厚生年金保険法

厚生年金保険法
(昭和二十九年五月十九日法律第百十五号)


最終改正:平成二四年一一月二六日法律第九九号


 厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)の全部を改正する。


 第一章 総則(第一条―第五条)
 第二章 被保険者
  第一節 資格(第六条―第十八条)
  第二節 被保険者期間(第十九条・第十九条の二)
  第三節 標準報酬月額及び標準賞与額(第二十条―第二十六条)
  第四節 届出、記録等(第二十七条―第三十一条の二)
 第三章 保険給付
  第一節 通則(第三十二条―第四十一条)
  第二節 老齢厚生年金(第四十二条―第四十六条)
  第三節 障害厚生年金及び障害手当金(第四十七条―第五十七条)
  第四節 遺族厚生年金(第五十八条―第七十二条)
  第五節 保険給付の制限(第七十三条―第七十八条)
 第三章の二 離婚等をした場合における特例(第七十八条の二―第七十八条の十二)
 第三章の三 被扶養配偶者である期間についての特例(第七十八条の十三―第七十八条の二十一)
 第四章 厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための措置(第七十九条)
 第四章の二 積立金の運用(第七十九条の二―第七十九条の七)
 第五章 費用の負担(第八十条―第八十九条)
 第六章 不服申立て(第九十条―第九十一条の三)
 第七章 雑則(第九十二条―第百一条)
 第八章 罰則(第百二条―第百五条)
 第九章 厚生年金基金及び企業年金連合会
  第一節 厚生年金基金
   第一款 通則(第百六条―第百九条)
   第二款 設立(第百十条―第百十四条)
   第三款 管理(第百十五条―第百二十一条)
   第四款 加入員(第百二十二条―第百二十九条)
   第五款 基金の行う業務(第百三十条―第百三十六条の五)
   第六款 費用の負担(第百三十七条―第百四十一条)
   第七款 基金間の移行等(第百四十二条―第百四十四条の四)
   第八款 確定拠出年金への移行等(第百四十四条の五・第百四十四条の六)
   第九款 解散及び清算(第百四十五条―第百四十八条)
  第二節 企業年金連合会
   第一款 通則(第百四十九条―第百五十一条)
   第二款 設立及び管理(第百五十二条―第百五十八条の五)
   第三款 連合会の行う業務(第百五十九条―第百六十五条の四)
   第四款 解散及び清算(第百六十六条―第百六十八条)
  第三節 雑則(第百六十九条―第百八十一条)
  第四節 罰則(第百八十二条―第百八十八条)
 附則

   第一章 総則

第一条  この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし、あわせて厚生年金基金がその加入員に対して行う給付に関して必要な事項を定めるものとする。

第二条  厚生年金保険は、政府が、管掌する。

第二条の二  この法律による年金たる保険給付の額は、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。

第二条の三  厚生年金保険事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない。

第二条の四  政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による保険給付に要する費用の額その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない。
 前項の財政均衡期間(第三十四条第一項において「財政均衡期間」という。)は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする。
 政府は、第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

第三条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 保険料納付済期間 国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)第五条第二項 に規定する保険料納付済期間をいう。
 保険料免除期間 国民年金法第五条第三項 に規定する保険料免除期間をいう。
 報酬 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
 賞与 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。
 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。

第四条  削除

第五条  削除

     次に掲げる事業の事業所又は事務所であつて、常時五人以上の従業員を使用するもの

 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
 鉱物の採掘又は採取の事業
 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
 貨物又は旅客の運送の事業
 貨物積みおろしの事業
 焼却、清掃又はと殺の事業
 物の販売又は配給の事業
 金融又は保険の事業
 物の保管又は賃貸の事業
 媒介周旋の事業
 集金、案内又は広告の事業
 教育、研究又は調査の事業
 疾病の治療、助産その他医療の事業
 通信又は報道の事業
 社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)に定める社会福祉事業及び更生保護事業法 (平成七年法律第八十六号)に定める更生保護事業
 前号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事業所又は事務所であつて、常時従業員を使用するもの
 船員法 (昭和二十二年法律第百号)第一条 に規定する船員(以下単に「船員」という。)として船舶所有者(船員保険法 (昭和十四年法律第七十三号)第三条 に規定する場合にあつては、同条 の規定により船舶所有者とされる者。以下単に「船舶所有者」という。)に使用される者が乗り組む船舶(第五十九条の二を除き、以下単に「船舶」という。)
 前項第三号に規定する船舶の船舶所有者は、適用事業所の事業主とみなす。
 第一項の事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。
 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(第十二条に規定する者を除く。)の二分の一以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

第七条  前条第一項第一号又は第二号の適用事業所が、それぞれ当該各号に該当しなくなつたときは、その事業所について同条第三項の認可があつたものとみなす。

第八条  第六条第三項の適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。
 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(第十二条に規定する者を除く。)の四分の三以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

第八条の二  二以上の適用事業所(船舶を除く。)の事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該二以上の事業所を一の適用事業所とすることができる。
 前項の承認があつたときは、当該二以上の適用事業所は、第六条の適用事業所でなくなつたものとみなす。

第八条の三  二以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該二以上の船舶は、一の適用事業所とする。この場合において、当該二以上の船舶は、第六条の適用事業所でないものとみなす。

第九条  適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とする。

第十条  適用事業所以外の事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生労働大臣の認可を受けて、厚生年金保険の被保険者となることができる。
 前項の認可を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければならない。

第十一条  前条の規定による被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができる。

第十二条  次の各号のいずれかに該当する者は、第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
 国、地方公共団体又は法人に使用される者であつて、次に掲げるもの
 恩給法 (大正十二年法律第四十八号)第十九条 に規定する公務員及び同条 に規定する公務員とみなされる者
 法律によつて組織された共済組合(以下単に「共済組合」という。)の組合員
 私立学校教職員共済法 (昭和二十八年法律第二百四十五号)の規定による私立学校教職員共済制度の加入者(以下「私学教職員共済制度の加入者」という。)
 臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)であつて、次に掲げるもの。ただし、イに掲げる者にあつては一月を超え、ロに掲げる者にあつては所定の期間を超え、引き続き使用されるに至つた場合を除く。
 日々雇い入れられる者
 二月以内の期間を定めて使用される者
 所在地が一定しない事業所に使用される者
 季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)。ただし、継続して四月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。
 臨時的事業の事業所に使用される者。ただし、継続して六月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。

第十三条  第九条の規定による被保険者は、適用事業所に使用されるに至つた日若しくはその使用される事業所が適用事業所となつた日又は前条の規定に該当しなくなつた日に、被保険者の資格を取得する。
 第十条第一項の規定による被保険者は、同条同項の認可があつた日に、被保険者の資格を取得する。

第十四条  第九条又は第十条第一項の規定による被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(その事実があつた日に更に前条に該当するに至つたとき、若しくは共済組合の組合員若しくは私学教職員共済制度の加入者となつたとき、又は第五号に該当するに至つたときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
 死亡したとき。
 その事業所又は船舶に使用されなくなつたとき。
 第八条第一項又は第十一条の認可があつたとき。
 第十二条の規定に該当するに至つたとき。
 七十歳に達したとき。

第十五条  削除

第十六条  削除

第十七条  削除

第十八条  被保険者の資格の取得及び喪失は、厚生労働大臣の確認によつて、その効力を生ずる。ただし、第十条第一項の規定による被保険者の資格の取得及び第十四条第三号に該当したことによる被保険者の資格の喪失は、この限りでない。
 前項の確認は、第二十七条の規定による届出若しくは第三十一条第一項の規定による請求により、又は職権で行うものとする。
 第一項の確認については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第三章 (第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

    第二節 被保険者期間

第十九条  被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。
 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。但し、その月にさらに被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。
 被保険者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。

第十九条の二  被保険者が厚生年金基金の加入員(以下この条において単に「加入員」という。)となつた月は加入員であつた月と、加入員であつた者が加入員でなくなつた月は加入員でなかつた月とみなす。同一の月において、二回以上にわたり加入員であるかないかの区別に変更があつたときは、その月は、最後に加入員であつたときは加入員であつた月と、最後に加入員でなかつたときは加入員でなかつた月とみなす。

    第三節 標準報酬月額及び標準賞与額

第二十条  標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、次の等級区分(次項の規定により等級区分の改定が行われたときは、改定後の等級区分)によつて定める。
標準報酬月額等級 標準報酬月額 報酬月額
第一級 九八、〇〇〇円 一〇一、〇〇〇円未満
第二級 一〇四、〇〇〇円 一〇一、〇〇〇円以上 一〇七、〇〇〇円未満
第三級 一一〇、〇〇〇円 一〇七、〇〇〇円以上 一一四、〇〇〇円未満
第四級 一一八、〇〇〇円 一一四、〇〇〇円以上 一二二、〇〇〇円未満
第五級 一二六、〇〇〇円 一二二、〇〇〇円以上 一三〇、〇〇〇円未満
第六級 一三四、〇〇〇円 一三〇、〇〇〇円以上 一三八、〇〇〇円未満
第七級 一四二、〇〇〇円 一三八、〇〇〇円以上 一四六、〇〇〇円未満
第八級 一五〇、〇〇〇円 一四六、〇〇〇円以上 一五五、〇〇〇円未満
第九級 一六〇、〇〇〇円 一五五、〇〇〇円以上 一六五、〇〇〇円未満
第一〇級 一七〇、〇〇〇円 一六五、〇〇〇円以上 一七五、〇〇〇円未満
第一一級 一八〇、〇〇〇円 一七五、〇〇〇円以上 一八五、〇〇〇円未満
第一二級 一九〇、〇〇〇円 一八五、〇〇〇円以上 一九五、〇〇〇円未満
第一三級 二〇〇、〇〇〇円 一九五、〇〇〇円以上 二一〇、〇〇〇円未満
第一四級 二二〇、〇〇〇円 二一〇、〇〇〇円以上 二三〇、〇〇〇円未満
第一五級 二四〇、〇〇〇円 二三〇、〇〇〇円以上 二五〇、〇〇〇円未満
第一六級 二六〇、〇〇〇円 二五〇、〇〇〇円以上 二七〇、〇〇〇円未満
第一七級 二八〇、〇〇〇円 二七〇、〇〇〇円以上 二九〇、〇〇〇円未満
第一八級 三〇〇、〇〇〇円 二九〇、〇〇〇円以上 三一〇、〇〇〇円未満
第一九級 三二〇、〇〇〇円 三一〇、〇〇〇円以上 三三〇、〇〇〇円未満
第二〇級 三四〇、〇〇〇円 三三〇、〇〇〇円以上 三五〇、〇〇〇円未満
第二一級 三六〇、〇〇〇円 三五〇、〇〇〇円以上 三七〇、〇〇〇円未満
第二二級 三八〇、〇〇〇円 三七〇、〇〇〇円以上 三九五、〇〇〇円未満
第二三級 四一〇、〇〇〇円 三九五、〇〇〇円以上 四二五、〇〇〇円未満
第二四級 四四〇、〇〇〇円 四二五、〇〇〇円以上 四五五、〇〇〇円未満
第二五級 四七〇、〇〇〇円 四五五、〇〇〇円以上 四八五、〇〇〇円未満
第二六級 五〇〇、〇〇〇円 四八五、〇〇〇円以上 五一五、〇〇〇円未満
第二七級 五三〇、〇〇〇円 五一五、〇〇〇円以上 五四五、〇〇〇円未満
第二八級 五六〇、〇〇〇円 五四五、〇〇〇円以上 五七五、〇〇〇円未満
第二九級 五九〇、〇〇〇円 五七五、〇〇〇円以上 六〇五、〇〇〇円未満
第三〇級 六二〇、〇〇〇円 六〇五、〇〇〇円以上

 毎年三月三十一日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の百分の二百に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、健康保険法 (大正十一年法律第七十号)第四十条第一項 に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。

第二十一条  厚生労働大臣は、被保険者が毎年七月一日現に使用される事業所において同日前三月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となつた日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
 前項の規定によつて決定された標準報酬月額は、その年の九月から翌年の八月までの各月の標準報酬月額とする。
 第一項の規定は、六月一日から七月一日までの間に被保険者の資格を取得した者及び第二十三条又は第二十三条の二の規定により七月から九月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り適用しない。

第二十二条  厚生労働大臣は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次の各号に規定する額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
 月、週その他一定期間によつて報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額
 日、時間、出来高又は請負によつて報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前一月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
 前二号の規定によつて算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前一月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
 前三号の二以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、前三号の規定によつて算定した額の合算額
 前項の規定によつて決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の八月(六月一日から十二月三十一日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

第二十三条  厚生労働大臣は、被保険者が現に使用される事業所において継続した三月間(各月とも、報酬支払の基礎となつた日数が、十七日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を三で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となつた報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。
 前項の規定によつて改定された標準報酬月額は、その年の八月(七月から十二月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

第二十三条の二  厚生労働大臣は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 (平成三年法律第七十六号)第二条第一号 に規定する育児休業若しくは同法第二十三条第二項 の育児休業に関する制度に準ずる措置若しくは同法第二十四条第一項 (第二号に係る部分に限る。)の規定により同項第二号 に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業、国会職員の育児休業等に関する法律 (平成三年法律第百八号)第三条第一項 の規定による育児休業、国家公務員の育児休業等に関する法律 (平成三年法律第百九号)第三条第一項同法第二十七条第一項 及び裁判所職員臨時措置法 (昭和二十六年法律第二百九十九号)(第七号に係る部分に限る。)において準用する場合を含む。)の規定による育児休業又は地方公務員の育児休業等に関する法律 (平成三年法律第百十号)第二条第一項 の規定による育児休業(以下「育児休業等」という。)を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(以下この条において「育児休業等終了日」という。)において当該育児休業等に係る三歳に満たない子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に申出をしたときは、第二十一条の規定にかかわらず、育児休業等終了日の翌日が属する月以後三月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となつた日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。
 前項の規定によつて改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して二月を経過した日の属する月の翌月からその年の八月(当該翌月が七月から十二月までのいずれかの月である場合は、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

第二十四条  被保険者の報酬月額が、第二十一条第一項、第二十二条第一項若しくは前条第一項の規定によつて算定することが困難であるとき、又は第二十一条第一項、第二十二条第一項、第二十三条第一項若しくは前条第一項の規定によつて算定した額が著しく不当であるときは、これらの規定にかかわらず、厚生労働大臣が算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。
 同時に二以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第二十一条第一項、第二十二条第一項、第二十三条第一項若しくは前条第一項又は前項の規定によつて算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。

第二十四条の二  船員たる被保険者の標準報酬月額の決定及び改定については、第二十一条から前条までの規定にかかわらず、船員保険法第十七条 から第二十条 まで及び第二十三条 の規定の例による。

 厚生労働大臣は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに千円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。この場合において、当該標準賞与額が百五十万円(第二十条第二項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額。以下この項において同じ。)を超えるときは、これを百五十万円とする。
 第二十四条の規定は、標準賞与額の算定について準用する。

第二十五条  報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によつて、厚生労働大臣が定める。

第二十六条  三歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者又は被保険者であつた者が、厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に申出(被保険者にあつては、その使用される事業所の事業主を経由して行うものとする。)をしたときは、当該子を養育することとなつた日(厚生労働省令で定める事実が生じた日にあつては、その日)の属する月から次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日の属する月の前月までの各月のうち、その標準報酬月額が当該子を養育することとなつた日の属する月の前月(当該月において被保険者でない場合にあつては、当該月前一年以内における被保険者であつた月のうち直近の月。以下この項において「基準月」という。)の標準報酬月額(この項の規定により当該子以外の子に係る基準月の標準報酬月額が標準報酬月額とみなされている場合にあつては、当該みなされた基準月の標準報酬月額。以下この項において「従前標準報酬月額」という。)を下回る月(当該申出が行われた日の属する月前の月にあつては、当該申出が行われた日の属する月の前月までの二年間のうちにあるものに限る。)については、従前標準報酬月額を当該下回る月の第四十三条第一項に規定する平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす。
 当該子が三歳に達したとき。
 第十四条各号のいずれかに該当するに至つたとき。
 当該子以外の子についてこの条の規定の適用を受ける場合における当該子以外の子を養育することとなつたときその他これに準ずる事実として厚生労働省令で定めるものが生じたとき。
 当該子が死亡したときその他当該被保険者が当該子を養育しないこととなつたとき。
 当該被保険者に係る第八十一条の二の規定の適用を受ける育児休業等を開始したとき。
 前項の規定の適用による年金たる保険給付の額の改定その他前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

    第四節 届出、記録等

第二十七条  適用事業所の事業主又は第十条第二項の同意をした事業主(第百三十八条第五項を除き、以下単に「事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(被保険者であつた七十歳以上の者であつて当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するもの(以下「七十歳以上の使用される者」という。)を含む。)の資格の取得及び喪失(七十歳以上の使用される者にあつては、厚生労働省令で定める要件に該当するに至つた日及び当該要件に該当しなくなつた日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

第二十八条  厚生労働大臣は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。以下同じ。)、基礎年金番号(国民年金法第十四条 に規定する基礎年金番号をいう。)その他厚生労働省令で定める事項を記録しなければならない。

第二十九条  厚生労働大臣は、第八条第一項、第十条第一項若しくは第十一条の規定による認可、第十八条第一項の規定による確認又は標準報酬の決定若しくは改定(第七十八条の六第一項及び第二項並びに第七十八条の十四第二項及び第三項の規定による標準報酬の改定又は決定を除く。)を行つたときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。
 事業主は、前項の通知があつたときは、すみやかに、これを被保険者又は被保険者であつた者に通知しなければならない。
 被保険者が被保険者の資格を喪失した場合において、その者の準用する。

第三十一条  被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、第十八条第一項の規定による確認を請求することができる。
 厚生労働大臣は、前項の規定による請求があつた場合において、その請求に係る事実がないと認めるときは、その請求を却下しなければならない。

第三十一条の二  厚生労働大臣は、厚生年金保険制度に対する国民の理解を増進させ、及びその信頼を向上させるため、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者に対し、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報を分かりやすい形で通知するものとする。

   第三章 保険給付

    第一節 通則

第三十二条  この法律による保険給付は、次のとおりとする。
 老齢厚生年金
 障害厚生年金及び障害手当金
 遺族厚生年金

第三十三条  保険給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基いて、厚生労働大臣が裁定する。

第三十四条  政府は、第二条の四第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成するに当たり、厚生年金保険事業の財政が、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金並びに第八十五条の二及び第百六十一条第一項に規定する責任準備金をいう。)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたつてその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、保険給付の額を調整するものとし、政令で、保険給付の額を調整する期間(以下「調整期間」という。)の開始年度を定めるものとする。
 財政の現況及び見通しにおいて、前項の調整を行う必要がなくなつたと認められるときは、政令で、調整期間の終了年度を定めるものとする。
 政府は、調整期間において財政の現況及び見通しを作成するときは、調整期間の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければならない。

第三十五条  保険給付を受ける権利を裁定する場合又は保険給付の額を改定する場合において、保険給付の額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。
 前項に規定するもののほか、保険給付の額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。

第三十六条  年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終るものとする。
 年金は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しない。
 年金は、毎年二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の六期に、それぞれその前月分までを支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであつた年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、支払期月でない月であつても、支払うものとする。

第三十七条  保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
 前項の場合において、死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であつたときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であつた者の子であつて、その者の死亡によつて遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、同項に規定する子とみなす。
国民年金法第五条第一項第二号 から第四号 までに掲げる法律をいう。以下同じ。)による年金たる給付(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害共済年金を除く。)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。老齢厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(遺族厚生年金を除く。)、国民年金法 による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く。)又は他の被用者年金各法による年金たる給付(退職共済年金及び遺族共済年金を除く。)を受けることができる場合における当該老齢厚生年金及び遺族厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(老齢厚生年金を除く。)、国民年金法 による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金、障害基礎年金並びに当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族基礎年金を除く。)又は他の被用者年金各法による年金たる給付(退職共済年金及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族共済年金を除く。)を受けることができる場合における当該遺族厚生年金についても、同様とする。
 前項の規定によりその支給を停止するものとされた年金たる保険給付の受給権者は、同項の規定にかかわらず、その支給の停止の解除を申請することができる。ただし、その者に係る同項に規定する他の年金たる保険給付、国民年金法 による年金たる給付又は他の被用者年金各法による年金たる給付について、この項の本文若しくは次項又は他の法令の規定でこれらに相当するものとして政令で定めるものによりその支給の停止が解除されているときは、この限りでない。
 第一項の規定によりその支給を停止するものとされた年金たる保険給付について、その支給を停止すべき事由が生じた日の属する月分の支給が行われる場合は、その事由が生じたときにおいて、当該年金たる保険給付に係る前項の申請があつたものとみなす。
 第二項の申請(前項の規定により第二項の申請があつたものとみなされた場合における当該申請を含む。)は、いつでも、将来に向かつて撤回することができる。

第三十八条の二  年金たる保険給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く。)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。ただし、この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。
 前項ただし書のその額の一部につき支給を停止されている年金たる保険給付について、この法律の他の規定又は他の法令の規定による支給停止が解除されたときは、前項本文の年金たる保険給付の全額の支給を停止する。
 第一項の申出は、いつでも、将来に向かつて撤回することができる。
 第一項又は第二項の規定により支給を停止されている年金給付は、政令で定める法令の規定の適用については、その支給を停止されていないものとみなす。
 第一項の規定による支給停止の方法その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第三十九条  乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅し、又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合において、乙年金の受給権が消滅し、又は乙年金の支給を停止すべき事由が生じた月の翌月以後の分として、乙年金の支払が行われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。
 年金の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金が支払われたときは、その支払われた年金は、その後に支払うべき年金の内払とみなすことができる。年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金が支払われた場合における当該年金の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。
 同一人に対して国民年金法 による年金たる給付の支給を停止して年金たる保険給付を支給すべき場合において、年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として同法 による年金たる給付の支払が行われたときは、その支払われた同法 による年金たる給付は、年金たる保険給付の内払とみなすことができる。

第三十九条の二  年金たる保険給付の受給権者が死亡したためその受給権が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(以下「返還金債権」という。)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき年金たる保険給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金たる保険給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。

第四十条  政府は、事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
 前項の場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、保険給付をしないことができる。

第四十条の二  偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。

第四十一条  保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、年金たる保険給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、老齢厚生年金については、この限りでない。

    第二節 老齢厚生年金

第四十二条  老齢厚生年金は、被保険者期間を有する者が、次の各号のいずれにも該当するに至つたときに、その者に支給する。
 六十五歳以上であること。
第四十三条の二  再評価率については、毎年度、第一号に掲げる率(以下「物価変動率」という。)に第二号及び第三号に掲げる率を乗じて得た率(以下「名目手取り賃金変動率」という。)を基準として改定し、当該年度の四月以降の保険給付について適用する。
 当該年度の初日の属する年の前々年の物価指数(総務省において作成する年平均の全国消費者物価指数をいう。以下同じ。)に対する当該年度の初日の属する年の前年の物価指数の比率
 イに掲げる率をロに掲げる率で除して得た率の三乗根となる率
 当該年度の初日の属する年の五年前の年の四月一日の属する年度におけるこの法律又は他の被用者年金各法の被保険者、組合員又は加入者(以下この号において「被用者年金被保険者等」という。)に係る標準報酬額等平均額(各年度における標準報酬月額等(この法律及び他の被用者年金各法に規定する標準報酬月額、標準報酬の月額、給料の額及び標準給与の月額並びに標準賞与額、標準期末手当等の額、期末手当等の額及び標準賞与の額をいう。以下この号において同じ。)の総額を各年度における被用者年金被保険者等の数で除して得た額を十二で除して得た額に相当する額として、被用者年金被保険者等の性別構成及び年齢別構成並びに標準報酬月額等の分布状況の変動を参酌して政令で定めるところにより算定した額をいう。以下この号において同じ。)に対する当該年度の前々年度における被用者年金被保険者等に係る標準報酬額等平均額の比率
 当該年度の初日の属する年の五年前の年における物価指数に対する当該年度の初日の属する年の前々年における物価指数の比率
 イに掲げる率をロに掲げる率で除して得た率
 〇・九一〇から当該年度の初日の属する年の三年前の年の九月一日におけるこの法律の規定による保険料率(以下「保険料率」という。)の二分の一に相当する率を控除して得た率
 〇・九一〇から当該年度の初日の属する年の四年前の年の九月一日における保険料率の二分の一に相当する率を控除して得た率
 次の各号に掲げる再評価率の改定については、前項の規定にかかわらず、当該各号に定める率を基準とする。
 当該年度の前年度に属する月の標準報酬月額と標準賞与額(以下「前年度の標準報酬月額等」という。)に係る再評価率 前項第三号に掲げる率(以下「可処分所得割合変化率」という。)
 当該年度の前々年度又は当該年度の初日の属する年の三年前の年の四月一日の属する年度に属する月の標準報酬月額と標準賞与額(以下「前々年度等の標準報酬月額等」という。)に係る再評価率 物価変動率に可処分所得割合変化率を乗じて得た率
 名目手取り賃金変動率が一を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合における再評価率(前項各号に掲げる再評価率を除く。)の改定については、第一項の規定にかかわらず、物価変動率を基準とする。ただし、物価変動率が一を上回る場合は、一を基準とする。
 当該年度に属する月の標準報酬月額と標準賞与額に係る再評価率については、当該年度の前年度におけるその年度に属する月の標準報酬月額と標準賞与額に係る再評価率に可処分所得割合変化率を乗じて得た率を基準として設定する。
 前各項の規定による再評価率の改定又は設定の措置は、政令で定める。

第四十三条の三  受給権者が六十五歳に達した日の属する年度の初日の属する年の三年後の年の四月一日の属する年度以後において適用される再評価率(以下「基準年度以後再評価率」という。)の改定については、前条の規定にかかわらず、物価変動率を基準とする。
 前年度の標準報酬月額等及び前々年度等の標準報酬月額等に係る基準年度以後再評価率の改定については、前項の規定にかかわらず、前条第二項各号の規定を適用する。
 次の各号に掲げる場合における基準年度以後再評価率(前項に規定する基準年度以後再評価率を除く。)の改定については、第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める率を基準とする。
 物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、かつ、名目手取り賃金変動率が一以上となるとき 名目手取り賃金変動率
 物価変動率が一を上回り、かつ、名目手取り賃金変動率が一を下回るとき 一
 前三項の規定による基準年度以後再評価率の改定の措置は、政令で定める。

第四十三条の四  調整期間における再評価率の改定については、前二条の規定にかかわらず、名目手取り賃金変動率に第一号及び第二号に掲げる率を乗じて得た率を基準とする。ただし、当該基準による改定により当該年度の再評価率(次項各号に掲げる再評価率を除く。以下この項において同じ。)が当該年度の前年度の再評価率を下回ることとなるときは、一を基準とする。
 当該年度の初日の属する年の五年前の年の四月一日の属する年度における公的年金各法の被保険者等(この法律若しくは他の被用者年金各法又は国民年金法 の被保険者、組合員又は加入者をいう。)の総数として政令で定めるところにより算定した数(以下「公的年金被保険者等総数」という。)に対する当該年度の前々年度における公的年金被保険者等総数の比率の三乗根となる率
 〇・九九七
 調整期間における次の各号に掲げる再評価率の改定については、前項の規定にかかわらず、当該各号に定める率を基準とする。
 前年度の標準報酬月額等に係る再評価率 可処分所得割合変化率に前項各号に掲げる率を乗じて得た率(同項ただし書の規定による改定が行われる場合にあつては、当該乗じて得た率に、一を同項本文に規定する率で除して得た率を乗じて得た率)
 前々年度等の標準報酬月額等に係る再評価率 物価変動率に可処分所得割合変化率及び前項各号に掲げる率を乗じて得た率(同項ただし書の規定による改定が行われる場合にあつては、当該乗じて得た率に、一を同項本文に規定する率で除して得た率を乗じて得た率)
 調整期間における当該年度に属する月の標準報酬月額と標準賞与額に係る再評価率の設定については、第四十三条の二第四項の規定にかかわらず、当該年度の前年度におけるその年度に属する月の標準報酬月額と標準賞与額に係る再評価率に、可処分所得割合変化率及び第一項各号に掲げる率を乗じて得た率を基準とする。ただし、同項ただし書の規定による改定が行われる場合は、当該乗じて得た率に、一を同項本文に規定する率で除して得た率を乗じて得た率を基準とする。
 次の各号に掲げる場合の調整期間における再評価率の改定又は設定については、前三項の規定にかかわらず、当該各号に定める規定を適用する。
 名目手取り賃金変動率が一以上となり、かつ、第一項第一号に掲げる率に同項第二号に掲げる率を乗じて得た率(以下「調整率」という。)が一を上回るとき 第四十三条の二第一項、第二項及び第四項
 名目手取り賃金変動率が一を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率以下となるとき 第四十三条の二第一項、第二項及び第四項
 名目手取り賃金変動率が一を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るとき 第四十三条の二第二項から第四項まで
 前各項の規定による再評価率の改定又は設定の措置は、政令で定める。

第四十三条の五  調整期間における基準年度以後再評価率の改定については、前条の規定にかかわらず、物価変動率に調整率を乗じて得た率を基準とする。ただし、当該基準による改定により当該年度の基準年度以後再評価率(次項各号に掲げる基準年度整率を乗じて得た率(前項ただし書の規定による改定が行われる場合にあつては、当該乗じて得た率に、一を同項本文に規定する率で除して得た率を乗じて得た率)
 調整期間における当該年度に属する月の標準報酬月額と標準賞与額に係る基準年度以後再評価率の設定については、前条第三項の規定にかかわらず、当該年度の前年度におけるその年度に属する月の標準報酬月額と標準賞与額に係る基準年度以後再評価率(当該年度が六十五歳に達した日の属する年度の初日の属する年の三年後の年の四月一日の属する年度である場合にあつては、再評価率)に、可処分所得割合変化率及び調整率を乗じて得た率を基準とする。ただし、第一項ただし書の規定による改定が行われる場合は、当該乗じて得た率に、一を同項本文に規定する率で除して得た率を乗じて得た率を基準とする。
 次の各号に掲げる場合の調整期間における基準年度以後再評価率の改定又は設定については、前三項の規定にかかわらず、当該各号に定める規定を適用する。
 物価変動率が一を下回るとき 第四十三条の二第四項並びに第四十三条の三第一項及び第二項
 物価変動率が名目手取り賃金変動率以下となり、かつ、調整率が一を上回るとき(前号に掲げる場合を除く。) 第四十三条の二第四項並びに第四十三条の三第一項及び第二項
 物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、名目手取り賃金変動率が一以上となり、かつ、調整率が一を上回るとき 第四十三条の二第一項、第二項及び第四項
 物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、名目手取り賃金変動率が一以上となり、かつ、調整率が一以下となるとき 前条第一項から第三項まで
 物価変動率が一を上回り、かつ、名目手取り賃金変動率が一を下回るとき 第四十三条の二第二項、第三項ただし書及び第四項
 前各項の規定による基準年度以後再評価率の改定又は設定の措置は、政令で定める。

第四十四条  老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)その者によつて生計を維持していたその者の六十五歳未満の配偶者又は子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子及び二十歳未満で第四十七条第二項に規定する障害等級(以下この条において単に「障害等級」という。)の一級若しくは二級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、第四十三条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。ただし、国民年金法第三十三条の二第一項 の規定により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する。
 前項に規定する加給年金額は、同項に規定する配偶者については二十二万四千七百円に国民年金法第二十七条 に規定する改定率であつて同法第二十七条の三 及び第二十七条の五 の規定の適用がないものとして改定したもの(以下この章において「改定率」という。)を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とし、同項に規定する子については一人につき七万四千九百円に改定率を乗じて得た額(そのうち二人までについては、それぞれ二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額とし、それらの額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。
 受給権者がその権利を取得した当時胎児であつた子が出生したときは、第一項の規定の適用については、その子は、受給権者がその権利を取得した当時その者によつて生計を維持していた子とみなし、その出生の月の翌月から、年金の額を改定する。
 第一項の規定によりその額が加算された老齢厚生年金については、配偶者又は子が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、同項の規定にかかわらず、その者に係る同項の加給年金額を加算しないものとし、次の各号のいずれかに該当するに至つた月の翌月から、年金の額を改定する。
 死亡したとき。
 受給権者による生計維持の状態がやんだとき。
 配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき。
 配偶者が、六十五歳に達したとき。
 子が、養子縁組によつて受給権者の配偶者以外の者の養子となつたとき。
 養子縁組による子が、離縁をしたとき。
 子が、婚姻をしたとき。
 子(障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にある子を除く。)について、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき。
 障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にある子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子を除く。)について、その事情がやんだとき。
 子が、二十歳に達したとき。
 第一項又は前項第二号の規定の適用上、老齢厚生年金の受給権者によつて生計を維持していたこと又はその者による生計維持の状態がやんだことの認定に関し必要な事項は、政令で定める。

第四十四条の二  被保険者であつた期間の全部又は一部が厚生年金基金の加入員であつた期間である者に支給する老齢厚生年金については、第四十三条第一項に規定する額は、同項に定める額から当該厚生年金基金の加入員であつた期間に係る第百三十二条第二項に規定する額(その額が第四十三条第一項に定める額を上回るときは、同項に定める額)を控除した額とする。
 前項の規定は、次の各号に掲げる期間については、適用しない。
 その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得する前に厚生年金基金が確定給付企業年金法 (平成十三年法律第五十号)第百十一条第三項 の規定により解散の認可があつたものとみなされた場合又は同法第百十二条第四項 の規定により消滅した場合における当該厚生年金基金の加入員であつた期間(企業年金連合会又は他の厚生年金基金がその支給に関する義務を承継している年金たる給付の額の計算の基礎となる加入員であつた期間を除く。)
 前項第一号に規定する場合において、当該厚生年金基金の加入員又は加入員であつた者が老齢厚生年金の受給権者であるときは、第一項の規定にかかわらず、当該老齢厚生年金の額は当該厚生年金基金の加入員であつた期間(企業年金連合会又は他の厚生年金基金がその支給に関する義務を承継している年金たる給付の額の計算の基礎となる加入員であつた期間を除く。)が厚生年金基金の加入員であつた期間でないものとして同項の規定の例により計算した額とするものとし、当該厚生年金基金が解散又は消滅した月の翌月から、当該老齢厚生年金の額を改定する。
 企業年金連合会が解散した場合において、当該企業年金連合会が年金たる給付の支給に関する義務を負つている者が老齢厚生年金の受給権者であるときは、第一項の規定にかかわらず、当該老齢厚生年金の額は当該義務に係る年金たる給付の額の計算の基礎となる厚生年金基金の加入員であつた期間(他の厚生年金基金がその支給に関する義務を承継している年金たる給付の額の計算の基礎となる加入員であつた期間を除く。)が厚生年金基金の加入員であつた期間でないものとして同項の規定の例により計算した額とするものとし、当該企業年金連合会が解散した月の翌月から、当該老齢厚生年金の額を改定する。

第四十四条の三  老齢厚生年金の受給権を有する者であつてその受給権を取得した日から起算して一年を経過した日(以下この条において「一年を経過した日」という。)前に当該老齢厚生年金を請求していなかつたものは、厚生労働大臣に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる保険給付、国民年金法 による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く。以下この条において同じ。)若しくは他の被用者年金各法による年金たる給付(退職を支給事由とするものを除く。以下この条において同じ。)の受給権者であつたとき、又は当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から一年を経過した日までの間において他の年金たる保険給付、国民年金法 による年金たる給付若しくは他の被用者年金各法による年金たる給付の受給権者となつたときは、この限りでない。
 一年を経過した日後に他の年金たる保険給付、(失権)
第四十五条  老齢厚生年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。

第四十六条  老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日若しくはこれに相当するものとして政令で定める日又は七十歳以上の使用される者(前月以前の月に属する日から引き続き当該適用事業所において第二十七条の厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る。)である日若しくはこれに相当するものとして厚生労働省令で定める日が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の一年間の標準賞与額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額(以下「総報酬月額相当額」といい、七十歳以上の使用される者については、その者の標準報酬月額に相当する額とその月以前の一年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額とする。以下この項において同じ。)及び老齢厚生年金の額(第四十四条第一項に規定する加給年金額及び第四十四条の三第四項に規定する加算額を除く。以下この項において同じ。)を十二で除して得た額(以下この項において「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額の二分の一に相当する額に十二を乗じて得た額(以下この項において「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(同項に規定する加算額を除く。)の支給を停止するものとする。
 第二十条から第二十五条までの規定は、前項の標準報酬月額に相当する額及び標準賞与額に相当する額を算定する場合に準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
 第一項の支給停止調整額は、四十八万円とする。ただし、四十八万円に平成十七年度以後の各年度の物価変動率に第四十三条の二第一項第二号に掲げる率を乗じて得た率をそれぞれ乗じて得た額(その額に五千円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五千円以上一万円未満の端数が生じたときは、これを一万円に切り上げるものとする。以下この項において同じ。)が四十八万円(この項の規定による支給停止調整額の改定の措置が講ぜられたときは、直近の当該措置により改定した額)を超え、又は下るに至つた場合においては、当該年度の四月以後の支給停止調整額を当該乗じて得た額に改定する額(以下この項において「加給年金額」という。)及び第四十四条の三第四項に規定する加算額(以下この項において「繰下げ加算額」という。)を除く。以下この項において「基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額」という」と、「老齢厚生年金の額以上」とあるのは「老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く。)以上」と、「全部(同項に規定する加算額を除く。)」とあるのは「全部(繰下げ加算額(支給停止基準額が、基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額に満たないときは、加給年金額及び繰下げ加算額)を除く。)」とする。
 第一項及び前項の規定により老齢厚生年金の全部又は一部の支給を停止する場合においては、第三十六条第二項の規定は適用しない。
 第四十四条第一項の規定によりその額が加算された老齢厚生年金については、同項の規定によりその者について加算が行われている配偶者が、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)、障害厚生年金、国民年金法 による障害基礎年金、共済組合が支給する年金たる給付、私立学校教職員共済法 による年金たる給付その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であつて政令で定めるものの支給を受けることができるときは、その間、同項の規定により当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給を停止する。

