず、施設建築敷地に地上権(第百九条の二第三項に規定する地上権を除く。)が設定されないものとして権利変換計画を定めることができる。この場合においては、第七十六条、第七十七条第二項後段及び第三項並びに第八十八条第一項の規定は適用せず、次の表の上欄に掲げる規定の同表中欄に掲げる字句は、同表下欄に掲げる字句に読み替えて、これらの規定を適用する。
第四十条第一項、第七十三条第一項第十三号、第十四号及び第四項ただし書、第七十七条の見出し、同条第一項、第二項前段及び第四項、第七十九条第三項、第八十八条第三項、第百二条第一項、第百三条の見出し、第百八条の見出し、同条第一項 |
施設建築物の一部等 |
建築施設の部分 |
第五十条の三第一項第五号、第二項及び第三項、第五十条の十第一項、第五十二条第二項第五号、第五十六条の二第一項、第五十八条の二第一項 |
施設建築物の一部等又は建築施設の部分 |
建築施設の部分 |
第七十三条第一項第二号、第四号及び第六号、第七十八条第一項、第八十九条、第百四条第一項 |
施設建築敷地若しくはその共有持分又は施設建築物の一部等 |
建築施設の部分 |
第七十三条第一項第十二号、第九十一条第一項 |
施設建築敷地若しくはその共有持分、施設建築物の一部等 |
建築施設の部分 |
第七十三条第一項第十五号 |
施設建築敷地又はその共有持分及び施設建築物の一部等 |
建築施設の部分 |
第七十五条第三項、第八十八条第四項 |
施設建築物の所有を目的とする地上権 |
施設建築敷地 |
第七十七条第一項 |
借地権 |
宅地又は借地権 |
第七十九条第一項 |
第二項又は第三項 |
第二項前段 |
第百十二条
都道府県知事は、第一種市街地再開発事業について、個人施行者、組合又は再開発会社の事業の現況その他の事情により個人施行者、組合又は再開発会社の事業の継続が困難となるおそれがある場合において、第百二十四条第三項、第百二十四条の二から第百二十五条の二までの規定による監督処分によつては個人施行者、組合又は再開発会社の事業の遂行の確保を図ることができないと認めるときは、事業代行の開始を決定することができる。
第百十三条
都道府県知事は、前条の規定により事業代行の開始を決定したときは、個人施行者の氏名若しくは名称又は組合若しくは再開発会社の名称、個人施行者、組合又は再開発会社の事業が事業代行者により代行される旨、当該事業代行者の名称、事業代行開始の決定の年月日その他国土交通省令で定める事項を公告しなければならない。
第百十四条
事業代行者は、都道府県知事とする。ただし、都道府県知事は、個人施行者、組合又は再開発会社の施行地区を管轄する市町村長と協議して、当該市町村長を事業代行者と定めることができる。
第百十五条
事業代行開始の公告があつたときは、個人施行者の事業にあつては業務の執行並びに当該業務に係る財産の管理及び処分をする権限は、組合又は再開発会社の事業にあつては組合又は再開発会社の代表、業務の執行並びに財産の管理及び処分をする権限は、事業代行終了の公告があるまでの間、事業代行者に専属する。
第百十六条
事業代行者である都道府県知事又は市町村長が統轄する地方公共団体は、
法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律
(昭和二十一年法律第二十四号)
第三条
の規定にかかわらず、事業代行開始の公告の日後における組合の債務について保証契約をすることができる。
第百十七条
事業代行者は、個人施行者、組合又は再開発会社の事業の継続が困難となるおそれがなくなつたとき、又は第百一条第一項の規定による登記が完了したときは、都道府県知事にあつては事業代行終了の旨を公告し、市町村長にあつてはその旨を都道府県知事に通知しなければならない。
2
都道府県知事は、前項の通知を受けたときは、事業代行終了の旨を公告しなければならない。
3
個人施行者、組合又は再開発会社は、事業代行終了の公告後遅滞なく、その財産の処分及び債務の弁済に関する計画を作成して事業代行者であつた者の承認を求めなければならない。
第百十八条
事業代行者である都道府県知事又は市町村長が統轄する地方公共団体は、組合の債務について保証契約をした場合において、その保証に係る債務を弁済したときは、その求償権に関し、組合の取得すべき施設建築物の一部の上に先取特権を有する。
2
前項の先取特権は、第百一条第一項の規定による登記の際に求償債権の額を登記することによつてその効力を保存する。
3
第一項の先取特権は、不動産工事の先取特権とみなし、前項の規定に従つてした登記は、
民法第三百三十八条第一項
前段の規定に従つてした登記とみなす。
第四章 第二種市街地再開発事業
第一節 管理処分手続
第一款 管理処分計画
第百十八条の二
次に掲げる公告があつたときは、施行地区内の宅地の所有者、その宅地について借地権を有する者又は施行地区内の土地に権原に基づき建築物を所有する者は、その公告があつた日から起算して三十日以内に、施行者に対し、その者が施行者から払渡しを受けることとなる当該宅地、借地権又は建築物の対償に代えて、建築施設の部分の譲受けを希望する旨の申出(以下「譲受け希望の申出」という。)をすることができる。
一
再開発会社が施行する第二種市街地再開発事業にあつては、規準及び事業計画の認可の公告
二
地方公共団体が施行する第二種市街地再開発事業にあつては、事業計画の決定の公告
三
機構等が施行する第二種市街地再開発事業にあつては、施行規程及び事業計画の認可の公告
2
前項の宅地若しくは建築物の所有権又は同項の借地権で既登記のものの存否又は帰属について争いがある場合においては、争いの当事者のうち当該権利の登記名義人又は当該権利に関する仮登記若しくは処分の制限の登記を有する者に限り、同項の譲受け希望の申出をすることができる。
3
第一項の借地権で未登記のものの存否又は帰属について争いがある場合においては、争いの当事者は、同項の譲受け希望の申出をすることができる。
4
前二項の規定により、争いの当事者の一方が譲受け希望の申出をしたときは、争いの他方の当事者は、譲受け希望の申出をしたものとみなす。
5
第一項の建築物について借家権を有する者(その者が更に借家権を設定しているときは、その借家権の設定を受けた者)は、同項の期間内に、施行者に対し、施設建築物の一部の賃借りを希望する旨の申出(以下「賃借り希望の申出」という。)をすることができる。
6
前五項の規定は、事業計画を変更して従前の施行地区外の土地を新たに施行地区に編入した場合について準用する。この場合において、第一項中「施行地区」とあるのは「施行地区に編入された土地の区域」と、同項第一号中「規準及び事業計画の認可の公告」とあるのは「新たな施行地区の編入に係る事業計画の変更の認可の公告」と、同項第二号中「事業計画の決定の公告」とあるのは「新たな施行地区の編入に係る事業計画の変更の公告」と、同項第三号中「施行規程及び事業計画の認可の公告」とあるのは「新たな施行地区の編入に係る事業計画の変更の認可の公告」と読み替えるものとする。
7
施行者は、譲受け希望の申出をした者の建築物について借家権を有する者から賃借り希望の申出があつたときは、遅滞なく、その旨を譲受け希望の申出をした者に通知しなければならない。
8
譲受け希望の申出又は賃借り希望の申出は、国土交通省令で定めるところにより、書面でしなければならない。
第百十八条の三
譲受け希望の申出をした者(前条第四項の規定により譲受け希望の申出をしたものとみなされた者を含む。以下同じ。)は、その者が施行地区内に有する宅地、借地権又は建築物の処分をするには、施行者の承認を得なければならない。
2
施行者は、事業の遂行に重大な支障が生ずることその他正当な理由がなければ、前項の承認を拒むことができない。
3
前二項の規定は、
土地収用法第四十五条の二
に規定する裁決手続開始の登記があつた後における当該登記に係る宅地については、適用しない。
第百十八条の五
譲受け希望の申出をした者又は賃借り希望の申出をした者は、第百十八条の二第一項の期間(事業計画を変更して新たに編入した施行地区に係る譲受け希望の申出をした者又は賃借り希望の申出をした者にあつては、同条第六項において準用する同条第一項の期間)が経過した後においては、施行者の同意を得た場合に限り、その譲受け希望の申出又は賃借り希望の申出を撤回することができる。
2
