お茶の振興に関する法律

お茶の振興に関する法律
(平成二十三年四月二十二日法律第二十一号)


第一条  この法律は、お茶に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透し、国民の豊かで健康的な生活の実現に重要な役割を担うとともに、茶業が地域の産業として重要な地位を占めている中で、近年、生活様式の多様化その他のお茶をめぐる諸情勢の著しい変化が生じていることに鑑み、茶業及びお茶の文化の振興を図るため、農林水産大臣による基本方針の策定について定めるとともに、お茶の生産者の経営の安定、お茶の消費の拡大及びこれに資するお茶を活用した食育の推進並びにお茶の輸出の促進に関する措置、お茶の伝統に関する知識等の普及の措置等を講じ、もって茶業の健全な発展及び豊かで健康的な国民生活の実現に寄与することを目的とする。

第二条  農林水産大臣は、お茶の生産、加工又は販売の事業(以下「茶業」という。)及びお茶の文化の振興に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 茶業及びお茶の文化の振興の意義及び基本的な方向に関する事項
 お茶の需要の長期見通しに即した生産量その他の茶業の振興の目標に関する事項
 茶業の振興のための施策に関する事項
 お茶の文化の振興のための施策に関する事項
 その他茶業及びお茶の文化の振興に関し必要な事項
 農林水産大臣は、基本方針を定めるに当たってお茶の需給事情を把握するため必要があると認めるときは、都道府県知事、茶業を行う者が組織する団体(以下「茶業団体」という。)その他の関係者に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
 農林水産大臣は、お茶の需給事情、農業事情その他の事情の変動により必要があるときは、基本方針を変更するものとする。
 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、文部科学大臣に協議しなければならない。
 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

第三条  都道府県は、基本方針に即し、当該都道府県における茶業及びお茶の文化の振興に関する計画(以下「振興計画」という。)を定めるよう努めなければならない。
 都道府県は、振興計画を定めるに当たってお茶の需給事情を把握するため必要があると認めるときは、茶業団体その他の関係者に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
 都道府県は、振興計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

第四条  国及び地方公共団体は、お茶の生産者の経営の安定を図るため、茶園に係る農業生産の基盤の整備、茶樹の改植(茶樹を除去した後、苗木を植栽することをいう。)の支援、災害の予防の推進その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

第五条  国及び地方公共団体は、お茶の加工及び流通の高度化を図るため、お茶の生産者による農業と製造業、小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動に係る取組及びお茶の加工の事業を行う者(以下「加工事業者」という。)による加工施設の整備に対する支援その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

第六条  国及び地方公共団体は、お茶の品質の向上を促進するため、お茶の品質の向上に関する研究開発の推進及びその成果の普及、お茶の生産者及び加工事業者による品質の向上のための取組への支援その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

第七条  国及び地方公共団体は、お茶の消費の拡大を図るため、お茶の新用途への利用に関する情報の提供、研究開発の推進及びその成果の普及その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
 国及び地方公共団体は、お茶を活用した食育の推進がお茶の消費の拡大に資することに鑑み、児童に対するお茶の普及活動への支援その他お茶を活用した食育の推進に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

第八条  国及び地方公共団体は、海外市場の開拓等がお茶の需要の増進に資することに鑑み、お茶の輸出の促進に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

第九条  国及び地方公共団体は、お茶の文化の振興を図るため、お茶の伝統に関する知識等の普及その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

第十条  国及び地方公共団体は、茶業及びお茶の文化の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとする。

第十一条  国は、地方公共団体が振興計画に定められた施策を実施しようとするときは、当該施策が円滑に実施されるよう、必要な情報の提供、助言、財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。