    第三節 障害厚生年金及び障害手当金

第四十七条  障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級、二級及び三級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

第四十七条の二  疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であつた者であつて、障害認定日において前条第二項に規定する障害等級(以下単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態になかつたものが、同日後六十五歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたときは、その者は、その期間内に同条第一項の障害厚生年金の支給を請求することができる。
 前条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
 第一項の請求があつたときは、前条第一項の規定にかかわらず、その請求をした者に同項の障害厚生年金を支給する。

第四十七条の三  疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下この条において「基準傷病」という。)に係る初診日において被保険者であつた者であつて、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後六十五歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下この条において「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級の一級又は二級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が二以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)に係る初診日以降であるときに限る。)は、その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害厚生年金を支給する。
 第四十七条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第一項ただし書中「当該傷病」とあるのは、「基準傷病」と読み替えるものとする。
 第一項の障害厚生年金の支給は、第三十六条第一項の規定にかかわらず、当該障害厚生年金の請求があつた月の翌月から始めるものとする。

第四十八条  障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の一級又は二級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く。以下この条、次条、第五十二条第四項、第五十二条の二、第五十四条第二項ただし書及び第五十四条の二第一項において同じ。)の受給権者に対して更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給する。
 障害厚生年金の受給権者が前項の規定により前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の受給権は、消滅する。

第四十九条  障害の程度が障害等級の一級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額の百分の百二十五に相当する額とする。
 障害厚生年金の給付事由となつた障害について国民年金法 による障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が国民年金法第三十三条第一項 に規定する障害基礎年金の額に四分の三を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)に満たないときは、前二項の規定にかかわらず、当該額をこれらの項に定める額とする。
 第四十八条第一項の規定による障害厚生年金の額は、その額が同条第二項の規定により消滅した障害厚生年金の額より低額であるときは、第一項及び第二項の規定にかかわらず、従前の障害厚生年金の額に相当する額とする。

第五十条の二  障害の程度が障害等級の一級又は二級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によつて生計を維持しているその者の六十五歳未満の配偶者があるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。
 前項に規定する加給年金額は、二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。
 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によつて生計を維持しているその者の六十五歳未満の配偶者を有するに至つたことにより第一項に規定する加給年金額を加算することとなつたときは、当該配偶者を有するに至つた日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額を改定する。
 第四十四条第四項(第五号から第十号までを除く。)の規定は、第一項の規定によりその額が加算された障害厚生年金について準用する。
 第一項又は前項において準用する第四十四条第四項第二号の規定の適用上、障害厚生年金の受給権者によつて生計を維持していること又はその者による生計維持の状態がやんだことの認定に関し必要な事項は、政令で定める。

第五十一条  第五十条第一項に定める障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となつた障害に係る障害認定日(第四十七条の三第一項の規定による障害厚生年金については同項に規定する基準傷病に係る障害認定日とし、第四十八条第一項の規定による障害厚生年金については併合されたそれぞれの障害に係る障害認定日(第四十七条の三第一項に規定する障害については、同項に規定する基準障害に係る障害認定日)のうちいずれか遅い日とする。)の属する月後における被保険者であつた期間は、その計算の基礎としない。

第五十二条  厚生労働大臣は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができる。
 障害厚生年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。
 前項の請求は、障害厚生年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
 障害厚生年金の受給権者であつて、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(当該障害厚生年金の支給事由となつた障害に係る傷病の初診日後に初診日があるものに限る。以下この項及び第五十四条第二項ただし書において同じ。)に係る当該初診日において被保険者であつたものが、当該傷病により障害(障害等級の一級又は二級に該当しない程度のものに限る。以下この項及び同条第二項ただし書において「その他障害」という。)の状態にあり、かつ、当該傷病に係る障害認定日以後六十五歳に達する日の前日までの間において、当該障害厚生年金の支給事由となつた障害とその他障害(その他障害が二以上ある場合は、すべてのその他障害を併合した障害)とを併合した障害の程度が当該障害厚生年金の支給事由となつた障害の程度より増進したときは、その者は、厚生労働大臣に対し、その期間内に障害厚生年金の額の改定を請求することができる。
 第四十七条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
 第一項の規定により障害厚生年金の額が改定されたときは、改定後の額による障害厚生年金の支給は、改定が行われた月の翌月から始めるものとする。
 第一項から第三項まで及び前項の規定は、六十五歳以上の者であつて、かつ、障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法 による障害基礎年金の受給権を有しないものに限る。)については、適用しない。

第五十二条の二  障害厚生年金の受給権者が、国民年金法 による障害基礎年金(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く。)の受給権を有するに至つたときは、当該障害厚生年金の支給事由となつた障害と当該障害基礎年金の支給事由となつた障害とを併合した障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する。
 障害厚生年金の受給権者が、国民年金法 による障害基礎年金の受給権を有する場合において、同法第三十四条第四項 及び第三十六条第二項 ただし書の規定により併合された障害の程度が当該障害基礎年金の支給事由となつた障害の程度より増進したときは、これらの規定により併合された障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する。

第五十三条  障害厚生年金の受給権は、第四十八条第二項の規定によつて消滅するほか、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
 死亡したとき。
 障害等級に該当する程度の障害の状態にない者が、六十五歳に達したとき。ただし、六十五歳に達した日において、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過していないときを除く。
 障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく三年を経過したとき。ただし、三年を経過した日において、当該受給権者が六十五歳未満であるときを除く。

第五十四条  障害厚生年金は、その受給権者が当該傷病について労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第七十七条 の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、六年間、その支給を停止する。
 障害厚生年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつたときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する。ただし、その支給を停止された障害厚生年金の受給権者が疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であつた場合であつて、当該傷病によりその他障害の状態にあり、かつ、当該傷病に係る障害認定日以後六十五歳に達する日の前日までの間において、当該障害厚生年金の支給事由となつた障害とその他障害(その他障害が二以上ある場合は、すべてのその他障害を併合した障害)とを併合した障害の程度が障害等級の一級又は二級に該当するに至つたときは、この限りでない。
 第四十六条第七項の規定は、障害厚生年金について、第四十七条第一項ただし書の規定は、前項ただし書の場合について準用する。

第五十四条の二  障害厚生年金は、その受給権者が当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく他の被用者年金各法による障害共済年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。
 第三十八条第二項及び第四項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第二項中「他の年金たる保険給付、国民年金法 による年金たる給付又は他の被用者年金各法による年金たる給付」とあるのは、「他の被用者年金各法による障害共済年金」と読み替えるものとする。

第五十五条  障害手当金は、疾病にかかり、又は負傷し、その傷病に係る初診日において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して五年を経過する日までの間におけるその傷病の治つた日において、その傷病により政令で定める程度の障害の状態にある場合に、その者に支給する。
 第四十七条第一項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。

第五十六条  前条の規定により障害の程度を定めるべき日において次の各号のいずれかに該当する者には、同条の規定にかかわらず、障害手当金を支給しない。
 年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この条において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく三年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)を除く。)
 国民年金法 による年金たる給付、共済組合が支給する年金たる給付又は私立学校教職員共済法 による年金たる給付の受給権者(最後に障害状態に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく三年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)その他の政令で定める者を除く。)
 当該傷病について国家公務員災害補償法 (昭和二十六年法律第百九十一号。他の法律において準用する場合を含む。)、地方公務員災害補償法 (昭和四十二年法律第百二十一号)若しくは同法 に基づく条例、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律 (昭和三十二年法律第百四十三号)若しくは労働基準法第七十七条 の規定による障害補償、労働者災害補償保険法 (昭和二十二年法律第五十号)の規定による障害補償給付若しくは障害給付又は船員保険法 による障害を支給事由とする給付を受ける権利を有する者

第五十七条  障害手当金の額は、第五十条第一項の規定の例により計算した額の百分の二百に相当する額とする。ただし、その額が同条第三項に定める額に二を乗じて得た額に満たないときは、当該額とする。

    第四節 遺族厚生年金

第五十八条  遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であつた者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する。ただし、第一号又は第二号に該当する場合にあつては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
 被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であつた者で五年を経過する日前に死亡したとき。
 障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。
 老齢厚生年金の受給権者又は第四十二条第二号に該当する者が、死亡したとき。
 前項の場合において、死亡した被保険者又は被保険者であつた者が同項第一号から第三号までのいずれかに該当し、かつ、同項第四号にも該当するときは、その遺族が遺族厚生年金を請求したときに別段の申出をした場合を除き、同項第一号から第三号までのいずれかのみに該当し、同項第四号には該当しないものとみなす。

第五十九条  遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であつた者にあつては、行方不明となつた当時。以下この条において同じ。)その者によつて生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあつては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
 夫、父母又は祖父母については、五十五歳以上であること。
 子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか、又は二十歳未満で障害等級の一級若しくは二級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
 前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。
 被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、第一項の規定の適用については、将来に向つて、その子は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持していた子とみなす。
 第一項の規定の適用上、被保険者又は被保険者であつた者によつて生計を維持していたことの認定に関し必要な事項は、政令で定める。

第五十九条の二  船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその船舶に乗つていた被保険者若しくは被保険者であつた者若しくは船舶に乗つていてその船舶の航行中に行方不明となつた被保険者若しくは被保険者であつた者の生死が三月間わからない場合又はこれらの者の死亡が三月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日又はその者が行方不明となつた日に、その者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその航空機に乗つていた被保険者若しくは被保険者であつた者若しくは航空機に乗つていてその航空機の航行中に行方不明となつた被保険者若しくは被保険者であつた者の生死が三月間わからない場合又はこれらの者の死亡が三月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。

第六十条  遺族厚生年金(次項の規定が適用される場合を除く。)の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法 による遺族基礎年金の支給を受けるときは、第一号に定める額とする。
 第五十九条第一項に規定する遺族(次号に掲げる遺族を除く。)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき 死亡した被保険者又は被保険者であつた者の被保険者期間を基礎として第四十三条第一項の規定の例により計算した額の四分の三に相当する額。ただし、第五十八条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が三百に満たないときは、これを三百として計算した額とする。
 第五十九条第一項に規定する遺族のうち、老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定めるもの(以下この条、次条及び第六十四条の三において「老齢厚生年金等」という。)のいずれかの受給権を有する配偶者が遺族厚生年金の受給権を取得したとき 前号に定める額又は次のイ及びロに掲げる額を合算した額のうちいずれか多い額
 前号に定める額に三分の二を乗じて得た額
 当該遺族厚生年金の受給権者の老齢厚生年金等の額の合計額(第四十四条第一項の規定又は他の法令の規定で同項の規定に相当するものとして政令で定めるものにより加給年金額が加算された老齢厚生年金等にあつては、これらの規定を適用しない額とする。以下同じ。)から政令で定める額を控除した額に二分の一を乗じて得た額
 遺族厚生年金(第五十八条第一項第四号に該当することにより支給される遺族厚生年金であり、かつ、その受給権者(六十五歳に達している者であつて老齢厚生年金等のいずれかの受給権を有する配偶者に限る。)が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される年金たる給付であつて政令で定めるものの受給権を有する場合に限る。)の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。
 イに掲げる額がロに掲げる額以上であるとき 前項第一号に定める額
 前項第一号の規定の例により計算した額に、他の被用者年金各法の規定であつて政令で定めるものの例により計算した額を合算した額(以下この項において「合算遺族給付額」という。)
 合算遺族給付額から政令で定める額を控除した額に三分の二を乗じて得た額、当該遺族厚生年金の受給権者の老齢厚生年金等の額の合計額から政令で定める額を控除した額に二分の一を乗じて得た額及び政令で定める額を合算した額
 前号イに掲げる額が同号ロに掲げる額に満たないとき イに掲げる額にロに掲げる比率を乗じて得た額
 前号ロに掲げる額から政令で定める額を控除した額
 合算遺族給付額から政令で定める額を控除した額に対する前項第一号に定める額の比率
 被保険者期間の全部又は一部が厚生年金基金の加入員であつた配偶者に支給する遺族厚生年金については、第一項第二号ロ中「老齢厚生年金等の額の合計額(」とあるのは、「老齢厚生年金等の額の合計額(当該老齢厚生年金の額の算定の基礎となる期間が厚生年金基金の加入員であつた期間であるときは、第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額とし、」とする。
 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者が二人以上であるときは、それぞれの遺族厚生年金の額は、第一項第一号の規定にかかわらず、受給権者ごとに同号の規定により算定した額を受給権者の数で除して得た額とする。
 前各項に定めるもののほか、遺族厚生年金の額の計算について必要な事項は、政令で定める。

第六十一条  配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定する。
 前条第一項第一号の規定によりその額が計算される遺族厚生年金(配偶者に対するものに限る。)の受給権者が老齢厚生年金等のいずれかの受給権を取得した日において、同項第二号イ及びロに掲げる額を合算した額が同項第一号に定める額を上回るとき、又は同条第二項第一号ロに掲げる額が同号イに掲げる額を上回るときは、それぞれ同条第一項第二号イ及びロに掲げる額を合算した額又は同条第二項第二号に定める額に、当該老齢厚生年金等の受給権を取得した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
 前条第一項第二号又は同条第二項の規定によりその額が計算される遺族厚生年金は、その額の算定の基礎となる老齢厚生年金等の額が第四十三条第三項又は他の法令の規定でこれに相当するものとして政令で定めるものにより改定されたときは、当該老齢厚生年金等の額が改定された月から当該遺族厚生年金の額を改定する。ただし、前条第一項第一号又は同条第二項第一号イの規定により計算される額が、それぞれ当該改定後の老齢厚生年金等の額を基礎として算定した同条第一項第二号イ及びロに掲げる額を合算した額又は同条第二項第一号ロの額以上であるときは、この限りでない。

第六十二条  遺族厚生年金(第五十八条第一項第四号に該当することにより支給されるものであつて、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であるものを除く。)の受給権者である妻であつてその権利を取得した当時四十歳以上六十五歳未満であつたもの又は四十歳に達した当時当該被保険者若しくは被保険者であつた者の子で国民年金法第三十七条の二第一項 に規定する要件に該当するもの(当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡後に同法第三十九条第三項第二号 から第八号 までのいずれかに該当したことがあるものを除く。)と生計を同じくしていたものが六十五歳未満であるときは、第六十条第一項第一号の遺族厚生年金の額に同法第三十八条 に規定する遺族基礎年金の額に四分の三を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)を加算する。
 前項の加算を開始すべき事由又は同項の加算を廃止すべき事由が生じた場合における年金の額の改定は、それぞれ当該事由が生じた月の翌月から行う。

第六十三条  遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
 死亡したとき。
 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。
 直系血族及び直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となつたとき。
 離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者との親族関係が終了したとき。
 次のイ又はロに掲げる区分に応じ、当該イ又はロに定める日から起算して五年を経過したとき。
 遺族厚生年金の受給権を取得した当時三十歳未満である妻が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法 による遺族基礎年金の受給権を取得しないとき 当該遺族厚生年金の受給権を取得した日
 遺族厚生年金と当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法 による遺族基礎年金の受給権を有する妻が三十歳に到達する日前に当該遺族基礎年金の受給権が消滅したとき 当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日
 子又は孫の有する遺族厚生年金の受給権は、次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
 子又は孫について、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき。ただし、子又は孫が障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にあるときを除く。
 障害等級の一級又は二級に該当する障害の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき。ただし、子又は孫が十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるときを除く。
 子又は孫が、二十歳に達したとき。
 父母、孫又は祖父母の有する遺族厚生年金の受給権は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、消滅する。

第六十四条  遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について労働基準法第七十九条 の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から六年間、その支給を停止する。

第六十四条の二  第五十八条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当することにより支給される遺族厚生年金は、その受給権者が当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について他の被用者年金各法による遺族共済年金であつて政令で定めるものを受けることができるときは、その間、その支給を停止する。
 第三十八条第二項及び第四項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第二項中「他の年金たる保険給付、国民年金法 による年金たる給付又は他の被用者年金各法による年金たる給付」とあるのは、「他の被用者年金各法による遺族共済年金であつて政令で定めるもの」と読み替えるものとする。

第六十四条の三  遺族厚生年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金等のいずれかの受給権を有するときは、当該老齢厚生年金等の額の合計額から政令で定める額を控除した額に相当する部分の支給を停止する。
 第六十条第二項の規定によりその額が計算される遺族厚生年金の受給権者に対する前項の規定の適用については、同項中「老齢厚生年金等の額の合計額から政令で定める額を控除した額に相当する部分」とあるのは、「老齢厚生年金等の額の合計額から政令で定める額を控除した額に第六十条第二項第二号ロに掲げる比率を乗じて得た額に相当する部分」とする。

第六十五条  第六十二条第一項の規定によりその額が加算された遺族厚生年金は、その受給権者である妻が当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について国民年金法 による遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、同項の規定により加算する額に相当する部分の支給を停止する。

第六十五条の二  夫、父母又は祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が六十歳に達するまでの期間、その支給を停止する。

第六十六条  子に対する遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。ただし、妻に対する遺族厚生年金が第三十八条の二第一項若しくは第二項、次項本文又は次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
 妻に対する遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について、妻が国民年金法 による遺族基礎年金の受給権を有しない場合であつて子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給を停止する。ただし、子に対する遺族厚生年金が次条の規定によりその支給を停止されている間は、この限りでない。
 夫に対する遺族厚生年金は、子が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。前項ただし書の規定は、この場合に準用する。

第六十七条  配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が一年以上明らかでないときは、遺族厚生年金減を生じた月」とあるのは、「支給が停止され、又はその停止が解除された月」と読み替えるものとする。

第六十九条  第五十八条第一項第四号に該当することにより支給される遺族厚生年金は、その受給権者が当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について他の被用者年金各法による遺族共済年金であつて政令で定めるものを受けることができるときは、同条の規定にかかわらず、支給しない。

第七十条  国民年金法第三条第二項 に規定する共済組合等は、厚生労働大臣に対し、この節に規定する保険給付に関して必要な情報の提供を行うものとする。

第七十一条  削除

第七十二条  削除

    第五節 保険給付の制限

第七十三条  被保険者又は被保険者であつた者が、故意に、障害又はその直接の原因となつた事故を生ぜしめたときは、当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は、支給しない。

第七十三条の二  被保険者又は被保険者であつた者が、自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生ぜしめ、若しくはその障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、保険給付の全部又は一部を行なわないことができる。

第七十四条  障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、第五十二条第一項の規定による改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、同項の規定による改定を行うことができる。

第七十五条 第七十六条  遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であつた者を故意に死亡させた者には、支給しない。被保険者又は被保険者であつた者の死亡前に、その者の死亡によつて遺族厚生年金の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者についても、同様とする。
 遺族厚生年金の受給権は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、消滅する。

第七十七条  年金たる保険給付は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。
 受給権者が、正当な理由がなくて、第九十六条第一項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかつたとき。
 障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は第四十四条第一項の規定によりその者について加算が行われている子が、正当な理由がなくて、第九十七条第一項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による診断を拒んだとき。
 前号に規定する者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の回復を妨げたとき。

第七十八条  受給権者が、正当な理由がなくて、第九十八条第三項の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。

   第三章の二 離婚等をした場合における特例

 当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合(当該改定又は決定後の当事者の次条第一項に規定する対象期間標準報酬総額の合計額に対する第二号改定者の対象期間標準報酬総額の割合をいう。以下同じ。)について合意しているとき。
 次項の規定により家庭裁判所が請求すべき按分割合を定めたとき。
 前項の規定による標準報酬の改定又は決定の請求(以下「標準報酬改定請求」という。)について、同項第一号の当事者の合意のための協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は、当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。
 前項の規定による請求すべき按分割合に関する処分(以下「標準報酬の按分割合に関する処分」という。)は、家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)の適用に関しては、同法第九条第一項 乙類に掲げる事項とみなす。
 標準報酬改定請求は、当事者が標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の添付その他の厚生労働省令で定める方法によりしなければならない。

第七十八条の三  請求すべきはその一方は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報であつて次項に規定するものの提供を請求することができる。ただし、当該請求が標準報酬改定請求後に行われた場合又は第七十八条の二第一項ただし書に該当する場合その他厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない。
 前項の情報は、対象期間標準報酬総額、按分割合の範囲、これらの算定の基礎となる期間その他厚生労働省令で定めるものとし、同項の請求があつた日において対象期間の末日が到来していないときは、同項の請求があつた日を対象期間の末日とみなして算定したものとする。

第七十八条の五  厚生労働大臣は、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官に対し、その求めに応じて、標準報酬の按分割合に関する処分を行うために必要な資料を提供しなければならない。

第七十八条の六  厚生労働大臣は、標準報酬改定請求があつた場合において、第一号改定者が標準報酬月額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準報酬月額をそれぞれ次の各号に定める額に改定し、又は決定することができる。
 第一号改定者 改定前の標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額。次号において同じ。)に一から改定割合(按分割合を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した率をいう。以下同じ。)を控除して得た率を乗じて得た額
 第二号改定者 改定前の標準報酬月額(標準報酬月額を有しない月にあつては、零)に、第一号改定者の改定前の標準報酬月額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額
 厚生労働大臣は、標準報酬改定請求があつた場合において、第一号改定者が標準賞与額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準賞与額をそれぞれ次の各号に定める額に改定し、又は決定することができる。
 第一号改定者 改定前の標準賞与額に一から改定割合を控除して得た率を乗じて得た額
 第二号改定者 改定前の標準賞与額(標準賞与額を有しない月にあつては、零)に、第一号改定者の改定前の標準賞与額に改定割合を乗じて得た額を加えて得た額
 前二項の場合において、対象期間のうち第一号改定者の被保険者期間であつて第二号改定者の被保険者期間でない期間については、第二号改定者の被保険者期間であつたものとみなす。
 第一項及び第二項の規定により改定され、又は決定された標準報酬は、当該標準報酬改定請求のあつた日から将来に向かつてのみその効力を有する。

第七十八条の七  厚生労働大臣は、第二十八条の原簿に前条第三項の規定により被保険者期間であつたものとみなされた期間(以下「離婚時みなし被保険者期間」という。)を有する者の氏名、離婚時みなし被保険者期間、離婚時みなし被保険者期間に係る標準報酬その他厚生労働省令で定める事項を記録しなければならない。

第七十八条の八  厚生労働大臣は、第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬の改定又は決定を行つたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。

第七十八条の九  第七十八条の二から前条までに定めるもののほか、標準報酬改定請求及び標準報酬の改定又は決定の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第七十八条の十  老齢厚生年金の受給権者について、第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、第四十三条第一項及び第二項の規定にかかわらず、対象期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間(対象期間の末日後に当該老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた場合その他の政令で定める場合にあつては、政令で定める期間)及び改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該標準報酬改定請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
 障害厚生年金の受給権者について、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間に係る標準報酬が第七十八条の六第一項及び第二項の規定により改定され、又は決定されたときは、改定又は決定後の標準報酬を基礎として、当該標準報酬改定請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。ただし、第五十条第一項後段の規定が適用されている障害厚生年金については、離婚時みなし被保険者期間は、その計算の基礎としない。

第七十八条の十一  第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬が改定され、又は決定された者に対する保険給付についてこの法律を適用する場合においては、次の表の上欄に掲げる規定(他の法令において、これらの規定を引用し、準用し、又はその例による場合を含む。)中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとするほか、当該保険給付の額の計算及びその支給停止に関する規定その他政令で定める規定の適用に関し必要な読替えは、政令で定める。
第四十四条第一項 被保険者期間の月数が二百四十以上 被保険者期間(第七十八条の七に規定する離婚時みなし被保険者期間(以下「離婚時みなし被保険者期間」という。)を除く。以下この項において同じ。)の月数が二百四十以上
第四十六条第一項 の標準賞与額 の標準賞与額(第七十八条の六第二項の規定による改定前の標準賞与額とし、同項の規定により決定された標準賞与額を除く。)
第五十八条第一項 被保険者であつた者が次の 被保険者であつた者(第四号に該当する場合にあつては、離婚時みなし被保険者期間を有する者を含む。)が次の

第七十八条の十二  この章に定めるもののほか、離婚等をした場合における特例に関し必要な事項は、政令で定める。

   第三章の三 被扶養配偶者である期間についての特例

第七十八条の十三  被扶養配偶者に対する年金たる保険給付に関しては、第三章に定めるもののほか、被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料について、当該被扶養配偶者が共同して負担したものであるという基本的認識の下に、この章の定めるところによる。

第七十八条の十四  被保険者(被保険者であつた者を含む。以下「特定被保険者」という。)が被保険者であつた期間中に被扶養配偶者(当該特定被保険者の配偶者として国民年金法第七条第一項第三号 に該当していたものをいう。以下同じ。)を有する場合において、当該特定被保険者の被扶養配偶者は、当該特定被保険者と離婚又は婚姻の取消しをしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるときは、厚生労働大臣に対し、特定期間(当該特定被保険者が被保険者であつた期間であり、かつ、その被扶養配偶者が当該特定被保険者の配偶者として同号 に規定する第三号 被保険者であつた期間をいう。以下同じ。)に係る被保険者期間(次項及び第三項の規定により既に標準報酬が改定され、及び決定された被保険者期間を除く。以下この条において同じ。)の標準報酬(特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬をいう。以下この章において同じ。)の改定及び決定を請求することができる。ただし、当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金(当該特定期間の全部又は一部をその額の計算の基礎とするものに限る。第七十八条の二十において同じ。)の受給権者であるときその他の厚生労働省令で定めるときは、この限りでない。
 厚生労働大臣は、前項の請求があつた場合において、特定期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当該特定被保険者及び被扶養配偶者の標準報酬月額を当該特定被保険者の標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)に二分の一を乗じて得た額にそれぞれ改定し、及び決定することができる。
 厚生労働大臣は、第一項の請求があつた場合において、当該特定被保険者が標準賞与額を有する特定期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当該特定被保険者及び被扶養配偶者の標準賞与額を当該特定被保険者の標準賞与額に二分の一を乗じて得た額にそれぞれ改定し、及び決定することができる。
 前二項の場合において、特定期間に係る被保険者期間については、被扶養配偶者の被保険者期間であつたものとみなす。
 第二項及び第三項の規定により改定され、及び決定された標準報酬は、第一項の請求のあつた日から将来に向かつてのみその効力を有する。

第七十八条の十五  厚生労働大臣は、第二十八条の原簿に前条第四項の規定により被保険者期間であつたものとみなされた期間(以下「被扶養配偶者みなし被保険者期間」という。)を有する者の氏名、被扶養配偶者みなし被保険者期間、被扶養配偶者みなし被保険者期間に係る標準報酬その他厚生労働省令で定める事項を記録しなければならない。

第七十八条の十六  厚生労働大臣は、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬の改定及び決定を行つたときは、その旨を特定被保険者及び被扶養配偶者に通知しなければならない。

第七十八条の十七  前三条に定めるもののほか、第七十八条の十四第一項の規定による請求並びに同条第二項及び第三項の規定による標準報酬の改定及び決定の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第七十八条の十八  老齢厚生年金の受給権者について、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われたときは、第四十三条第一項の規定にかかわらず、改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、第七十八条の十四第一項の請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
 第七十八条の十第二項の規定は、障害厚生年金の受給権者である被扶養配偶者について第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬の決定が行われた場合に準用する。この場合において、必要な読替えは、政令で定める。

第七十八条の十九  第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬が改定され、及び決定された者に対する保険給付についてこの法律を適用する場合においては、次の表の上欄に掲げる規定(他の法令において、これらの規定を引用し、準用し、又はその例による場合を含む。)中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとするほか、当該保険給付の額の計算及びその支給停止に関する規定その他政令で定める規定の適用に関し必要な読替えは、政令で定める。
第四十四条第一項 被保険者期間の月数が二百四十以上 被保険者期間(第七十八条の十五に規定する被扶養配偶者みなし被保険者期間(以下「被扶養配偶者みなし被保険者期間」という。)を除く。以下この項において同じ。)の月数が二百四十以上
第四十六条第一項 の標準賞与額 の標準賞与額(第七十八条の十四第三項の規定による改定前の標準賞与額とし、同項の規定により決定された標準賞与額を除く。)
第五十八条第一項 被保険者であつた者が次の 被保険者であつた者(第四号に該当する場合にあつては、被扶養配偶者みなし被保険者期間を有する者を含む。)が次の

第七十八条の二十  特定被保険者又は被扶養配偶者が、離婚等(第七十八条の二第一項に規定する離婚等をいう。)をした場合において、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定による標準報酬の改定及び決定が行われていない特定期間の全部又は一部を対象期間として第七十八条の二第一項の規定による標準報酬の改定又は決定の請求をしたときは、当該請求をしたときに、第七十八条の十四第一項の請求があつたものとみなす。ただし、当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金の受給権者であるときは、この限りでない。
 前項の場合において、第七十八条の三第一項の対象期間標準報酬総額の基礎となる当該特定期間に係る被保険者期間の標準報酬(標準報酬月額について、第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)並びに第七十八条の六第一項及び第二項の当該特定期間に係る被保険者期間の改定前の標準報酬(標準報酬月額について、第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)については、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定による改定及び決定後の標準報酬とする。
 第七十八条の十四第二項及び第三項の規定による標準報酬の改定及び決定が行われていない特定期間の全部又は一部を対象期間として第七十八条の四第一項の請求があつた場合において、同項の請求があつた日に特定被保険者が障害厚生年金の受給権を有しないときは、同条第二項に規定する情報は、第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により当該対象期間中の特定期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定及び決定が行われたとみなして算定したものとする。
 前項の規定は、第七十八条の五の求めがあつた場合に準用する。
 第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月の標準報酬月額について第七十八条の十四第二項の規定により改定された場合における第七十八条の三第一項及び第七十八条の六第一項の規定の適用については、第七十八条の三第一項中「標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)」とあるのは「標準報酬月額」と、第七十八条の六第一項第一号中「標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額。次号において同じ。)」とあるのは「標準報酬月額」とする。

第七十八条の二十一  この章に定めるもののほか、被扶養配偶者である期間についての特例に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四章 厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための措置

第七十九条  政府は、厚生年金保険事業の円滑な実施を図るため、厚生年金保険に関し、次に掲げる事業を行うことができる。
 教育及び広報を行うこと。
 被保険者、受給権者その他の関係者(以下この条において「被保険者等」という。)に対し、相談その他の援助を行うこと。
 被保険者等に対し、被保険者等が行う手続に関する情報その他の被保険者等の利便の向上に資する情報を提供すること。
 政府は、厚生年金保険事業の実施に必要な事務(国民年金法第九十四条の二第一項 の規定による基礎年金拠出金(以下「基礎年金拠出金」という。)の負担に伴う事務を含む。)を円滑に処理し、被保険者等の利便の向上に資するため、電子情報処理組織の運用を行うものとする。
 政府は、第一項各号に掲げる事業及び前項に規定する運用の全部又は一部を日本年金機構(以下「機構」という。)に行わせることができる。
 政府は、独立行政法人福祉医療機構法 (平成十四年法律第百六十六号)第十二条第一項第十二号 に規定する小口の資金の貸付けを、独立行政法人福祉医療機構に行わせるものとする。

   第四章の二 積立金の運用

第七十九条の二  年金特別会計の厚生年金勘定の積立金(以下この章において「積立金」という。)の運用は、積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたつて、厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。

第七十九条の三  積立金の運用は、厚生労働大臣が、前条の目的に沿つた運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとする。
 厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、同項の規定に基づく寄託をするまでの間、財政融資資金に積立金を預託することができる。

第七十九条の四  積立金の運用に係る行政事務に従事する厚生労働省の職員(政令で定める者に限る。以下「運用職員」という。)は、積立金の運用の目的に沿つて、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。

第七十九条の五  運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

第七十九条の六  運用職員が前条の規定に違反したと認めるときは、厚生労働大臣は、その職員に対し国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)に基づく懲戒処分をしなければならない。

第七十九条の七  積立金の運用については、この法律に定めるもののほか、年金積立金管理運用独立行政法人法 (平成十六年法律第百五号)の定めるところによる。

   第五章 費用の負担

第八十条  国庫は、毎年度、厚生年金保険の管掌者たる政府が負担する基礎年金拠出金の額の二分の一に相当する額を負担する。
 国庫は、前項に規定する費用のほか、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む。)の執行に要する費用を負担する。

第八十一条  政府は、厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む。)に充てるため、保険料を徴収する。
 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
 保険料額は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額とする。
 保険料率は、次の表の上欄に掲げる月分の保険料について、それぞれ同表の下欄に定める率(厚生年金基金の加入員である被保険者にあつては、当該率から第八十一条の三第一項に規定する免除保険料率を控除して得た率)とする。
平成十六年十月から平成十七年八月までの月分 千分の百三十九・三四
平成十七年九月から平成十八年八月までの月分 千分の百四十二・八八
平成十八年九月から平成十九年八月までの月分 千分の百四十六・四二
平成十九年九月から平成二十年八月までの月分 千分の百四十九・九六
平成二十年九月から平成二十一年八月までの月分 千分の百五十三・五〇
平成二十一年九月から平成二十二年八月までの月分 千分の百五十七・〇四
平成二十二年九月から平成二十三年八月までの月分 千分の百六十・五八
平成二十三年九月から平成二十四年八月までの月分 千分の百六十四・一二
平成二十四年九月から平成二十五年八月までの月分 千分の百六十七・六六
平成二十五年九月から平成二十六年八月までの月分 千分の百七十一・二〇
平成二十六年九月から平成二十七年八月までの月分 千分の百七十四・七四
平成二十七年九月から平成二十八年八月までの月分 千分の百七十八・二八
平成二十八年九月から平成二十九年八月までの月分 千分の百八十一・八二
平成二十九年九月以後の月分 千分の百八十三・〇〇

第八十一条の二  育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令の定めるところにより厚生労働大臣に申出をしたときは、前条第二項の規定にかかわらず、当該被保険者に係る保険料であつてその育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行わない。

第八十一条の三  厚生労働大臣は、次項に規定する代行保険料率を基準として、政令の定めるところにより、厚生年金基金ごとに免除保険料率を決定する。
 代行保険料率は、当該厚生年金基金の加入員の標準報酬月額の総額及び標準賞与額の総額にそれぞれ当該代行保険料率を乗じることにより算定した額(第百三十九条第七項又は第八項に規定する申出に係る加入員の標準報酬月額及び標準賞与額であつて同条第七項又は第八項に規定する期間に係るものにそれぞれ当該代行保険料率を乗じて得た額を控除した額とする。)の収入を代行給付費(当該厚生年金基金の加入員のすべてが加入員でないとして保険給付の額を計算した場合において増加することとなる保険給付に要する費用に相当する費用をいう。)に充てることとした場合において、当該代行給付費の予想額及び予定運用収入の額に照らし、将来にわたつて、財政の均衡を保つことができるものとして、政令の定めるところにより算定するものとする。
 厚生年金基金は、厚生労働省令の定めるところにより、当該厚生年金基金に係る前項に規定する代行保険料率(次項において単に「代行保険料率」という。)を算定し、当該代行保険料率及びその算定の基礎となるものとして厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
 厚生年金基金の設立の認可の申請を行う適用事業所の事業主は、厚生労働省令の定めるところにより、当該申請のときに当該設立される厚生年金基金に係る代行保険料率を算定し、当該代行保険料率及びその算定の基礎となるものとして厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
 厚生労働大臣は、第一項の規定により免除保険料率を決定したときは、その旨を当該厚生年金基金に通知しなければならない。
 厚生年金基金は、前項の通知を受けたときは、速やかに、これを当該厚生年金基金に係る適用事業所の事業主に通知しなければならない。
 前項の適用事業所の事業主(当該厚生年金基金が設立された適用事業所の事業主に限る。)は、同項の通知を受けたときは、速やかに、これを当該通知に係る加入員に通知しなければならない。

第八十二条  被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。
 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。
 被保険者が同時に二以上の事業所又は船舶に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令の定めるところによる。

第八十三条  毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。
 厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知つたとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知つたときは、そのこえている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から六箇月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。
 前項の規定によつて、納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなしたときは、厚生労働大臣は、その旨を当該納付義務者に通知しなければならない。