施行者は、事業の遂行に重大な支障がない限り、前項の同意をしなければならない。
3
第百十八条の二第八項の規定は、譲受け希望の申出又は賃借り希望の申出の撤回について準用する。
4
第百十八条の二第二項又は第三項の規定により譲受け希望の申出がされた場合における譲受け希望の申出の撤回は、争いの当事者が共同してしなければならない。
第百十八条の六
施行者は、第百十八条の二の規定による手続に必要な期間の経過後、遅滞なく、施行地区ごとに管理処分計画を定めなければならない。この場合においては、国土交通省令で定めるところにより、都道府県又は機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)にあつては国土交通大臣の、再開発会社、市町村又は市のみが設立した地方住宅供給公社にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。
2
再開発会社は、前項後段の認可を受けようとするときは、管理処分計画について、施行地区内の宅地について所有権を有する者のうち譲受け希望の申出をしたすべての者及び施行地区内の宅地について借地権を有する者のうち譲受け希望の申出をしたすべての者のそれぞれの三分の二以上の同意を得なければならない。この場合においては、同意した者が所有する施行地区内の宅地の地積と同意した者の施行地区内の借地の地積との合計が、譲受け希望の申出をした者が有する施行地区内の宅地の総地積と借地の総地積との合計の三分の二以上でなければならない。
3
第七条の二第五項の規定は、前項の規定により同意を得る場合について準用する。この場合において、同条第五項中「所有権を有する者」とあるのは「譲受け希望の申出をした所有権を有する者」と、「借地権を有する者」とあるのは「譲受け希望の申出をした借地権を有する者」と読み替えるものとする。
4
第一項後段及び前二項の規定は、管理処分計画を変更する場合(政令で定める軽微な変更をする場合を除く。)について準用する。
5
施行地区が工区に分かれているときは、管理処分計画は、工区ごとに定めることができる。
第百十八条の七
管理処分計画においては、国土交通省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を定めなければならない。
二
譲受け希望の申出をした者で建築施設の部分を譲り受けることができるものの氏名又は名称及び住所
三
前号に掲げる者が施行地区内に有する宅地、借地権又は建築物及びその見積額並びにその者がその対償に代えて譲り受けることとなる建築施設の部分の明細及びその価額の概算額
四
賃借り希望の申出をした者で施設建築物の一部を賃借りすることができるものの氏名又は名称及び住所
五
前号に掲げる者が賃借りすることとなる施設建築物の一部
六
施行者が施設建築物の一部を賃貸しする場合における標準家賃の概算額及び家賃以外の借家条件の概要
七
特定事業参加者が譲り受けることとなる建築施設の部分の明細並びにその特定事業参加者の氏名又は名称及び住所
八
第三号及び前号の建築施設の部分以外の建築施設の部分の明細及びその管理処分の方法
九
新たな公共施設の用に供する土地の帰属に関する事項
十
第三号の見積額並びに同号及び第六号の概算額の算定の基準日並びに工事完了の予定時期
2
前項第三号の見積額は、同項第十号の基準日における近傍類似の土地、近傍同種の建築物又は近傍類似の土地に関する同種の権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額を基準として定めなければならない。
3
第一項第十号の基準日は、第百十八条の二第一項各号に掲げる公告(事業計画を変更して新たに編入した施行地区については、同条第六項において準用する同条第一項各号に掲げる公告)の日(
都市計画法第七十一条第一項
に規定する理由があるときは、
同項
の規定により事業の認定の告示があつたものとみなされる日)とする。
第百十八条の八
管理処分計画においては、譲受け希望の申出をした者及び特定事業参加者に対しては建築施設の部分を譲り渡すように定め、賃借り希望の申出をした者のうち、譲受け希望の申出をした者の所有する建築物について借家権を有する者(その者が更に借家権を設定しているときは、その借家権の設定を受けた者)に対してはその所有者が譲り受けることとなる施設建築物の一部を、その他の者に対しては施行者に帰属することとなる施設建築物の一部を賃借りすることができるように定めなければならない。
第百十八条の九
第七十七条第二項前段、第七十九条第三項 |
施設建築物の一部等 |
建築施設の部分 |
第七十七条第二項前段 |
従前の価額 |
従前の宅地、借地権又は建築物の見積額 |
第七十九条第一項 |
第二項又は第三項 |
第二項前段 |
第七十九条第三項 |
前二条 |
第百十八条の八 |
第八十六条第一項 |
第七十二条第四項 |
第百十八条の六第四項 |
第二款 建築施設の部分による対償の給付等
第百十八条の十一
管理処分計画において建築施設の部分を譲り受けることとなる者として定められた者(特定事業参加者を除く。以下「譲受け予定者」という。)に対しては、その者が施行地区内に有する宅地、借地権又は建築物が、契約に基づき、又は収用により、施行者に取得され、又は消滅するときは、その取得又は消滅につき施行者が払い渡すべき対償に代えて、この法律で定めるところにより当該建築施設の部分が給付されるものとする。
2
前項の場合において、譲受け希望の申出をした者が第百十八条の三第一項の承認を受けないで施行地区内に有する宅地、借地権又は建築物を処分したことにより、二以上の者に建築施設の部分を譲り渡す必要が生じたときは、当該二以上の者に対しては、これらの処分がなかつたとすれば当該譲受け希望の申出をした者に譲り渡すべき建築施設の部分について、それぞれ対償の額に応ずる共有持分が給付されるものとする。
4
第一項の宅地、借地権又は建築物が、契約に基づき施行者に取得されたときは、これらの宅地、借地権又は建築物の上の先取特権、質権及び抵当権は、消滅する。
第百十八条の十二
譲受け予定者の有する宅地、借地権又は建築物について仮登記、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記又は処分の制限の登記を有する者がある場合において、当該宅地又は借地権に係るものにあつては
土地収用法第四十八条第一項
の権利取得裁決において定めは
同法第四十九条第一項
の明渡裁決において定められた明渡しの期限までに、これらの登記に係る権利の消滅につき、これらの者のすべての同意が得られないときは、その時において、当該譲受け予定者は、その譲受け希望の申出を撤回したものとみなす。
2
第百十八条の二第二項の規定により同項の仮登記又は処分の制限の登記を有する者が譲受け希望の申出をした場合における前項の規定の適用については、これらの者の同意があつたものとみなす。
3
第一項の場合における
土地収用法第九十五条第一項
、第二項及び第四項、第九十六条第一項、第九十七条、第百条、第百一条第一項及び第三項、第百一条の二、第百二条並びに第百二条の二第二項の規定の適用については、
同法第九十五条第一項
、第百条第一項並びに第百一条第一項及び第三項中「定められた権利取得の時期」とあり、
同法第九十五条第二項
及び
第四項
、第九十六条第一項並びに第九十七条第二項中「権利取得の時期」とあるのは「権利取得の時期として定められた日から起算して一週間を経過する日」と、
同法第九十六条第一項
、第九十七条第二項及び第百二条の二第二項中「明渡しの期限」とあり、
同法第九十七条第一項
、第百条第二項、第百一条第三項及び第百二条中「定められた明渡しの期限」とあるのは「明渡しの期限として定められた日から起算して一週間を経過する日」と、
同法第百一条の二
中「定められる明渡しの期限」とあるのは「明渡しの期限として定められる日から起算して一週間を経過する日」とする。
第百十八条の十三
第百十八条の十一第一項の宅地、借地権又は建築物が先取特権、質権又は抵当権の目的であるときは、その先取特権、質権又は抵当権を有する者は、同項の規定による建築施設の部分の給付を受ける権利(以下「譲受け権」という。)及び第百十八条の十五第二項又は第百十八条の十九第一項の規定により供託された修正対償額等に対して、その権利を行うことができる。