第八十三条の二  厚生労働大臣は、納付義務者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があつた場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。

第八十四条  事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなつた場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。
 事業主は、前二項の規定によつて保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

第八十五条  保険料は、次の各号に掲げる場合においては、納期前であつても、すべて徴収することができる。
 納付義務者が、次のいずれかに該当する場合
 国税、地方税その他の公課の滞納によつて、滞納処分を受けるとき。
 強制執行を受けるとき。
 破産手続開始の決定を受けたとき。
 企業担保権の実行手続の開始があつたとき。
 競売の開始があつたとき。
 法人たる納付義務者が、解散をした場合
 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合
 被保険者の使用される船舶について船舶所有者の変更があつた場合、又は当該船舶が滅失し、沈没し、若しくは全く運航に堪えなくなるに至つた場合

第八十五条の二  政府は、企業年金連合会が解散したときは、その解散した日において当該企業年金連合会が年金たる給付の支給に関する義務を負つている者に係る政令の定めるところにより算出した責任準備金に相当する額を当該解散した企業年金連合会から徴収する。

第八十五条の三  政府は、第七十八条の六第一項及び第二項又は第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により第一号改定者又は特定被保険者の標準報酬の改定が行われたときは、当該第一号改定者又は特定被保険者の加入員であつた期間に係る老齢年金給付の現価に相当する金額の一部であつて当該改定に係るものとして政令で定める額を当該老齢年金給付の支給に関する義務を負つている厚生年金基金又は企業年金連合会から徴収する。

第八十六条  保険料その他この法律(第九章を除く。以下この章、次章及び第七章において同じ。)の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、第八十五条の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。
 前項の規定によつて督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。
 前項の規定による督促状は、納付義務者が、健康保険法第百八十条 の規定によつて督促を受ける者であるときは、同法同条 の規定による督促状に併記して、発することができる。
 第二項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。ただし、第八十五条各号の一に該当する場合は、この限りでない。
 厚生労働大臣は、納付義務者が次の各号の一に該当する場合においては、国税滞納処分の例によつてこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市にあつては、区とする。以下同じ。)に対して、その処分を請求することができる。
 第二項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないとき。
 第八十五条各号の一に該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期限までに保険料を納付しないとき。
 市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によつてこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の百分の四に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。

第八十七条  前条第二項の規定によつて督促をしたときは、厚生労働大臣は、保険料額に、納期限の翌日から保険料完納又は財産差押の日の前日までの期間の日数に応じ、年十四・六パーセント(当該納期限の翌日から三月を経過する日までの期間については、年七・三パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合又は滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合は、この限りでない。
 保険料額が千円未満であるとき。
 納期を繰り上げて徴収するとき。
 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法によつて督促したとき。
 前項の場合において、保険料額の一部につき納付があつたときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる保険料は、その納付のあつた保険料額を控除した金額による。
 延滞金を計算するにあたり、保険料額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
 督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は前三項の規定によつて計算した金額が百円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。
 延滞金の金額に百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
 第四十条の二、第八十五条の二及び第八十五条の三の規定による徴収金は、前各項の規定の適用については、保険料とみなす。この場合において、第一項中「年十四・六パーセント(当該納期限の翌日から三月を経過する日までの期間については、年七・三パーセント)」とあるのは、「年十四・六パーセント」とする。

第八十八条  保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

第八十九条  保険料その他この法律の規定による徴収金は、この法律に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。

   第六章 不服申立て

第九十条  被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
 審査請求をした日から六十日以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
 第一項の審査請求及び前二項の再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。
 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。

第九十一条  保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分又は第八十六条の規定による処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。

行政不服審査法 の適用関係)
第九十一条の二  前二条の審査請求及び再審査請求については、行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)第二章第一節 、第二節(第十八条及び第十九条を除く。)及び第五節の規定を適用しない。

第九十一条のきない。

   第七章 雑則

第九十二条  保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、二年を経過したとき、保険給付を受ける権利(当該権利に基づき支払期月ごとに又は一時金として支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利を含む。第四項において同じ。)は、五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
 年金たる保険給付を受ける権利の時効は、当該年金たる保険給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない。
 保険料その他この法律の規定による徴収金の納入の告知又は第八十六条第一項の規定による督促は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第百五十三条 の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。
 保険給付を受ける権利については、会計法 (昭和二十二年法律第三十五号)第三十一条 の規定を適用しない。

第九十三条  この法律又はこの法律に基く命令に規定する期間の計算については、この法律に別段の規定がある場合を除くほか、民法 の期間に関する規定を準用する。

第九十四条  削除

第九十五条  市町村長は、厚生労働大臣又は受給権者に対して、当該市町村の条例の定めるところにより、被保険者、被保険者であつた者又は受給権者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。

第九十六条  厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、年金たる保険給付の受給権者に対して、その者の身分関係、障害の状態その他受給権の消滅、年金額の改定若しくは支給の停止に係る事項に関する書類その他の物件の提出を命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し受給権者に質問させることができる。
 前項の規定によつて質問を行なう当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

第九十七条  厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は第四十四条第一項の規定によりその者について加算が行われている子に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの者の障害の状態を診断させることができる。
 前条第二項の規定は、前項の規定による当該職員の診断について準用する。

第九十八条  事業主は、厚生労働省令の定めるところにより、第二十七条に規定する事項を除くほか、厚生労働省令の定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
 被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働省令の定める事項を厚生労働大臣に届け出、又は事業主に申し出なければならない。
 受給権者は、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令の定める事項を届け出、かつ、厚生労働省令の定める書類その他の物件を提出しなければならない。
 受給権者が死亡したときは、戸籍法 (昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定による死亡の届出義務者は、十日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。ただし、厚生労働省令で定める受給権者の死亡について、同法 の規定による死亡の届出をした場合(厚生労働省令で定める場合に限る。)は、この限りでない。

第九十九条  厚生年金保険の施行に必要な事務は、厚生労働省令の定めるところにより、その一部を事業主に行わせることができる。

第百条  厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関する決定に関し、必要があると認めるときは、事業主に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入つて関係者に質問し、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
 第九十六条第二項の規定は、前項の規定による質問及び検査について準用する。
 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第百条の二  厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬又は保険料に関し必要があると認めるときは、官公署に対し、法人の事業所の名称、所在地その他必要な資料の提供を求めることができる。
 厚生労働大臣は、年金たる保険給付に関する処分に関し必要があると認めるときは、受給権者に対する他の被用者年金各法による年金たる給付又はその配偶者に対する第四十六条第七項に規定する政令で定める給付の支給状況につき、国民年金法第三条第二項 に規定する共済組合等又は第四十六条第七項 に規定する政令で定める給付に係る制度の管掌機関に対し、必要な資料の提供を求めることができる。

第百条の三  年金保険者たる共済組合等(国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会及び日本私立学校振興・共済事業団をいう。以下同じ。)は、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金保険者たる共済組合等を所管する大臣を経由して、第四十三条の二第一項第二号イに規定する標準報酬額等平均額の算定のために必要な事項として厚生労働省令で定める事項について厚生労働大臣に報告を行うものとする。
 厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、前項に規定する標準報酬額等平均額その他これに関連する事項で厚生労働省令で定めるものについて、年金保険者たる共済組合等を所管する大臣に報告を行うものとする。

第百条の四  次に掲げる厚生労働大臣の権限に係る事務は、機構に行わせるものとする。ただし、第三十二号から第三十四号まで及び第三十六号から第三十八号までに掲げる権限は、厚生労働大臣が自ら行うことを妨げない。
 第十条第一項、第十一条(附則第四条の五第一項において準用する場合を含む。)及び附則第四条の五第一項の規定による認可
 第十八条第一項の規定による確認
 第二十一条第一項、第二十二条第一項、第二十三条第一項及び第二十三条の二第一項(これらの規定を第四十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による標準報酬月額の決定又は改定(第二十三条の二第一項及び第二十六条第一項の規定による申出の受理を含み、第二十四条第一項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定により算定する額を報酬月額として決定又は改定する場合を含む。)
 第二十四条の二(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定によりその例によるものとされる船員保険法第十七条 から第二十条 まで及び第二十三条 の規定による標準報酬月額の決定又は改定(同法第十九条第一項 の規定による申出の受理を含み、同法第二十条第二項 の規定により算定する額を報酬月額として決定又は改定する場合を含む。)
 第二十四条の三第一項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による標準賞与額の決定(第二十四条の三第二項において準用する第二十四条第一項の規定により算定する額を標準賞与額として決定する場合を含む。)
 第二十七条(附則第四条の五第一項において準用する場合を含む。)の規定による届出の受理及び第三十条第一項(附則第四条の五第一項において準用する場合を含む。)の規定による通知
 第二十九条第一項(附則第四条の五第一項において準用する場合を含む。)の規定による通知、第二十九条第三項(第三十条第二項(附則第四条の五第一項において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)及び附則第四条の五第一項において準用する場合を含む。)の規定による届出の受理並びに第二十九条第四項及び第五項(これらの規定を第三十条第二項及び附則第四条の五第一項において準用する場合を含む。)の規定による公告
 第三十一条第一項の規定による請求の受理及び同条第二項の規定による請求の却下
 第三十三条の規定による請求の受理
十一  第三十八条第二項(第五十四条の二第二項及び第六十四条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による申請の受理
十二  第三十八条の二第一項の規定による申出の受理
十三  第四十四条第五項の規定による認定
十四  第四十四条の三第一項の規定による申出の受理並びに附則第七条の三第一項及び第十三条の四第一項の規定による請求の受理
十五  第四十七条の二第一項の規定による請求の受理
十五の二  第五十条の二第五項の規定による認定
十六  第五十二条第二項及び第四項の規定による請求の受理
十七  第五十八条第二項の規定による申出の受理
十八  第五十九条第四項の規定による認定
十九  第六十七条並びに第六十八条第一項及び第二項の規定による申請の受理
二十  第七十条の規定による情報の受領
二十一  第七十八条の二第一項及び第七十八条の四第一項の規定による請求の受理
二十二  第七十八条の五の規定による資料の提供
二十三  第七十八条の六第一項の規定による標準報酬月額の改定又は決定及び同条第二項の規定による標準賞与額の改定又は決定
二十四  第七十八条の八の規定による通知
二十五  第七十八条の十四第一項の規定による請求の受理、同条第二項の規定による標準報酬月額の改定及び決定並びに同条第三項の規定による標準賞与額の改定及び決定
二十六  第七十八条の十六の規定による通知
二十七  第八十一条の二の規定による申出の受理
二十八  第八十三条の二の規定による申出の受理及び承認
二十九  第八十六条第五項の規定による国税滞納処分の例による処分及び同項の規定による市町村に対する処分の請求
三十  第八十九条の規定により国税徴収の例によるものとされる徴収に係る権限(国税通則法 (昭和三十七年法律第六十六号)第三十六条第一項 の規定の例による納入の告知、同法第四十二条 において準用する民法第四百二十三条第一項 の規定の例による納付義務者に属する権利の行使、国税通則法第四十六条 の規定の例による納付の猶予その他の厚生労働省令で定める権限並びに次号に掲げる質問及び検査並びに捜索を除く。)
三十一  第八十九条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法 (昭和三十四年法律第百四十七号)第百四十一条 の規定による質問及び検査並びに同法第百四十二条 の規定による捜索
三十二  第九十五条の規定による戸籍事項に関する証明書の受領
三十三  第九十六条第一項(附則第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の規定による命令及び質問
三十四  第九十七条第一項の規定による命令及び診断
三十五  第九十八条(同条第四項を附則第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の規定による届出の受理及び第九十八条第三項の規定による書類その他の物件の受領
三十六  第百条第一項(附則第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の規定による命令並びに質問及び検査
三十七  第百条の二の規定による資料の提供の求め(第三十二号に掲げる証明書の受領を除く。)
三十八  次条第二項の規定による報告の受理
三十九  附則第四条の三第一項及び第四項の規定による申出の受理
四十  附則第九条の二第一項の規定による請求の受理
四十一  附則第二十九条第一項の規定による請求の受理
四十二  前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める権限
 機構は、前項第二十九号に掲げる国税滞納処分の例による処分及び同項第三十一号に掲げる権限(以下「滞納処分等」という。)その他同項各号に掲げる権限のうち厚生労働省令で定める権限に係る事務を効果的に行うため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に当該権限の行使に必要な情報を提供するとともに、厚生労働大臣自らその権限を行うよう求めることができる。
 厚生労働大臣は、前項の規定による求めがあつた場合において必要があると認めるとき、又は機構が天災その他の事由により第一項各号に掲げる権限に係る事務の全部若しくは一部を行うことが困難若しくは不適当となつたと認めるときは、同項各号に掲げる権限の全部又は一部を自ら行うものとする。
 厚生労働大臣は、前項の規定により第一項各号に掲げる権限の全部若しくは一部を自ら行うこととし、又は前項の規定により自ら行つている第一項各号に掲げる権限の全部若しくは一部を行わないこととするとき(次項に規定する場合を除く。)は、あらかじめ、その旨を公示しなければならない。
 厚生労働大臣は、第三項の規定により自ら行うこととした滞納処分等について、機構から引き継いだ当該滞納処分等の対象となる者が特定されている場合には、当該者に対し、厚生労働大臣が当該者に係る滞納処分等を行うこととなる旨その他の厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。
 厚生労働大臣が、第三項の規定により第一項各号に掲げる権限の全部若しくは一部を自ら行うこととし、又は第三項の規定により自ら行つている第一項各号に掲げる権限の全部若しくは一部を行わないこととする場合における同項各号に掲げる権限に係る事務の引継ぎその他の必要な事項は、厚生労働省令で定める。
 前各項に定めるもののほか、機構による第一項各号に掲げる権限に係る事務の実施又は厚生労働大臣による同項各号に掲げる権限の行使に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第百条の五  厚生労働大臣は、前条第三項の規定により滞納処分等及び同条第一項第三十号に掲げる権限の全部又は一部を自らが行うこととした場合におけるこれらの権限並びに同号に規定する厚生労働省令で定める権限のうち厚生労働省令で定めるもの(以下この条において「滞納処分等その他の処分」という。)に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情があるため保険料その他この法律の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。
 財務大臣は、前項の委任に基づき、滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を行つたときは、厚生労働省令で定めるところにより、滞納処分等その他の処分の執行の状況及びその結果を厚生労働大臣に報告するものとする。
 前条第五項の規定は、第一項の委任に基づき、財務大臣が滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を行う場合の財務大臣による通知について準用する。この場合において、必要な技術的読替えその他滞納処分等その他の処分の対象となる者に対する通知に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
 国税局長は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の全部又は一部を納付義務者の事業所又は事務所の所在地を管轄する税務署長に委任することができる。

第百条の六  機構は、滞納処分等を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けるとともに、次条第一項に規定する滞納処分等実施規程に従い、徴収職員に行わせなければならない。
 前項の徴収職員は、滞納処分等に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する機構の職員のうちから、厚生労働大臣の認可を受けて、機構の理事長が任命する。
 機構は、滞納処分等をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、速やかに、その結果を厚生労働大臣に報告しなければならない。

第百条の七  機構は、滞納処分等の実施に関する規程(以下この条において「滞納処分等実施規程」という。)を定め、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 滞納処分等実施規程には、差押えを行う時期、差押えに係る財産の選定方法その他の滞納処分等の公正かつ確実な実施を確保するために必要なものとして厚生労働省令で定める事項を記載しなければならない。
 厚生労働大臣は、第一項の認可をした滞納処分等実施規程が滞納処分等の公正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、機構に対し、その滞納処分等実施規程を変更すべきことを命ずることができる。

第百条の八  機構は、第百条の四第一項第三十三号、第三十四号又は第三十六号に掲げる権限に係る事務を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
 機構が第百条の四第一項第三十三号、第三十四号又は第三十六号に掲げる権限に係る事務を行う場合における第七十七条第一号、第九十六条、第九十七条及び第百条第一項の規定の適用については、これらの規定中「当該職員」とあるのは、「機構の職員」とする。

第百条の九  この法律に規定する厚生労働大臣の権限(第百条の五第一項及び第二項並びに第九章に規定する厚生労働大臣の権限を除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

第百条の十  厚生労働大臣は、機構に、次に掲げる事務を行わせるものとする。
 第二十五条の規定による価額の決定に係る事務(当該決定を除く。)
 第二十八条の規定による記録に係る事務(当該記録を除く。)
 第三十一条の二の規定による情報の通知に係る事務(当該通知を除く。)
 第三十三条(附則第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の規定による裁定に係る事務(第百条の四第一項第十号に掲げる請求の受理及び当該裁定を除く。)
 第三十七条第一項(附則第二十九条第八項において準用する場合を含む。)及び第三十七条第三項の規定による請求の内容の確認に係る事務
 第三十八条第一項及び第二項の規定による年金たる保険給付の支給の停止に係る事務(第百条の四第一項第十一号に掲げる申請の受理及び当該支給の停止に係る決定を除く。)
 第三十八条の二第一項及び第二項の規定による年金たる保険給付の支給の停止に係る事務(第百条の四第一項第十二号に掲げる申出の受理及び当該支給の停止に係る決定を除く。)
 第四十条の二(附則第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の規定による不正利得の徴収に係る事務(第百条の四第一項第二十九号から第三十一号までに掲げる権限を行使する事務及び次条第一項の規定により機構が行う収納、第八十六条第一項の規定による督促その他の厚生労働省令で定める権限を行使する事務並びに第三十一号及び第三十三号に掲げる事務を除く。)
十二  第四十七条第一項、第四十七条の二第三項、第四十七条の三第一項、第四十八条第一項及び第四十九条の規定による障害厚生年金の支給に係る事務(第百条の四第一項第十五号に掲げる請求の受理及び当該障害厚生年金の裁定を除く。)
十三  第四十九条第一項、第五十四条第一項及び第二項、同条第三項において準用する第四十六条第七項並びに第五十四条の二第一項の規定による障害厚生年金の支給の停止に係る事務(第百条の四第一項第十一号に掲げる申請の受理及び当該支給の停止に係る決定を除く。)
十四  第五十条の二第三項、同条第四項において準用する第四十四条第四項、第五十二条第一項及び第五十二条の二の規定による障害厚生年金の額の改定に係る事務(第百条の四第一項第十五号の二に掲げる認定及び同項第十六号に掲げる請求の受理並びに当該改定に係る決定を除く。)
十五  第五十五条第一項及び第五十六条の規定による障害手当金の支給に係る事務(当該障害手当金の裁定を除く。)
十六  第五十八条第一項及び第六十九条の規定による遺族厚生年金の支給に係る事務(当該遺族厚生年金の裁定を除く。)
十七  第六十一条(同条第一項を第六十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定による遺族厚生年金の額の改定に係る事務(当該改定に係る決定を除く。)
十八  第六十四条、第六十四条の二第一項、第六十四条の三第一項、第六十五条から第六十七条まで並びに第六十八条第一項及び第二項の規定による遺族厚生年金の支給の停止に係る事務(第百条の四第一項第十一号及び第十九号に掲げる申請の受理並びに当該支給の停止に係る決定を除く。)
十九  第七十三条の規定による障害厚生年金又は障害手当金の支給に係る事務(当該障害厚生年金又は障害手当金の裁定を除く。)
二十  第七十三条の二及び第七十五条(附則第二十九条第八項において準用する場合を含む。)の規定による保険給付の支給に係る事務(当該保険給付の裁定を除く。)
二十一  第七十四条の規定による障害厚生年金の額の改定に係る事務(当該改定に係る決定を除く。)
二十二  第七十六条第一項の規定による遺族厚生年金の支給に係る事務(当該遺族厚生年金の裁定を除く。)
二十三  第七十七条の規定による年金たる保険給付の支給の停止に係る事務(当該支給の停止に係る決定を除く。)
二十四  第七十八条の規定による保険給付の支払の一時差止めに係る事務(当該支払の一時差止めに係る決定を除く。)
二十五  第七十八条の七の規定による記録に係る事務(当該記録を除く。)
二十六  第七十八条の十第一項の規定による老齢厚生年金及び同条第二項の規定による障害厚生年金の額の改定に係る事務(当該改定に係る決定を除く。)
二十七  第七十八条の十五の規定による記録に係る事務(当該記録を除く。)
二十八  第七十八条の十八第一項の規定による老齢厚生年金及び同条第二項において準用する第七十八条の十第二項の規定による障害厚生年金の額の改定に係る事務(当該改定に係る決定を除く。)
二十九  第八十一条第一項、第八十一条の二及び第八十五条の規定による保険料の徴収に係る事務(第百条の四第一項第二十七号から第三十一号までに掲げる権限を行使する事務及び次条第一項の規定により機構が行う収納、第八十六条第一項の規定による督促その他の厚生労働省令で定める権限を行使する事務並びに次号、第三十一号及び第三十三号に掲げる事務を除く。)
三十  第八十三条第二項及び第三項の規定による納付に係る事務(納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなす決定及びその旨の通知を除く。)
三十一  第八十六条第一項及び第二項の規定による督促に係る事務(当該督促及び督促状を発すること(督促状の発送に係る事務を除く。)を除く。)
三十二  第八十七条第一項及び第四項の規定による延滞金(同条第六項の規定により保険料とみなされた第四十条の二の規定による徴収金に係るものを含む。)の徴収に係る事務(第百条の四第一項第二十九号から第三十一号までに掲げる権限を行使する事務及び次条第一項の規定により機構が行う収納、第八十六条第一項の規定による督促その他の厚生労働省令で定める権限を行使する事務並びに前号及び次号に掲げる事務を除く。)
三十三  第百条の四第一項第三十号に規定する厚生労働省令で定める権限に係る事務(当該権限を行使する事務を除く。)
三十四  第百七十三条の二の規定による情報の提供に係る事務(当該情報の提供を除く。)
三十五  附則第二十八条の三第一項の規定による特例老齢年金の支給に係る事務(当該特例老齢年金の裁定を除く。)
三十六  附則第二十八条の四第一項の規定による特例遺族年金の支給に係る事務(当該特例遺族年金の裁定を除く。)
三十七  附則第二十九条第二項の規定による脱退一時金の支給に係る事務(第百条の四第一項第四十一号に掲げる請求の受理及び当該脱退一時金の裁定を除く。)
三十八  介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第二百三条 その他の厚生労働省令で定める法律の規定による求めに応じたこの法律の実施に関し厚生労働大臣が保有する情報の提供に係る事務(当該情報の提供及び厚生労働省令で定める事務を除く。)
三十九  前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事務
 厚生労働大臣は、機構が天災その他の事由により前項各号に掲げる事務の全部又は一部を実施することが困難又は不適当となつたと認めるときは、同項各号に掲げる事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
 前二項に定めるもののほか、機構又は厚生労働大臣による第一項各号に掲げる事務の実施に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第百条の十一  厚生労働大臣は、会計法 (昭和二十二年法律第三十五号)第七条第一項 の規定にかかわらず、政令で定める場合における保険料その他この法律の規定による徴収金、年金たる保険給付の過誤払による返還金その他の厚生労働省令で定めるもの(以下この条において「保険料等」という。)の収納を、政令で定めるところにより、機構に行わせることができる。
 前項の収納を行う機構の職員は、収納に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する機構の職員のうちから、厚生労働大臣の認可を受けて、機構の理事長が任命する。
 機構は、第一項の規定により保険料等の収納をしたときは、遅滞なく、これを日本銀行に送付しなければならない。
 機構は、厚生労働省令で定めるところにより、収納に係る事務の実施状況及びその結果を厚生労働大臣に報告するものとする。
 前各項に定めるもののほか、第一項の規定による保険料等の収納について必要な事項は、政令で定める。

第百条の十二  機構は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格に関する事項、標準報酬に関する事項その他厚生労働大臣の権限の行使に関して必要な情報の提供を行うものとする。
 厚生労働大臣及び機構は、厚生年金保険事業が、適正かつ円滑に行われるよう、必要な情報交換を行うことその他相互の密接な連携の確保に努めるものとする。

第百条の十三  この法律に基づき政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

第百一条  この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

   第八章 罰則

第百二条  事業主が、正当な理由がなくて次の各号の一に該当するときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 第二十七条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
 第二十九条第二項(第三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、通知をしないとき。
 第八十一条の三第七項の規定に違反して、通知をしないとき。
 第八十二条第二項の規定に違反して、督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき。
 第百条第一項の規定に違反して、文書その他の物件を提出せず、又は当該職員(第百条の八第二項において読み替えて適用される第百条第一項に規定する機構の職員を含む。第百三条において同じ。)の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
 解散した企業年金連合会が、正当な理由がなくて、第八十五条の二の規定により負担すべき徴収金を督促状に指定する期限までに納付しないとき及び厚生年金基金又は企業年金連合会が、正当な理由がなくて、第八十五条の三の規定により負担すべき徴収金を督促状に指定する期限までに納付しないときも、前項と同様とする。

第百二条の二  第八十一条の三第三項又は第四項の規定に違反して、同条第三項又は第四項に規定する厚生労働省令で定める事項につき、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 第八十一条の三第六項の規定に違反して、通知をしなかつた者も前項と同様とする。

第百三条  事業主以外の者が、第百条第一項の規定に違反して、当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第百三条の二  次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
 第八十九条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第百四十一条 の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者
 第八十九条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第百四十一条 の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者

第百四条  法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第百二条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

第百四条の二  機構の役員は、次の各号のいずれかに該当する場合には、二十万円以下の過料に処する。
 第百条の六第一項及び第二項、第百条の七第一項、第百条の八第一項並びに第百条の十一第二項の規定により厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかつたとき。
 第百条の七第三項の規定による命令に違反したとき。

第百五条  左の各号に掲げる場合には、十万円以下の過料に処する。
 第九十八条第一項の規定に違反して、事業主が届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
 第九十八条第二項の規定に違反して、被保険者が届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は申出をせず、若しくは虚偽の申出をしたとき。
 第九十八条第四項の規定に違反して、戸籍法 の規定による死亡の届出義務者が、届出をしないとき。

   第九章 厚生年金基金及び企業年金連合会

    第一節 厚生年金基金

     第一款 通則

第百六条  厚生年金基金(以下「基金」という。)は、加入員の老齢について給付を行ない、もつて加入員の生活の安定と福祉の向上を図ることを目的とする。

第百七条  基金は、適用事業所の事業主及びその適用事業所に使用される被保険者をもつて組織する。

第百八条  基金は、法人とする。
 基金の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

第百九条  基金は、その名称中に厚生年金基金という文字を用いなければならない。
 基金でない者は、厚生年金基金という名称を用いてはならない。

     第二款 設立

第百十条  一又は二以上の適用事業所について常時政令で定める数以上の被保険者を使用する事業主は、当該一又は二以上の適用事業所について、基金を設立することができる。
 適用事業所の事業主は、共同して基金を設立することができる。この場合において、被保険者の数は、合算して常時政令で定める数以上でなければならない。

第百十一条  適用事業所の事業主は、基金を設立しようとするときは、基金を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の二分の一以上の同意を得て、規約をつくり、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
 前項の場合において、適用事業所に使用される被保険者の三分の一以上で組織する労働組合があるときは、事業主は、同項の同意のほか、当該労働組合の同意を得なければならない。
 二以上の適用事業所について基金を設立しようとする場合においては、前二項の同意は、各適用事業所について得なければならない。

第百十二条  第六条第三項の規定による認可の申請と同時に基金の設立の認可の申請を行う場合にあつては、前二条中「適用事業所」とあるのは「適用事業所となるべき事業所」と、「被保険者」とあるのは「被保険者となるべき者」とする。

第百十三条  基金は、設立の認可を受けた時に成立する。

第百十四条  基金が成立したときは、理事長が選任されるまでの間、基金の設立の認可の申請をした適用事業所の事業主が、理事長の職務を行なう。この場合において、当該適用事業所の事業主は、この章の規定の適用については、理事長とみなす。

     第三款 管理

第百十五条  基金は、規約をもつて次に掲げる事項を定めなければならない。
 名称
 事務所の所在地
 基金の設立に係る適用事業所の名称及び所在地(船舶の場合にあつては、船舶所有者の名称及び所在地)
 代議員及び代議員会に関する事項
 役員に関する事項
 加入員に関する事項
 標準給与に関する事項
 年金たる給付及び一時金たる給付に関する事項
 年金たる給付及び一時金たる給付に充てるべき積立金の管理及び運用に関する契約に関する事項
 掛金及びその負担区分に関する事項
十一  事業年度その他財務に関する事項
十二  解散及び清算に関する事項
十三  業務の委託に関する事項
十四  公告に関する事項
十五  その他組織及び業務に関する重要事項
 前項の規約の変更(政令で定める事項に係るものを除く。)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 基金は、前項の政令で定める事項に係る規約の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。
 基金は、第百十一条第一項の認可若しくは第二項の認可を受けたとき、又は前項の規約の変更をしたときは、遅滞なく、基金の規約を適用事業所に使用される被保険者に周知させなければならない。

第百十六条  基金は、政令の定めるところにより、基金の名称、事務所の所在地、役員の氏名その他政令で定める事項を公告しなければならない。

第百十七条  基金に、代議員会を置く。
 代議員会は、代議員をもつて組織する。
 代議員の定数は、偶数とし、その半数は、設立事業所(基金が設立された適用事業所をいう。以下同じ。)の事業主において設立事業所の事業主(その代理人を含む。)及び設立事業所に使用される者のうちから選定し、他の半数は、加入員において互選する。
 代議員の任期は、三年を超えない範囲内で規約で定める期間とする。ただし、補欠の代議員の任期は、前任者の残任期間とする。
 代議員会は、理事長が招集する。代議員の定数の三分の一以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して代議員会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあつた日から二十日以内に代議員会を招集しなければならない。
 代議員会に議長を置く。議長は、理事長をもつて充てる。
 前各項に定めるもののほか、代議員会の招集、議事の手続その他代議員会に関し必要な事項は、政令で定める。

第百十八条  次に掲げる事項は、代議員会の議決を経なければならない。
 規約の変更
 毎事業年度の予算
 毎事業年度の事業報告及び決算
 その他規約で定める事項
 理事長は、代議員会が成立しないとき、又は理事長において代議員会を招集する暇がないと認めるときは、代議員会の議決を経なければならない事項で臨時急施を要するものを処分することができる。
 理事長は、前項の規定による処置については、次の代議員会においてこれを報告し、その承認を求めなければならない。
 代議員会は、監事に対し、基金の業務に関する監査を求め、その結果の報告を請求することができる。

第百十九条  基金に、役員として理事及び監事を置く。
 理事の定数は、偶数とし、その半数は、設立事業所の事業主において選定した代議員において、他の半数は、加入員において互選した代議員において、それぞれ互選する。
 理事のうち一人を理事長とし、設立事業所の事業主において選定した代議員である理事のうちから、理事が選挙する。
 監事は、代議員会において、設立事業所の事業主において選定した代議員及び加入員において互選した代議員のうちから、それぞれ一人を選挙する。
 役員の任期は、三年を超えない範囲内で規約で定める期間とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
 役員は、その任期が満了しても、後任の役員が就任するまでの間は、なお、その職務を行なう。
 監事は、理事又は基金の職員と兼ねることができない。

第百二十条  理事長は、基金を代表し、その業務を執行する。理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、設立事業所の事業主において選定した代議員である理事のうちから、あらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行なう。
 基金の業務は、規約に別段の定めがある場合を除くほか、理事の過半数により決し、可否同数のときは、理事長の決するところによる。
 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、年金たる給付及び一時金たる給付に充てるべき積立金の管理及び運用に関する基金の業務を執行することができる。
 監事は、基金の業務を監査する。
 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は代議員会に意見を提出することができる。

第百二十条の二  理事は、前条第三項に規定する基金の業務について、法令、法令に基づいてする厚生労働大臣の処分、規約及び代議員会の議決を遵守し、基金のため忠実にその職務を遂行しなければならない。
 理事が前条第三項に規定する基金の業務についてその任務を怠つたときは、その理事は、基金に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。

第百二十条の三  理事は、自己又は当該基金以外の第三者の利益を図る目的をもつて、年金たる給付及び一時金たる給付に充てるべき積立金の管理及び運用の適正を害するものとして厚生労働省令で定める行為をしてはならない。
 基金は、前項の規定に違反した理事を、規約の定めるところにより、代議員会の議決を経て、交代させることができる。

第百二十条の四  基金と理事長(第百二十条第一項の規定により理事長の職務を代理し、又はその職務を行う者を含む。以下この条において同じ。)との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事が基金を代表する。

第百二十一条  基金の役員及び基金に使用され、その事務に従事する者は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

     第四款 加入員

第百二十二条  基金の設立事業所に使用される被保険者は、当該基金の加入員とする。

第百二十三条  加入員は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日に、加入員の資格を取得する。
 設立事業所に使用されるに至つたとき。
 その使用される事業所又は船舶が、設立事業所となつたとき。
 設立事業所に使用される者が、第十二条の規定に該当しなくなつたとき。

第百二十四条  加入員は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(その事実があつた日に更に前条各号のいずれかに該当するに至つたとき、若しくは共済組合の組合員若しくは私学教職員共済制度の加入者となつたとき、又は第五号に該当するに至つたときは、その日)に、加入員の資格を喪失する。
 死亡したとき。
 その設立事業所に使用されなくなつたとき。
 その使用される事業所又は船舶が、設立事業所でなくなつたとき。
 第十二条の規定に該当するに至つたとき。
 七十歳に達したとき。

第百二十五条  同時に二以上の基金の設立事業所に使用される被保険者は、第百二十二条の規定にかかわらず、その者の選択する一の基金以外の基金の加入員としないものとする。
 前項の選択は、その者が二以上の基金の設立事業所に使用されるに至つた日から起算して十日以内にしなければならない。
 第一項に規定する者は、同項の選択をしたときは、その者が二以上の基金の設立事業所に使用されるに至つた日にさかのぼつて、その選択した一の基金以外の基金の加入員でなかつたものとする。
 第一項に規定する者が同項の選択をしなかつたときは、その者は、政令の定めるところにより、当該二以上の基金のうちその一の基金を選択したものとみなす。
 甲基金の加入員が同時に乙基金の設立事業所に使用されるに至つた場合において、第一項の規定により乙基金を選択したときは、その者は、乙基金の加入員となつた日に、甲基金の加入員の資格を喪失する。
 第一項に規定する者が、同項の規定により選択した基金の加入員でなくなつたときは、その者は、その日に、当該基金以外の基金の加入員の資格を取得する。

第百二十七条  同時に設立事業所と設立事業所以外の事業所又は船舶に使用される被保険者は、第百二十二条の規定にかかわらず、その者の申出により基金の加入員としないものとする。
 前項の申出は、その者が同時に設立事業所と設立事業所以外の事業所又は船舶に使用されることとなつた日から起算して十日以内に、当該設立事業所に係る基金にしなければならない。
 設立事業所以外の事業所又は船舶に使用される被保険者が同時に設立事業所に使用されることとなつた場合において、第一項の申出をしたときは、同時に設立事業所と設立事業所以外の事業所又は船舶に使用されることとなつた日にさかのぼつて、当該設立事業所に係る基金の加入員とならなかつたものとする。
 基金の加入員が同時に設立事業所以外の事業所又は船舶に使用されることとなつた場合において、第一項の申出をしたときは、同時に当該基金の設立事業所と設立事業所以外の事業所又は船舶とに使用されることとなつた日に、当該基金の加入員の資格を喪失する。

第百二十八条  設立事業所の事業主は、加入員に関する第十八条第一項の規定による確認又は標準報酬の決定若しくは改定につき第二十九条第一項の規定による通知があつたときは、すみやかに、その通知があつた事項を基金に届け出なければならない。

第百二十九条  基金は、加入員の給与の額に基づき、標準給与を定めなければならない。
 基金は、加入員が当該基金の設立事業所以外の適用事業所(第十条第二項の同意をした事業主の事業所を含む。以下この条において同じ。)に同時に使用される者であるときは、その者が当該基金の設立事業所以外の適用事業所で受ける給与の額を前項に規定する標準給与の基礎となる給与の額に算入しなければならない。
 前二項に規定する給与の範囲及び額の算定方法、標準給与の基準並びに標準給与の決定及び改定の方法は、政令で定める。
 設立事業所の事業主は、加入員の給与の額に関する事項を基金に届け出なければならない。
 基金は、標準給与の決定又は改定を行なつたときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。
 設立事業所の事業主は、前項の通知を受けたときは、すみやかに、これを当該通知に係る加入員に通知しなければならない。
 当該基金の設立事業所以外の適用事業所の事業主は、第二項に規定する給与の額に関する事項を同項の基金に届け出なければならない。