2
第百十八条の十一第二項の規定により一の建築施設の部分が二以上の宅地、借地権又は建築物の対償に代えて給付されることとなるときは、各宅地、借地権又は建築物の上に先取特権、質権又は抵当権を有する者が前項の規定に基づき優先弁済を受けることができる範囲は、同条第二項の共有持分に応じて配分した額を限度とする。
3
譲受け希望の申出をした者が第百十八条の三第一項の承認を受けないで施行地区内に有する宅地、借地権又は建築物の上に質権又は抵当権を設定したときは、当該質権又は抵当権を有する者が第一項の規定に基づき優先弁済を受けることができる範囲は、当該質権又は抵当権の目的である宅地、借地権又は建築物に係る額を限度とする。
第百十八条の十四
譲受け希望の申出をした者の宅地、借地権又は建築物は、管理処分計画の認可の公告(事業計画を変更して新たに編入した施行地区に係る譲受け希望の申出をした者の宅地、借地権又は建築物にあつては、当該事業計画の変更に伴う管理処分計画又はその変更の認可の公告)の日前においては、契約に基づき、又は収用により、施行者が取得し、又は消滅させることはできない。
第百十八条の十五
譲受け予定者が第百十八条の五第一項の規定により譲受け希望の申出を撤回した場合において、その者の宅地、借地権又は建築物が、契約に基づき、又は収用により、施行者に取得され、又は消滅しているときは、施行者は、その宅地、借地権又は建築物の対償に当該取得又は消滅の時から当該譲受け希望の申出を撤回した日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額に、当該譲受け希望の申出を撤回した日から当該対償に修正率を乗じて得た額を支払う時までの期間につき年六パーセントの割合により算出した利息に相当する金額を付けてこれを支払わなければならない。この場合において、その修正率は、政令で定める方法によつて算定するものとする。
2
前項に規定する場合において、同項の宅地、借地権又は建築物が、契約に基づき、又は収用により、施行者に取得され、又は消滅する時に先取特権、質権又は抵当権の目的となつていたときは、施行者は、同項の規定により支払うべき対償に修正率を乗じて得た額及び利息に相当する金額(以下「修正対償額等」という。)の支払に代えてこれを供託しなければならない。前項に規定する場合において、第百十八条の十において準用する第七十三条第四項の規定により管理処分計画において存するものとされた権利に係る修正対償額等(併存し得ない二以上の権利が存するものとされた場合においては、それらの権利に対する修正対償額等のうち最高額のもの)についても、同様とする。
3
第九十二条第五項及び第六項の規定は、前項の規定による供託について準用する。この場合において、同条第六項中「第三項の」とあるのは、「第百十八条の十五第二項後段の」と読み替えるものとする。
第百十八条の十六
譲受け権の譲渡又は譲受け権を目的とする質権の設定は、
民法第四百六十七条
の規定に従い、国土交通省令で定めるところにより、施行者に通知しなければ、施行者その他の第三者に対抗することができない。
第三款 権利関係の確定等
第百十八条の十七
施行者は、施設建築物の建築工事を完了したときは、速やかに、その旨を公告するとともに、譲受け予定者及び管理処分計画において施設建築物の一部を賃借りすることができる者として定められた者(以下「賃借り予定者」という。)並びに特定事業参加者に通知しなければならない。
第百十八条の十八
前条の公告の日の翌日において、譲受け予定者及び特定事業参加者は管理処分計画において定められた建築施設の部分を、賃借り予定者は管理処分計画において定められた施設建築物の一部についての借家権を取得する。
第百十八条の十九
譲受け予定者の宅地、借地権又は建築物が、契約に基づき、又は収用により、施行者に取得され、又は消滅する時に先取特権、質権又は抵当権の目的となつていた場合において、第百十八条の十七の公告の日までに、その者とその先取特権、質権又は抵当権(これらの権利を目的とする権利を含む。)を有していた者との間に、当該譲受け予定者の譲受け権に対する第百十八条の十三第一項の権利の消滅に関する合意が成立しないときは、当該譲受け予定者は、第百十八条の十七の公告の日において、その譲受け希望の申出を撤回したものとみなし、施行者は、その者の宅地、借地権又は建築物に係る修正対償額等の支払に代えてこれを供託しなければならない。第九十二条第五項及び第六項の規定は、この場合について準用する。
2
前項の合意が成立したときは、当事者は、第百十八条の十七の公告の日の翌日から起算して一週間を経過する日までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を施行者に届け出なければならない。
3
前項の期日までに同項の規定による届出がないときは、第一項の合意が成立しなかつたものとみなす。
第百十八条の二十
施行者は、公共施設の整備に関する工事が完了したときは、速やかに、その旨を、公告しなければならない。
2
公共施設の用に供する土地は、当該公共施設に係る前項の公告の日の翌日において、管理処分計画の定めるところに従い、新たに所有者となるべき者に帰属する。
3
第百九条の規定は、第二種市街地再開発事業の施行により設置された公共施設の管理について準用する。
第百十八条の二十一
施行者は、施設建築物の建築工事が完了したときは、遅滞なく、施設建築敷地及び施設建築物について必要な登記を申請し、又は嘱託しなければならない。
2
第百十八条の十九第一項の合意が、第百十八条の十八の規定により取得される建築施設の部分に質権又は抵当権を設定すべきことを条件として成立したものであるときは、施行者は、前項の登記の際に、当該権利を有する者のために、当該権利の設定の登記を登記所に申請し、又は嘱託しなければならない。
3
施設建築敷地及び施設建築物に関する権利に関しては、前二項の登記がされるまでの間は、他の登記をすることができない。
3
第一項の建築施設の部分の価額及び家賃の額は、政令で定めるところにより、当該事業に要した費用の確定額及び第百十八条の七第一項第十号の基準日における近傍類似の土地、近傍同種の建築物又は近傍同種の建築物に関する同種の権利の取引価格等を考慮して定める相当の価額に同号の基準日から第百十八条の十七の公告の日までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額を基準として確定する。前項後段の規定は、この場合について準用する。
第百十八条の二十四
前条第一項の規定により確定した従前の権利の価額と同項の規定により確定した建築施設の部分の価額とに差額があるときは、施行者は、その差額に相当する金額を徴収し、又は交付しなければならない。
2
第百五条から第百七条まで(第百六条第六項を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、第百五条第一項中「前条第一項」とあるのは「第百十八条の二十三第一項」と、「同項」とあるのは「第百十八条の二十四第一項」と、第百六条第一項及び第二項中「第百四条第一項」とあるのは「第百十八条の二十四第一項」と、第百七条第一項中「第百四条第一項」とあるのは「第百十八条の二十四第一項」と、「施設建築物の一部」とあるのは「建築施設の部分」と、同条第二項中「第百一条第一項」とあるのは「第百十八条の二十一第一項」と読み替えるものとする。
第百十八条の二十四の二
第百八条第一項の規定は、第二種市街地再開発事業により譲受け予定者及び特定事業参加者が取得した建築施設の部分並びに賃借り予定者が取得した借家権に係る建築施設の部分以外の建築施設の部分について準用する。
2
施行者が地方公共団体であるときは、施行者が第二種市街地再開発事業により取得した建築施設の部分の管理処分については、当該地方公共団体の財産の管理処分に関する法令の規定は、適用しない。
第三款の二 施設建築敷地内の道路に関する特例
第百十八条の二十五
都市計画法第十二条の四第一項第一号
に掲げる地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち
同法第十二条の十一