     第五款 基金の行う業務

第百三十条  基金は、第百六条の目的を達成するため、加入員又は加入員であつた者の老齢に関し、年金たる給付(以下「老齢年金給付」という。)の支給を行うものとする。
 基金は、政令で定めるところにより、加入員の脱退に関し、一時金たる給付の支給を行うものとする。
 基金は、政令で定めるところにより、加入員若しくは加入員であつた者の死亡又は障害に関し、年金たる給付又は一時金たる給付の支給を行うことができる。
 基金は、加入員及び加入員であつた者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。
 基金は、その業務(加入員又は加入員であつた者に年金たる給付又は一時金たる給付の支給を行うために必要となるその者に関する情報の収集、整理又は分析を含む。)の一部を、政令で定めるところにより、信託会社(信託業法 (平成十六年法律第百五十四号)第三条 又は第五十三条第一項 の免許を受けたものに限る。以下同じ。)、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協同組合連合会(全国を地区とし、農業協同組合法 (昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第十号 の事業のうち生命共済の事業を行うものに限る。以下同じ。)、企業年金連合会その他の法人に委託することができる。

第百三十条の二  基金は、年金たる給付及び一時金たる給付に要する費用に関して、信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社若しくは農業協同組合連合会と信託、保険若しくは共済の契約を締結し、又は金融商品取引業者(金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第九項 に規定する金融商品取引業者をいう。以下同じ。)と投資一任契約(同条第八項第十二号 ロに規定する契約をいう。以下同じ。)を締結するときは、政令で定めるところによらなければならない。
 基金は、前項に規定する投資一任契約を締結する場合においては、当該投資一任契約に係る年金給付等積立金(年金たる給付及び一時金たる給付に充てるべき積立金をいう。以下同じ。)について、政令の定めるところにより、信託会社又は信託業務を営む金融機関と運用方法を特定する信託の契約を締結しなければならない。
 信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協同組合連合会又は金融商品取引業者は、正当な理由がある場合を除き、前二項に規定する契約の締結を拒絶してはならない。

第百三十条の三  基金は、適正な年金数理に基づいてその業務を行わなければならない。

第百三十一条  基金が支給する老齢年金給付は、少なくとも、当該基金の加入員又は加入員であつた者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者に支給するものでなければならない。
 加入員又は加入員であつた者が老齢厚生年金の受給権を取得したとき。ただし、加入員がその資格を取得した月に当該老齢厚生年金の受給権を取得したときを除く。
 老齢厚生年金の受給権者で当該老齢厚生年金の受給権を取得した月以後の月に加入員の資格を取得したものであつて、その年金の額が第四十三条第三項の規定により改定されたとき。ただし、加入員の資格を取得した月又はその翌月から改定されたときを除く。
 前項の規定にかかわらず、第四十四条の三第一項の規定による申出をした者に基金が支給する老齢年金給付については、少なくとも、当該基金の加入員又は加入員であつた者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者に支給するものでなければならない。
 第四十四条の三第一項の規定による申出をしたとき(当該老齢厚生年金の受給権を取得した月前に加入員であつた期間を有するとき、又は当該老齢厚生年金の受給権を取得した月以後の月に加入員の資格を取得し、当該申出の月までにその年金の額が第四十三条第三項の規定により改定されたときに限る。)。
 第四十四条の三第一項の規定による申出をした者で当該老齢厚生年金の受給権を取得した月以後の月に加入員の資格を取得したものであつて、その年金の額が当該申出の月の翌月以降に第四十三条第三項の規定により改定されたとき。ただし、加入員の資格を取得した月又はその翌月から改定されたときを除く。
 老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付は、老齢厚生年金の受給権の消滅理由以外の理由によつて、その受給権を消滅させるものであつてはならない。

第百三十二条  基金が支給する老齢年金給付は、政令の定めるところにより、加入員の標準給与及び加入員であつた期間に基づいてその額が算定されるものでなければならない。
 基金が支給する老齢年金給付であつて、老齢厚生年金の受給権者に支給するものの額は、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となつた被保険者であつた期間のうち同時に当該基金の加入員であつた期間(以下この条、附則第十七条の四第八項及び第十七条の六第一項において「加入員たる被保険者であつた期間」という。)の平均標準報酬額(加入員たる被保険者であつた期間の各月の標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)と標準賞与額の総額を、当該加入員たる被保険者であつた期間の月数で除して得た額をいう。)の千分の五・四八一に相当する額に加入員たる被保険者であつた期間に係る被保険者期間の月数を乗じて得た額を超えるものでなければならない。
 基金は、その支給する老齢年金給付の水準が前項に規定する額に三・二三を乗じて得た額に相当する水準に達するよう努めるものとする。
 第四十四条の三第一項の規定による申出をした者に基金が支給する老齢年金給付の額は、第二項の規定にかかわらず、同項に規定する額に、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの加入員たる被保険者であつた期間に係る被保険者期間を基礎として同項の規定の例により計算した額並びに第百三十三条の二第二項及び第三項の規定の例により支給を停止することができる額を勘案して政令で定める額を加算した額を超えるものでなければならない。
 第七十八条の六第一項及び第二項の規定により第二号改定者の標準報酬の改定が行われた場合における第二項の規定の適用については、同項中「各月の標準報酬月額」とあるのは「各月の第七十八条の六第一項の規定による改定前の標準報酬月額」と、「標準賞与額」とあるのは「第七十八条の六第二項の規定による改定前の標準賞与額」とする。

第百三十三条  老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付は、当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されている場合を除いては、その支給を停止することができない。ただし、当該老齢年金給付の額のうち、前条第二項に規定する額(第四十四条の三第一項の規定による申出をした者に基金が支給する老齢年金給付については、前条第四項に規定する額)を超える部分については、この限りでない。

第百三十三条の二  老齢厚生年金(第四十六条第五項において読み替えられた同条第一項の規定によりその全部又は一部の支給が停止されているものに限る。以下この条において同じ。)の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、前条の規定は適用しない。
 老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付は、当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されている場合(当該老齢厚生年金(第四十四条第一項に規定する加給年金額(以下この条において「加給年金額」という。)又は第四十四条の三第四項に規定する加算額(以下この項及び次項において「繰下げ加算額」という。)が加算されているものを除く。)が第四十六条第五項において読み替えられた同条第一項の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、支給停止基準額(同条第五項において読み替えられた同条第一項の規定による支給停止基準額をいう。次項及び第百六十三条の三第一項において同じ。)が、第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く。次項において「基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額」という。)に満たない場合を除く。)を除いては、その支給を停止することができない。ただし、当該老齢年金給付の額のうち、第百三十二条第二項に規定する額(第四十四条の三第一項の規定による申出をした者に基金が支給する老齢年金給付については、第百三十二条第四項に規定する額)を超える部分については、この限りでない。
 前項の規定にかかわらず、老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、次の各号のいずれかに該当する場合には、その額のうち、当該受給権者の当該老齢年金給付を支給する基金の加入員であつた期間に係る第百三十二条第二項に規定する額(以下この項において「当該基金の代行部分の額」という。)から、支給停止基準額から当該老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く。)を控除して得た額に当該基金の代行部分の額を基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額から老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く。)を控除して得た額(第百六十三条の三第一項において「代行部分の総額」という。)で除して得た率を乗じて得た額(次項において「支給停止額」という。)を控除して得た額を超える部分(第四十四条の三第一項の規定による申出をした者に基金が支給する老齢年金給付については、第百三十二条第四項の政令で定める額に相当する部分を除く。)については、その支給を停止することができる。
 当該老齢厚生年金(加給年金額又は繰下げ加算額が加算されているものを除く。)が第四十六条第五項において読み替えられた同条第一項の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、支給停止基準額が基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額に満たないとき。
 当該老齢厚生年金(加給年金額又は繰下げ加算額が加算されているものに限る。)が第四十六条第五項において読み替えられた同条第一項の規定により当該老齢厚生年金の額から加給年金額及び繰下げ加算額を控除して得た額に相当する部分の全額につき支給を停止されているとき。
 支給停止額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。

第百三十三条の三  基金は、第七十八条の六第一項及び第二項又は第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬の改定が行われたときは、当該改定に係る第一号改定者又は特定被保険者の老齢年金給付の支給に関する義務の一部(第八十五条の三の規定により政府が徴収する額に相当する老齢年金給付の支給に関する義務に限る。)を免れることができる。
 基金は、前項の規定により老齢年金給付の支給に関する義務の一部を免れるときは、その旨を第一号改定者又は特定被保険者に通知しなければならない。
 基金は、第一号改定者又は特定被保険者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、同項の通知すべき事項を公告しなければならない。

第百三十四条  基金が支給する年金たる給付及び一時金たる給付を受ける権利は、その権利を有する者の請求に基づいて、基金が裁定する。

第百三十六条の二  基金は、政令の定めるところにより、年金給付等積立金を積み立てなければならない。

第百三十六条の三  年金給付等積立金は、次に掲げる方法により運用しなければならない。
 信託会社又は信託業務を営む金融機関への信託(運用方法を特定するものを除く。)
 生命保険会社又は農業協同組合連合会への保険料又は共済掛金の払込み
 金融商品取引業者との投資一任契約であつて政令で定めるものの締結
 次に掲げる方法であつて金融機関、金融商品取引業者(金融商品取引法第二十八条第一項 に規定する第一種金融商品取引業を行う者に限る。)その他の政令で定めるもの(以下「金融機関等」という。)を契約の相手方とするもの
 投資信託及び投資法人に関する法律 (昭和二十六年法律第百九十八号)に規定する受益証券(証券投資信託又はこれに類する外国投資信託に係るものに限る。)又は投資証券、投資法人債若しくは外国投資証券(資産を主として有価証券に対する投資として運用すること(金融商品取引法第二十八条第八項第六号 に規定する有価証券関連デリバティブ取引を行うことを含む。)を目的とする投資法人又は外国投資法人であつて政令で定めるものが発行するものに限る。)の売買
 貸付信託の受益証券の売買
 預金又は貯金
 運用方法を特定する信託であつてイからハまでに掲げる方法又はコール資金の貸付け若しくは手形の割引により運用するもの
 次に掲げる方法であつて金融機関等を契約の相手方とするもの
 有価証券(有価証券に係る標準物(金融商品取引法第二条第二十四項第五号 に掲げるものをいう。ハにおいて単に「標準物」という。)を含み、前号イ及びロに規定するものを除く。)であつて政令で定めるもの(株式を除く。)の売買 
 イの規定により取得した有価証券のうち政令で定めるものの銀行その他政令で定める法人に対する貸付け
 債券オプション(当事者の一方の意志表示により当事者間において債券(標準物を含む。)の売買契約を成立又は解除させることができる権利であつて政令で定めるものをいう。)の取得又は付与
 先物外国為替(外国通貨をもつて表示される支払手段であつて、その売買契約に基づく債権の発生、変更又は消滅に係る取引を当該売買の契約日後の一定の時期に一定の外国為替相場により実行する取引(金融商品取引所(金融商品取引法第二条第十六項 に規定する金融商品取引所をいう。第百三十九条第五項において同じ。)の開設する市場において行われる取引又はこれに類する取引であつて、政令で定めるものに該当するものを除く。)の対象となるものをいう。)の売買
 通貨オプション(当事者の一方の意思表示により当事者間において外国通貨をもつて表示される支払手段の売買取引(ニの政令で定める取引に該当するものを除く。)を成立させることができる権利をいう。)の取得又は付与
 運用方法を特定する信託であつて次に掲げる方法により運用するもの
(1) イからホまでに掲げる方法
(2) 株式の売買であつて政令で定めるところにより金融商品取引法第二条第八項第十一号 イに規定する有価証券指標(厚生労働省令で定めるものに限る。(3)において同じ。)その他政令で定めるもの(株式に係るものに限る。)の変動と一致するように運用するもの
(3) 金融商品取引法第二十八条第八項第三号 ロからホまでに掲げる取引((2)の有価証券指標その他政令で定めるものに係るものに限る。)
(4) コール資金の貸付け又は手形の割引
 第百三十条の二第二項の規定は、前項第三号に掲げる投資一任契約について準用する。
 基金は、第一項第四号イ若しくはロ又は同項第五号イからホまでに掲げる方法により運用する場合においては、金融機関等と当該運用に係る年金給付等積立金の管理の委託に関する契約を締結しなければならない。
 基金は、第一項第五号に掲げる方法により運用する場合においては、政令で定めるところにより、年金給付等積立金の管理及び運用の体制を整備しなければならない。
 第一項の運用は、政令で定めるところにより、安全かつ効率的に行われなければならない。

第百三十六条の四  基金は、年金給付等積立金の運用に関して、運用の目的その他厚生労働省令で定める事項を記載した基本方針を作成し、当該基本方針に沿つて運用しなければならない。
 前項の規定による基本方針は、この法律(これに基づく命令を含む。)その他の法令に反するものであつてはならない。
 基金は、前条第一項第一号から第三号までに掲げる方法(政令で定める保険料又は共済掛金の払込みを除く。)により運用する場合においては、当該運用に関する契約の相手方に対して、協議に基づき第一項の規定による基本方針の趣旨に沿つて運用すべきことを、厚生労働省令で定めるところにより、示さなければならない。
 基金の業務上の余裕金は、政令の定めるところにより、事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的に運用しなければならない。
 基金は、事業年度その他その財務に関しては、前二条及び前項の規定によるほか、政令の定めるところによらなければならない。

第百三十六条の五  基金が締結した次の各号に掲げる契約の相手方は、法令及び当該契約を遵守し、基金のため忠実にその業務を遂行しなければならない。
 第百三十条の二第一項の規定による信託、保険若しくは共済の契約又は同項に規定する投資一任契約
 第百三十条の二第二項(第百三十六条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定による信託の契約
 第百三十六条の三第一項各号に掲げる運用の方法に係る契約
 第百三十六条の三第三項に規定する年金給付等積立金の管理の委託に関する契約

     第六款 費用の負担

第百三十八条  基金は、基金が支給する年金たる給付及び一時金たる給付に関する事業に要する費用に充てるため、掛金を徴収する。ただし、政令で定める場合にあつては、この限りでない。
 掛金(第五項又は第六項の規定により徴収する掛金を除く。次項及び第四項において同じ。)は、老齢年金給付の額の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
 掛金の額は、政令の定めるところにより、加入員の標準給与の額を標準として算定するものとする。
 第百二十九条第二項に規定する加入員に係る掛金の額は、前項の規定にかかわらず、同項の規定により算定した額に、標準給与の額の基礎となる給与の額に対する当該基金の設立事業所で受ける給与の額の割合を乗じて得た額とする。
 基金の設立事業所が減少する場合(設立事業所の事業主が、分割又は事業の譲渡により他の設立事業所の事業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合その他の設立事業所の減少に相当するものとして厚生労働省令で定める事由が生じた場合を含む。)において、当該減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加することとなるときは、当該基金は、当該増加する額に相当する額として厚生労働省令で定める計算方法のうち規約で定めるものにより算定した額を、当該減少に係る設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。
 基金が解散する場合において、当該解散する日における年金給付等積立金の額が、政令で定める額を下回るときは、当該基金は、当該下回る額を、設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。

第百三十九条  加入員及び加入員を使用する設立事業所の事業主は、それぞれ掛金(前条第五項又は第六項の規定により徴収する掛金を除く。次項において同じ。)の半額を負担する。
 基金は、前項の規定にかかわらず、政令で定める範囲内において、規約の定めるところにより、設立事業所の事業主の負担すべき掛金の額の負担の割合を増加することができる。
 前条第五項及び第六項の規定により徴収する掛金については、事業主が負担するものとする。ただし、加入員は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、当該掛金の一部を負担することができる。
 設立事業所の事業主は、その使用する加入員及び自己の負担する掛金を納付する義務を負う。
 設立事業所の事業主は、基金の同意があるときは、政令の定めるところにより、掛金を金銭に代えて金融商品取引所に上場されている株式で納付することができる。
 加入員が同一の基金の設立事業所の二以上に同時に使用される場合における各事業主の負担すべき掛金の額及び掛金の納付義務については、政令の定めるところによる。
 育児休業等をしている加入員(第百二十九条第二項に規定する加入員を除く。)を使用する設立事業所の事業主が、厚生労働省令の定めるところにより基金に申出をしたときは、第一項及び第二項の規定にかかわらず、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係る掛金のうち、免除保険料額(当該加入員の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ第八十一条の三第一項に規定する免除保険料率を乗じて得た額をいう。以下同じ。)を免除する。
 育児休業等をしている加入員であつて第百二十九条第二項に規定する加入員である者を使用する設立事業所の事業主が、厚生労働省令の定めるところにより基金に申出をしたときは、第一項及び第二項の規定にかかわらず、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係る掛金のうち、免除保険料額に前条第四項に規定する割合を乗じて得た額を免除する。

第百四十条  基金は、第百二十九条第二項に規定する加入員に係る老齢年金給付の支給に要する費用の一部に充てるため、当該加入員につき第百三十八条第三項の規定により算定した額から当該加入員に係る掛金の額を控除した額に相当する金額を徴収する。ただし、第百三十八条第一項の政令で定める場合にあつては、この限りでない。
 当該加入員及び第百二十九条第二項に規定する当該基金の設立事業所以外の適用事業所の事業主(第十条第二項の同意をした事業主を含む。)は、それぞれ前項の徴収金を負担する。
 前項の規定により事業主が負担する徴収金の額は、事業主が当該基金の設立事業所の事業主であるとした場合において当該加入員につき掛金として負担すべきこととなる額に相当する額とする。ただし、その額が次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める額を超えるときは、それぞれ当該各号に定める額とする。
 当該事業主が設立事業所の事業主である場合 当該加入員がその事業主の事業所又は船舶に設立された基金の加入員であるとした場合においてその者につき掛金として負担すべきこととなる額
 当該事業主が設立事業所の事業主でない場合 当該加入員が加入員でないとした場合においてその者につき保険料として負担すべきこととなる額からその者につき保険料として負担する額を控除した額に相当する額
 当該加入員は、第一項の徴収金の額から前項の規定により事業主が負担する額を控除した額を負担する。
 第一項の徴収金は、当該加入員に係る老齢年金給付の額の計算の基礎となる加入員であつた期間の各月につき、徴収するものとする。
 当該加入員を使用する事業主は、当該加入員及び自己の負担する徴収金を納付する義務を負う。
 当該加入員が当該基金の設立事業所以外の事業所又は船舶の二以上に同時に使用される場合における各事業主の徴収金の納付義務については、政令の定めるところによる。
 当該加入員に係る前条第八項に規定する申出があつたときは、第一項から第四項までの規定にかかわらず、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係る第一項の徴収金のうち、免除保険料額から前条第八項の規定により免除された額を控除した額を免除する。
 育児休業等をしている当該加入員を使用する事業主は、当該加入員を使用する当該基金の設立事業所の事業主に代わつて、前条第八項に規定する申出をすることができる。

第百四十一条  第八十三条、第八十四条及び第八十五条の規定は、掛金及び前条第一項の規定による徴収金について、第八十六条から第八十九条までの規定は、掛金その他この節の規定による徴収金について準用する。この場合において、第八十三条第二項及び第三項、第八十六条第一項、第二項、第五項及び第六項並びに第八十七条第一項中「厚生労働大臣」とあるのは「基金」と、同項から同条第三項までの規定中「保険料額」とあるのは「掛金又は第百四十条第一項の規定による徴収金の金額」と、同条第一項、第二項、第四項及び第六項中「保険料」とあるのは「掛金又は第百四十条第一項の規定による徴収金」と、同項中「第四十条の二、第八十五条の二及び第八十五条の三」とあるのは「第百三十六条において準用する第四十条の二」と読み替えるほか、掛金については、第八十三条第二項中「納付した保険料額」とあるのは「納付した掛金(金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十六項 に規定する金融商品取引所に上場されている株式で納付した掛金を除く。)の額働大臣の認可を受けなければならない。

     第七款 基金間の移行等

第百四十二条  基金は、合併しようとするときは、代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
 合併によつて基金を設立するには、各基金がそれぞれ代議員会において役員又は代議員のうちから選任した設立委員が共同して規約をつくり、その他設立に必要な行為をしなければならない。
 合併により設立された基金又は合併後存続する基金は、合併により消滅した基金の権利義務を承継する。
 基金が合併したときは、合併により消滅した基金の加入員であつた者の当該基金の加入員であつた期間は、合併により設立された基金又は合併後存続する基金の加入員であつた期間とみなす。ただし、企業年金連合会又は他の基金がその支給に関する義務を承継している老齢年金給付の額の計算の基礎となる基金の加入員であつた期間については、この限りでない。

第百四十三条  基金は、分割しようとするときは、代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
 基金の分割は、設立事業所の一部について行なうことはできない。
 分割を行う場合においては、分割により設立される基金の加入員となるべき被保険者又は分割後存続する基金の加入員である被保険者の数は、第百十条第一項又は第二項の政令で定める数以上でなければならない。
 分割によつて基金を設立するには、分割により設立される基金の設立事業所となるべき適用事業所の事業主が規約をつくり、その他設立に必要な行為をしなければならない。
 分割により設立された基金は、分割により消滅した基金又は分割後存続する基金の権利義務の一部を承継する。
 前項の規定により承継する権利義務の限度は、分割の議決とともに議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
 基金が分割したときは、分割により設立された基金に老齢年金給付の支給に関する義務が承継された者の分割により消滅した基金又は分割後存続する基金の加入員であつた期間は、当該義務を承継した分割により設立された基金の加入員であつた期間とみなす。ただし、企業年金連合会又は他の基金がその支給に関する義務を承継している老齢年金給付の額の計算の基礎となる基金の加入員であつた期間については、この限りでない。

第百四十四条  基金がその設立事業所を増加させ、又は減少させるには、その増加又は減少に係る適用事業所の事業主の全部及びその適用事業所に使用される被保険者の二分の一以上の同意を得なければならない。
 基金がその設立事業所を増加させる場合において、その増加に係る適用事業所に使用される被保険者の三分の一以上で組織する労働組合があるときは、前項の同意のほか、当該労働組合の同意を得なければならない。
 前二項の場合において、その増加又は減少に係る適用事業所が二以上であるときは、第一項の被保険者の同意又は前項の同意は、各適用事業所について得なければならない。
 第六条第三項の規定による認可の申請があつた事業所に係る設立事業所の増加に関する規約の変更の認可の申請を行う場合にあつては、前三項中「被保険者」とあるのは、「被保険者となるべき者」とする。
 第一項の規定により設立事業所を減少させる場合においては、基金の加入員は、設立事業所を減少させた後においても、第百十条第一項又は第二項の政令で定める数以上でなければならない。

第百四十四条の二  甲基金は、乙基金に申し出て、甲基金の設立事業所(政令で定める場合にあつては、設立事業所の一部。以下この条において「脱退事業所」という。)に使用される甲基金の加入員又は加入員であつた者に係る甲基金の加入員であつた期間(企業年金連合会又は他の基金がその支給に関する義務を承継している老齢年金給付の額の計算の基礎となる甲基金の加入員であつた期間を除く。)に係る年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する権利義務を移転することができる。
 甲基金が前項の規定により権利義務の移転を申し出るには、甲基金の代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決した上で、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
 乙基金は、第一項の規定により権利義務の移転の申出があつたときは、当該年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する権利義務を承継することができる。
 乙基金は、前項の規定により権利義務を承継しようとするときは、その代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
 乙基金が第三項の規定により権利義務を承継したときは、乙基金に老齢年金給付の支給に関する義務が承継された者の甲基金の加入員であつた期間は、乙基金の加入員であつた期間とみなす。

第百四十四条の三  甲基金の中途脱退者(当該基金の加入員の資格を喪失した者(当該加入員の資格を喪失した日において当該基金が支給する老齢年金給付の受給権を有する者を除く。)であつて、政令で定めるところにより計算したその者の当該基金の加入員であつた期間が政令で定める期間に満たないものをいう。以下同じ。)は、乙基金の加入員の資格を取得した場合であつて、甲基金及び乙基金の規約において、あらかじめ、甲基金から乙基金に甲基金の加入員であつた期間に係る老齢年金給付の支給に関する権利義務の移転ができる旨が定められているときは、甲基金に当該権利義務の移転を申し出ることができる。
 甲基金は、前項の規定により権利義務の移転の申出があつたときは、乙基金に当該老齢年金給付の支給に関する権利義務の移転を申し出るものとする。
 乙基金は、前項の規定により権利義務の移転の申出があつたときは、当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継するものとする。
 前項の規定により乙基金が当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継する場合においては、甲基金から乙基金に年金給付等積立金(当該老齢年金給付に充てるべき積立金に限る。)を移換するものとする。
 第一項の申出を行う中途脱退者は、乙基金の規約において、あらかじめ、甲基金から脱退を支給理由とする第百三十条第二項の一時金たる給付(以下「脱退一時金」という。)の額に相当する額(以下「脱退一時金相当額」という。)の移換を受けることができる旨が定められている場合においては、当該申出に併せて、甲基金に脱退一時金相当額の移換を申し出ることができる。
 甲基金は、前項の規定により脱退一時金相当額の移換の申出があつたときは、乙基金に当該申出に係る脱退一時金相当額を移換するものとする。
 乙基金は、前項の規定により脱退一時金相当額の移換を受けたときは、当該移換金を原資として、規約で定めるところにより、当該中途脱退者に対し、第百三十条第一項から第三項までに規定する給付(以下「老齢年金給付等」という。)の支給を行うものとする。
 甲基金は、第六項の規定により脱退一時金相当額を移換したときは、当該中途脱退者に係る脱退一時金の支給に関する義務を免れる。
 乙基金は、第三項の規定により当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継したとき、又は第七項の規定により老齢年金給付等の支給を行うこととなつたときは、その旨を当該中途脱退者に通知しなければならない。

第百四十四条の四  この款に定めるもののほか、基金の合併及び分割、設立事業所の増減、基金間の権利義務の移転及び承継並びに脱退一時金相当額の移換に関し必要な事項は、政令で定める。

     第八款 確定拠出年金への移行等

第百四十四条の五  基金は、規約で定めるところにより、年金給付等積立金の一部を、設立事業所の事業主が実施する企業型年金(確定拠出年金法 (平成十三年法律第八十八号)第二条第二項 に規定する企業型年金をいう。以下同じ。)における当該設立事業所に使用される加入員の個人別管理資産(同条第十二項 に規定する個人別管理資産をいう。以下この条において同じ。)に充てる場合には、政令で定めるところにより、当該年金給付等積立金の一部を当該企業型年金の資産管理機関(同条第七項第一号ロに規定する資産管理機関をいう。以下同じ。)に移換することができる。
 前項の規約を定める場合には、当該企業型年金を実施する設立事業所の事業主の全部及び加入員のうち当該年金給付等積立金の移換に係る加入員(以下この条において「移換加入員」という。)となるべき者の二分の一以上の同意並びに加入員のうち移換加入員となるべき者以外の者の二分の一以上の同意を得なければならない。
 前項の場合において、当該企業型年金が実施される設立事業所が二以上であるときは、同項の移換加入員となるべき者の同意は、各設立事業所について得なければならない。
 解散した基金は、規約で定めるところにより、残余財産の全部又は一部を、当該解散した基金に係る適用事業所の事業主が実施する企業型年金における当該適用事業所に使用される被保険者の個人別管理資産に充てる場合には、政令で定めるところにより、当該残余財産の全部又は一部を当該企業型年金の資産管理機関に移換することができる。この場合において、第百四十七条第四項中「残余財産」とあるのは、「残余財産(第百四十四条の五第四項の規定により移換されたものを除く。)」とする。
 前各項に定めるもののほか、基金に係る適用事業所の事業主が企業型年金を実施する場合における当該基金に関するこの法律その他の法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第百四十四条の六  基金の中途脱退者は、企業型年金加入者(確定拠出年金法第二条第八項 に規定する企業型年金加入者をいう。第百六十五条の三第一項において同じ。)又は個人型年金加入者(同法第二条第十項 に規定する個人型年金加入者をいう。第百六十五条の三第一項において同じ。)の資格を取得したときは、当該基金に当該企業型年金の資産管理機関又は同法第二条第五項 に規定する連合会(以下「国民年金基金連合会」という。)への脱退一時金相当額の移換を申し出ることができる。
 当該基金は、前項の規定により脱退一時金相当額の移換の申出があつたときは、当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に当該申出に係る脱退一時金相当額を移換するものとする。
 当該基金は、前項の規定により脱退一時金相当額を移換したときは、当該中途脱退者に係る脱退一時金の支給に関する義務を免れる。
 当該企業型年金の企業型記録関連運営管理機関等(確定拠出年金法第十七条 に規定する企業型記録関連運営管理機関等をいう。第百六十五条の三第四項において同じ。)又は国民年金基金連合会は、第二項の規定により脱退一時金相当額が当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に移換されたときは、その旨を当該中途脱退者に通知しなければならない。
 前各項に定めるもののほか、基金から確定拠出年金への脱退一時金相当額の移換に関し必要な事項は、政令で定める。

     第九款 解散及び清算

第百四十五条  基金は、次に掲げる理由により解散する。
 代議員の定数の四分の三以上の多数による代議員会の議決
 基金の事業の継続の不能
 第百七十九条第五項の規定による解散の命令
 基金は、前項第一号又は第二号に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

第百四十六条  基金は、解散したときは、当該基金の加入員であつた者に係る年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する義務を免れる。ただし、解散した日までに支給すべきであつた年金たる給付若しくは一時金たる給付でまだ支給していないものの支給又は第百四十四条の三第四項若しくは第六項、第百四十四条の六第二項若しくは確定給付企業年金法第百十五条の三第二項 の規定により解散した日までに移換すべきであつた年金給付等積立金若しくは脱退一時金相当額でまだ移換していないものの移換に関する義務については、この限りでない。

第百四十六条の二  解散した基金は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

第百四十七条  基金が第百四十五条第一項第一号又は第二号の規定により解散したときは、理事が、その清算人となる。ただし、代議員会において他人を選任したときは、この限りでない。
 次に掲げる場合には、厚生労働大臣が清算人を選任する。
 前項の規定により清算人となる者がないとき。
 基金が第百四十五条第一項第三号の規定により解散したとき。
 清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるとき。
 前項の場合において、清算人の職務の執行に要する費用は、基金が負担する。
 解散した基金の残余財産は、規約の定めるところにより、その解散した日において当該基金が年金たる給付の支給に関する義務を負つていた者に分配しなければならない。
 前項の規定により残余財産を分配する場合においては、同項に規定する者に、その全額を支払うものとし、当該残余財産を事業主に引き渡してはならない。

第百四十七条の二  清算人の職務は、次のとおりとする。
 現務の結了
 債権の取立て及び債務の弁済
 残余財産の分配
 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

第百四十七条の三  清算人は、その就職の日から二箇月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
 第一項の公告は、官報に掲載してする。

第百四十七条の四  前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、基金の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

第百四十七条の五  第百二十一条の規定は、基金の清算人について準用する。
 この款に定めるもののほか、解散した基金の清算に関し必要な事項は、政令で定める。

第百四十八条  厚生労働大臣は、解散した基金について必要があると認めるときは、その清算事務の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして当該基金の事務所に立ち入つて関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。
 第百条第二項において準用する第九十六条第二項の規定は、前項の規定による質問及び検査について、第百条第三項の規定は、前項の規定による権限について準用する。
 厚生労働大臣は、第一項の規定により報告を徴し、又は質問し、若しくは検査した場合において、その清算事務が法令、規約、若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、その清算事務が著しく適正を欠くと認めるとき、又は清算人がその清算事務を明らかに怠つていると認めるときは、期間を定めて、解散した基金又はその清算人に対し、その清算事務について違反の是正又は改善のため必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
 解散した基金又はその清算人が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、当該基金に対し、期間を定めて、当該違反に係る清算人の全部若しくは一部の改任を命じ、又は当該違反に係る清算人を解任することができる。

    第二節 企業年金連合会

     第一款 通則

第百四十九条  基金は、中途脱退者及び解散した基金が老齢年金給付の支給に関する義務を負つていた者(以下「解散基金加入員」という。)に係る老齢年金給付の支給を共同して行うとともに、第百六十五条から第百六十五条の三までに規定する年金給付等積立金の移換を円滑に行うため、企業年金連合会(以下「連合会」という。)を設立することができる。
 連合会は、全国を通じて一個とする。

第百五十条  連合会は、法人とする。
 連合会の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

第百五十一条  連合会は、その名称中に企業年金連合会という文字を用いなければならない。
 連合会でない者は、企業年金連合会という名称を用いてはならない。

     第二款 設立及び管理

第百五十二条  連合会を設立しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
 前項の認可の申請は、五以上の基金が共同して規約をつくり、基金の三分の二以上の同意を得て行なうものとする。
 連合会は、設立の認可を受けた時に成立する。
 厚生労働大臣は、基金の行なう事業の健全な発展を図るために必要があると認めるときは、基金に対し、連合会に加入することを命ずることができる。
 第百十四条の規定は、連合会について準用する。この場合において、同条中「基金の設立の認可の申請をした適用事業所の事業主」とあるのは「連合会の設立の認可の申請をした基金の理事長」と、「当該適用事業所の事業主」とあるのは「当該基金の理事長」と読み替えるものとする。

第百五十三条  連合会は、規約をもつて次に掲げる事項を定めなければならない。
 名称
 事務所の所在地
 評議員会に関する事項
 役員に関する事項
 会員の資格に関する事項
 年金たる給付及び一時金たる給付に関する事項
 附帯事業に関する事項
 年金給付等積立金の管理及び運用に関する契約に関する事項
 会費に関する事項
 事業年度その他財務に関する事項
十一  解散及び清算に関する事項
十二  業務の委託に関する事項
十三  公告に関する事項
十四  その他組織及び業務に関する重要事項
 第百十五条第二項及び第三項の規定は、連合会の規約について準用する。

第百五十四条  第百十六条の規定は、連合会について準用する。

第百五十五条  連合会に、評議員会を置く。
 評議員会は、評議員をもつて組織する。
 評議員は、会員の代表者において互選する。
 評議員の任期は、二年とする。ただし、補欠の評議員の任期は、前任者の残任期間とする。
 評議員会は、理事長が招集する。評議員の定数の三分の一以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して評議員会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあつた日から二十日以内に評議員会を招集しなければならない。
 評議員会に議長を置く。議長は、理事長をもつて充てる。
 前各項に定めるもののほか、評議員会の招集、議事の手続その他評議員会に関し必要な事項は、政令で定める。

第百五十六条  次に掲げる事項は、評議員会の議決を経なければならない。
 規約の変更
 毎事業年度の予算
 毎事業年度の事業報告及び決算
 その他規約で定める事項
 理事長は、評議員会が成立しないとき、又は理事長において評議員会を招集する暇がないと認めるときは、評議員会の議決を経なければならない事項で臨時急施を要するものを処分することができる。
 理事長は、前項の規定による処置については、次の評議員会においてこれを報告し、その承認を求めなければならない。
 評議員会は、監事に対し、連合会の業務に関する監査を求め、その結果の報告を請求することができる。

第百五十七条  連合会に、役員として理事及び監事を置く。
 理事及び監事は、評議員において互選する。ただし、特別の事情があるときは、評議員以外の者のうちから評議員会で選任することを妨げない。
 理事のうち一人を理事長とし、理事において互選する。
 役員の任期は、二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
 役員は、その任期が満了しても、後任の役員が就任するまでの間は、なお、その職務を行なう。
 監事は、理事又は連合会の職員と兼ねることができない。

 連合会の業務は、規約に別段の定めのある場合を除くほか、理事の過半数により決し、可否同数のときは、理事長の決するところによる。
 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、年金給付等積立金の管理及び運用に関する連合会の業務を執行することができる。
 監事は、連合会の業務を監査する。
 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は評議員会に意見を提出することができる。
 第百二十一条の規定は、連合会の役員及び連合会に使用され、その事務に従事する者について準用する。

第百五十八条の二  理事は、前条第三項に規定する連合会の業務について、法令、法令に基づいてする厚生労働大臣の処分、規約及び評議員会の議決を遵守し、連合会のため忠実にその職務を遂行しなければならない。
 理事が前条第三項に規定する連合会の業務についてその任務を怠つたときは、その理事は、連合会に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。

第百五十八条の三  理事は、自己又は連合会以外の第三者の利益を図る目的をもつて、年金給付等積立金の管理及び運用の適正を害するものとして厚生労働省令で定める行為をしてはならない。
 連合会は、前項の規定に違反した理事を、規約の定めるところにより、評議員会の議決を経て、交代させることができる。

第百五十八条の四  連合会と理事長(第百五十八条第一項の規定により理事長の職務を代理し、又はその職務を行う者を含む。以下この条において同じ。)との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事が連合会を代表する。

第百五十八条の五  連合会の会員たる資格を有する者は、次の者とする。
 基金
 前号の者以外の者であつて、確定給付企業年金(確定給付企業年金法第二条第一項 に規定する確定給付企業年金をいう。第百六十五条の二において同じ。)その他政令で定める年金制度を実施するものとして規約で定めるもの

     第三款 連合会の行う業務

第百五十九条  連合会は、第百六十条第五項の規定により老齢年金給付の支給に関する義務を承継している中途脱退者及び解散基金加入員に対し老齢年金給付の支給を行うほか、第百六十条の二第三項及び第百六十一条第五項の規定により一時金たる給付の支給を行うものとする。
 連合会は、前項に規定する業務のほか、第百四十七条第四項に規定する残余財産の交付を受け、同項に規定する者について、死亡又は障害を支給理由とする年金たる給付又は一時金たる給付を行うことができる。
 連合会は、第百六十五条第一項、第百六十五条の二第一項又は第百六十五条の三第一項の規定による申出に基づき、基金、確定給付企業年金の資産管理運用機関等(確定給付企業年金法第三十条第三項 に規定する資産管理運用機関等をいう。第百六十五条の二第一項から第三項までにおいて同じ。)又は企業型年金の資産管理機関若しくは国民年金基金連合会に年金給付等積立金を移換することができる。
 連合会は、次の事業を行うことができる。ただし、第一号に掲げる事業を行う場合には、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
 解散基金加入員に支給する老齢年金給付につき一定額が確保されるよう、基金の拠出金等を原資として、老齢年金給付の額を付加する事業
 会員の行う事業の健全な発展を図るために必要な事業であつて政令で定めるもの
 連合会は、基金の加入員及び加入員であつた者並びに前条第二号に規定する年金制度の加入者及び加入者であつた者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。
 連合会は、第百三十条第五項の規定による委託を受けて、基金の業務の一部を行うことができる。
 連合会は、その業務の一部を、政令で定めるところにより、信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協同組合連合会その他の法人に委託することができる。

第百五十九条の二  連合会は、年金たる給付及び一時金たる給付に要する費用に関して、信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社若しくは農業協同組合連合会と信託、保険若しくは共済の契約を締結し、又は金融商品取引業者と投資一任契約を締結するときは、政令で定めるところによらなければならない。
 連合会は、前項に規定する投資一任契約を締結する場合においては、当該投資一任契約に係る年金給付等積立金について、政令の定めるところにより、信託会社又は信託業務を営む金融機関と運用方法を特定する信託の契約を締結しなければならない。
 第百三十条の二第三項の規定は、前二項に規定する契約について準用する。

第百五十九条の三  連合会は、適正な年金数理に基づいてその業務を行わなければならない。

第百六十条  基金は、政令で定めるところにより、連合会に申し出て、中途脱退者の当該基金の加入員であつた期間に係る老齢年金給付の支給に関する義務を移転することができる。
 連合会は、前項の規定により義務の移転の申出があつたときは、これを拒絶してはならない。
 第一項の規定により義務の移転を行なう場合には、基金は、連合会に対し、当該中途脱退者の加入員であつた期間に係る老齢年金給付の現価に相当する金額(以下「現価相当額」という。)を交付しなければならない。
 前項の規定により交付すべき現価相当額の計算については、政令で定める。
 連合会は、第三項の規定により現価相当額の交付を受けたときは、当該老齢年金給付の支給に関する義務を承継するものとする。
 連合会は、前項の規定により中途脱退者に係る老齢年金給付の支給に関する義務を承継したときは、その旨を当該中途脱退者に通知しなければならない。
 連合会は、中途脱退者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、同項の通知に代えて、その通知すべき事項を公告しなければならない。

第百六十条の二  基金は、規約の定めるところにより、前条第一項の規定による申出に係る中途脱退者に支給すべき脱退一時金相当額の交付を連合会に申し出ることができる。
 前項の規定により申出をした基金は、当該中途脱退者に係る前条第三項の規定による現価相当額の交付をするときに、当該申出に係る脱退一時金相当額を連合会に交付しなければならない。
 連合会は、前項の規定により脱退一時金相当額の交付を受けたときは、当該交付金を原資として、政令の定めるところにより、当該中途脱退者に係る老齢年金給付の額を加算し、又は死亡を支給理由とする一時金(以下「死亡一時金」という。)その他の一時金たる給付を支給するものとする。
 基金は、第二項の規定により脱退一時金相当額を交付したときは、当該中途脱退者に係る脱退一時金の支給に関する義務を免れる。
 連合会は、第三項の規定により中途脱退者に係る老齢年金給付の額を加算し、又は一時金たる給付を支給することとなつたときは、前条第六項の規定による通知に併せて、その旨を当該中途脱退者に通知しなければならない。
 前条第二項の規定は、第一項の規定による申出について、同条第七項の規定は、前項の規定による通知について準用する。

第百六十一条  連合会は、基金が解散したときは、解散基金加入員に係る第八十五条の二に規定する責任準備金に相当する額を当該解散した基金から徴収する。
 解散基金加入員が老齢厚生年金の受給権を取得したとき又は基金が解散した日において当該基金に係る解散基金加入員が老齢厚生年金の受給権を有していたときは、連合会は、当該解散基金加入員に老齢年金給付を支給するものとする。
 前項の老齢年金給付の額は、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となつた被保険者であつた期間のうち同時に当該解散した基金の加入員であつた期間に係る第百三十二条第二項に規定する額(第四十四条の三第一項の規定による申出をした者に連合会が支給する老齢年金給付の額は、第百三十二条第二項に規定する額に、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの当該解散した基金の加入員であつた被保険者期間を基礎として、同項の規定の例により計算した額及び第百六十三条の三第一項の規定の例により計算したその支給を停止するものとされた額を勘案して政令で定める額を加算した額)とする。
 解散した基金は、規約の定めるところにより、第百四十七条第四項の規定により解散基金加入員に分配すべき残余財産の交付を連合会に申し出ることができる。
 連合会は、前項の規定による申出に従い解散基金加入員に分配すべき残余財産の交付を受けたときは、当該交付金を原資として、政令の定めるところにより、当該解散基金加入員に係る老齢年金給付の額を加算し、又は死亡一時金その他の一時金たる給付を支給するものとする。
 連合会が前項に規定する残余財産の交付を受けたときは、第百四十七条第四項の規定の適用については、当該残余財産は、当該解散基金加入員に分配されたものとみなす。
 連合会は、第五項の規定により解散基金加入員に係る老齢年金給付の額を加算し、又は一時金たる給付を支給することとなつたときは、その旨を当該解散基金加入員に通知しなければならない。
 第百六十条第二項の規定は、第四項の規定による申出について、同条第七項の規定は、前項の規定による通知について準用する。

第百六十二条  連合会が第百五十九条第二項に規定する業務を行つている場合にあつては、解散した基金は、規約の定めるところにより、第百四十七条第四項に規定する者に分配すべき残余財産(前条第四項の規定により交付を申し出たものを除く。)の交付を連合会に申し出ることができる。
 連合会は、前項の規定による申出に従い、前項に規定する残余財産の交付を受けたときは、当該交付金を原資として、政令で定めるところにより、当該第百四十七条第四項に規定する者に対し、死亡又は障害を支給理由とする年金たる給付又は一時金たる給付を支給するものとする。
 前条第六項及び第七項の規定は、前二項の場合について準用する。この場合において、同条第六項中「前項」とあるのは「第百六十二条第二項」と、「解散基金加入員」とあるのは「第百四十七条第四項に規定する者」と、同条第七項中「第五項の規定により解散基金加入員に係る老齢年金給付の額を加算し、」とあるのは「第百六十二条第二項の規定により年金たる給付」と、「当該解散基金加入員」とあるのは「当該第百四十七条第四項に規定する者」と、それぞれ読み替えるものとする。
 第百六十条第二項の規定は、第一項の規定による申出について、同条第七項の規定は、前項において読み替えて準用する前条第七項の規定による通知について準用する。

第百六十三条  連合会が支給する年金たる給付及び一時金たる給付を受ける権利は、その権利を有する者の請求に基づいて、連合会が裁定する。

第百六十三条の二  連合会が第百六十一条第二項の規定により支給する老齢年金給付(以下「解散基金に係る老齢年金給付」という。)は、当該解散基金加入員が受給権を有する老齢厚生年金につき第三十八条第一項後段又は第三十八条の二第一項若しくは第二項の規定によりその支給が停止されているときは、その間、その支給を停止するものとする。ただし、当該老齢年金給付のうち、第百六十一条第五項の規定により加算された額に相当する部分については、この限りでない。

第百六十三条の三  老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合であつて、第四十六条第五項において読み替えられた同条第一項の規定により当該老齢厚生年金がその全額又は当該老齢厚生年金(第四十四条第一項に規定する加給年金額(以下この項において「加給年金額」という。)又は第四十四条の三第四項に規定する加算額(以下この項において「繰下げ加算額」という。)が加算されているものに限る。)の額から加給年金額及び繰下げ加算額を控除して得た額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときは、解散基金に係る老齢年金給付(第百六十一条第三項の政令で定める額及び同条第五項の規定により加算された額に相当する部分を除く。以下この項において「解散基金に係る代行部分」という。)について、支給停止基準額から当該老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く。)を控除して得た額に解散基金に係る代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(次項において「支給停止額」という。)に相当する部分(その額が解散基金に係る代行部分の額以上であるときは、解散基金に係る代行部分の全部)の支給を停止する。
 支給停止額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。

第百六十三条の四  連合会は、第七十八条の六第一項及び第二項又は第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬の改定が行われたときは、第百六十条第五項の規定により老齢年金給付の支給に関する義務を承継している中途脱退者又は解散基金加入員であつて当該改定に係る第一号改定者又は特定被保険者である者の老齢年金給付の支給に関する義務の一部(第八十五条の三の規定により政府が徴収する額に相当する老齢年金給付の支給に関する義務に限る。)を免れる。
 第百三十三条の三第二項及び第三項の規定は、前項の規定により連合会が老齢年金給付の支給に関する義務の一部を免れる場合について準用する。この場合において、同条第二項及び第三項中「基金」とあるのは、「連合会」と読み替えるものとする。

第百六十四条  第三十七条、第四十条、第四十条の二及び第四十一条第一項の規定は、連合会が支給する年金たる給付及び一時金たる給付について、第三十六条第一項及び第二項並びに第三十九条第二項前段の規定は、連合会が支給する年金たる給付について、第百三十五条の規定は、連合会が支給する老齢年金給付について、第三十五条及び第四十五条の規定は、解散基金に係る老齢年金給付について、第四十一条第二項の規定は、連合会が支給する死亡又は障害を支給理由とする年金たる給付及び一時金たる給付について準用する。この場合において、第三十五条第一項中「、保険給付の額」とあるのは「、保険給付の額(第百六十一条第五項の規定により加算された額を除く。)」と、第三十七条第一項から第三項まで、第四十条及び第四十五条中「受給権者」とあるのは「受給権を有する者」と、第四十条中「政府」とあり、及び第四十条の二中「厚生労働大臣」とあるのは「連合会」と、第四十一条第一項及び第四十五条中「老齢厚生年金」とあるのは「連合会が支給する老齢年金給付」と、それぞれ読み替えるものとする。
 第八十六条から第八十九条までの規定は、前項において準用する第四十条の二の規定及び第百六十一条第一項の規定による徴収金について準用する。この場合において、第八十六条第一項、第二項、第五項及び第六項並びに第八十七条第一項中「厚生労働大臣」とあるのは「連合会」と、同条第六項中「第四十条の二、第八十五条の二及び第八十五条の三」とあるのは「第百六十四条第一項において準用する第四十条の二及び第百六十一条第一項」と読み替えるものとする。
 第百三十六条の二から第百三十六条の五までの規定は、連合会の年金給付等積立金の積立て及びその運用、業務上の余裕金の運用並びに事業年度その他その財務について準用する。

第百六十五条  連合会が第百六十条第五項、第百六十条の二第三項又は第百六十一条第二項若しくは第五項の規定により給付の支給に関する義務を負つている者(以下「中途脱退者等」という。)は、基金の加入員の資格を取得した場合であつて、連合会及び当該基金の規約において、あらかじめ、連合会から当該基金に老齢年金給付(第百六十条の二第三項又は第百六十一条第五項の規定により加算された額に相当する部分を除く。次項から第五項まで及び第九項において同じ。)の支給に関する権利義務の移転ができる旨が定められているときは、連合会に当該権利義務の移転を申し出ることができる。ただし、中途脱退者等が連合会が支給する老齢年金給付の受給権を有するときは、この限りでない。
 連合会は、前項の規定により権利義務の移転の申出があつたときは、当該基金に当該老齢年金給付の支給に関する権利義務の移転を申し出るものとする。
 当該基金は、前項の規定により権利義務の移転の申出があつたときは、当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継するものとする。
 前項の規定により当該基金が当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継する場合においては、連合会から当該基金に年金給付等積立金(当該老齢年金給付に充てるべき積立金に限る。)を移換するものとする。
 第一項の申出を行う中途脱退者等は、連合会及び当該基金の規約において、あらかじめ、連合会から当該基金に連合会の規約で定める年金給付等積立金(同項の老齢年金給付に充てるべき積立金を除く。以下この条から第百六十五条の三までにおいて同じ。)の移換ができる旨が定められている場合においては、当該申出に併せて、連合会に当該年金給付等積立金の移換を申し出ることができる。
 連合会は、前項の規定により年金給付等積立金の移換の申出があつたときは、当該基金に当該申出に係る年金給付等積立金を移換するものとする。
 当該基金は、前項の規定により年金給付等積立金の移換を受けたときは、当該移換金を原資として、規約で定めるところにより、当該中途脱退者等に対し、老齢年金給付等の支給を行うものとする。
 連合会あつて、連合会及び当該確定給付企業年金の規約において、あらかじめ、連合会から当該確定給付企業年金の資産管理運用機関等に連合会の規約で定める年金給付等積立金の移換ができる旨が定められているときは、連合会に当該年金給付等積立金の移換を申し出ることができる。ただし、中途脱退者等が連合会が支給する老齢年金給付の受給権を有するときは、この限りでない。
 連合会は、前項の規定により年金給付等積立金の移換の申出があつたときは、当該確定給付企業年金の資産管理運用機関等に当該申出に係る年金給付等積立金を移換するものとする。
 当該確定給付企業年金の事業主等(確定給付企業年金法第二十九条第一項 に規定する事業主等をいう。第五項において同じ。)は、前項の規定により当該確定給付企業年金の資産管理運用機関等が年金給付等積立金の移換を受けたときは、当該移換金を原資として、規約で定めるところにより、当該中途脱退者等に対し、確定給付企業年金法第二十九条第一項 各号及び第二項 各号に掲げる給付の支給を行うものとする。
 連合会は、第二項の規定により年金給付等積立金を移換したときは、当該中途脱退者等に係る老齢年金給付又は死亡一時金その他の一時金たる給付の支給に関する義務を免れる。
 当該確定給付企業年金の事業主等は、第三項の規定により給付の支給を行うこととなつたときは、その旨を当該中途脱退者等に通知しなければならない。

第百六十五条の三  中途脱退者等は、企業型年金加入者又は個人型年金加入者の資格を取得した場合であつて、連合会の規約において、あらかじめ、当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に連合会の規約で定める年金給付等積立金の移換ができる旨が定められているときは、連合会に当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会への当該年金給付等積立金の移換を申し出ることができる。ただし、中途脱退者等が連合会が支給する老齢年金給付の受給権を有するときは、この限りでない。
 連合会は、前項の規定により年金給付等積立金の移換の申出があつたときは、当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に当該申出に係る年金給付等積立金を移換するものとする。
 連合会は、前項の規定により年金給付等積立金を移換したときは、当該中途脱退者等に係る老齢年金給付又は死亡一時金その他の一時金たる給付の支給に関する義務を免れる。
 当該企業型年金の企業型記録関連運営管理機関等又は国民年金基金連合会は、第二項の規定により年金給付等積立金が当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に移換されたときは、その旨を当該中途脱退者等に通知しなければならない。

第百六十五条の四  前三条に定めるもののほか、連合会からの年金給付等積立金の移換に関し必要な事項は、政令で定める。

     第四款 解散及び清算

第百六十六条  連合会は、次に掲げる理由により解散する。
 評議員の定数の四分の三以上の多数による評議員会の議決
 第百七十九条第六項の規定による解散の命令
 連合会は、前項第一号に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

第百六十七条  連合会は、解散したときは、中途脱退者及び第百四十七条第四項に規定する者に係る年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する義務を免れる。ただし、解散した日までに支給すべきであつた年金たる給付若しくは一時金たる給付でまだ支給していないものの支給又は第百六十五条第四項若しくは第六項、第百六十五条の二第二項若しくは第百六十五条の三第二項の規定により解散した日までに移換すべきであつた年金給付等積立金でまだ移換していないものの移換に関する義務については、この限りでない。

第百六十八条  連合会が第百六十六条第一項第一号の規定により解散したときは、理事が、その清算人となる。ただし、評議員会において他人を選任したときは、この限りでない。
 連合会が第百六十六条第一項第二号の規定により解散したときは、厚生労働大臣が清算人を選任する。
 第百四十六条の二、第百四十七条第二項(第二号を除く。)及び第三項並びに第百四十七条の二から第百四十八条までの規定は、連合会の清算について準用する。

    第三節 雑則

第百六十九条  標準給与若しくは年金たる給付若しくは一時金たる給付に関する処分又は掛金その他この章の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分若しくは第百四十一条第一項及び第百六十四条第二項において準用する第八十六条の規定による処分に不服がある者については、第六章の規定を準用する。この場合において、第九十一条の三中「第九十条第一項又は第九十一条」とあるのは、「第百六十九条において準用する第九十条第一項又は第九十一条」と読み替えるものとする。

第百七十条  掛金その他この章の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、二年を経過したとき、年金たる給付及び一時金たる給付を受ける権利は、五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
 年金たる給付を受ける権利の時効は、当該年金がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない。
 掛金その他この章の規定による徴収金の納入の告知又は第百四十一条第一項及び第百六十四条第二項において準用する第八十六条第一項の規定による督促は、民法第百五十三条 の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。

第百七十一条  この章又はこの章の規定に基づく命令に規定する期間の計算については、この章に別段の規定がある場合を除くほか、民法 の期間に関する規定を準用する。

第百七十二条  市町村長は、基金、連合会又は年金たる給付若しくは一時金たる給付の受給権を有する者に対して、当該市町村の条例の定めるところにより、加入員、加入員であつた者又は年金たる給付若しくは一時金たる給付の受給権を有する者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。

第百七十三条  基金又は連合会は、必要があると認めるときは、年金たる給付又は一時金たる給付の受給権を有する者に対して、障害の状態に関する書類その他の物件の提出を求めることができる。

第百七十三条の二  厚生労働大臣は、基金又は連合会に対し、老齢年金給付に関して必要な情報の提供を行うものとする。

第百七十四条  第九十八条第一項の規定は、設立事業所の事業主について、同条第二項の規定は、加入員について、同条第三項の規定は、年金たる給付又は一時金たる給付の受給権を有する者について、同条第四項本文の規定は、これらの給付の受給権を有する者が死亡した場合について準用する。この場合において、同条第一項中「第二十七条」とあるのは「第百二十八条」と、第九十八条第一項及び第二項中「厚生労働大臣」とあるのは「基金」と、同項中「事業主」とあるのは「設立事業所の事業主」と、同条第三項及び第四項中「厚生労働大臣」とあるのは「基金又は連合会」と、それぞれ読み替えるものとする。

第百七十六条  基金及び連合会は、第百三十条第五項又は第百五十九条第七項の規定によりその業務の一部を委託したときは、厚生労働省令の定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。委託に係る契約の条項に変更を生じたときも、同様とする。
 基金及び連合会は、年金給付等積立金について、第百三十六条の三第一項第五号イからヘまでに掲げる方法により、それぞれ始めて運用するときは、厚生労働省令の定めるところにより、同条第四項(第百六十四条第三項において準用する場合を含む。)に規定する年金給付等積立金の管理及び運用の体制について厚生労働大臣に届け出なければならない。当該体制に変更を生じたときも、同様とする。

第百七十六条の二  この法律に基づき基金(第百十一条第一項若しくは第百四十三条第四項の規定に基づき基金を設立しようとする事業主又は第百四十二条第二項の規定に基づき合併により基金を設立しようとする設立委員を含む。)又は連合会が厚生労働大臣に提出する年金数理に関する業務に係る書類であつて厚生労働省令で定めるものについては、当該書類が適正な年金数理に基づいて作成されていることを次項に規定する年金数理人が確認し、署名押印したものでなければならない。
 年金数理人は、前項に規定する確認を適確に行うために必要な知識経験を有することその他の厚生労働省令で定める要件に適合する者とする。

第百七十七条  基金及び連合会は、厚生労働省令の定めるところにより、その業務についての報告書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

第百七十七条の二  基金は、厚生労働省令で定めるところにより、その基金の業務の概況について、加入員に周知させなければならない。
 基金は、前項に規定する業務の概況について、加入員以外の者であつて基金が年金たる給付又は一時金たる給付の支給に関する義務を負つているものにも、できる限り同様の措置を講ずるよう努めるものとする。

第百七十八条  厚生労働大臣は、基金又は連合会について、必要があると認めるときは、その事業の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして基金若しくは連合会の事務所に立ち入つて関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。
 第百条第二項において準用する第九十六条第二項の規定は、前項の規定による質問及び検査について、第百条第三項の規定は、前項の規定による権限について準用する。

第百七十八条の二  年金給付等積立金の額が政令で定める額を著しく下回る基金であつて、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたもの(以下この条において「指定基金」という。)は、政令で定めるところにより、その財政の健全化に関する計画(以下この条において「健全化計画」という。)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 前項の承認を受けた指定基金は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければならない。
 厚生労働大臣は、第一項の承認を受けた指定基金の事業及び年金給付等積立金の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定基金に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる。

第百七十九条  厚生労働大臣は、第百七十八条の規定により報告を徴し、又は質問し、若しくは検査した場合において、基金若しくは連合会の事業の管理若しくは執行が法令、規約、若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、基金若しくは連合会の事業の管理若しくは執行が著しく適正を欠くと認めるとき、又は基金若しくは連合会の役員がその事業の管理若しくは執行を明らかに怠つていると認めるときは、期間を定めて、基金若しくは連合会又はその役員に対し、その事業の管理若しくは執行について違反の是正又は改善のため必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
 厚生労働大臣は、基金又は連合会の事業の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、期間を定めて、当該基金又は連合会に対し、その規約の変更を命ずることができる。
 基金若しくは連合会若しくはその役員が第一項の命令に違反したとき、又は基金若しくは連合会が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、当該基金又は連合会に対し、期間を定めて、当該違反に係る役員の全部又は一部の改任を命ずることができる。
 基金又は連合会が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、同項の命令に係る役員を改任することができる。
 厚生労働大臣は、基金が次の各号のいずれかに該当するときは、当該基金の解散を命ずることができる。
 第一項の規定による命令に違反したとき。
 前条第二項の規定に違反したとき。
 前条第三項の求めに応じないとき。
 その事業の状況によりその事業の継続が困難であると認めるとき。
 連合会が第一項の規定による命令に違反したとき、又はその事業の状況によりその事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、連合会の解散を命ずることができる。

第百八十条  この章に規定する厚生労働大臣の権限のうち基金に係るものは、厚生労働省令の定めるところにより、その一部を地方厚生局長に委任することができる。
 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令の定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

第百八十条の二  この章に定めるもののほか、第七十八条の二第一項に規定する離婚等をした場合における特例又は被扶養配偶者である期間についての特例に関し必要な事項で、厚生年金基金又は企業年金連合会に関するものは、政令で定める。

第百八十一条  この章に特別の規定があるものを除くほか、この章の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

    第四節 罰則

第百八十二条  設立事業所の事業主が、正当な理由がなくて次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 第百二十九条第四項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
 第百二十九条第六項の規定に違反して、通知をしないとき。
 第百三十九条第四項の規定に違反して、督促状に指定する期限までに掛金を納付しないとき。
 第百二十九条第二項に規定する設立事業所以外の適用事業所の事業主が、正当な理由がなくて次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 第百二十九条第七項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
 第百四十条第六項の規定に違反して、督促状に指定する期限までに徴収金を納付しないとき。
 解散した基金が、正当な理由がなくて、第百六十一条第一項の規定により負担すべき徴収金を督促状に指定する期限までに納付しないときも、第一項と同様とする。

第百八十三条  第百七十八条又は第百四十八条第一項(第百六十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 第百二十九条第五項の規定に違反して、同項の規定による通知をしなかつた者も、前項と同様とする。

第百八十四条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

第百八十五条  次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした基金又は連合会の役員、代理人若しくは使用人その他の従業者又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
 第百十五条第三項(第百五十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
 第百四十八条第三項(第百六十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反したとき。
 第百七十七条の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
 第百七十九条第一項の規定による命令に違反したとき。
 この章の規定により基金又は連合会が行なうものとされた事業以外の事業を行なつたとき。

第百八十六条  第百十六条(第百五十四条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
 第百三十三条の三第二項(第百六十三条の四第二項において準用する場合を含む。)、第百六十条第六項、第百六十条の二第五項又は第百六十一条第七項の規定に違反して、通知をしないとき。
 第百三十三条の三第三項(第百六十三条の四第二項において準用する場合を含む。)又は第百六十条第七項(第百六十条の二第六項及び第百六十一条第八項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
 第百七十六条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

第百八十七条  次の各号に掲げる場合には、十万円以下の過料に処する。
 設立事業所の事業主が、第百二十八条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
 設立事業所の事業主が、第百七十四条において準用する第九十八条第一項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
 加入員が、第百七十四条において準用する第九十八条第二項の規定に違反して、届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は申出をせず、若しくは虚偽の申出をしたとき。
 戸籍法 の規定による死亡の届出義務者が、第百七十四条において準用する第九十八条第四項本文の規定に違反して、届出をしないとき。

第百八十八条  第百九条第二項又は第百五十一条第二項の規定に違反して、厚生年金基金という名称又は企業年金連合会という名称を用いた者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行し、昭和二十九年五月一日から適用する。

(厚生年金保険法特例の廃止)
第二条  厚生年金保険法特例(昭和二十六年法律第三十八号)は、廃止する。

(適用事業所の範囲の拡大)
第二条の二  政府は、常時五人以上の従業員を使用しないことにより厚生年金保険の適用事業所とされていない事業所について、他の社会保険制度との関連も考慮しつつ、適用事業所とするための効率的方策を調査研究し、その結果に基づいて、すみやかに、必要な措置を講ずるものとする。

(被保険者の資格に関する経過措置)
第三条  昭和二十九年五月一日において現に従前の厚生年金保険法(以下「旧法」という。)による被保険者である者が、引き続きこの法律による被保険者となつたときは、その引き続く資格の取得については、第十八条第一項の規定による都道府県知事の確認を要しない。

第四条  旧法による被保険者であつた期間は、この法律による被保険者であつた期間とみなす。但し、旧法による脱退手当金(附則第十六条第四項の規定により支給する旧法による脱退手当金を含む。)の計算の基礎となつた期間は、この限りでない。

(被保険者の資格の特例)
第四条の二  この法律による年金たる保険給付に相当する給付を行うことを目的とする外国の法令の適用を受ける者であつて政令で定めるものは、第九条及び第十条の規定にかかわらず、被保険者としない。
 前項に規定する者の被保険者の資格の取得及び喪失に関し必要な事項は、政令で定める。

(高齢任意加入被保険者)
第四条の三  適用事業所に使用される七十歳以上の者であつて、老齢厚生年金、国民年金法による老齢基礎年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定める給付の受給権を有しないもの(第十二条各号又は前条第一項に該当する者を除く。)は、第九条の規定にかかわらず、厚生労働大臣に申し出て、被保険者となることができる。
 前項の申出をした者は、その申出が受理されたときは、その日に、被保険者の資格を取得する。
 前項に規定する者が、初めて納付すべき保険料を滞納し、第八十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないときは、第一項の規定による被保険者とならなかつたものとみなす。ただし、第七項ただし書に規定する事業主の同意がある場合は、この限りでない。
 第一項の規定による被保険者は、いつでも、厚生労働大臣に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
 第一項の規定による被保険者は、第十四条第一号、第二号若しくは第四号又は次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(その事実があつた日に更に被保険者の資格を取得したとき、又は共済組合の組合員若しくは私学教職員共済制度の加入者となつたときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
 第八条第一項の認可があつたとき。
 第一項に規定する政令で定める給付の受給権を取得したとき。
 前項の申出が受理されたとき。
 第一項の規定による被保険者は、保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、第八十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき(次項ただし書に規定する事業主の同意があるときを除く。)は、前項の規定にかかわらず、第八十三条第一項に規定する当該保険料の納期限の属する月の前月の末日に、被保険者の資格を喪失する。
 第一項の規定による被保険者は、第八十二条第一項及び第二項の規定にかかわらず、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとし、その者については、第八十四条の規定は、適用しない。ただし、その者の事業主が、当該保険料の半額を負担し、かつ、その被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意をしたときは、この限りでない。
 事業主は、第一項の規定による被保険者の同意を得て、将来に向かつて前項ただし書に規定する同意を撤回することができる。
 第一項から第六項までに規定するもののほか、第一担及び納付につき同条第七項ただし書に規定する事業主の同意がないものは、第百二十二条の規定にかかわらず、当該基金の加入員としない。
 前条第一項の規定による被保険者(同条第七項ただし書に規定する事業主の同意がある者に限る。)である加入員は、当該事業主の同意があつた日又はその使用される事業所が設立事業所となつた日のいずれか遅い日に、加入員の資格を取得する。
 前項の規定により加入員の資格を取得した者は、第百二十四条第一号から第四号まで若しくは前条第五項第二号若しくは第三号のいずれかに該当するに至つた日又は同条第七項ただし書に規定する事業主の同意が撤回された日の翌日(その事実があつた日に更に前項に該当するに至つたときは、その日)に、加入員の資格を喪失する。

第四条の五  適用事業所以外の事業所に使用される七十歳以上の者であつて、附則第四条の三第一項に規定する政令で定める給付の受給権を有しないもの(附則第四条の二第一項に該当する者を除く。)は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者となることができる。この場合において、第十条第二項、第十一条、第十二条、第十三条第二項、第十四条、第十八条第一項ただし書、第二十七条、第二十九条、第三十条、第百二条第一項(第一号及び第二号に限る。)及び第百四条の規定を準用する。
 前項の規定により被保険者となつたものは、同項において準用する第十四条の規定によるほか、附則第四条の三第一項に規定する政令で定める給付の受給権を取得した日の翌日に、被保険者の資格を喪失する。

(標準報酬に関する経過措置)
第五条  昭和二十九年五月一日において現に旧法による被保険者であり、引き続きこの法律による被保険者となつた者のうち、左の各号に該当する者については、その引き続く資格の取得に関しては、第二十二条第一項の規定による標準報酬の決定を行わず、それぞれ当該各号に定める額をその者の昭和二十九年五月から同年九月までの各月の標準報酬月額とする。
 昭和二十九年四月の標準報酬月額が七千円以下である者については、同月の標準報酬月額に相当する額
 昭和二十九年四月の標準報酬月額が八千円である者であつて、健康保険の被保険者であるものについては、その者の同年五月の健康保険法による標準報酬月額に相当する額。但し、その額が一万八千円をこえるときは、一万八千円とする。
 第二十三条第一項の規定の適用については、前項の規定による標準報酬は、第二十二条の規定によつて決定された標準報酬とみなし、昭和二十九年四月の標準報酬又は同年五月の健康保険法による標準報酬の基礎となつた報酬月額は、標準報酬の基礎となつた報酬月額とみなす。

第六条  旧法による標準報酬は、この法律による標準報酬とみなす。

(事業主の届出に関する経過措置)
第六条の二  第二十七条の規定の適用については、当分の間、同条中「被保険者であつた七十歳以上の者」とあるのは、「被保険者であつた七十歳以上の者(附則第四条又は他の法令の規定により被保険者であつた期間とみなされた期間を有する七十歳以上の者を含む。)」とする。

(従前の処分等)
第七条  この附則に別段の規定があるものを除くほか、旧法又はこれに基く命令によつてした処分、手続その他の行為は、この法律又はこれに基く命令中の相当する規定によつてした処分、手続その他の行為とみなす。

(組合員又は加入者であつた期間の確認等)
第七条の二  国民年金法附則第七条の五第二項に規定する組合員又は加入者であつた期間につき第四十二条、第四十七条第一項、第四十七条の二第一項、第四十七条の三第一の場合に準用する。この場合において、同条第四項中「第十条第一項に規定する被保険者の資格に関する処分又は当該組合員若しくは加入者であつた期間に基づく老齢基礎年金、障害基礎年金若しくは遺族基礎年金」とあるのは、「当該組合員又は加入者であつた期間に基づく老齢厚生年金、障害厚生年金又は遺族厚生年金」と読み替えるものとする。

(老齢厚生年金の支給の繰上げ)
第七条の三  当分の間、次の各号に掲げる者であつて、被保険者期間を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であるもの(国民年金法附則第五条第一項の規定による国民年金の被保険者でないものに限る。)は、六十五歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。ただし、その者が、その請求があつた日の前日において、第四十二条第二号に該当しないときは、この限りでない。
 男子であつて昭和三十六年四月二日以後に生まれた者(第三号に掲げる者を除く。)
 女子であつて昭和四十一年四月二日以後に生まれた者(次号に掲げる者を除く。)
 鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)第四条に規定する事業の事業場に使用され、かつ、常時坑内作業に従事する被保険者(以下「坑内員たる被保険者」という。)であつた期間と船員として船舶に使用される被保険者(以下「船員たる被保険者」という。)であつた期間とを合算した期間が十五年以上である者であつて、昭和四十一年四月二日以後に生まれたもの
 前項の請求は、国民年金法附則第九条の二第一項又は第九条の二の二第一項に規定する支給繰上げの請求を行うことができる者にあつては、これらの請求と同時に行わなければならない。
 第一項の請求があつたときは、第四十二条の規定にかかわらず、その請求があつた日の属する月から、その者に老齢厚生年金を支給する。
 前項の規定による老齢厚生年金の額は、第四十三条第一項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した額から政令で定める額を減じた額とする。
 第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者であつて、第一項の請求があつた日以後の被保険者期間を有するものが六十五歳に達したときは、第四十三条第二項の規定にかかわらず、六十五歳に達した日の属する月前における被保険者であつた期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、六十五歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
 第三項の規定による老齢厚生年金の額について、第四十四条及び第四十四条の二の規定を適用する場合には、第四十四条第一項中「受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時」とあるのは「附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が六十五歳に達した当時(六十五歳に達した当時」と、「第四十三条第三項」とあるのは「第四十三条第三項又は附則第七条の三第五項」と、「第四十三条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする」とあるのは「第四十三条第二項及び第三項並びに附則第七条の三第四項及び第五項の規定にかかわらず、これらの規定に定める額に加給年金額を加算するものとし、六十五歳に達した日の属する月の翌月又は第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた月から、年金の額を改定する」と、同条第三項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が六十五歳に達した当時」と、第四十四条の二第一項中「第四十三条第一項」とあるのは「附則第七条の三第四項」と、「第百三十二条第二項」とあるのは「附則第七条の六第一項の規定により読み替えられた第百三十二条第二項」とする。

(繰上げ支給の老齢厚生年金と基本手当等との調整)
第七条の四  前条第三項の規定による老齢厚生年金は、その受給権者(雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第十四条第二項第一号に規定する受給資格を有する者であつて六十五歳未満であるものに限る。)が同法第十五条第二項の規定による求職の申込みをしたときは、当該求職の申込みがあつた月の翌月から次の各号のいずれかに該当するに至つた月までの各月において、その支給を停止する。
 当該受給資格に係る雇用保険法第二十四条第二項に規定する受給期間が経過したとき。
 当該受給権者が当該受給資格に係る雇用保険法第二十二条第一項に規定する所定給付日数に相当する日数分の基本手当(同法の規定による基本手当をいう。以下この条において同じ。)の支給を受け終わつたとき(同法第二十八条第一項に規定する延長給付を受ける者にあつては、当該延長給付が終わつたとき。)。
 前項に規定する求職の申込みがあつた月の翌月から同項各号のいずれかに該当するに至つた月までの各月について、次の各号のいずれかに該当する月があつたときは、同項の規定は、その月の分の老齢厚生年金については、適用しない。
 その月において、厚生労働省令で定めるところにより、当該老齢厚生年金の受給権者が基本手当の支給を受けた日とみなされる日及びこれに準ずる日として政令で定める日がないこと。
 その月の分の老齢厚生年金について、第四十六条第一項及び第五項の規定により、その全部又は一部の支給が停止されていること。
 第一項各号のいずれかに該当するに至つた場合において、同項に規定する求職の申込みがあつた月の翌月から同項各号のいずれかに該当するに至つた月までの各月のうち同項の規定により老齢厚生年金の支給が停止された月(以下この項において「年金停止月」という。)の数から前項第一号に規定する厚生労働省令で定めるところにより当該老齢厚生年金の受給権者が基本手当の支給を受けた日とみなされる日の数を三十で除して得た数(一未満の端数が生じたときは、これを一に切り上げるものとする。)を控除して得た数が一以上であるときは、年金停止月のうち、当該控除して得た数に相当する月数分の直近の各月については、第一項の規定による老齢厚生年金の支給停止が行われなかつたものとみなす。
 雇用保険法第十四条第二項第一号に規定する受給資格を有する者であつて、同法第十五条第二項の規定による求職の申込みをしたもの(第一項各号のいずれにも該当するに至つていない者に限る。)が、前条第三項の規定による老齢厚生年金の受給権を取得したときは、当該受給権を取得した月の翌月から第一項各号のいずれかに該当するに至つた月までの各月において、当該老齢厚生年金の支給を停止する。
 第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、第二項中「前項に規定する求職の申込みがあつた月」とあるのは「第四項に規定する者が前条第三項の規定による老齢厚生年金の受給権を取得した月」と、「同項各号」とあるのは「前項各号」と、「同項の規定」とあるのは「第四項の規定」と、第三項中「同項に規定する求職の申込みがあつた月」とあるのは「次項に規定する者が前条第三項の規定による老齢厚生年金の受給権を取得した月」と、「同項各号」とあるのは「第一項各号」と、「同項の規定」とあるのは「次項の規定」と、「第一項の規定」とあるのは「次項の規定」と読み替えるものとする。