の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。)内における第二種市街地再開発事業その他政令で定める第二種市街地再開発事業については、事業計画において、施設建築敷地の上の空間又は地下に道路を設置し、又は道路が存するように定めることができる。
2
第百九条の二第二項から第六項までの規定は、前項の規定により事業計画において施設建築敷地の上の空間又は地下に道路を設置し、又は道路が存するように定めた場合の管理処分計画について準用する。この場合において、同条第二項中「第七十五条第一項」とあるのは「第百十八条の十において準用する第七十五条第一項」と、同条第三項中「第七十五条第二項に定めるもののほか、当該道路」とあるのは「当該道路」と、同条第四項中「第八十二条」とあるのは「第百十八条の十において準用する第八十二条」と、同条第六項中「第七十三条第一項各号」とあるのは「第百十八条の七第一項各号」と読み替えるものとする。
3
前項において準用する第百九条の二第二項から第六項までの規定により管理処分計画を定めた場合においては、施設建築敷地の道路部分には、第百十八条の二十第二項の規定にかかわらず、当該施設建築敷地の施設建築物に係る第百十八条の十七の公告の日(その公告の日前に当該施設建築敷地の道路に係る第百十八条の二十第一項の公告がなされた場合にあつては、当該公告の日)の翌日において、管理処分計画の定めるところに従い、
民法第二百六十九条の二
の規定により道路の所有を目的とする
同条第一項
の地上権が設定されたものとみなす。
4
第八十八条第六項の規定は、前項の規定による地上権の設定について準用する。
第四款 管理処分手続の特則
第百十八条の二十五の二
施行者は、施設建築物の建築並びに施設建築敷地及び施設建築物に関する権利の取得につき、譲受け希望の申出をした者及び賃借り希望の申出をした者(第百十八条の十八又は次項の規定により建築施設の部分若しくは施設建築物の一部についての借家権又は施設建築敷地若しくは施設建築物に関する権利を取得した者を除く。)並びに特定事業参加者のすべての同意を得たときは、第百十八条の八、第百十八条の十において準用する第七十五条第一項及び第三項並びに第七十七条第二項前段、前条第二項において準用する第百九条の二第二項後段並びに第百十八条の三十二第三項において準用する同条第一項の規定によらないで、管理処分計画を定めることができる。この場合においては、第百十八条の二十二の規定は適用しない。
2
前項の規定により管理処分計画を定めた場合においては、第百十八条の十八の規定にかかわらず、当該第二種市街地再開発事業に係る施設建築敷地又は施設建築物に関する権利は、第百十八条の十七の公告の日の翌日において、管理処分計画の定めるところにより、これを取得すべき者が取得する。
3
第一項の場合においては、次の表の上欄に掲げる規定の同表中欄に掲げる字句は、同表下欄に掲げる字句に読み替えて、これらの規定を適用する。
第五十条の三第一項第五号、第二項及び第三項、第五十条の十第一項、第五十二条第二項第五号、第五十六条の二第一項、第五十八条の二第一項 |
建築施設の部分 |
施設建築敷地若しくは施設建築物に関する権利 |
第百十八条の七第一項第二号、第三号、第七号及び第八号、第百十八条の九の見出し、第百十八条の十一の見出し、同条第一項及び第二項、第百十八条の十三第一項及び第二項、第百十八条の二十一の見出し、同条第二項、第百十八条の二十三の見出し、同条第三項、第百十八条の二十四、第百十八条の二十四の二(見出しを含む。) |
建築施設の部分 |
施設建築敷地又は施設建築物に関する権利 |
第百十八条の七第一項第十一号 |
その他 |
前各号に掲げるもののほか、管理処分の内容その他 |
第百十八条の二十一第二項 |
第百十八条の十八 |
第百十八条の二十五の二第二項 |
第百十八条の二十三第一項 |
建築施設の部分を |
施設建築敷地又は施設建築物に関する権利を |
第百十八条の二十三第一項 |
建築施設の部分の価額( |
施設建築敷地若しくは施設建築物に関する権利の価額( |
第百十八条の二十三第一項 |
建築施設の部分の価額) |
施設建築敷地又は施設建築物に関する権利の価額) |
第百十八条の二十八第二項 |
施設建築敷地又はその共有持分 |
施設建築敷地に関する権利 |
第二節 雑則
第百十八条の二十六
第二種市街地再開発事業につき
都市計画法第六十九条
の規定により適用される
土地収用法
の規定により土地又は権利が収用されるときは、権原により当該土地又は当該権利の目的である土地に建築物を所有する者は、その建築物の収用を請求することができる。
2
第百十八条の二第一項の規定により建築物の所有者が譲受け希望の申出をしたときは、
土地収用法第四十七条の四第二項
において準用する
同法第四十二条第二項
の公告の日から起算して二週間を経過する日以後に
第百十八条の五第一項
の規定により当該譲受け希望の申出が撤回され、又は第百十八条の十二若しくは第百十八条の十九第一項の規定により当該譲受け希望の申出が撤回されたものとみなされた場合であつても、当該建築物については、収用の請求をしたものとみなす。この場合においては、施行者は、
同法第四十七条の三第一項
の明渡裁決の申立てをする際に、当該譲受け希望の申出があつたことを証する書面を収用委員会に提出しなければならない。
第百十八条の二十七
第二種市街地再開発事業の施行者は、当該第二種市街地再開発事業の施行のため必要があるときは、施行地区内の土地にある物件の所有者で当該物件のある土地に関し施行者に対抗することができる権利を有しないものに対し、相当の期限を定めて、当該物件の移転を命じ、当該物件の占有者で当該物件に関し所有者に対抗することができる権利を有しないものに対し、相当の期限を定めて、当該物件を所有者に引き渡すべきことを命ずることができる。
2
第九十八条第二項の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、同項中「第九十六条第三項の場合」とあるのは、「第百十八条の二十七第一項の規定により物件の移転又は引渡しが命ぜられた場合」と読み替えるものとする。
第百十八条の二十八
施行者は、施設建築物(管理処分計画においてその全部を譲受け予定者又は特定事業参加者が譲り受けるように定められたものを除く。)の建築を他の者に行わせることができる。
2
第九十九条の二第二項及び第三項、第九十九条の三から第九十九条の九まで並びに第百四条第二項の規定は、前項の規定により施行者以外の者に施設建築物の建築を行わせる場合について準用する。この場合において、第九十九条の二第二項及び第三項、第九十九条の三第二項並びに第九十九条の七中「権利変換計画」とあるのは「管理処分計画」と、第九十九条の六第二項中「第九十九条の二第三項」とあるのは「第百十八条の二十八第二項において準用する第九十九条の二第三項」と、「地上権又はその共有持分」とあるのは「施設建築敷地又はその共有持分」と、第百四条第二項中「第九十九条のときは、事業代行の開始を決定することができる。
2
第百十三条から第百十五条まで及び第百十七条の規定は、再開発会社の事業について事業代行の開始を決定した場合に準用する。この場合において、第百十三条中「前条」とあるのは「第百十八条の三十第一項」と、「個人施行者の氏名若しくは名称又は組合若しくは再開発会社」とあるのは「再開発会社」と、同条、第百十四条並びに第百十七条第一項及び第三項中「個人施行者、組合又は再開発会社」とあるのは「再開発会社」と、第百十五条中「個人施行者の事業にあつては業務の執行並びに当該業務に係る財産の管理及び処分をする権限は、組合又は再開発会社の事業にあつては組合又は再開発会社」とあるのは「再開発会社」と、第百十七条第一項中「第百一条第一項」とあるのは「第百十八条の二十一第一項」と読み替えるものとする。
第四章の二 土地区画整理事業との一体的施行に関する特則
第百十八条の三十一
土地区画整理法第九十八条第一項
の規定により仮換地として指定された土地(
同法第八十七条第一項
又は
第二項
に規定する換地計画に基づき換地となるべき土地に指定されたものに限る。以下この章において「特定仮換地」という。)を含む土地の区域においては、当該特定仮換地に対応する従前の宅地に関する権利を施行地区又は施行地区となるべき区域内の土地に関する権利とみなし、これを施行地区又は施行地区となるべき区域内の当該特定仮換地に係る土地に関する権利に代えて、市街地再開発事業を施行するものとする。
2
前項の場合において、特定仮換地に対応する従前の宅地に関する権利の価額若しくはその概算額又は見積額を定めるときは、当該権利が当該特定仮換地に存するものとみなすものとする。
3
前二項の場合におけるこの法律の適用についての必要な技術的読替えは、政令で定める。
第百十八条の三十二
前条の規定により第一種市街地び施設建築敷地となるべき特定仮換地に対応する従前の宅地に関する所有権及び地上権の共有持分の割合が、当該宅地ごとにそれぞれ等しくなるよう定めなければならない。この場合においては、第七十五条第一項の規定は、適用しない。
2
前項の場合における第九十条第一項の規定の適用については、同項中「従前の土地の表題部の登記の抹消及び新たな土地の表題登記(
不動産登記法
(平成十六年法律第百二十三号)
第二条第二十号
に規定する表題登記をいう。)」とあるのは、「特定仮換地以外の土地については従前の土地の表題部の登記の抹消及び新たな土地の表題登記(
不動産登記法
(平成十六年法律第百二十三号)
第二条第二十号
に規定する表題登記をいう。)又は権利変換手続開始の登記の抹消、特定仮換地に対応する従前の宅地については権利変換手続開始の登記の抹消」とする。
3
第一項の規定は、第二種市街地再開発事業の管理処分計画について準用する。この場合において、同項中「所有権及び地上権」とあるのは「所有権」と、「第七十五条第一項」とあるのは「第百十八条の十において準用する第七十五条第一項」と読み替えるものとする。
第五章 費用の負担等
第百十九条
市街地再開発事業に要する費用は、施行者の負担とする。ただし、第九十九条の二第一項又は第百十八条の二十八第一項の規定により施行者以外の者が施設建築物の建築を行う場合の建築に要する費用は当該施行者以外の者の、第九十九条の十(第百十八条の二十九において準用する場合を含む。)の規定により公共施設の管理者又は管理者となるべき者に公共施設の工事を行わせる場合の工事に要する費用は当該管理者又は管理者となるべき者の負担とする。
第百二十条
機構等は、機構等が施行する市街地再開発事業の施行により利益を受ける地方公共団体に対し、その利益を受ける限度において、その市街地再開発事業に要する費用の一部を負担することを求めることができる。
2
前項の場合において、地方公共団体が負担する費用の額及び負担の方法は、機構等と地方公共団体とが協議して定める。
3
前項の規定による協議が成立しないときは、当事者の申請に基づき、国土交通大臣が裁定する。この場合において、国土交通大臣は、当事者の意見をきくとともに、総務大臣と協議しなければならない。
第百二十一条
施行者は、市街地再開発事業の施行により整備されることとなる重要な公共施設で政令で定めるものの管理者又は管理者となるべき者に対し、当該公共施設の整備に要する費用の全部又は一部を負担することを求めることができる。
2
前項の規定による費用の負担については、あらかじめ、個人施行者、組合又は再開発会社が施行する市街地再開発事業にあつては当該公共施設の管理者又は管理者となるべき者の承認を得、その他の市街地再開発事業にあつては当該公共施設の管理者又は管理者となるべき者と協議し、その者が負担すべき費用の額を事業計画において定めておかなければならない。
第百二十二条
地方公共団体は、施行者(政令で定める施行者を除く。)に対して、市街地再開発事業に要する費用の一部を補助することができる。
2
国は、地方公共団体が、前項の規定により補助金を交付し、又はみずから市街地再開発事業を施行する場合には、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、その費用の一部を補助することができる。
第百二十三条
国及び地方公共団体は、施行者に対し、市街地再開発事業に必要な資金の融通又はあつせんその他の援助に努めるものとする。
第六章 監督等
第百二十四条
国土交通大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県知事は個人施行者、組合、再開発会社又は市町村に対し、市町村長は個人施行者、組合又は再開発会社に対し、それぞれその施行する市街地再開発事業に関し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又はその施行する市街地再開発事業の施行の促進を図るため必要な勧告、助言若しくは援助をすることができる。
2
国土交通大臣は、独立行政法人都市再生機構(第二条の二第五項の規定により市街地再開発事業を施行する場合に限る。第百二十六条第一項及び第三項において同じ。)に対し、市街地再開発事業の施行の促進を図るため必要な勧告、助言又は援助をすることができる。
3
都道府県知事は、個人施行者、組合又は再開発会社に対し、市街地再開発事業の施行の促進を図るため必要な措置を命ずることができる。
第百二十四条の二
都道府県知事は、個人施行者の施行する第一種市街地再開発事業につき、その事業又は会計がこの法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は規準、規約、事業計画若しくは権利変換計画に違反すると認めるときその他監督上必要があるときは、その事業又は会計の状況を検査し、その結果、違反の事実があると認めるときは、その施行者に対し、その違反を是正するため必要な限度において、その施行者のした処分の取消し、変更若しくは停止又はその施行者のした工事の中止若しくは変更その他必要な措置を命ずることができる。
2
都道府県知事は、個人施行者が前項の規定による命令に従わないときは、権利変換期日前に限り、その施行者に対する第一種市街地再開発事業の施行についての認可を取り消すことができる。
3
都道府県知事は、前項の規定により認可を取り消したときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
4
個人施行者は、前項の公告があるまでは、認可の取消しによる第一種市街地再開発事業の廃止をもつて第三者に対抗することができない。
第百二十五条
都道府県知事は、組合の施行する第一種市街地再開発事業につき、その事業又は会計がこの法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、事業計画、事業基本方針若しくは権利変換計画に違反すると認めるときその他監督上必要があるときは、その組合の事業又は会計の状況を検査することができる。
2
都道府県知事は、組合の組合員が総組合員の十分の一以上の同意を得て、その組合の事業又は会計がこの法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、事業計画、事業基本方針若しくは権利変換計画に違反する疑いがあることを理由として組合の事業又は会計の状況の検査を請求したときは、その組合の事業又は会計の状況を検査しなければならない。
3
都道府県知事は、前二項の規定により検査を行つた場合において、組合の事業又は会計がこの法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は定款、事業計画、事業基本方針若しくは権利変換計画に違反していると認めるときは、組合に対し、その違反を是正するため必要な限度において、組合のした処分の取消し、変更若しくは停止又は組合のした工事の中止若しくは変更その他必要な措置を命ずることができる。
4
都道府県知事は、組合が前項の規定によ合において、組合がこれを組合員の投票に付さないときは、これらの組合員の申出に基づき、これを組合員の投票に付さなければならない。第三十六条第三項において準用する第二十六条第一項の規定により組合員から総代の解任の請求があつた場合において、組合がこれを組合員の投票に付さないときも、同様とする。
7
都道府県知事は、組合の組合員が総組合員の十分の一以上の同意を得て、総会、総会の部会若しくは総代会の招集手続若しくは議決の方法又は役員若しくは総代の選挙若しくは解任の投票の方法が、この法律又は定款に違反することを理由として、その議決、選挙、当選又は解任の投票の取消しを請求した場合において、その違反の事実があると認めるときは、その議決、選挙、当選又は解任の投票を取り消すことができる。