第七条の五  附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者であつて、第四十六条第一項及び第五項の規定の適用を受けるものが被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日又は同条第一項に規定する政令で定める日(次項及び第五項並びに附則第十一条第一項、第十一条の二第一項及び第二項、第十一条の三第一項、第十一条の四第一項及び第二項、第十一条の六第一項、第二項、第四項及び第八項並びに第十三条の六第一項、第四項及び第八項において「被保険者である日」という。)が属する月において、その者が雇用保険法の規定による高年齢雇用継続基本給付金(以下「高年齢雇用継続基本給付金」という。)の支給を受けることができるときは、第四十六条第一項及び第五項の規定にかかわらず、その月の分の当該老齢厚生年金について、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該老齢厚生年金につき同条第一項及び第五項の規定を適用した場合におけるこれらの規定による支給停止基準額と当該各号に定める額(その額に六分の十五を乗じて得た額に当該受給権者に係る標準報酬月額を加えた額が同法第六十一条第一項第二号に規定する支給限度額(以下「支給限度額」という。)を超えるときは、支給限度額から当該標準報酬月額を減じて得た額に十五分の六支給を停止する。ただし、調整後の支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 当該受給権者に係る標準報酬月額が、雇用保険法第六十一条第一項、第三項及び第四項の規定によるみなし賃金日額(以下「みなし賃金日額」という。)に三十を乗じて得た額の百分の六十一に相当する額未満であるとき。 当該受給権者に係る標準報酬月額に百分の六を乗じて得た額
 前号に該当しないとき。 当該受給権者に係る標準報酬月額に、みなし賃金日額に三十を乗じて得た額に対する当該受給権者に係る標準報酬月額の割合が逓増する程度に応じ、百分の六から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率を乗じて得た額
 附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者であつて、前項に規定する者以外のものが被保険者である日が属する月について、その者が高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、同項各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該老齢厚生年金につき同項各号に定める額に十二を乗じて得た額(以下この項及び第四項において「調整額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、調整額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金については、次の各号のいずれかに該当するときは、前二項の規定は適用しない。
 当該老齢厚生年金の受給権者に係る標準報酬月額がみなし賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額以上であるとき。
 当該老齢厚生年金の受給権者に係る標準報酬月額が支給限度額以上であるとき。
 在職支給停止調整額及び調整額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。
 前各項の規定は、附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日が属する月について、その者が雇用保険法の規定による高年齢再就職給付金の支給を受けることができる場合について準用する。この場合において、第一項第一号中「第六十一条第一項、第三項及び第四項の規定によるみなし賃金日額(以下「みなし賃金日額」という。)」とあるのは「第六十一条の二第一項の賃金日額(以下この条において「賃金日額」という。)」と、同項第二号及び第三項第一号中「みなし賃金日額」とあるのは「賃金日額」と読み替えるものとする。

(繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者に基金及び連合会が支給する老齢年金給付の特例)
第七条の六  附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、第百三十一条第一項第二号中「第四十三条第三項」とあるのは「第四十三条第三項又は附則第七条の三第五項」と、第百三十二条第二項中「加入員であつた期間(」とあるのは「加入員であつた期間(当該受給権者がその権利を取得した月以後における当該基金の加入員であつた期間(以下この項において「改定対象期間」という。)を除く。」と、「乗じて得た額」とあるのは「乗じて得た額から政令で定める額を減じた額(改定対象期間を基礎として政令の定めるところにより計算した額を含む。)」と、第百三十三条中「前条第二項」とあるのは「附則第七条の六第一項において読み替えられた前条第二項」とする。
 附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金(第四十六条第五項において読み替えられた同条第一項の規定によりその全部又は一部の支給が停止されているものに限る。)の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、第百三十三条の二第二項及び第三項中「第百三十二条第二項」とあるのは、「附則第七条の六第一項において読み替えられた第百三十二条第二項」とする。
 附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金(前条の規定によりその全部又は一場合(次の各号のいずれかに該当する場合を除く。)を除いては、その支給を停止することができない。ただし、当該老齢年金給付の額のうち、第一項において読み替えられた第百三十二条第二項に規定する額を超える部分については、この限りでない。
 当該老齢厚生年金が前条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、これらの規定による調整後の支給停止基準額が、第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額(以下この条において「基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額」という。)に満たないとき。
 当該老齢厚生年金が前条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、これらの規定による調整額が、基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額に満たないとき。
 前項の規定にかかわらず、附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、次の各号に掲げる場合に応じ、その額のうち、当該各号に定める額を超える部分については、その支給を停止することができる。
 前項第一号に該当するとき。 その受給権者の当該老齢年金給付を支給する基金の加入員であつた期間に係る第一項において読み替えられた第百三十二条第二項に規定する額(以下この項において「当該基金の代行部分の額」という。)から、調整後の支給停止基準額(前条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による調整後の支給停止基準額をいう。次条第三項において同じ。)から当該老齢厚生年金の額を控除して得た額に当該基金の代行部分の額を基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額から老齢厚生年金の額を控除して得た額(以下この項及び次条において「代行部分の総額」という。)で除して得た率を乗じて得た額(次項において「在職支給停止がある者の支給停止額」という。)を控除して得た額
 前項第二号に該当するとき。 当該基金の代行部分の額から、調整額(前条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による調整額をいう。次条第四項において同じ。)から当該老齢厚生年金の額を控除して得た額に当該基金の代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(次項において「在職支給停止がない者の支給停止額」という。)を控除して得た額
 在職支給停止がある者の支給停止額及び在職支給停止がない者の支給停止額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。

第七条の七  附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者である解散基金加入員に連合会が支給する老齢年金給付については、第百六十一条第三項中「第百三十二条第二項」とあるのは、「附則第七条の六第一項において読み替えられた第百三十二条第二項」とする。
 附則第七条の四の規定は、附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合に係る当該解散基金に係る老齢年金給付(第百六十一条第五項の規定により加算された額に相当する部分を除く。以下この条において「解散基金に係る代行部分」という。)について準用する。この場合において、附則第七条の四第一項から第三項までの規定中「受給権者」とあるのは、「受給権を有する者」と読み替えるものとする。
 附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合であつて、附則第七条の五第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されているときは、解散基金に係る代行部分について、調整後の支給停止基準額から当該老齢厚生年金の額を控除して得た額に解散基金に係る代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(第五項において「在職支給停止がある者の支給停止額」という。)に相当する部分(その額が解散基金に係る代行部分の額以上であるときは、解散基金第五項において準用する場合を含む。)の規定により当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されているときは、解散基金に係る代行部分について、調整額から当該老齢厚生年金の額を控除して得た額に解散基金に係る代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(次項において「在職支給停止がない者の支給停止額」という。)に相当する部分(その額が解散基金に係る代行部分の額以上であるときは、解散基金に係る代行部分の全部)の支給を停止する。
 在職支給停止がある者の支給停止額及び在職支給停止がない者の支給停止額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。

(老齢厚生年金の特例)
第八条  当分の間、六十五歳未満の者(附則第七条の三第一項各号に掲げる者を除く。)が、次の各号のいずれにも該当するに至つたときは、その者に老齢厚生年金を支給する。
 六十歳以上であること。
 一年以上の被保険者期間を有すること。
 第四十二条第二号に該当すること。

(特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例)
第八条の二  男子であつて次の表の上欄に掲げる者(第三項に規定する者を除く。)について前条の規定を適用する場合においては、同条第一号中「六十歳」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
昭和二十八年四月二日から昭和三十年四月一日までの間に生まれた者 六十一歳
昭和三十年四月二日から昭和三十二年四月一日までの間に生まれた者 六十二歳
昭和三十二年四月二日から昭和三十四年四月一日までの間に生まれた者 六十三歳
昭和三十四年四月二日から昭和三十六年四月一日までの間に生まれた者 六十四歳

 女子であつて次の表の上欄に掲げる者(次項に規定する者を除く。)について前条の規定を適用する場合においては、同条第一号中「六十歳」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
昭和三十三年四月二日から昭和三十五年四月一日までの間に生まれた者 六十一歳
昭和三十五年四月二日から昭和三十七年四月一日までの間に生まれた者 六十二歳
昭和三十七年四月二日から昭和三十九年四月一日までの間に生まれた者 六十三歳
昭和三十九年四月二日から昭和四十一年四月一日までの間に生まれた者 六十四歳

 坑内員たる被保険者であつた期間と船員たる被保険者であつた期間とを合算した期間が十五年以上である者であつて、次の表の上欄に掲げるものについて前条の規定を適用する場合においては、同条第一号中「六十歳」とあるのはそれぞれ同表の下欄に掲げる字句に、同条第二号中「一年以上の被保険者期間を有する」とあるのは「坑内員たる被保険者であつた期間と船員たる被保険者であつた期間とを合算した期間が十五年以上である」と読み替えるものとする。
 前項の請求があつたときは、当該請求に係る老齢厚生年金の額は、第四十三条第一項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる額を合算した額とするものとし、当該請求があつた月の翌月から、年金の額を改定する。
 千六百二十八円に国民年金法第二十七条に規定する改定率(以下「改定率」という。)を乗じて得た額(その額に五十銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。)に被保険者期間の月数(当該月数が四百八十を超えるときは、四百八十とする。)を乗じて得た額
 被保険者であつた全期間の平均標準報酬額の千分の五・四八一に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額
 第四十四条及び第四十四条の二の規定は、前項の規定により老齢厚生年金の額を改定する場合に準用する。この場合において、第四十四条第一項中「受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時」とあるのは「附則第九条の二第一項の請求があつた当時(当該請求があつた当時」と、「第四十三条の規定」とあるのは「附則第九条及び第九条の二第二項の規定」と、「同条」とあるのは「これらの規定」と、同条第三項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則第九条の二第一項の請求があつた当時」と、第四十四条の二第一項中「第四十三条第一項に規定する額」とあるのは「附則第九条の二第二項第二号に規定する額」と、「同項に定める額から」とあるのは「同号に定める額(以下この条において「報酬比例部分の額」という。)から」と、「第百三十二条第二項」とあるのは「第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年改正法」という。)附則第八十二条第一項若しくは第八十三条の二第一項、昭和六十年改正法附則第八十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号。以下「平成十二年改正法」という。)附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第四条の規定による改正前の第百三十二条第二項若しくは平成十二年改正法第十三条の規定による改正前の昭和六十年改正法附則第八十二条第一項又は平成十二年改正法附則第二十三条第一項若しくは第二十四条第一項」と、「第四十三条第一項に定める額」とあるのは「報酬比例部分の額」と、「同項に定める額)」とあるのは「報酬比例部分の額)」と読み替えるものとする。
 前三項の規定によりその額が計算されている附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者が、障害状態に該当しなくなつたときは、前三項の規定にかかわらず、第四十三条第一項の規定により当該老齢厚生年金の額を計算するものとし、障害状態に該当しなくなつた月の翌月から、年金の額を改定する。ただし、障害状態に該当しなくなつた当時、次の各号のいずれかに該当した場合においては、この限りでない。
 当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間が四十四年以上であること。
 当該老齢厚生年金が、附則第十一条の三第三項の規定により、附則第十一条の二、第十一条の三第一項及び第二項、第十一条の四、第十一条の六、第十三条第二項から第四項まで並びに第十三条の二の規定の適用について、附則第十一条の三第一項に規定する坑内員・船員の老齢厚生年金とみなされているものであること。

第九条の三  附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者が、その権利を取得した当時、被保険者でなく、る。
 第四十四条及び第四十四条の二の規定は、附則第八条の規定による老齢厚生年金の額について前項の規定を適用する場合に準用する。この場合において、第四十四条第一項中「当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)」とあるのは「当時」と、「第四十三条の規定」とあるのは「附則第九条の三第一項においてその例によるものとされた附則第九条の二第二項の規定」と、「同条」とあるのは「同項」と、第四十四条の二第一項中「第四十三条第一項に規定する額」とあるのは「附則第九条の二第二項第二号に規定する額」と、「同項に定める額から」とあるのは「同号に定める額(以下この条において「報酬比例部分の額」という。)から」と、「第百三十二条第二項」とあるのは「第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年改正法」という。)附則第八十二条第一項若しくは第八十三条の二第一項、昭和六十年改正法附則第八十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号。以下「平成十二年改正法」という。)附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第四条の規定による改正前の第百三十二条第二項若しくは平成十二年改正法第十三条の規定による改正前の昭和六十年改正法附則第八十二条第一項又は平成十二年改正法附則第二十三条第一項若しくは第二十四条第一項」と、「第四十三条第一項に定める額」とあるのは「報酬比例部分の額」と、「同項に定める額)」とあるのは「報酬比例部分の額)」と読み替えるものとする。
 被保険者である附則第八条の規定による老齢厚生年金(第四十三条第一項及び附則第九条の規定によりその額が計算されているものに限る。)の受給権者(被保険者期間が四十四年以上である者に限る。)が、被保険者の資格を喪失した場合において、第四十三条第三項の規定を適用するとき(次条第四項の規定が適用される場合を除く。)は、第四十三条第一項の規定にかかわらず、前条第二項の規定の例により老齢厚生年金の額を計算し、年金の額を改定する。
 第四十四条及び第四十四条の二の規定は、前項の規定により老齢厚生年金の額を改定する場合に準用する。この場合において、第四十四条第一項中「受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)」とあるのは「附則第九条の三第三項の規定による老齢厚生年金の額の改定に係る被保険者の資格を喪失した日から起算して一月を経過した当時」と、「第四十三条の規定」とあるのは「附則第九条の三第三項においてその例によるものとされた附則第九条の二第二項の規定」と、「同条」とあるのは「同項」と、同条第三項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則第九条の三第三項の規定による老齢厚生年金の額の改定に係る被保険者の資格を喪失した日から起算して一月を経過した当時」と、第四十四条の二第一項中「第四十三条第一項に規定する額」とあるのは「附則第九条の二第二項第二号に規定する額」と、「同項に定める額から」とあるのは「同号に定める額(以下この条において「報酬比例部分の額」という。)から」と、「第百三十二条第二項」とあるのは「第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年改正法」という。)附則第八十二条第一項若しくは第八十三条の二第一項、昭和六十年改正法附則第八十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号。以下「平成十二年改正法」という。)附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第四条の規定による改正前の第百三十二条第二項若しくは平成十二年改正法第十三条の規定による改正前の昭和六十年改正法附則第八十二条第一項又は平成十二年改正法附則第二十三条第一項若しくは第二十四条第一項」と、「第四十三条第一項に定める額」とあるのは「報酬比例部分の額」と、「同項に定める額)」とあるのは「報酬比例部分の額)」と読み替えるものとする。
 前条第四項本文に規定する場合において、当該受給権者(被保険者期間が四十四年以上である者であつて、その者に係る老齢厚生年金が同項各号のいずれにも該当しないものであるものに限る。)が障害状態に該当しなくなつた後、当該障害状態に該当しなくなつた月以前における被保険者の資格の喪失により第四十三条第三項の規定を適用するとき(次条第六項の規定が適用される場合を除く。)は、前二項の規定の例により、年金の額を改定するものとする。

第九条の四  附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者がその権利を取得した当時、その者に係る坑内員たる被保険者であつた期間と船員たる被保険者であつた期間とを合算した期間が十五年以上であるときは、当該老齢厚生年金の額は、第四十三条第一項の規定にかかわらず、附則第九条の二第二項の規定の例により計算する。
 前項に規定する坑内員たる被保険者であつた期間又は船員たる被保険者であつた期間の計算については、基金の加入員であつた期間に係る被保険者期間の計算の例による。
 第四十四条及び第四十四条の二の規定は、附則第八条の規定による老齢厚生年金の額について第一項の規定を適用する場合に準用する。この場合において、第四十四条第一項中「第四十三条の規定」とあるのは「附則第九条及び第九条の四第一項においてその例によるものとされた附則第九条の二第二項の規定」と、「同条」とあるのは「これらの規定」と、第四十四条の二第一項中「第四十三条第一項に規定する額」とあるのは「附則第九条の二第二項第二号に規定する額」と、「同項に定める額から」とあるのは「同号に定める額(以下この条において「報酬比例部分の額」という。)から」と、「第百三十二条第二項」とあるのは「第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年改正法」という。)附則第八十二条第一項若しくは第第八十三条の二第一項、昭和六十年改正法附則第八十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号。以下「平成十二年改正法」という。)附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第四条の規定による改正前の第百三十二条第二項若しくは平成十二年改正法第十三条の規定による改正前の昭和六十年改正法附則第八十二条第一項又は平成十二年改正法附則第二十三条第一項若しくは第二十四条第一項」と、「第四十三条第一項に定める額」とあるのは「報酬比例部分の額」と、「同項に定める額)」とあるのは「報酬比例部分の額)」と読み替えるものとする。
 被保険者である附則第八条の規定による老齢厚生年金(第四十三条第一項及び附則第九条の規定によりその額が計算されているものに限る。)の受給権者(坑内員たる被保険者であつた期間と船員たる被保険者であつた期間とを合算した期間が十五年以上である者に限る。)が、被保険者の資格を喪失した場合において、第四十三条第三項の規定を適用するときは、同条第一項の規定にかかわらず、附則第九条の二第二項の規定の例により老齢厚生年金の額を計算し、年金の額を改定する。
 第四十四条及び第四十四条の二の規定は、前項の規定により老齢厚生年金の額を改定する場合に準用する。この場合において、第四十四条第一項中「受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時」とあるのは「附則第九条の四第四項の規定による老齢厚生年金の額の改定に係る被保険者の資格を喪失した日から起算して一月を経過した当時(当該一月を経過した当時」と、「第四十三条の規定」とあるのは「附則第九条及び附則第九条の四第四項においてその例によるものとされた附則第九条の二第二項の規定」と、「同条」とあるのは「これらの規定」と、同条第三項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則第九条の四第四項の規定による老齢厚生年金の額の改定に係る被保険者の資格を喪失した日から起算して一月を経過した当時」と、第四十四条の二第一項中「第四十三条第一項に規定する額」とあるのは「附則第九条の二第二項第二号に規定する額」と、「同項に定める額から」とあるのは「同号に定める額(以下この条において「報酬比例部分の額」という。)から」と、「第百三十二条第二項」とあるのは「第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年改正法」という。)附則第八十二条第一項若しくは第八十三条の二第一項、昭和六十年改正法附則第八十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号。以下「平成十二年改正法」という。)附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第四条の規定による改正前の第百三十二条第二項若しくは平成十二年改正法第十三条の規定による改正前の昭和六十年改正法附則第八十二条第一項又は平成十二年改正法附則第二十三条第一項若しくは第二十四条第一項」と、「第四十三条第一項に定める額」とあるのは「報酬比例部分の額」と、「同項に定める額)」とあるのは「報酬比例部分の額)」と読み替えるものとする。
 附則第九条の二第四項本文に規定する場合において、当該受給権者(坑内員たる被保険者であつた期間と船員たる被保険者であつた期間とを合算した期間が十五年以上である者であつて、その者に係る老齢厚生年金が同項各号のいずれにも該当しないものであるものに限る。)が障害状態に該当しなくなつた後、障害状態に該当しなくなつた月以前における被保険者の資格の喪失により第四十三条第三項の規定を適用するときは、前二項の規定の例により、年金の額を改定するものとする。

第十条  附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権は、第四十五条の規定により消滅するほか、受給権者が六十五歳に達したときに消滅する。

第十条の二  第四十六条第一項及び第五項の規定は、附則第八条の規定による老齢厚生年金については、適用しない。

第十一条  附則第八条の規定による老齢厚生年金(第四十三条第一項及び附則第九条の規定によりその額が計算されているものに限る。第五項において同じ。)の受給権者が被保険者である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額と老齢厚生年金の額を十二で除して得た額(以下この項において「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整開始額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める額に十二を乗じて得た額(以下この項において「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、当該各号に掲げる場合において、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額以下であるとき。 総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額
 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるとき。 支給停止調整変更額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額に、総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額
 基本月額が支給停止調整開始額を超え、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額以下であるとき。 総報酬月額相当額に二分の一を乗じて得た額
 基本月額が支給停止調整開始額を超え、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるとき。 支給停止調整変更額に二分の一を乗じて得た額に総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額
 前項の支給停止調整開始額は、二十八万円とする。ただし、二十八万円に平成十七年度以後の各年度の再評価率の改定の基準となる率であつて政令で定める率をそれぞれ乗じて得た額(その額に五千円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五千円以上一万円未満の端数が生じたときは、これを一万円に切り上げるものとする。以下この項において同じ。)が二十八万円(この項の規定による支給停止調整開始額の改定の措置が講ぜられたときは、直近の当該措置により改定した額)を超え、又は下るに至つた場合においては、当該年度の四月以後のた率をそれぞれ乗じて得た額(その額に五千円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五千円以上一万円未満の端数が生じたときは、これを一万円に切り上げるものとする。以下この項において同じ。)が四十八万円(この項の規定による支給停止調整変更額の改定の措置が講ぜられたときは、直近の当該措置により改定した額)を超え、又は下るに至つた場合においては、当該年度の四月以後の支給停止調整変更額を当該乗じて得た額に改定する。
 第二項ただし書の規定による支給停止調整開始額の改定の措置及び前項ただし書の規定による支給停止調整変更額の改定の措置は、政令で定める。
 被保険者であつた期間の全部又は一部が基金の加入員であつた期間である者に支給する附則第八条の規定による老齢厚生年金については、第一項中「老齢厚生年金の額を」とあるのは、「第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額を」とする。

第十一条の二  附則第八条の規定による老齢厚生年金(附則第九条及び第九条の二第一項から第三項まで又は第九条の三の規定によりその額が計算されているものに限る。以下「障害者・長期加入者の老齢厚生年金」という。)の受給権者が被保険者である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額と当該老齢厚生年金に係る附則第九条の二第二項第二号に規定する額(第四項において「報酬比例部分の額」という。)を十二で除して得た額(次項において「基本月額」という。)との合計額が前条第二項に規定する支給停止調整開始額(以下「支給停止調整開始額」という。)以下であるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、当該老齢厚生年金に係る附則第九条の二第二項第一号に規定する額(当該老齢厚生年金について、同条第三項又は附則第九条の三第二項若しくは第四項(同条第五項においてその例による場合を含む。)において準用する第四十四条第一項に規定する加給年金額(以下この項において単に「加給年金額」という。)が加算されているときは、当該附則第九条の二第二項第一号に規定する額に加給年金額を加えた額。次項において「基本支給停止額」という。)に相当する部分の支給を停止する。
 障害者・長期加入者の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が支給停止調整開始額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ基本支給停止額と当該各号に定める額に十二を乗じて得た額との合計額(以下この項において「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、当該各号に掲げる場合において、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が前条第三項に規定する支給停止調整変更額(以下「支給停止調整変更額」という。)以下であるとき。 総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額
 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるとき。 支給停止調整変更額と基本月額の合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額に、総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額
 基本月額が支給停止調整開始額を超え、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額以下であるとき。 総報酬月額相当額に二分の一を乗じて得た額
 基本月額が支給停止調整開始額を超え、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるとき。 支給停止調整変更額に二分の一を乗じて得た額に総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額
 被保険者であつた期間の全部又は一部が基金の加入員であつた期間である者に支給する障害者・長期加入者の老齢厚生年金については、第一項中「当該老齢厚生年金に係る附則第九条の二第二項第二号に規定する額(第四項において「報酬比例部分の額」という。)」とあるのは「附則第九条の二第三項又は第九条の三第二項若しくは第四項(同条第五項においてその例による場合を含む。)において準用する第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した当該老齢厚生年金に係る附則第九条の二第二項第二号に規定する額(第四項において「基金に加入しなかつた場合の報酬比例部分の額」という。)」とする。
 第一項に規定する報酬比例部分の額及び附則第九条の二第二項第一号に規定する額並びに前項において読み替えられた第一項に規定する基金に加入しなかつた場合の報酬比例部分の額を計算する場合において生じる百円未満の端数の処理については、政令で定める。

第十一条の三  附則第八条の規定による老齢厚生年金(附則第九条及び第九条の四の規定によりその額が計算されているものに限る。以下「坑内員・船員の老齢厚生年金」という。)の受給権者が被保険者である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額と老齢厚生年金の額(附則第九条の四第三項又は第五項(同条第六項においてその例による場合を含む。)において準用する第四十四条第一項に規定する加給年金額を除く。以下この項において同じ。)を十二で除して得た額(以下この項において「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整開始額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める額に十二を乗じて得た額(以下この項において「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、当該各号に掲げる場合において、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額以下であるとき。 総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額
 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるとき。 支給停止調整変更額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額に、総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額
 基本月額が支給停止調整開始額を超え、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額以下であるとき。 総報酬月額相当額に二分の一を乗じて得た額
 基本月額が支給停止調整開始額を超え、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるとき。 支給停止調整変更額に二分の一を乗じて得た額に総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額
 被保険者であつた期間の全部又は一部が基金の加入員であつた期間である者に支給する坑内員・船員の老齢厚生年金については、前項中「総報酬月額相当額と老齢厚生年金の額」とあるのは「総報酬月額相当額と附則第九条の四第三項又は第五項(同条第六項においてその例による場合を含む。)において準用する第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額」と、「加給年金額を除く。以下この項において同じ」とあるのは「加給年金額(以下この項において単に「加給年金額」という。)を除く。以下この項において「基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額」という」と、「老齢厚生年金の額以上」とあるのは「老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)以上」と、「全部」とあるのは「全部(支給停止基準額が、基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額に満たないときは、加給年金額を除く。)」とする。
 被保険者である障害者・長期加入者の老齢厚生年金の受給権者(坑内員たる被保険者であつた期間と船員たる被保険者であつた期間とを合算した期間が十五年以上である者に限る。)が被保険者の資格を喪失した場合において、第四十三条第三項の規定による年金の額の改定が行われたときは、当該改定が行われた月以後においては、当該老齢厚生年金は、前条、前二項、次条、附則第十一条の六、第十三条第二項から第四項まで及び第十三条の二の規定の適用については、坑内員・船員の老齢厚生年金とみなす。この場合において、これらの規定の適用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

第十一条の四  障害者・長期加入者の老齢厚生年金又は坑内員・船員の老齢厚生年金は、その受する部分の支給を停止する。
 坑内員・船員の老齢厚生年金の受給権者であつて国民年金法による老齢基礎年金の支給を受けることができるものが被保険者である日が属する月(その者が当該老齢基礎年金の受給権を取得した月を除く。)においては、前条の規定にかかわらず、その月の分の当該老齢厚生年金について、当該老齢厚生年金に係る附則第九条の二第二項第二号に規定する額(当該老齢厚生年金について、附則第九条の四第三項又は第五項(同条第六項においてその例による場合を含む。)において準用する第四十四条第一項に規定する加給年金額が加算されているときは、当該加給年金額を含む。以下この項において「報酬比例部分等の額」という。)につき前条の規定を適用して計算した場合におけるその支給が停止される部分の額と当該老齢厚生年金に係る附則第九条の二第二項第一号に規定する額との合計額に相当する部分(報酬比例部分等の額につき前条の規定を適用して計算した場合において、報酬比例部分等の額の全額につき支給が停止されるときは、当該老齢厚生年金の全部)の支給を停止するものとする。
 第一項に規定する附則第九条の二第二項第一号に規定する額並びに前項に規定する同条第二項第二号に規定する額及び同項第一号に規定する額を計算する場合において生じる百円未満の端数の処理については、政令で定める。

第十一条の五  附則第七条の四の規定は、附則第八条の規定による老齢厚生年金について準用する。この場合において、附則第七条の四第二項第二号中「第四十六条第一項及び第五項」とあるのは、「附則第十一条から第十一条の三まで又は第十一条の四第二項及び第三項」と読み替えるものとする。

第十一条の六  附則第八条の規定による老齢厚生年金(第四十三条第一項、附則第九条の二第一項から第三項まで又は附則第九条の三及び附則第九条の規定によりその額が計算されているものに限る。)の受給権者が被保険者である日が属する月について、その者が高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができるときは、附則第十一条及び第十一条の二の規定にかかわらず、その月の分の当該老齢厚生年金について、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該老齢厚生年金につき附則第十一条又は第十一条の二の規定を適用した場合におけるこれらの規定による支給停止基準額と当該各号に定める額(その額に六分の十五を乗じて得た額に当該受給権者に係る標準報酬月額を加えた額が支給限度額を超えるときは、支給限度額から当該標準報酬月額を減じて得た額に十五分の六を乗じて得た額)に十二を乗じて得た額(第七項において「調整額」という。)との合計額(以下この項において「調整後の支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、調整後の支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 当該受給権者に係る標準報酬月額が、みなし賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の六十一に相当する額未満であるとき。 当該受給権者に係る標準報酬月額に百分の六を乗じて得た額
 前号に該当しないとき。 当該受給権者に係る標準報酬月額に、みなし賃金日額に三十を乗じて得た額に対する当該受給権者に係る標準報酬月額の割合が逓増する程度に応じ、百分の六から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率を乗じて得た額
 坑内員・船員の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日が属する月について、その者が高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができるときは、附則第十一条の三の規定にかかわらず、その月の分の当該老齢厚生年金について、前項各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該老齢厚生年金につき同条の規定を適用した場合における同条第一項の規定による支給停止基準額と前項各号に定める額(その額に六分の十五を乗じて得た額に当該受給権者に係る標準報酬月額を加えた額が支給限度額を超えるときは、支給限度額から当該標準報酬月額を減じて得た額に十五分の六を乗じて得た額)に十二を乗じて得た額(第七項において「坑内員・船員の調整額」という。)との合計額(以下この項において「調整後の支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、調整後の支給停止基準額が老齢厚生年金の額(附則第九条の四第三項又は第。)以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 被保険者であつた期間の全部又は一部が基金の加入員であつた期間である者に支給する坑内員・船員の老齢厚生年金については、前項中「同条第一項」とあるのは「同条第二項において読み替えられた同条第一項」と、「全部」とあるのは「全部(調整後の支給停止基準額が、附則第九条の四第三項又は第五項(同条第六項においてその例による場合を含む。)において準用する第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)に満たないときは、加給年金額を除く。)」とする。
 坑内員・船員の老齢厚生年金の受給権者(国民年金法による老齢基礎年金の支給を受けることができる者に限る。)が被保険者である日が属する月(その者が当該老齢基礎年金の受給権を取得した月を除く。)について、その者が高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができるときは、前二項の規定にかかわらず、その月の分の当該老齢厚生年金について、第一項各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該老齢厚生年金につき附則第十一条の四第二項及び第三項の規定を適用した場合における支給停止基準額(同条第二項の規定により同項に規定する報酬比例部分等の額につき適用する場合における附則第十一条の三第一項の規定による支給停止基準額をいう。)に附則第十一条の四第二項に規定する附則第九条の二第二項第一号に規定する額を加えた額と第一項各号に定める額(その額に六分の十五を乗じて得た額に当該受給権者に係る標準報酬月額を加えた額が支給限度額を超えるときは、支給限度額から当該標準報酬月額を減じて得た額に十五分の六を乗じて得た額)に十二を乗じて得た額(第七項において「基礎年金を受給する坑内員・船員の調整額」という。)との合計額(以下この項において「調整後の支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、調整後の支給停止基準額が老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 被保険者であつた期間の全部又は一部が基金の加入員であつた期間である者に支給する坑内員・船員の老齢厚生年金については、前項中「附則第十一条の三第一項」とあるのは「附則第十一条の三第二項において読み替えられた同条第一項」と、「全部」とあるのは「全部(調整後の支給停止基準額が、附則第九条の四第三項又は第五項(同条第六項においてその例による場合を含む。)において準用する第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)に満たないときは、加給年金額を除く。)」とする。
 附則第八条の規定による老齢厚生年金については、次の各号のいずれかに該当するときは、前各項の規定は適用しない。
 当該老齢厚生年金の受給権者に係る標準報酬月額がみなし賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額以上であるとき。
 当該老齢厚生年金の受給権者に係る標準報酬月額が支給限度額以上であるとき。
 調整額、坑内員・船員の調整額及び基礎年金を受給する坑内員・船員の調整額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。
 前各項の規定は、附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日が属する月について、この者が雇用保険法の規定による高年齢再就職給付金の支給を受けることができる場合について準用する。この場合において、第一項第一号中「みなし賃金日額」とあるのは「雇用保険法第六十一条の二第一項の賃金日額(以下この条において単に「賃金日額」という。)」と、同項第二号及び第六項第一号中「みなし賃金日額」とあるのは「賃金日額」と読み替えるものとする。

第十二条  第四十四条の三の規定は、附則第八条の規定による老齢厚生年金については、適用しない。

第十三条  附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付は、当該老齢厚生年金の受給権の消滅理由(当該老齢厚生年金の受給権者が六十五歳に達したときを除く。)以外の理由によつて、その受給権を消滅させるものであつてはならない。
 附則第八条の規定による老齢厚生年金(附則第十一条から第十一条の三まで、第十一条の四第二項及び第三項又は第十一条の六の規定によりその全部又は一部の支給が停止されているものに限る。以下この条において同じ。)の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、第百三十三条の規定は適用しない。
 附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付は、当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されている場合(次の各号のいずれかに該当する場合を除く。)を除いては、その支給を停止することができない。ただし、当該老齢年金給付の額のうち、第百三十二条第二項に規定する額を超える部分については、この限りでない。
 当該老齢厚生年金が附則第十一条又は第十一条の二の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、支給停止基準額(附則第十一条第一項又は附則第十一条の二第二項の規定による支給停止基準額をいう。)が、第四十四条の二第一項(附則第九条の二第三項又は第九条の三第二項若しくは第四項(同条第五項においてその例による場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額(以下この項及び次項において「老齢厚生年金の総額」という。)に満たないとき。
 当該老齢厚生年金(附則第九条の四第三項又は第五項(同条第六項においてその例による場合を含む。)において準用する第四十四条第一項に規定する加給年金額(以下「坑内員・船員の加給年金額」という。)が加算されているものを除く。)が附則第十一条の三の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、支給停止基準額(附則第十一条の三第二項において読み替えられた同条第一項の規定による支給停止基準額をいう。)が、附則第九条の四第三項又は第五項(同条第六項においてその例による場合を含む。)において準用する第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額(以下この項及び次項において「坑内員・船員の老齢厚生年金の総額」という。)に満たないとき。
 当該老齢厚生年金(坑内員・船員の加給年金額が加算されているものを除く。)が附則第十一条の四第二項及び第三項の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、支給停止基準額(同条第二項において、同項に規定する報酬比例部分等の額につき適用する場合における附則第十一条の三第二項において読み替えられた同条第一項の規定による支給停止基準額をいう。)に附則第十一条の四第二項に規定する附則第九条の二第二項第一号に規定する額を加えた額が、坑内員・船員の老齢厚生年金の総額に満たないとき。
 当該老齢厚生年金が附則第十一条の六第一項及び第七項(同条第八項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、これらの規定による調整後の支給停止基準額が、老齢厚生年金の総額に満たないとき。
 当該老齢厚生年金(坑内員・船員の加給年金額が加算されているものを除く。)が附則第十一条の六第三項において読み替えられた同条第二項及び同条第七項(同条第八項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、これらの規定による調整後の支給停止基準額が、坑内員・船員の老齢厚生年金の総額に満たないとき。
 当該老齢厚生年金(坑内員・船員の加給年金額が加算されているものを除く。)が附則第十一条の六第五項において読み替えられた同条第四項及び同条第七項(同条第八項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、これらの規定による調整後の支給停止基準額が、坑内員・船員の老齢厚生年金の総額に満たないとき。
 前項の規定にかかわらず、附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、次の各号に掲げる場合に応じ、その額のうち、当該各号に定める額を超える部分については、その支給を停止することができる。
 前項第一号に該当するとき。 その受給権者の当該老齢年金給付を支給する基金の加入員であつた期間に係る第百三十二条第二項額から老齢厚生年金の額を控除して得た額(以下この項及び次条において「代行部分の総額」という。)で除して得た率を乗じて得た額を控除して得た額
 前項第二号若しくは第三号のいずれかに該当するとき又は当該老齢厚生年金(坑内員・船員の加給年金額が加算されているものに限る。)が附則第十一条の三又は第十一条の四第二項及び第三項の規定により当該老齢厚生年金の額から坑内員・船員の加給年金額を控除して得た額に相当する部分の全額につき支給を停止されているとき。 当該基金の代行部分の額から、支給停止基準額(前項第二号又は第三号に規定する支給停止基準額をいう。)から当該老齢厚生年金の額(坑内員・船員の加給年金額並びに附則第十一条の四第二項及び第三項の規定の適用を受ける老齢厚生年金に係る同条第二項に規定する附則第九条の二第二項第一号に規定する額を除く。)を控除して得た額に当該基金の代行部分の額を坑内員・船員の老齢厚生年金の総額から老齢厚生年金の額を控除して得た額(以下この項及び次条において「坑内員・船員の代行部分の総額」という。)で除して得た率を乗じて得た額を控除して得た額
 前項第四号に該当するとき。 当該基金の代行部分の額から、調整後の支給停止基準額(附則第十一条の六第一項及び第七項(同条第八項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による調整後の支給停止基準額をいう。)から当該老齢厚生年金の額を控除して得た額に当該基金の代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額を控除して得た額
 前項第五号又は第六号のいずれかに該当するとき又は当該老齢厚生年金(坑内員・船員の加給年金額が加算されているものに限る。)が附則第十一条の六の規定により当該老齢厚生年金の額から坑内員・船員の加給年金額を控除した額に相当する部分の全額につき支給を停止されているとき。 当該基金の代行部分の額から、調整後の支給停止基準額(附則第十一条の六第三項において読み替えられた同条第二項又は同条第五項において読み替えられた同条第四項及び同条第七項(同条第八項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による調整後の支給停止基準額をいう。)から当該老齢厚生年金の額(坑内員・船員の加給年金額を除く。)を控除して得た額に当該基金の代行部分の額を坑内員・船員の代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額を控除して得た額

第十三条の二  附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合であつて、附則第十一条又は第十一条の二の規定により当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されているときは、解散基金に係る老齢年金給付(第百六十一条第五項の規定により加算された額に相当する部分を除く。以下この条及び次条において「解散基金に係る代行部分」という。)について、支給停止基準額(前条第三項第一号に規定する支給停止基準額をいう。)から当該老齢厚生年金の額を控除して得た額に解散基金に係る代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(第五項において「支給停止額」という。)に相当する部分(その額が解散基金に係る代行部分の額以上であるときは、解散基金に係る老齢年金給付(第百六十一条第五項の規定により加算された額に相当する部分を除く。以下この条及び次条において「解散基金に係る代行部分」という。)の全部)の支給を停止する。
 坑内員・船員の老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合であつて、附則第十一条の三又は第十一条の四第二項及び第三項の規定により当該老齢厚生年金がその全額又は当該老齢厚生年金(坑内員・船員の加給年金額が加算されているものに限る。)の額から坑内員・船員の加給年金額を控除して得た額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときは、解散基金に係る代行部分について、支給停止基準額(前条第四項第二号に規定する支給停止基準額をいう。)から当該老齢厚生年金の額(坑内員・船員の加給年金額及び附則第十一条の四第二項及び第三項の規定の適用を受ける老齢厚生年金に係る同条第二項に規定する附則第九条の二第二項第一号に規定する額を除く。)を控除して得た額に解散基金に係る代行部分の額を坑内員・船員の代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(第五項において「坑内員・船員の支給停止額」という。)に相当する部分(その額が解散基金に係る代行部分の額以上であるときは、解散基金に係る代行部分の全部)の支給を停止する。
 附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合であつて、附則第十一条の六第一項及び第七項(同条第八項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定により当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されているときは、解散基金に係る代行部分について、調整後の支給停止基準額(前条第四項第三号に規定する調整後の支給停止基準額をいう。)から当該老齢厚生年金の額を控除して得た額に解散基金に係る代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(第五項において「高年齢雇用継続給付を受給する者の支給停止額」という。)に相当する部分(その額が解散基金に係る代行部分の額以上であるときは、解散基金に係る代行部分の全部)の支給を停止する。
 坑内員・船員の老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合であつて、附則第十一条の六第三項において読み替えられた同条第二項又は同条第五項において読み替えられた同条第四項及び同条第七項(同条第八項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定により当該老齢厚生年金の全額又は当該老齢厚生年金(坑内員・船員の加給年金額が加算されているものに限る。)の額から坑内員・船員の加給年金額を控除して得た額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときは、解散基金に係る代行部分について、調整後の支給停止基準額(前条第四項第四号に規定する調整後の支給停止基準額をいう。)から当該老齢厚生年金の額(坑内員・船員の加給年金額を除く。)を控除して得た額に解散基金に係る代行部分の額を坑内員・船員の代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(次項において「高年齢雇用継続給付を受給する坑内員・船員の支給停止額」という。)に相当する部分(その額が解散基金に係る代行部分の額以上であるときは、解散基金に係る代行部分の全部)の支給を停止する。
 支給停止額、坑内員・船員の支給停止額、高年齢雇用継続給付を受給する者の支給停止額及び高年齢雇用継続給付を受給する坑内員・船員の支給停止額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。

第十三条の三  附則第七条の四の規定は、附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合に係る解散基金に係る代行部分について準用する。この場合において、附則第七条の四第一項から第三項までの規定中「受給権者」とあるのは「受給権を有する者」と、同条第二項第二号中「第四十六条第一項及び第五項」とあるのは「附則第十一条から第十一条の三まで又は第十一条の四第二項及び第三項」と読み替えるものとする。

(老齢厚生年金の支給の繰上げの特例)
第十三条の四  附則第八条の二各項に規定する者であつて、附則第八条各号のいずれにも該当するもの(国民年金法附則第五条第一項の規定による国民年金の被保険者でないものに限る。)は、それぞれ附則第八条の二各項の表の下欄に掲げる年齢に達する前に、厚生労働大臣に老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。
 前項の請求は、国民年金法附則第九条の二第一項又は第九条の二の二第一項に規定する支給繰上げの請求を行うことができる者にあつては、これらの請求と同時に行わなければならない。
 第一項の請求があつたときは、第四十二条の規定にかかわらず、その請求があつた日の属する月から、その者に老齢厚生年金を支給する。
 前項の規定による老齢厚生年金の額は、第四十三条第一項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した額から政令で定める額を減じた額とする。
 第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者であつて、第一項の請求があつた日以後の被保険者期間を有するものが附則第八条の二各項の表の下欄に掲げる年齢に達したときは、第四十三条第二項の規定にかかわらず、当該年齢に達した日の属する月前における被保険者であつた期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該年齢に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定ず、六十五歳に達した日の属する月前における被保険者であつた期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、六十五歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
 第三項の規定による老齢厚生年金の額について、第四十四条及び第四十四条の二の規定を適用する場合には、第四十四条第一項中「受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時」とあるのは「附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が六十五歳(その者が附則第十三条の五第一項に規定する繰上げ調整額(以下この項において「繰上げ調整額」という。)が加算されている老齢厚生年金の受給権者であるときは、附則第八条の二各項の表の下欄に掲げる年齢(以下この項において「特例支給開始年齢」という。)とする。第三項において同じ。)に達した当時(六十五歳(その者が繰上げ調整額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であるときは、特例支給開始年齢)に達した当時」と、「第四十三条第三項」とあるのは「第四十三条第三項又は附則第十三条の四第六項(その者が繰上げ調整額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であるときは、第四十三条第三項又は附則第十三条の四第五項若しくは第六項)」と、「第四十三条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする」とあるのは「第四十三条第二項及び第三項並びに附則第十三条の四第四項から第六項までの規定にかかわらず、これらの規定に定める額に加給年金額を加算するものとし、六十五歳(その者が繰上げ調整額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であるときは、特例支給開始年齢)に達した日の属する月の翌月又は第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた月から、年金の額を改定する」と、同条第三項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が六十五歳に達した当時」と、第四十四条の二第一項中「第四十三条第一項」とあるのは「附則第十三条の四第四項」と、「第百三十二条第二項」とあるのは「附則第十三条の七第一項の規定により読み替えられた第百三十二条第二項」とする。
 前項の規定により読み替えられた第四十四条第一項の規定によりその額が加算された第三項の規定による老齢厚生年金(附則第八条の二第三項に規定する者であることにより次条第一項に規定する繰上げ調整額が加算されているものを除く。)の受給権者(その者が六十五歳に達していないものに限る。)が同条第五項又は第六項の規定の適用を受ける間は、前項の規定により読み替えられた第四十四条第一項の規定により加算する額に相当する部分の支給を停止する。
 附則第八条の二各項に規定する者が、第三項の規定による老齢厚生年金の受給権を取得したときは、附則第八条の規定は、その者については、適用しない。

第十三条の五  附則第八条の二各項に規定する者が、前条第三項の規定による老齢厚生年金の受給権を取得したとき(附則第八条の二第一項又は第二項に規定する者にあつては、前条第一項の請求があつた当時、被保険者でなく、かつ、障害状態にあるとき又はその者の被保険者期間が四十四年以上であるときに限る。)は、当該老齢厚生年金の額に、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間を基礎として計算した附則第九条の二第二項第一号に規定する額から政令で定める額を減じた額(以下この条において「繰上げ調整額」という。)を加算する。
 繰上げ調整額については、第四十三条第三項の規定は、適用しない。
 繰上げ調整額(その計算の基礎となる被保険者期間の月数が四百八十に満たないものに限る。次項において同じ。)が加算された老齢厚生年金の受給権者が、附則第八条の二各項の表の下欄に掲げる年齢に達した日の属する月において、当該年齢に達した日の属する月前の被保険者期間の月数(当該月数が四百八十を超えるときは四百八十とする。)が当該繰上げ調整額の計算の基礎となる被保険者期間の月数を超えるときは、第一項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した額に、当該超える月数の被保険者期間を基礎として計算した附則第九条の二第二項第一号に規定する額を加算した額を繰上げ調整額とするものとし、当該年齢に達した日の属する月の翌月から、その額を改定する。
4(繰上げ調整額を除く。)を第四十三条第三項の規定により改定するときは、第一項及び第三項の規定にかかわらず、当該繰上げ調整額について、当該改定に係る老齢厚生年金の額(繰上げ調整額を除く。)の計算の基礎となる被保険者期間の月数(当該月数が四百八十を超えるときは四百八十とする。)から当該繰上げ調整額の計算の基礎となる被保険者期間の月数を控除して得た月数の被保険者期間を基礎として計算した附則第九条の二第二項第一号に規定する額を加算するものとし、当該改定と同時に、その額を改定する。
 障害状態にあることにより繰上げ調整額が加算された老齢厚生年金については、その受給権者が、障害状態に該当しなくなつたときは、その障害状態に該当しない間、当該繰上げ調整額に相当する部分の支給を停止する。ただし、障害状態に該当しなくなつた当時、次の各号のいずれかに該当した場合においては、この限りでない。
 当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間が四十四年以上であること。
 当該老齢厚生年金が、第七項(第八項において準用する場合を含む。)の規定により、附則第八条の二第三項に規定する者であることにより繰上げ調整額が加算されている老齢厚生年金とみなされているものであること。
 繰上げ調整額が加算された老齢厚生年金(附則第八条の二第三項に規定する者であることにより繰上げ調整額が加算されているものを除く。次項及び第八項において同じ。)の受給権者が被保険者である間は、当該繰上げ調整額に相当する部分の支給を停止する。
 繰上げ調整額が加算された老齢厚生年金の受給権者(坑内員たる被保険者であつた期間と船員たる被保険者であつた期間とを合算した期間が十五年以上である者に限る。次項において同じ。)が、附則第八条の二第一項又は第二項の表の下欄に掲げる年齢に達した場合において、前条第五項の規定による年金の額の改定が行われたときは、当該改定が行われた月以後においては、当該老齢厚生年金は、前条第八項及び前項の規定の適用については、附則第八条の二第三項に規定する者であることにより繰上げ調整額が加算されている老齢厚生年金とみなす。
 前項の規定は、繰上げ調整額が加算された老齢厚生年金の受給権者が、第四十三条第三項の規定による年金の額の改定が行われた場合について準用する。
 第一項の規定によりその額が加算された老齢厚生年金については、その受給権者が六十五歳に達したときは、同項の規定にかかわらず、その者に係る同項の繰上げ調整額を加算しないものとし、六十五歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。

第十三条の六  附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者(その者が六十五歳に達していないものに限る。)が被保険者である日が属する月において、その者の総報酬月額相当額と老齢厚生年金の額(第四十四条第一項に規定する加給年金額を除く。以下この項において同じ。)を十二で除して得た額(以下この項において「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整開始額を超えるときは、第四十六条第一項の規定にかかわらず、その月の分の当該老齢厚生年金について、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該各号に定める額に十二を乗じて得た額(以下この項において「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、当該各号に掲げる場合において、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額以下であるとき。 総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額
 基本月額が支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超えるとき。 支給停止調整変更額と基本月額との合計額から支給停止調整開始額を控除して得た額に二分の一を乗じて得た額に、総報酬月額相当額から支給停止調整変更額を控除して得た額を加えた額
 被保険者であつた期間の全部又は一部が基金の加入員であつた期間である者に支給する附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金については、前項中「総報酬月額相当額と老齢厚生年金の額」とあるのは「総報酬月額相当額と第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額」と、「加給年金額を除く。以下この項において同じ」とあるのは「加給年金額(以下この項において「加給年金額」という。)を除く。以下この項において「基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額」という」と、「第四十六条第一項」とあるのは「第四十六条第一項及び第五項」と、「老齢厚生年金の額以上」とあるのは「老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)以上」と、「全部」とあるのは「全部(支給停止基準額が、基金に加入しなかつた場合の老齢厚生年金の額に満たないときは、加給年金額を除く。)」とする。
 附則第七条の四の規定は、附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金について準用する。この場合において、附則第七条の四第二項第二号中「第四十六条第一項及び第五項」とあるのは、「附則第十三条の六第一項及び第二項」と読み替えるものとする。
 附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日が属する月について、その者が高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができるときは、第一項及び第二項の規定にかかわらず、その月の分の当該老齢厚生年金について、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ当該老齢厚生年金につき第一項及び第二項の規定を適用した場合におけるこれらの規定による支給停止基準額と当該各号に定める額(その額に六分の十五を乗じて得た額に当該受給権者に係る標準報酬月額を加えた額が支給限度額を超えるときは、支給限度額から当該標準報酬月額を減じて得た額に十五分の六を乗じて得た額)に十二を乗じて得た額(第七項において「調整額」という。)との合計額(以下この項において「調整後の支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、調整後の支給停止基準額が老齢厚生年金の額(第四十四条第一項に規定する加給年金額を除く。)以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする。
 当該受給権者に係る標準報酬月額が、みなし賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の六十一に相当する額未満であるとき。 当該受給権者に係る標準報酬月額に百分の六を乗じて得た額
 前号に該当しないとき。 当該受給権者に係る標準報酬月額に、みなし賃金日額に三十を乗じて得た額に対する当該受給権者に係る標準報酬月額の割合が逓増する程度に応じ、百分の六から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率を乗じて得た額
 被保険者であつた期間の全部又は一部が基金の加入員であつた期間である者に支給する附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金については、前項中「加給年金額」とあるのは「加給年金額(以下この項において「加給年金額」という。)」と、「全部」とあるのは「全部(調整後の支給停止基準額が、第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)に満たないときは、加給年金額を除く。)」とする。
 附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金については、次の各号のいずれかに該当するときは、前二項の規定は適用しない。
 当該老齢厚生年金の受給権者に係る標準報酬月額がみなし賃金日額に三十を乗じて得た額の百分の七十五に相当する額以上であるとき。
 当該老齢厚生年金の受給権者に係る標準報酬月額が支給限度額以上であるとき。
 調整額を計算する場合に生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。
 第四項から前項までの規定額(以下この条において「賃金日額」という。)」と、同項第二号及び第六項第一号中「みなし賃金日額」とあるのは「賃金日額」と読み替えるものとする。

第十三条の七  附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、第百三十一条第一項第二号中「第四十三条第三項」とあるのは「第四十三条第三項又は附則第十三条の四第五項若しくは第六項」と、第百三十二条第二項中「加入員であつた期間(」とあるのは「加入員であつた期間(当該受給権者がその権利を取得した月以後における当該基金の加入員であつた期間(以下この項において「改定対象期間」という。)を除く。」と、「乗じて得た額」とあるのは「乗じて得た額から政令で定める額を減じた額(改定対象期間を基礎として政令の定めるところにより計算した額を含む。)」と、第百三十三条中「前条第二項」とあるのは「附則第十三条の七第一項において読み替えられた前条第二項」とする。
 附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金(第四十六条第五項において読み替えられた同条第一項の規定によりその全部又は一部の支給が停止されているものに限る。)の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、第百三十三条の二第二項及び第三項中「第百三十二条第二項」とあるのは、「附則第十三条の七第一項において読み替えられた第百三十二条第二項」とする。
 附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金(前条(第三項を除く。)の規定によりその全部又は一部の支給が停止されているものに限る。以下この条において同じ。)の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、第百三十三条の規定は適用しない。
 附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付は、当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されている場合(次の各号のいずれかに該当する場合を除く。)を除いては、その支給を停止することができない。ただし、当該老齢年金給付の額のうち、第一項において読み替えられた第百三十二条第二項に規定する額を超える部分については、この限りでない。
 当該老齢厚生年金(第四十四条第一項に規定する加給年金額(以下この条及び次条において「加給年金額」という。)が加算されているものを除く。)が前条第二項において読み替えられた同条第一項の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、支給停止基準額(同条第二項において読み替えられた同条第一項の規定による支給停止基準額をいう。次項第一号及び次条第二項において同じ。)が、第四十四条の二第一項の規定の適用がないものとして計算した老齢厚生年金の額(以下この項及び次項において「老齢厚生年金の総額」という。)に満たないとき。
 当該老齢厚生年金(加給年金額が加算されているものを除く。)が前条第五項において読み替えられた同条第四項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であつて、これらの規定による調整後の支給停止基準額が、老齢厚生年金の総額に満たないとき。
 前項の規定にかかわらず、附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、次の各号に掲げる場合に応じ、その額のうち、当該各号に定める額を超える部分については、その支給を停止することができる。
 前項第一号に該当するとき又は当該老齢厚生年金(加給年金額が加算されているものに限る。)が前条第二項において読み替えられた同条第一項の規定により当該老齢厚生年金の額から加給年金額を控除して得た額に相当する部分の全額につき支給を停止されているとき。 その受給権者の当該老齢年金給付を支給する基金の加入員であつた期間に係る第一項において読み替えられた第百三十二条第二項に規定する額(以下この項において「当該基金の代行部分の額」という。)から、支給停止基準額から当該老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)を控除して得た額に当該基金の代行部分の額を老齢厚生年金の総額から老齢厚生年金の額を控除して得た額(以下この項及び次条において「代行部分の総額」という。)で除して得た率を乗じて得た額(次項に五項において読み替えられた同条第四項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定により当該老齢厚生年金の額から加給年金額を控除して得た額に相当する部分の全額につき支給を停止されているとき。 当該基金の代行部分の額から、調整後の支給停止基準額(前条第五項において読み替えられた同条第四項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定による調整後の支給停止基準額をいう。次条第三項において同じ。)から当該老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)を控除して得た額に当該基金の代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(次項において「高年齢雇用継続給付を受給する者の支給停止額」という。)を控除して得た額
 支給停止額及び高年齢雇用継続給付を受給する者の支給停止額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。

第十三条の八  附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者である解散基金加入員に連合会が支給する老齢年金給付については、第百六十一条第三項中「第百三十二条第二項」とあるのは、「附則第十三条の七第一項において読み替えられた第百三十二条第二項」とする。
 附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合であつて、附則第十三条の六第二項において読み替えられた同条第一項の規定により当該老齢厚生年金がその全額又は当該老齢厚生年金(加給年金額が加算されているものに限る。)の額から加給年金額を控除して得た額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときは、解散基金に係る老齢年金給付(第百六十一条第五項の規定により加算された額に相当する部分を除く。以下この条において「解散基金に係る代行部分」という。)について、支給停止基準額から当該老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)を控除して得た額に解散基金に係る代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(第四項において「支給停止額」という。)を加えた額に相当する部分(その額が解散基金に係る代行部分の額以上であるときは、解散基金に係る代行部分の全部)の支給を停止する。
 附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合であつて、附則第十三条の六第五項において読み替えられた同条第四項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定により当該老齢厚生年金の全額又は当該老齢厚生年金(加給年金額が加算されているものに限る。)の額から加給年金額を控除して得た額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときは、解散基金に係る代行部分について、調整後の支給停止基準額から当該老齢厚生年金の額(加給年金額を除く。)を控除して得た額に解散基金に係る代行部分の額を代行部分の総額で除して得た率を乗じて得た額(次項において「高年齢雇用継続給付を受給する者の支給停止額」という。)に相当する部分(その額が解散基金に係る代行部分の額以上であるときは、解散基金に係る代行部分の全部)の支給を停止する。
 支給停止額及び高年齢雇用継続給付を受給する者の支給停止額を計算する場合において生じる一円未満の端数の処理については、政令で定める。
 附則第七条の四の規定は、附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が解散基金に係る老齢年金給付の受給権を有する者である場合に係る解散基金に係る代行部分について準用する。この場合において、附則第七条の四第一項から第三項までの規定中「受給権者」とあるのは「受給権を有する者」と、同条第二項第二号中「第四十六条第一項及び第五項」とあるのは「附則第十三条の六第一項及び第二項」と読み替えるものとする。

(老齢厚生年金の支給要件等の特例)
第十四条  被保険者期間を有する者であつて、その者の保険料納付済期間、保険料免除期間及び国民年金法附則第七条第一項に規定する合算対象期間を合算した期間が二十五年以上であるものは、第四十二条及び第五十八条第一項(第四号に限る。)並びに附則第七条の三第一項、第八条、第十三条の四第一項、第二十八条の三第一項、第二十八条の四第一算について準用する。

第十五条  削除

第十五条の二  第四十三条第三項の規定の適用については、当分の間、同項中「受給権者」とあるのは、「受給権者(附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者にあつては六十五歳に達しているものに限るものとし、附則第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者にあつては附則第八条の二各項の表の下欄に掲げる年齢に達しているものに限る。)」とする。

第十五条の三  附則第七条の四(附則第十一条の五及び第十三条の六第三項において準用する場合を含む。)、第七条の五、第十一条から第十一条の四まで、第十一条の六並びに第十三条の六第一項、第二項、第四項及び第五項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定により老齢厚生年金の全部又は一部の支給を停止する場合においては、第三十六条第二項の規定は、適用しない。

(加給年金額に関する経過措置)
第十六条  附則第八条の規定による老齢厚生年金(附則第九条及び第九条の二第一項から第三項までの規定によりその額が計算されているものであつて、かつ、その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の受給権者であつた者が六十五歳に達したときに支給する老齢厚生年金については、第四十四条第一項中「受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)」とあるのは「附則第八条の規定による老齢厚生年金に係る附則第九条の二第一項の請求があつたときから引き続き(当該請求があつた当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、当該被保険者期間の月数が二百四十以上となるに至つたときから引き続き。第三項において同じ。)」と、同条第三項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則第八条の規定による老齢厚生年金に係る附則第九条の二第一項の請求があつたときから引き続き」とする。
 附則第八条の規定による老齢厚生年金(附則第九条並びに附則第九条の三第一項及び第二項又は第九条の四第一項及び第三項の規定によりその額が計算されているものであつて、かつ、その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の受給権者であつた者が六十五歳に達したときに支給する老齢厚生年金については、第四十四条第一項中「その権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)」とあるのは「附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権を取得したときから引き続き(当該受給権を取得した当時当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、当該被保険者期間の月数が二百四十以上となるに至つたときから引き続き。第三項において同じ。)」と、同条第三項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則第八条の規定による老齢厚生年金の受給権を取得したときから引き続き」とする。
 附則第八条の規定による老齢厚生年金(附則第九条並びに附則第九条の三第三項及び第四項(同条第五項においてその例による場合を含む。)又は第九条の四第四項及び第五項(同条第六項においてその例による場合を含む。)の規定によりその額が計算されているものであつて、かつ、その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の受給権者であつた者が六十五歳に達したときに支給する老齢厚生年金については、第四十四条第一項中「受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)」とあるのは「附則第八条の規定による老齢厚生年金に係る附則第九条の三第三項若しくは第五項又は第九条の四第四項若しくは第六項の規定による年金額の改定に係る被保険者の資格を喪失した日から起算して一月を経過したときから引き続き(当該一月を経過した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、当該被保険者期間の月数が二百四十以上となるに至つたときから引き続き。第三項において同じ。)」と、同条第三項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則第八条の規定による老齢厚生年金に係る附則第九条の三第三項若しくは第五項又は第九条の四第四項若しくは第六項の規定による年金額の改定に係る被保険者の資格を喪失した日から起算して一月を経過したときから引き続き」とする。

第十六条の二  削除

(障害厚生年金の特例)
第十六条の三  第四十七条の二、第四十七条の三、第五十二条第四項、第五十二条の二第二項及び第五十四条第二項ただし書の規定は、当分の間、附則第七条の三第三項若しくは第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者又は国民年金法附則第九条の二第三項若しくは第九条の二の二第三項の規定による老齢基礎年金の受給権者については、適用しない。
 第五十二条第七項の規定の適用については、当分の間、同項中「六十五歳以上の者」とあるのは、「六十五歳以上の者又は国民年金法による老齢基礎年金の受給権者」とする。

(被保険者等である者に対する老齢厚生年金又は障害厚生年金の取扱い)
第十六条の四  附則第八条の規定による老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者が被保険者である場合及び他の被用者年金制度の組合員等である場合における当該年金の支給に関する合理的な方策について、退職共済年金又は障害共済年金の受給権者が被保険者等である場合における当該年金の支給の停止に関する措置との均衡等を考慮しつつ、速やかに検討を行い、別に法律の定めるところにより、必要な措置を講ずるものとする。

(併給の調整の特例)
第十七条  第三十八条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「遺族厚生年金を」とあるのは「遺族厚生年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)を」と、「並びに障害基礎年金」とあるのは「並びに障害基礎年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)」と、「及び遺族共済年金」とあるのは「及び遺族共済年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)」と、「老齢厚生年金を」とあるのは「老齢厚生年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)を」と、「老齢基礎年金及び付加年金、障害基礎年金」とあるのは「老齢基礎年金及び付加年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)、障害基礎年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)」と、「退職共済年金及び当該遺族厚生年金」とあるのは「退職共済年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)及び当該遺族厚生年金」とする。

(遺族厚生年金の額の特例)
第十七条の二  第六十条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「受給権を有する配偶者」とあるのは、「受給権を有する配偶者(六十五歳に達している者に限る。)」とする。
 第六十条第二項の規定の適用については、当分の間、同項第一号イ中「被用者年金各法」とあるのは、「被用者年金各法その他の法令」とする。

(遺族厚生年金の額の改定の特例)
第十七条の三  第六十一条第二項の規定の適用については、当分の間、同項中「老齢厚生年金等のいずれかの受給権を取得した日」とあるのは「六十五歳に達した日以後に老齢厚生年金等のいずれかの受給権を取得した日(附則第七条の三第三項又は第十三条の四第三項の規定による老齢厚生年金その他これに相当する年金たる給付であつて政令で定めるものの受給権を有する者にあつては、六十五歳に達した日)」と、「同項第二号イ」とあるのは「前条第一項第二号イ」と、「当該老齢厚生年金等の受給権を取得した日」とあるのは「当該老齢厚生年金等の受給権を取得した日(附則第七条の三第三項又は第十三条の四第三項の規定による老齢厚生十三条第一項(以下この条において「改正前の第四十三条第一項」という。)に規定する平均標準報酬月額の計算の基礎となる標準報酬月額については、平成十二年改正法附則第二十条第一項第一号及び改正前の第四十三条第一項の規定にかかわらず、被保険者であつた期間の各月の標準報酬月額に再評価率を乗じて得た額とする。ただし、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年改正法」という。)附則第七十八条第一項の規定によりなお従前の例によるものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第七十条第一項、昭和六十年改正法附則第八十二条第一項、昭和六十年改正法附則第八十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第百三十二条第二項、平成十二年改正法附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第四条の規定による改正前の第百三十二条第二項及び平成十二年改正法第十三条の規定による改正前の昭和六十年改正法附則第八十二条第一項並びに平成十二年改正法附則第二十三条第一項の規定を適用する場合においては、この限りでない。
 昭和六十年改正法附則第四十七条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者であつた期間とみなされた昭和六十年改正法第五条の規定による改正前の船員保険法による船員保険の被保険者であつた期間(以下この項及び附則第十七条の九第一項において「船員保険の被保険者であつた期間」という。)の平均標準報酬月額の計算の基礎となる標準報酬月額については、前項並びに平成十二年改正法附則第二十条第一項第一号及び改正前の第四十三条第一項の規定にかかわらず、船員保険の被保険者であつた期間の各月の標準報酬月額に、附則別表第一の各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率を乗じて得た額とする。この場合において、前項ただし書の規定を準用する。
 昭和六十年九月以前の期間に属する旧適用法人共済組合員期間(厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成八年法律第八十二号)附則第三条第八号に規定する旧適用法人共済組合員期間をいう。以下この項及び附則第十七条の九第二項において同じ。)の平均標準報酬月額の計算の基礎となる標準報酬月額については、第一項並びに平成十二年改正法附則第二十条第一項第一号及び改正前の第四十三条第一項の規定にかかわらず、当該旧適用法人共済組合員期間の各月の標準報酬月額に、附則別表第二の上欄に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ同表の下欄に定める率を乗じて得た額とする。ただし、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第百五号)附則第三十二条第一項の規定により当該旧適用法人共済組合員期間に合算された期間に属する各月の標準報酬月額については、この限りでない。
 昭和六十年九月以前の期間に属する旧農林共済組合員期間(厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律(平成十三年法律第百一号)附則第二条第一項第七号に規定する旧農林共済組合員期間をいう。以下この項及び附則第十七条の九第三項において同じ。)の平均標準報酬月額の計算の基礎となる標準報酬月額については、第一項並びに平成十二年改正法附則第二十条第一項第一号及び改正前の第四十三条第一項の規定にかかわらず、当該旧農林共済組合員期間の各月の標準報酬月額に、附則別表第二の上欄に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ同表の下欄に定める率を乗じて得た額とする。
 平成十五年四月一日前に被保険者であつた者(第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬が改定され、又は決定された者を除く。)の平均標準報酬月額が七万四百七十七円(当該被保険者であつた者(第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬が改定され、又は決定された者を除く。)が昭和十年四月一日以前に生まれた者であるときは六万九千百二十五円とし、その者が昭和十年四月二日から昭和十一年四月一日までに生まれた者であるときは六万九千四百九円とし、その者が昭和十一年四月二日から昭和十二年四月一日までに生まれた者であるときは六万九千九百八円とする。次項において同じ。)に改定率を乗じて得た額(その額に五十銭未満の端数が生じたとき、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。次項において同じ。)に満たないときは、これを当該額とする。ただし、第百三十二条第二項、昭和六十年改正法附則第七十八条第一項の規定によりなお従前の例によるものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第七十条第一項、昭和六十年改正法附則第八十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第百三十二条第二項及び平成十二年改正法附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第四条の規定による改正前の第百三十二条第二項の規定を適用する場合においては、この限りでない。
 第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬が改定され、又は決定された者に係る平均標準報酬月額を計算する場合においては、平成十五年四月一日前の被保険者であつた期間のうち、第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬の改定又は決定が行われた期間以外の期間の平均標準報酬月額が七万四百七十七円に改定率を乗じて得た額に満たないときは、第一項の規定にかかわらず、当該額を当該期間の各月の標準報酬月額とする。この場合において、前項ただし書の規定を準用する。
 第四十三条の二から第四十三条の五までの規定(第四十三条の二第二項及び第四項、第四十三条の三第二項、第四十三条の四第二項及び第三項並びに第四十三条の五第二項及び第三項を除く。)は、第二項に規定する率並びに第三項及び第四項に規定する率の改定について準用する。
 基金の加入員たる被保険者であつた期間の全部又は一部が平成十五年四月一日前の期間である場合であつて、第七十八条の六第一項の規定により第二号改定者の標準報酬月額の改定が行われた場合における昭和六十年改正法附則第八十二条第一項、昭和六十年改正法附則第八十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第百三十二条第二項、平成十二年改正法附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第四条の規定による改正前の第百三十二条第二項及び平成十二年改正法第十三条の規定による改正前の昭和六十年改正法附則第八十二条第一項並びに平成十二年改正法附則第二十三条第一項に規定する平均標準報酬月額の計算の基礎となる標準報酬月額については、加入員たる被保険者であつた期間の各月の第七十八条の六第一項の規定による改定前の標準報酬月額の総額を、当該加入員たる被保険者であつた期間の月数で除して得た額とする。

第十七条の五  第四十四条の二の規定の適用については、当分の間、同条第一項中「第百三十二条第二項」とあるのは、「第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下「昭和六十年改正法」という。)附則第八十二条第一項若しくは第八十三条の二第一項、昭和六十年改正法附則第八十三条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた昭和六十年改正法第三条の規定による改正前の第百三十二条第二項、国民年金法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号。以下「平成十二年改正法」という。)附則第九条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十二年改正法第四条の規定による改正前の第百三十二条第二項若しくは平成十二年改正法第十三条の規定による改正前の昭和六十年改正法附則第八十二条第一項又は平成十二年改正法附則第二十三条第一項若しくは第二十四条第一項」とする。

第十七条の六  昭和六十年改正法附則第八十二条第一項第四号及び第八十三条の二第一項第二号並びに平成十二年改正法附則第二十三条第一項第二号及び第二十四条第一項に規定する平均標準報酬額については、第四十三条第一項の規定にかかわらず、加入員たる被保険者であつた期間の各月の標準報酬月額(第二十六条第一項の規定により同項に規定する従前標準報酬月額が当該月の標準報酬月額とみなされた月にあつては、従前標準報酬月額)と標準賞与額の総額を、当該加入員たる被保険者であつた期間の月数で除して得た額とする。
 第七十八条の六第一項及び第二項の規定により第二号改定者の標準報酬の改定が行われた場合における前項の規定の適用については、同項中「各月の標準報酬月額」とあるのは「各月の第七十八条の六第一項の規定による改定前の標準報酬月額」と、「標準賞与額」とあるのは「同条第二項の規定による改定前の標準賞与額」とする。

(年金たる保険給付のの二第二項第二号又は平成十二年改正法附則第二十条第一項の規定(この法律又は他の法令において、これらの規定を引用し、又はその例による場合を含む。以下この項において同じ。)によりその額が計算されたものに限る。)の受給権を有する者について、第四十三条の二から第四十三条の五までの規定による再評価率の改定により、当該年度において第四十三条第一項、附則第九条の二第二項第二号又は平成十二年改正法附則第二十条第一項の規定により計算した額(以下この条において「当該年度額」という。)が、当該年度の前年度に属する三月三十一日においてこれらの規定により計算した額(以下この条において「前年度額」という。)に満たない場合には、これらの規定にかかわらず、前年度額を当該年度額とする。
 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合において、第四十三条の二(第四十三条の三から第四十三条の五までにおいて適用される場合を除く。)の規定による再評価率の改定により、当該年度額が、前年度額に当該各号に定める率を乗じて得た額に満たないときは、当該額を当該年度額とする。
 名目手取り賃金変動率が一を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率を下回るとき 名目手取り賃金変動率
 物価変動率が一を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るとき 物価変動率
 第一項の規定にかかわらず、物価変動率が一を下回る場合において、第四十三条の三(第四十三条の五において適用される場合を除く。)の規定による再評価率の改定により、当該年度額が、前年度額に物価変動率を乗じて得た額に満たないときは、当該額を当該年度額とする。
 第一項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合において、第四十三条の四(第四十三条の五において適用される場合を除く。)の規定による再評価率の改定により、当該年度額が、前年度額に当該各号に定める率を乗じて得た額に満たないときは、当該額を当該年度額とする。
 名目手取り賃金変動率が一を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率以下となるとき 名目手取り賃金変動率
 名目手取り賃金変動率が一を下回り、かつ、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るとき(物価変動率が一を上回る場合を除く。) 物価変動率
 第一項の規定にかかわらず、物価変動率が一を下回る場合において、第四十三条の五の規定による再評価率の改定により、当該年度額が、前年度額に物価変動率を乗じて得た額に満たないときは、当該額を当該年度額とする。

(第一号改定者の特例)
第十七条の八  第七十八条の二第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「又は被保険者であつた者」とあるのは、「若しくは被保険者であつた者又は附則第四条若しくは他の法令の規定により被保険者であつた期間とみなされた期間を有する者」とする。