第百二十五条の二
都道府県知事は、再開発会社の施行する市街地再開発事業につき、その事業又は会計がこの法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は規準、事業計画、権利変換計画若しくは管理処分計画に違反すると認めるときその他監督上必要があるときは、その再開発会社の事業又は会計の状況を検査することができる。
2
都道府県知事は、再開発会社の施行する市街地再開発事業の施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者が、その区域内の宅地について所有権又は借地権を有するすべての者の十分の一以上の同意を得て、その再開発会社の事業又は会計がこの法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は規準、事業計画、権利変換計画若しくは管理処分計画に違反する疑いがあることを理由として再開発会社の事業又は会計の状況の検査を請求したときは、その再開発会社の事業又は会計の状況を検査しなければならない。この場合において、所有権又は借地権が数人の共有に属する宅地又は借地があるときは、当該宅地又は借地について所有権を有する者又は借地権を有する者の数をそれぞれ一とみなし、同意した所有権を有する者の共有持分の割合の合計又は同意した借地権を有する者の共有持分の割合の合計をそれぞれ当該宅地又は借地について同意した者の数とみなす。
3
都道府県知事は、前二項の規定により検査を行つた場合において、再開発会社の事業又は会計がこの法律若しくはこれに基づく行政庁の処分又は規準、事業計画、権利変換計画若しくは管理処分計画に違反していると認めるときは、再開発会社に対し、その違反を是正するため必要な限度において、再開発会社のした処分の取消し、変更若しくは停止又は再開発会社のした工事の中止若しくは変更その他必要な措置を命ずることができる。
4
都道府県知事は、再開発会社が前項の規定による命令に従わないときは、権利変換期日前又は管理処分計画の認可の公告の日前に限り、その再開発会社に対する市街地再開発事業の施行についての認可を取り消すことができる。
3
都道府県、市町村又は独立行政法人都市再生機構は、前二項の規定による要求を受けたときは、当該処分の取消し、変更若しくは停止又は当該工事の中止若しくは変更その他必要な措置を講じなければならない。
第百二十七条
次に掲げる処分については、
行政不服審査法
による不服申立てをすることができない。
一
第十一条第一項若しくは第三項又は第三十八条第一項の規定による認可(事業基本方針の変更に係るものを除く。)
二
第十六条第三項(第三十八条第二項、第五十条の六、第五十条の九第二項、第五十三条第二項(第五十六条において準用する場合を含む。)並びに第五十八条第三項及び第四項において準用する場合を含む。)の規定による通知
三
第五十条の二第一項又は第五十条の九第一項の規定による認可
四
第五十一条第一項(第五十六条において準用する場合を含む。)の規定による認可
六
第八十三条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による通知
七
第百十八条の十において準用する第八十三条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による通知
第百二十八条
前条に規定するものを除くほか、組合、再開発会社、市町村、都道府県又は機構等がこの法律に基づいてした処分その他公権力の行使に当たる行為(以下この条において「処分」という。)に不服のある者は、組合、再開発会社、市町村又は市のみが設立した地方住宅供給公社がした処分にあつては都道府県知事に対して、都道府県又は機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)がした処分にあつては国土交通大臣に対して
行政不服審査法
による審査請求をすることができる。ただし、権利変換に関する処分についての審査請求においては、権利変換計画に定められた宅地若しくは建築物又はこれらに関する権利の価額についての不服をその理由とすることができない。
2
前項の審査請求について都道府県知事がした裁決に不服がある者は、国土交通大臣に対して再審査請求をすることができる。
第百二十九条
個人施行者若しくは再開発会社となろうとする者、組合又は再開発会社を設立しようとする者は都道府県知事及び市町村長に対し、個人施行者、組合又は再開発会社は市町村長に対し、市街地再開発事業の施行の準備又は施行のために、それぞれ市街地再開発事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。
第七章 再開発事業の計画の認定
第百二十九条の二
建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業であつて、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新に資するもの(市街地再開発事業を除く。以下この章において「再開発事業」という。)を実施しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、再開発事業に関する計画(以下この章において「再開発事業計画」という。)を作成し、都道府県知事の認定を申請することができる。
2
前項の認定(以下この章において「再開発事業計画の認定」という。)を申請しようとする者は、あらかじめ、再開発事業計画に関係がある公共施設の管理者の同意を得、かつ、当該再開発事業計画の実施により設置される公共施設を管理することとなる者その他政令で定める者と協議しなければならない。
3
再開発事業計画の認定を申請しようとする者は、その者以外に再開発事業を実施しようとする土地の区域内の宅地又は建築物について権利を有する者があるときは、当該再開発事業計画についてこれらの者の同意を得なければならない。ただし、その権利をもつて再開発事業計画の認定を申請しようとする者に対抗することができない者については、この限りでない。
4
前項の場合において、宅地又は建築物について権利を有する者のうち、宅地について所有権又は借地権を有する者及び権原に基づいて存する建築物について所有権又は借家権を有する者以外の者を確知することができないときは、確知することができない理由を記載した書面を添えて、再開発事業計画の認定を申請することができる。
5
再開発事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一
再開発事業を実施する土地の区域(以下この章において「再開発事業区域」という。)
二
再開発事業区域内にある建築物の建築面積、延べ面積、構造方法、主たる用途、建築時期及び敷地面積
三
建築する建築物の建築面積、階数、延べ面積、構造方法、建築設備、用途及び敷地面積
第百二十九条の三
都道府県知事は、再開発事業計画の認定の申請があつた場合において、当該申請に係る再開発事業計画が次に掲げる条件に該当すると認めるときは、再開発事業計画の認定をすることができる。
一
再開発事業区域が第二条の三第一項第二号又は第二項の地区内にあり、次に掲げる条件に該当すること。
イ 当該再開発事業区域内にある耐火建築物で次に掲げるもの以外のものの建築面積の合計が、当該再開発事業区域内にあるすべての建築物の建築面積の合計のおおむね二分の一以下であること又は当該再開発事業区域内にある耐火建築物で次に掲げるもの以外のものの敷地面積の合計が、当該再開発事業区域内のすべての宅地の面積の合計のおおむね二分の一以下であること。
(1) 政令で定める耐用年限の三分の二を経過しているもの
(2) 災害その他の理由により(1)に掲げるものと同程度の機能低下を生じているもの
(3) 容積率が、当該再開発事業区域に係る
都市計画法第八条第一項第一号
に規定する用途地域に関する都市計画において定められた建築物の容積率(当該再開発事業区域の全部又は一部について定められた
同号
に規定する用途地域に関する都市計画以外の都市計画において建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度が定められている場合にあつては、当該最高限度の割合。次号ハにおいて「基準割合」という。)の三分の一未満であるもの