(対象期間標準報酬総額の計算の特例)
第十七条の九  対象期間標準報酬総額を計算する場合において、船員保険の被保険者であつた期間については、第七十八条の三第一項の規定にかかわらず、船員保険の被保険者であつた期間の各月の標準報酬月額に、附則別表第一の各号に掲げる当事者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率を乗じて計算する。
 対象期間標準報酬総額を計算する場合において、昭和六十年九月以前の期間に属する旧適用法人共済組合員期間については、第七十八条の三第一項の規定にかかわらず、当該旧適用法人共済組合員期間の各月の標準報酬月額に、附則別表第二の上欄に掲げる当事者の区分に応じてそれぞれ同表の下欄に定める率を乗じて計算する。ただし、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律附則第三十二条第一項の規定により当該旧適用法人共済組合員期間に合算された期間に属する各月の標準報酬月額については、この限りでない。
 対象期間標準報酬総額を計算する場合において、昭和六十年九月以前の期間に属する旧農林共済組合員期間については、第七十八条の三第一項の規定にかかわらず、当該旧農林共済組合員期間の各月の標準報酬月額に、附則別表第二の上欄に掲げる当事者の区分に応じてそれぞれ同表の下欄に定める率を乗じて計算する。

(標準報酬が改定され、又は決定された者に対する保険給付の支給要件等の特例)
第十七条の十  第七十八条の六第一項及び第二項の規定により標準報酬が改定され、又は決定された者に対する保険給付について、附則第八条第二号、第九条の二第二項第一号、第九条の三第一項、第二十八条の二第一項、第二十八条の三第一項、第二十八条の四第一項及び第二十九条第一項の規定(他の法令において、これらの規定を引用し、又はその例による場合を含む。)を適用する場合においては、「被保険者期間」とあるのは、「被保険者期間(離婚時みなし被保険者期間を除く。)」とする。

(被扶養配偶者である期間についての特例の規定の適用)
第十七条の十一  第七十八条の十八第一項の規定の適用については、当分の間、「第四十三条第一項」とあるのは「第四十三条第一項及び第二項」と、「、改定又は」とあるのは「、特定期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間(特定期間の末日後に当該老齢厚生年金を支給すべき事由が生じた場合その他の政令で定める場合にあつては、政令で定める期間)及び改定又は」とする。

第十七条の十二  第七十八条の十四第二項及び第三項の規定により標準報酬が改定され、及び決定された者に対する保険給付について、附則第八条第二号、第九条の二第二項第一号、第九条の三第一項、第二十八条の二第一項、第二十八条の三第一項、第二十八条の四第一項及び第二十九条第一項の規定(他の法令において、これらの規定を引用し、又はその例による場合を含む。)を適用する場合においては、「被保険者期間」とあるのは、「被保険者期間(被扶養配偶者みなし被保険者期間を除く。)」とする。

第十七条の十三  国民年金法附則第七条の三第一項の規定により保険料納付済期間に算入される特定期間に係る被保険者期間についての第七十八条の十四第二項及び第三項の規定による標準報酬の改定及び決定並びに保険給付の額の計算及び改定に関し必要な事項は、政令で定める。

(延滞金の割合の特例)
第十七条の十四  第八十七条第一項(第百四十一条第一項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)に規定する延滞金の年七・三パーセントの割合は、当分の間、第八十七条第一項の規定にかかわらず、各年の特例基準割合(各年の前年の十一月三十日を経過する時における日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第十五条第一項第一号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年四パーセントの割合を加算した割合をいう。以下この条において同じ。)が年七・三パーセントの割合に満たない場合には、その年中においては、当該特例基準割合(当該特例基準割合に〇・一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)とする。

(年金保険者たる共済組合等に係る拠出金の納付)
第十八条  年金保険者たる共済組合等は、毎年度、厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成八年法律第八十二号)第二条の規定による改正前の国家公務員等共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。次条において「国家公務員等共済組合法」という。)第二条第一項第七号イ又はハに掲げる法人(次条において「日本たばこ産業株式会社等」という。)の所属の職員をもつて組織された共済組合の組合員であつた者の当該組合員であつた期間(他の法令の規定により当該組合員であつた期間とみなされた期間及び他の法令の規定により当該組合員であつた期間に合算された期間を含む。次条において「日本たばこ産業共済組合等の組合員期間」という。)に係る年金たる保険給付に要する費用の一部に充てるため、拠出金を納付する。
 財政の現況及び見通しが作成されるときは、厚生労働大臣は、年金保険者たる共済組合等が納付すべき拠出金について、その将来にわたる予想額を算定するものとする。

第十九条  前条第一項の規定により年金保険者たる共済組合等が納付する拠出金の額は、当該年度における拠出金算定対象額の二分の一に相当する額にそれぞれ次の各号に掲げる率を乗じて得た額の合計額とする。
 標準報酬按分率
 個別負担按分率
 前項の拠出金算定対象額は、当該年度における年金たる保険給付に要する費用のうち、当該年度における日本たばこ産業共済組合等の組合員期間に係る年金たる保険給付に要する費用(以下この項において「組合員期間費用」という。)として政令で定めるところにより算定した額から、次の各号に掲げる額の合計額を控除して得た額とする。
 当該年度における組合員期間費用に係る国庫負担の額として政令で定めるところにより算定した額
 組合員期間費用に係る積立金の額及びその運用収入の額の合計額のうち、当該年度における組合員期間費用に充てるべき額として厚生労働大臣が定める額
 当該年度における日本たばこ産業株式会社等の被保険者(日本たばこ産業株式会社等(国家公務員等共済組合法第百十一条の六第一項に規定する指定法人であつて、当該指定に係る国家公務員等共済組合法第二条第一項第七号に規定する適用法人が日本たばこ産業株式会社等であるものを含む。)の事業所であつて第六条の適用事業所であるものに使用される被保険者をいう。以下この条において同じ。)に係る保険料額の総額のうち、当該年度における組合員期間費用に充てるべき額として政令で定めるところにより算定した額
 第一項第一号の標準報酬按分率は、厚生労働省令で定めるところにより、年金保険者たる共済組合等ごとに、当該年度における当該年金保険者たる共済組合等の組合員(国家公務員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会にあつては、当該連合会を組織する共済組合の組合員)又は私学教職員共済制度の加入者に係る標準報酬の総額として政令で定めるところにより算定した額(以下「年金保険者たる共済組合等の標準報酬総額」という。)を、当該年度における厚生年金保険の被保険者(日本たばこ産業株式会社等の被保険者を除く。)に係る標準報酬の総額として政令で定めるところにより算定した額(次項において「厚生年金保険の標準報酬総額」という。)と年金保険者たる共済組合等の標準報酬総額の合計額とを合算した額(次条において「被用者年金保険者の標準報酬合計額」という。)で除して得た率を基準として、年金保険者たる共済組合等ごとに算定した率とする。
 第一項第二号の個別負担按分率は、第一号に掲げる率が第二号に掲げる率を下回る年金保険者たる共済組合等について、同号に掲げる率から第一号に掲げる率を控除して得た率及び当該年金保険者たる共済組合等の標準報酬総額を考慮して、政令で定めるところにより算定した率とする。
 個別負担率(厚生労働省令で定めるところにより、年金保険者たる共済組合等ごとに、当該年度における当該年金保険者たる共済組合等が支給する年金たる給付に要する費用(地方公務員共済組合連合会にあつては、当該連合会を組織する共済組合及び全国市町村職員共済組合連合会が支給する年金たる給付に要する費用)のうち年金たる保険給付に相当する給付に要する費用として政令で定めるところにより算定した額を、当該年金保険者たる共済組合等の標準報酬総額で除して得た率をいう。)
 基準負担率(厚生労働省令で定めるところにより、当該年度における年金たる保険給付に要する費用のうち日本たばこ産業共済組合等の組合員期間及び日本たばこ産業株式会社等の被保険者であつた期間以外の期間に係る年金たる保険給付に要する費用として政令で定めるところにより算定した額を、厚生年金保険の標準報酬総額で除して得た率をいう。)

第二十条  拠出金算定対象額の予想額(以下この条において「拠出金算定対象予想額」という。)を被用者年金保険者の標準報酬合計額の予想額(以下この条において「標準報酬合計予想額」という。)で除して得た率が、年金保険者たる共済組合等の年金たる給付に関する事業に係る財政状況その他の事情を勘案して政令で定める率を上回る年度があるときは、年金保険者たる共済組合等に係る拠出金の負担の平準化に資するため、厚生労働大臣が定める期間(以下この条及び次条において「平準化期間」という。)の各年度における前条第一項の拠出金算定対象額は、同条第二項の規定にかかわらず、厚生労働大臣が定める額(以下この条及び次条において「補正拠出金算定対象額」という。)とする。
 拠出金算定対象予想額及び標準報酬合計予想額は、各年度ごとに厚生労働大臣が算定する。
 補正拠出金算定対象額は、平準化期間の各年度において、次の各号のいずれにも該当するように定められるものとする。
 平準化期間の各年度(平準化期間の最初の年度を除く。)における補正拠出金算定対象額は、イに掲げる額にロに掲げる率を乗じて得た額を基礎として定められるものであること。
 当該年度の前年度における補正拠出金算定対象額
 平準化期間における標準報酬合計予想額の推移その他の事情を勘案して政令で定める率
 補正拠出金算定対象額は、イに掲げる額とロに掲げる額とが等しくなるように定められるものであること。
 平準化期間の各年度における補正拠出金算定対象額を積立金(特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)附則第六十六条第五号の規定による廃止前の厚生保険特別会計法(昭和十九年法律第十号)に基づく厚生保険特別会計の年金勘定(次項において「旧厚生保険特別会計年金勘定」という。)又は年金特別会計の厚生年金勘定の積立金並びに第八十五条の二及び第百六十一条第一項に規定する責任準備金をいう。)の運用収益の予測に基づき算定する予定利率として政令で定める率の複利現価法によつて平準化期間の最初の年度から当該各年度までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額
 平準化期間の各年度における拠出金算定対象予想額をイの政令で定める率の複利現価法によつて平準化期間の最初の年度から当該各年度までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額
 附則第十八条第二項の規定により同項の予想額の算定が行われるときは、厚生労働大臣は、当該予想額の算定の基礎となつた拠出金算定対象予想額及び標準報酬合計予想額に基づき、積立金(旧厚生保険特別会計年金勘定及び年金特別会計の厚生年金勘定の積立金をいう。)の運用の実績を考慮して平準化期間及び補正拠出金算定対象額を変更するものとする。
 第三項及び第四項の規定は、前項の規定による平準化期間及び補正拠出金算定対象額の変更について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(報告等)
第二十一条  厚生労働大臣は、年金保険者たる共済組合等に対し、当該年金保険者たる共済組合等を所管する大臣を経由して、当該年金保険者たる共済組合等の標準報酬総額その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求めることができる。
 各年金保険者たる共済組合等は、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金保険者たる共済組合等を所管する大臣を経由して、前項の報告を行うものとする。
 年金保険者たる共済組合等は、厚生労働省令で定めるところにより、当該年金保険者たる共済組合等を所管する大臣を経由して、附則第十八条第二項に規定する予想額並びに平準化期間及び補正拠出金算定対象額の算定のために必要な事項として厚生労働省令で定める事項について厚生労働大臣に報告を行うものとする。
 厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、前項に規定する予想額その他これに関連する事項で厚生労働省令で定めるものについて、年金保険者たる共済組合等を所管する大臣に報告を行うものとする。
 厚生労働大臣は、前各項に規定する厚生労働省令を定めるときは、年金保険者たる共済組合等を所管する大臣に協議しなければならない。

第二十二条  厚生労働大臣は、附則第十八条から前条までの規定の適用に関し必要があると認めるときは、年金保険者たる共済組合等を所管する大臣に対し、当該年金保険者たる共済組合等に係る前条第一項に規定する報告に関し監督上必要な命令を発し、又は当該職員に当該年金保険者たる共済組合等の業務の状況を監査させることを求めることができる。

(政令への委任)
第二十三条  附則第十八条から前条までに規定するもののほか、年金保険者たる共済組合等に係る拠出金の納付に関し必要な事項は、政令で定める。

(戦時特例)
第二十四条  昭和十九年一月一日から昭和二十年八月三十一日までの間において、鉱業法第四条に規定する事業の事業場に使用され、且つ、常時坑内作業に従事する被保険者であつた者のその期間における被保険者期間の加算については、なお従前の例による。

(被保険者の資格等に関する旧法による報告)
第二十五条  旧法による被保険者であつた期間に関して第七十五条の規定を適用する場合においては、同条第一項但書中「第二十七条の規定による届出」とあるのは、「旧法第九条の規定による報告」と読み替えるものとする。

(従前の保険料)
第二十六条  昭和二十九年四月以前の月に係る保険料の徴収については、なお従前の例による。

(従前の行為に対する罰則の適用)
第二十七条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(指定共済組合の組合員)
第二十八条  旧法第七十四条の規定に基く旧厚生年金保険法施行令(昭和十六年勅令第千二百五十号)第三十二条の規定によつて指定された共済組合の組合員である者に関しては、この法律の適用についても、なお従前の例による。

(旧陸軍共済組合等の組合員であつた期間に関する特例)
第二十八条の二  被保険者期間が一年以上である者について、旧陸軍共済組合令(昭和十五年勅令第九百四十七号)に基づく旧陸軍共済組合その他政令で定める共済組合の組合員であつた期間であつて政令で定める期間(以下「旧共済組合員期間」という。)のうちに昭和十七年六月から昭和二十年八月までの期間がある場合においては、当該期間は、その者の老齢又は死亡に関し支給する保険給付については、この法律による坑内員たる被保険者及び船員たる被保険者以外の被保険者であつた期間とみなす。ただし、第四十三条第一項及び附則第九条の二第二項第二号(附則第九条の三第一項及び第三項(同条第五項においてその例による場合を含む。)並びに第九条の四第一項(次条第二項及び附則第二十八条の四第二項においてその例による場合を含む。)及び第四項(附則第九条の四第六項においてその例による場合を含む。)においてその例による場合を含む。)並びに第五十八条第一項(第四号を除く。)及び第六十条第一項又は第二項の規定を適用する場合にあつては、この限りでない。
 第四十四条第一項及び第六十二条第一項の規定の適用については、当分の間、これらの規定中「月数」とあるのは、「月数(附則第二十八条の二第一項に規定する旧共済組合員期間(昭和十七年六月から昭和二十年八月までの期間に係るものに限る。)を含む。)」とする。

(旧共済組合員期間を有する者に対する特例老齢年金の支給)
第二十八条の三  第四十二条第二号に該当しない者が、次の各号のいずれにも該当するに至つたときは、その者に特例老齢年金を支給する。
 六十歳以上であること。
 一年以上の被保険者期間を有すること。
 被保険者期間と旧共済組合員期間とを合算した期間が二十年以上であること。
 特例老齢年金の額は、附則第九条並びに第九条の四第一項及び第三項の規定の例により計算した額とする。
 特例老齢年金は、この法律の規定(第五十八条第一項(第四号に限る。)及び附則第八条から第十条までの規定を除く。)の適用については、附則第八条の規定による老齢厚生年金(附則第九条並びに附則第九条の四第一項及び第三項の規定によりその額が計算されているものに限る。)とみなす。
 特例老齢年金の受給権は、受給権者が死亡したとき、又は老齢厚生年金の受給権を取得したときは、消滅する。

(旧共済組合員期間を有する者の遺族に対する特例遺族年金の支給)
第二十八条の四  被保険者期間が一年以上であり、かつ、第四十二条第二号に該当しない者で、被保険者期間と旧共済組合員期間とを合算した期間が二十年以上であるものが死亡した場合において、その者の遺族が遺族厚生年金の受給権を取得しないときは、その遺族に特例遺族年金を支給する。
 特例遺族年金の額は、附則第九条の四第一項の規定の例により計算した額の百分の五十に相当する額とする。
 特例遺族年金は、この法律(第五十八条、第六十条第一項及び第二項並びに第六十四条の三を除く。)及び国民年金法第二十条の規定の適用については、第五十八条第一項第四号に該当することにより支給される遺族厚生年金とみなす。

(日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給)
第二十九条  当分の間、被保険者期間が六月以上である日本国籍を有しない者(国民年金の被保険者でないものに限る。)であつて、第四十二条第二号に該当しないものその他これに準ずるものとして政令で定めるものは、脱退一時金の支給を請求することができる。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
 日本国内に住所を有するとき。
 障害厚生年金その他政令で定める保険給付の受給権を有したことがあるとき。
 最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあつては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなつた日)から起算して二年を経過しているとき。
 この法律による年金たる保険給付に相当する給付を行うことを目的とする外国の法令の適用を受ける者又は当該外国の法令の適用を受けたことがある者であつて政令で定めるものであるとき。
 前項の請求があつたときは、その請求をした者に脱退一時金を支給する。
 脱退一時金の額は、被保険者であつた期間に応じて、その期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。)に支給率を乗じて得た額とする。
 前項の支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月をいう。以下この項において同じ。)の属する年の前年十月の保険料率(最終月が一月から八月までの場合にあつては、前々年十月の保険料率)に二分の一を乗じて得た率に、次の表の上欄に掲げる被保険者期間の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に定める数を乗じて得た率とし、その率に少数点以下一位未満の端数があるときは、これを四捨五入する。
昭和三十三年四月二日から昭和三十五年四月一日までの間に生まれた者 六十一歳
六月以上一二月未満
一二月以上一八月未満 一二
一八月以上二四月未満 一八
二四月以上三〇月未満 二四
三〇月以上三六月未満 三〇
三六月以上 三六

 脱退一時金の支給を受けたときは、支給を受けた者は、その額の計算の基礎となつた被保険者であつた期間は、被保険者でなかつたものとみなす。
 脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。
 第九十条第三項及び第四項、第九十一条の二並びに第九十一条の三の規定は、前項の審査請求について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
 第三十三条、第三十五条、第三十七条第一項、第四項及び第五項、第四十条の二、第四十一条第一項、第七十五条、第九十六条、第九十八条第四項並びに第百条の規定は、脱退一時金について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

(独立行政法人福祉医療機構による債権の管理及び回収の業務等)
第二十九条の二  政府は、厚生年金保険事業の円滑な実施を図るため、独立行政法人福祉医療機構法附則第五条の二第一項に規定する債権の管理及び回収の業務を、年金積立金管理運用独立行政法人法附則第十四条の規定による廃止前の年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律(平成十二年法律第二十号)第十二条第一項に規定する債権の回収が終了するまでの間、独立行政法人福祉医療機構に行わせるものとする。
 政府は、厚生年金保険事業の円滑な実施を図るため、独立行政法人福祉医療機構法附則第五条の二第三項の規定による教育資金の貸付けのあつせんを行う業務を、同項に規定する別に法律で定める日までの間、行うことができる。この場合において、政府は、当該業務を独立行政法人福祉医療機構に行わせるものとする。

(独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構による福祉施設の運営又は管理)
第二十九条の三  政府は、厚生年金保険事業の円滑な実施を図るため、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第百十号)第七条の規定による改正前の第七十九条の施設のうち、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法(平成十七年法律第七十一号)第三条に規定する年金福祉施設等に該当するものの運営又は管理を、当該施設が同法第十三条第一号の規定により譲渡され、又は廃止されるまでの間、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に行わせるものとする。

(機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任等)
第二十九条の四  国民年金法等の一部を改正する法律(平成六年法律第九十五号)附則第二十七条その他この法律の改正に伴う経過措置を定める規定であつて厚生労働省令で定めるものによる厚生労働大臣の権限については、日本年金機構法(平成十九年法律第百九号)附則第十九条の規定による改正後の厚生年金保険法(次項において「新厚生年金保険法」という。)第百条の四から第百条の十二までの規定の例により、当該権限に係る事務を機構に行わせるものとする。
 前項の場合において、新厚生年金保険法第百条の四から第百条の十二までの規定の適用についての技術的読替えその他これらの規定の適用に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(過去期間代行給付現価に係る政府の負担)
第三十条  当分の間、政府は、基金の事業年度の末日における第百六十一条第一項に規定する責任準備金に相当する額(次条、附則第三十三条、第三十四条及び第三十八条において「責任準備金相当額」という。)が次項に規定する過去期間代行給付現価の額に照らし政令で定めるところにより算定した額を下回つている場合には、政令で定めるところにより、当該基金に対して、当該下回つている額のうち政府が負担することが適当であるものとして政令で定めるところにより算定した額を交付するものとする。
 過去期間代行給付現価の額は、当該基金の加入員及び加入員であつた者について当該事業年度の末日までの加入員であつた期間に係る第百三十二条第二項に規定する額に相当する年金たる給付に要する費用の額の予想額を計算し、これらの予想額の合計額の現価として政令で定めるところにより計算した額とする。
 前二項の規定は、連合会について準用する。この場合において、第一項中「基金」とあるのは「連合会」と、「第百六十一条第一項」とあるのは「第八十五条の二」と、前項中「当該基金の加入員及び加入員であつた者について当該事業年度の末日までの加入員であつた期間」とあるのは「連合会が年金たる給付の支給に関する義務を負つている者」と読み替えるものとする。

(責任準備金相当額が過大となつた場合における代行保険料率の算定)
第三十一条  当分の間、責任準備金相当額が前条第二項に規定する過去期間代行給付現価の額に政令で定める率を乗じて得た額を上回つている基金について、第八十一条の三第二項の規定を適用する場合においては、同項中「収入を」とあるのは、「収入及び附則第三十一条に規定する上回つている額を」とする。

(解散しようとする基金等に係る老齢年金給付の支給義務の特例)
第三十二条  当分の間、解散しようとする基金又は確定給付企業年金法第百十二条第一項の規定により企業年金基金となろうとする基金は、政令で定めるところにより、代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けて、当該認可を受けた日以降の当該基金の加入員であつた期間に係る第めるものの適用については、認可を受けた日以降の加入員であつた期間を当該基金の加入員であつた期間でないものとみなす。
 第八十一条第四項の規定の適用については、認可を受けた日以降、当該基金の加入員を基金の加入員でないものとみなす。
 当該基金については、第八十一条の三、第百三十九条第七項及び第八項並びに第百四十条第八項及び第九項の規定を適用しない。
 第百四十条第三項の規定の適用については、同項第一号中「基金の」とあるのは、「基金が附則第三十二条第一項の認可を受けた基金であるとした場合における当該基金の」とする。
 第一項の認可を受けた基金は、遅滞なく、解散に必要な行為又は企業年金基金となるために必要な行為をしなければならない。

(特定基金が解散する場合における責任準備金相当額の特例)
第三十三条  第百四十五条第一項第一号又は第二号に掲げる理由により解散をしようとする基金(国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律(平成二十三年法律第九十三号)の施行の日(以下この条及び次条第二項において「平成二十三年年金確保支援法施行日」という。)前に設立されたもの(平成二十三年年金確保支援法施行日以後に当該基金が合併し、又は分割したことにより設立されたものを含む。)に限る。)であつて、当該解散をしようとする日において年金給付等積立金の額が責任準備金相当額を下回つていると見込まれるもの(以下「特定基金」という。)は、厚生労働大臣に対して、責任準備金相当額の減額を申し出ることができる。
 前項の申出は、平成二十三年年金確保支援法施行日から起算して五年を経過する日までの間に限り行うことができる。
 政府は、第一項の申出を行つた特定基金であつて、当該申出の日まで業務の運営について相当の努力をし、かつ、当該申出の日以後の事業の継続が困難であると見込まれるものとして政令で定める要件に適合すると厚生労働大臣が認めたものが解散したときは、第百六十一条第一項の規定にかかわらず、責任準備金相当額に代えて、当該特定基金の加入員及び加入員であつた者が加入員でなかつたとしたときに年金特別会計の厚生年金勘定の積立金が増加する額として政令で定めるところにより算定した額又は当該特定基金の年金給付等積立金の額のうちいずれか大きい方の額(附則第三十七条及び第三十八条において「減額責任準備金相当額」という。)を、当該解散した特定基金から徴収する。この場合において、第百四十七条第四項、第百六十一条第二項から第八項まで及び第百六十二条の規定は適用せず、第百三十八条第六項の規定の適用については、同項中「政令で定める額」とあるのは、「附則第三十三条第三項に規定する減額責任準備金相当額」とする。
 第四十四条の二第一項の規定は、被保険者であつた期間の全部又は一部が特定基金の加入員であつた期間である者が老齢厚生年金の受給権を取得する前に当該特定基金が第百四十五条第二項の規定による解散の認可を受けた場合(前項の規定により政府が減額責任準備金相当額を徴収する場合に限る。)における当該特定基金の加入員であつた期間(連合会又は他の基金がその支給に関する義務を承継している年金たる給付の額の計算の基礎となる加入員であつた期間を除く。)については、適用しない。
 前項に規定する場合において、当該特定基金の加入員又は加入員であつた者が老齢厚生年金の受給権者であるときは、第四十四条の二第一項の規定にかかわらず、当該老齢厚生年金の額は当該特定基金の加入員であつた期間(連合会又は他の基金がその支給に関する義務を承継している年金たる給付の額の計算の基礎となる加入員であつた期間を除く。)が基金の加入員であつた期間でないものとして同項の規定の例により計算した額とするものとし、当該特定基金が解散した月の翌月から、当該老齢厚生年金の額を改定する。
 第三項の場合において、政府が特定基金から徴収する徴収金は、第八十五条の二の規定により政府が解散した連合会から徴収する徴収金とみなして、第八十六条第一項、第二項及び第四項から第六項まで、第八十七条第六項、第八十八条、第八十九条、第九十一条から第九十一条の三まで、第九十二条第一項及び第三項、第百二条第二項、第百三条の二並びに第百四条の規定を適用する。
 特別会計に関する法律第百十一条第三項の規定によるほか、第三項の規定により政府が特定基金から徴収する徴収金は、年金特別会計の厚生年金勘定の歳入とする。

(特定基金が解散する場合における責任準備金相当額の納付の猶予等)
第三十四条  特定基金は、責任準備金相当額の納付に関する計画(以下「納付計画」という。)を作成し、厚生労働省令で定めるところにより、これを厚生労働大臣に提出して、その納付計画が適当である旨の承認を受けることができる。
 前項の承認の申請は、平成二十三年年金確保支援法施行日から起算して五年を経過する日までの間に限り行うことができる。
 納付計画には、納付の猶予を受けようとする金額及び期間その他厚生労働省令で定める事項を記載しなければならない。
 厚生労働大臣は、第一項の承認の申請があつた場合において、当該申請に係る納付計画が、前項の納付の猶予を受けようとする期間が五年以内(五年以内に納付することができないやむを得ない理由があると認められるときは、十年以内)であることその他厚生労働省令で定める要件に適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
 政府は、前項の承認を受けた特定基金が解散したときは、第百六十一条第一項の規定にかかわらず、責任準備金相当額を当該解散した特定基金から徴収するに当たり、当該納付計画に基づいて、納付の猶予をするものとする。この場合において、第百四十七条第四項、第百六十一条第二項から第八項まで及び第百六十二条の規定は適用せず、第百三十八条第六項の規定の適用については、同項中「当該解散する日における年金給付等積立金の額が、政令で定める額を下回るときは、当該基金は、当該下回る額を」とあるのは、「当該基金は、当該基金の清算が結了するまでの間、附則第三十四条第五項の責任準備金相当額を政府に納付するためにその不足する額を、設立事業所の事業主から掛金として徴収するものとする。ただし、附則第三十五条第三項の規定により納付計画の承認が取り消された場合は、当該基金は、その不足する額を」とする。
 前条第四項及び第五項の規定は、特定基金が第百四十五条第二項の規定による解散の認可を受けた場合(前項の規定により政府が責任準備金相当額を徴収する場合に限る。)について準用する。この場合において、前条第四項中「前項」とあるのは「次条第五項」と、「減額責任準備金相当額」とあるのは「責任準備金相当額」と、それぞれ読み替えるものとする。
 第五項の場合において、政府が特定基金から徴収する徴収金は、第八十五条の二の規定により政府が解散した連合会から徴収する徴収金とみなして、第八十六条第一項、第二項及び第四項から第六項まで、第八十八条、第八十九条、第九十一条から第九十一条の三まで、第九十二条第一項及び第三項、第百二条第二項、第百三条の二並びに第百四条の規定を適用する。
 前条第七項の規定は、第五項の規定により政府が特定基金から責任準備金相当額を徴収する場合について準用する。この場合において、同条第七項中「第三項」とあるのは、「次条第五項」と読み替えるものとする。
 政府は、第五項の規定による納付の猶予をしたときは、その旨、猶予に係る金額、猶予期間その他必要な事項を特定基金に通知しなければならない。

第三十五条  厚生労働大臣は、政府が前条第五項の規定により納付の猶予をした場合において、その納付計画の期間内にその猶予がされた金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、当該特定基金の申請に基づき、その納付の猶予を受けようとする期間の延長その他の納付計画の変更を承認することができる。ただし、その期間は、既に当該特定基金につき納付計画に基づいて猶予をした期間と併せて十五年を超えることができない。
 厚生労働大臣は、特定基金の財産の状況その他の事情の変化により必要があると認めるときは、当該特定基金に対し、期限を定めて、その納付の猶予を受けようとする期間の短縮その他の納付計画の変更を求めることができる。
 納付計画の承認を受けた特定基金が次の各号のいずれかに該当する場合には、厚生労働大臣は、その納付計画の承認を取り消すことができる。
 納付計画に基づき分割した金額ごとに定められた猶予期間内にその金額を納付しないとき。
 前項の求めに応じないとき。
 前二号に掲げる場合を除き、その特定基金の財産の状況その他の事情の変化によりその猶予を継続することが適当でないと認められるとき。
 政府は、第一項又は第二項の規定により納付計画が変更された場合には、当該納付計画に基づいて、納付の猶予をする。
 政府は、前項の規定による納付の猶予をしたときは、その旨、猶予に係る金額、猶予期間その他必要な事項を特定基金に通知しなければならない。
 政府は、厚生労働大臣が第三項の規定により納付計画の承認を取り消したときは、これに基づいて納付の猶予を取り消すものとする。
 政府は、前項の規定により納付の猶予を取り消したときは、その旨を当該特定基金に通知しなければならない。

(納付の猶予の場合の加算金)
第三十六条  政府は、附則第三十四条第五項の規定により納付の猶予をしたときは、当該猶予をした徴収金額について、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるところにより計算した加算金を当該特定基金から徴収する。
 当該猶予期間の終了日又は督促状により指定する期限までに納付される徴収金額(督促状により指定する期限までに納付されないことについて、やむを得ない事情があると認められる場合は、当該納付されない徴収金額を含む。) 当該徴収金額につき厚生労働大臣が定める利率で、納期限の翌日から、徴収金完納の日の前日までの日数によつて計算した額
 督促状により指定する期限までに納付されない徴収金額(督促状により指定する期限までに納付されないことについて、やむを得ない事情があると認められる場合は、当該納付されない徴収金額を除く。) 当該徴収金額につき厚生労働大臣が定める利率で、納期限の翌日から、猶予期間の終了日又は猶予の取消しがあつた日までの日数によつて計算した額と、未納の額につき年十四・六パーセントの割合で、当該猶予期間の終了日又は当該猶予の取消しがあつた日の翌日から、徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの日数によつて計算した額との合算額
 前項の利率は、各年について、当該年の初日の属する年度の前年度における年金特別会計の厚生年金勘定の積立金の運用の実績を勘案して厚生労働大臣が定める率とする。
 第一項の場合において、徴収金額の一部につき納付があつたときは、その納付の日以後の期間に係る加算金の計算の基礎となる徴収金は、その納付のあつた徴収金額を控除した金額による。
 加算金を計算するに当たり、徴収金額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
 前各項の規定により計算した金額が百円未満であるときは、加算金は、徴収しない。
 加算金の金額に百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
 特定基金は、加算金をその額の計算の基礎となる徴収金に併せて納付しなければならない。
 附則第三十三条第七項及び第三十四条第七項の規定は、政府が特定基金から第一項の加算金を徴収する場合について準用する。

(責任準備金相当額の特例の適用を受ける特定基金に対する納付の猶予に関する特例)
第三十七条  附則第三十四条第四項の承認を受けた特定基金が附則第三十三条第三項の規定により減額責任任準備金相当額を徴収する場合について準用する。この場合において、同法第百十四条第二項中「第百十一条第二項の厚生労働大臣の承認又は第百十二条第一項の厚生労働大臣の認可」とあるのは「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)附則第三十二条第一項の規定による厚生労働大臣の認可を受けている場合に限り行うことができるものとし、同法第百四十五条第二項の認可」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
 前項の規定により確定給付企業年金法第百十四条第五項の規定を準用する場合において、同項に規定する有価証券の価額として算定した額は、政令で定めるところにより、年金特別会計の厚生年金勘定の積立金として積み立てられたものとみなす。
 保険業法(平成七年法律第百五号)附則第一条の十三の規定は、第一項の規定により確定給付企業年金法第百十四条の規定を準用して物納をする場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(事務の委託に関する経過措置)
第三十九条  厚生年金保険の管掌者たる政府は、当分の間、附則第三十三条第三項又は第三十四条第五項の規定により減額責任準備金相当額又は責任準備金相当額を徴収する場合において、当該徴収のために必要な事務及び厚生年金保険の管掌者たる政府が支給する年金たる給付に係る事務のうち政令で定めるものを連合会に行わせることができる。
 前項の規定により連合会が同項の業務を行う場合には、第百八十五条第五号中「この章」とあるのは、「この章又は附則第三十九条第一項」とするほか、この法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(政令への委任)
第四十条  附則第三十三条から前条までに定めるもののほか、特定基金に関し必要な事項は、政令で定める。

附則別表第一 
一 昭和五年四月一日以前に生まれた者 被保険者であつた月が属する次の表の上欄に掲げる期間の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる率
昭和三十三年三月以前 一三・七九五
昭和三十三年四月から昭和三十四年三月まで 一三・一六五
昭和三十四年四月から昭和三十五年三月まで 一二・八〇四
昭和三十五年四月から昭和三十六年三月まで 一一・九三四
昭和三十六年四月から昭和三十七年三月まで 一〇・一一一
昭和三十七年四月から昭和三十八年三月まで 八・九八〇
昭和三十八年四月から昭和三十九年三月まで 八・〇七九
昭和三十九年四月から昭和四十年四月まで 七・三二八
昭和四十年五月から昭和四十一年三月まで 六・九二八
昭和四十一年四月から昭和四十二年三月まで 六・〇五七
昭和四十二年四月から昭和四十三年三月まで 五・七六七
昭和四十三年四月から昭和四十四年十月まで 五・〇六六
昭和四十四年十一月から昭和四十六年九月まで 四・〇三五
昭和四十六年十月から昭和四十八年九月まで 三・六四四
昭和四十八年十月から昭和五十年三月まで 二・四九三
昭和五十年四月から昭和五十一年七月まで 二・一三二
昭和五十一年八月から昭和五十二年十二月まで 一・七六二
昭和五十三年一月から昭和五十四年三月まで 一・六七二
昭和五十四年四月から昭和五十五年九月まで 一・六一二
昭和五十五年十月から昭和五十七年三月まで 一・四八二
昭和五十七年四月から昭和五十八年三月まで 一・三九一
昭和五十八年四月から昭和五十九年三月まで 一・三七一
昭和五十九年四月から昭和六十年九月まで 一・二七一
昭和六十年十月から昭和六十一年三月まで 一・二二二



附則別表第二 

昭和五年四月一日以前に生まれた者 一・二二二
昭和五年四月二日から昭和六年四月一日までの間に生まれた者 一・二三三
昭和六年四月二日から昭和七年四月一日までの間に生まれた者 一・二六〇
昭和七年四月二日から昭和十年四月一日までの間に生まれた者 一・二六六
昭和十年四月二日から昭和十一年四月一日までの間に生まれた者 一・二七一
昭和十一年四月二日から昭和十二年四月一日までの間に生まれた者 一・二八一
昭和十二年四月二日以後に生まれた者 一・二九一



   附 則 (昭和二九年七月一日法律第二〇四号) 抄

(施行期日)
 この法律は、昭和三十年一月一日から施行する。

   附 則 (昭和三〇年六月三〇日法律第三九号) 抄

 この法律は、昭和三十年七月一日から施行する。
12  次に掲げる法律の規定中「八銭」を「六銭」に改める。
一から十一まで  略
十二  厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第八十七条第一項
13  前項の規定による改正後の同項各号に掲げる法律の規定は、この法律の施行後に徴収する延滞金について適用する。ただし、当該延滞金の全部又は一部でこの法律の施行前の期間に対応するものについては、なお従前の例による。

   附 則 (昭和三一年六月一二日法律第一四八号) 抄

 この法律は、地方自治法の一部を改正する法律(昭和三十一年法律第百四十七号)の施行の日から施行する。

   附 則 (昭和三二年三月三一日五条第二項、第十七条第一項、第十七条の四、第三十条及び第三十五条の改正規定(第十七条の四の改正規定のうち、傷病手当金及び出産手当金に関する部分を除く。)並びに附則第二項、第三項及び第六項から第九項までの規定は昭和三十三年七月一日から、その他の規定は、同年十月一日から施行し、改正後の第二十八条及び第二十八条の二の規定は、昭和三十三年度以降の費用について適用する。