(4) 都市計画施設である公共施設の整備に伴い除却すべきもの
ロ 当該再開発事業区域内に十分な公共施設がないこと、当該再開発事業区域内の土地の利用が細分されていること等により、当該再開発事業区域内の土地の利用状況が著しく不健全であること。
二
建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する計画が、第二条の三第一項第二号又は第二項の地区の整備又は開発の計画の概要に即したものであり、かつ、次に掲げる条件に該当すること。
ロ 建築する建築物の建築面積が、国土交通省令で定める規模以上であること。
ハ 建築する建築物の容積率の基準割合に対する割合が、国土交通省令で定める割合以上であること。
ニ 建築する建築物の建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。以下この号において同じ。)が、
建築基準法第五十三条
の規定により建ぺい率の限度が定められている場合にあつては当該限度から国土交通省令で定める数値を減じた数値以下、
同条
の規定により建築面積の敷地面積に対する割合の限度が定められていない場合にあつては国土交通省令で定める数値以下であること。
ホ 道路、公園その他の公共施設が、当該再開発事業区域の良好な都市環境を形成するよう必要な位置に適切な規模で配置されていること。
三
再開発事業計画の内容が再開発事業区域について定められた都市計画に適合していること。
四
再開発事業計画の内容が当該都市の機能の更新に貢献するものであること。
五
再開発事業の実施期間が当該再開発事業を確実に遂行するため適切なものであること。
六
再開発事業を遂行するために必要な経済的基礎及びこれを的確に遂行するために必要なその他の能力が十分であること。
第百二十九条の四
都道府県知事は、再開発事業計画の認定をしたときは、速やかに、その旨を関係市町村長に通知しなければならない。
第百二十九条の五
再開発事業計画の認定を受けた者(以下この章において「認定事業者」という。)は、当該再開発事業計画の認定を受けた再開発事業計画(以下この章において「認定再開発事業計画」という。)の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、都道府県知事の認定を受けなければならない。
第百二十九条の七
認定事業者の一般承継人又は認定事業者から認定再開発事業計画に係る再開発事業区域内の土地の所有権その他当該認定再開発事業計画に係る再開発事業の実施に必要な権原を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、当該認定事業者が有していた再開発事業計画の認定に基づく地位を承継することができる。
第百二十九条の八
都道府県知事は、認定事業者が認定再開発事業計画に従つて再開発事業を実施していないと認めるときは、当該認定事業者に対し、相当の期間を定めて、その改善に必要な措置を命ずることができる。
第百二十九条の九
都道府県知事は、認定事業者が前条の規定による処分に違反したときは、再開発事業計画の認定を取り消すことができる。
2
第百二十九条の四の規定は、都道府県知事が前項の規定による取消しをした場合について準用する。
第八章 雑則
第百三十条
市街地再開発事業の施行に係る土地又はその土地に存する工作物その他の物件について権利を有する者の変更があつたときは、この法律又はこの法律に基づく命令、規準、規約、定款若しくは施行規程の規定により従前のこれらの者がした手続その他の行為は、新たにこれらの者となつた者がしたものとみなし、従前のこれらの者に対してした処分、手続その他の行為は、新たにこれらの者となつた者に対してしたものとみなす。
第百三十一条
施行者は、第一種市街地再開発事業の施行のために必要があるときは、所有者に代わつて土地の分割又は合併の手続をすることができる。
2
施行者は、一筆の土地が施行地区の内外又は二以上の工区にわたる場合において、権利変換手続開始の登記を申請し、又は嘱託をするときは、あらかじめ、その土地の分割の手続をしなければならない。
第百三十二条
施行地区内の土地及びその土地に存する建物の登記については、政令で、
不動産登記法
の特例を定めることができる。
第百三十三条
施行者は、政令で定めるところにより、施設建築物及び施設建築敷地の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項につき、管理規約を定めることができる。この場合において、施行者(都道府県及び市町村を除く。)は、政令で定めるところにより、その管理規約について、機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)にあつては国土交通大臣の、個人施行者、組合、再開発会社又は市のみが設立した地方住宅供給公社にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。
第百三十四条
施行者は、国土交通省令で定めるところにより、市街地再開発事業に関する簿書をその事務所に備え付けておかなければならない。
2
利害関係者から前項の簿書の閲覧又は謄写の請求があつたときは、施行者は、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。
第百三十五条
施行者は、市街地再開発事業の施行に関し書類を送付する場合において、送付を受けるべき者がその書類の受領を拒んだとき、又は過失がなくて、その者の住所、居所その他書類を送付すべき場所を確知することができないときは、政令で定めるところにより、その書類の内容を公告することをもつて書類の送付に代えることができる。
2
前項の公告があつたときは、その公告の日の翌日から起算して十日を経過した日に当該書類が送付を受けるべき者に到達したものとみなす。
第百三十六条
この法律又はこの法律に基づく命令の規定により一定期間内に差し出すべき意見書その他の文書が郵便又は
第二条第六項
に規定する一般信書便事業者若しくは
同条第九項
に規定する特定信書便事業者による
同条第二項
に規定する信書便で差し出されたときは、送付に要した日数は、期間に算入しない。
2
前項の文書は、その提出期間が経過した後においても、容認すべき理由があるときは、受理することができる。
第百三十六条の二
この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。
第百三十七条
この法律又はこの法律に基づく政令の規定により、都道府県知事が処理し、又は管理し、及び執行することとされている事務(都道府県が施行する市街地再開発事業及び第七条の九又は第十一条に係る事務を除く。)で政令で定めるものは、
地方自治法第二百五十二条の十九第一項
の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)、
同法第二百五十二条の二十二第一項
の中核市(以下この条において「中核市」という。)及び
同法第二百五十二条の二十六の三第一項
の特例市(以下この条において「特例市」という。)においては、政令で定めるところにより、指定都市、中核市又は特例市(以下この条において「指定都市等」という。)の長が行うものとする。この場合においては、この法律又はこの法律に基づく政令中都道府県知事に関する規定は、指定都市等の長に関する規定として指定都市等の長に適用があるものとする。
第百三十八条
高度利用地区内において当該高度利用地区に関する都市計画に適合して建築された耐火建築物で政令で定めるものに対して課する固定資産税については、
地方税法
(昭和二十五年法律第二百二十六号)
第六条第二項
の規定の適用があるものとする。
2
国及び地方公共団体は、第百二十三条に規定する場合のほか、高度利用地区内において土地の合理的かつ健全な高度利用を実現する者に対し、建築物の建築に必要な技術上の助言又は資金のあつせんその他の援助に努めるものとする。
第百三十九条
この法律に特に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第百三十九条の二
この法律の規定に基づき政令又は国土交通省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ、政令又は国土交通省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第百三十九条の三
この法律の規定により地方公共団体が処理することとされている事務のうち次に掲げるものは、第一号法定受託事務とする。
一
都道府県が第六十一条第一項、第六十六条第一項から第八項まで、第六十八条第二項において準用する
土地収用法第三十六条第五項
並びに
第九十八条第二項
(第九十九条の八第五項(第百十八条の二十八第二項において準用する場合を含む。)及び第百十八条の二十七第二項において準用する場合を含む。)及び
第三項
の規定により処理することとされている事務(都道府県又は機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)が施行する市街地再開発事業に係るものに限る。)
二
市が第六十一条第一項(土地の試掘等に係る部分に限る。)、第六十六条第一項から第八項まで並びに第九十八条第二項(第百十八条の二十七第二項において準用する場合を含む。)及び第三項の規定により処理することとされている事務(機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)が施行する市街地再開発事業に係るものに限る。)
三
市町村が第五十五条第二項(第五十六条において準用する場合を含む。)、第五十八条第三項及び第四項において準用する第十六条第一項(ただし書を除く。)及び第十九条第四項、第六十一条第一項(土地の試掘等に係る部分を除く。)及び第三項、第六十八条第二項において準用する
土地収用法第三十六条第四項
、第九十八条第一項並びに第九十九条第一項及び第三項から第五項まで(これらの規定を第九十九条の八第五項(第百十八条の二十八第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、第九十九条第二項において準用する第九十八条第三項並びに第百六条第六項において準用する第四十一条第二項の規定により処理することとされている事務(都道府県又は機構等(市のみが設立した地方住宅供給公社を除く。)が施行する市街地再開発事業に係るものに限る。)
2
この法律の規定により市町村が処理することとされている事務のうち次に掲げるものは、
地方自治法第二条第九項第二号
に規定する
第二号
法定受託事務とする。
一
第七条の九第二項(第七条の十六第二項、第七条の二十第二項、第十一条第四項、第三十八条第二項、第四十五条第五項、第五十条の二第二項、第五十条の九第二項、第五十条の十二第二項及び第五十条の十五第二項において準用する場合を含む。)、第七条の十五第三項(第七条の十六第二項において準用する場合を含む。)、第七条の十七第五項及び第七項、第十五条第二項(第三十八条第二項において準用する場合を含む。)及び第五十条の五第二項(第五十条の九第二項において準用する場合を含む。)において準用する第七条の三第二項及び第三項、第十六条第一項(第三十八条第二項、第五十条の六及び第五十条の九第二項において準用する場合を含む。)、第十九条第四項(第三十八条第二項において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項、第四十一条第二項(第五十条の十一第二項(第百六条第七項(第百十八条の二十四第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)及び第百六条第六項において準用する場合を含む。)、第五十条の八第三項(第五十条の九第二項において準用する場合を含む。)、第百十四条(第百十八条の三十第二項において準用する場合を含む。)、第百十五条(第百十八条の三十第二項において準用する場合を含む。)、第百十七条第一項及び第三項(これらの規定を第百十八条の三十第二項において準用する場合を含む。)並びに第百二十四条第一項に規定する事務
二
第五十五条第二項(第五十六条において準用する場合を含む。)、第五十八条第三項及び第四項において準用する第十六条第一項(ただし書を除く。)及び第十九条第四項並びに第百十八条の二十八第二項において準用する第九十九条の八第五項において準用する第九十八条第一項並びに第九十九条第一項及び第三項から第五項までに規定する事務(市町村又は市のみが設立した地方住宅供給公社が施行する市街地再開発事業に係るものに限る。)
三
第六十一条第一項(土地の試掘等に係る部分を除く。)及び第三項、第六十八条第二項において準用する
土地収用法第三十六条第四項
、第九十八条第一項並びに第九十九条第一項及び第三項から第五項まで(これらの規定を第九十九条の八第五項において準用する場合を含む。)並びに第九十九条第二項において準用する第九十八条第三項に規定する事務(個人施行者、組合、再開発会社、市町村又は市のみが設立した地方住宅供給公社が施行する市街地再開発事業に係るものに限る。)
第九章 罰則
第百四十条
個人施行者(法人である個人施行者にあつては、その役員又は職員)、組合の役員、総代若しくは職員、再開発会社の役員若しくは職員又は審査委員(以下「個人施行者等」と総称する。)が職務に関して賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。よつて不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、七年以下の懲役に処する。
2
個人施行者等であつた者がその在職中に請託を受けて職務上不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたことにつき賄賂を収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。
3
個人施行者等がその職務に関し請託を受けて第三者に賄賂を供与させ、又はその供与を約束したときは、三年以下の懲役に処する。
4
犯人又は情を知つた第三者の収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第百四十一条
前条第一項から第三項までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2
前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第百四十一条の二
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一
第七条の五第一項の規定による建築許可権者の命令に違反した者
二
第六十六条第四項の規定による都道府県知事等の命令に違反して、土地の原状回復をせず、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転せず、若しくは除却しなかつた者
第百四十二条
次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一
第六十条第一項又は第二項に規定する場合において、立入許可権者の許可を受けないで、土地又は工作物に立ち入り、又は立ち入らせた者
二
第六十条第一項又は第二項の規定による土地又は工作物への立入りを拒み、又は妨げた者
三
第六十一条第一項に規定する場合において、市町村長の許可を受けないで障害物を伐除した者又は試掘等許可権者の許可を受けないで土地に試掘等を行つた者
第百四十二条の二
第九十九条の五第二項(第百十八条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
第百四十三条
第六十四条第二項(第百十八条の二十九において準用する場合を含む。)の規定に違反して、第六十四条第一項(第百十八条の二十九において準用する場合を含む。)の規定による標識を移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊した者は、二十万円以下の罰金に処する。
二
第百二十四条第三項又は第百二十四条の二第一項の規定による都道府県知事の命令に違反したとき。
三
第百二十四条の二第一項の規定による都道府県知事の検査を拒み、又は妨げたとき。