統計法

統計法
(平成十九年五月二十三日法律第五十三号)



 統計法(昭和二十二年法律第十八号)の全部を改正する。


 第一章 総則(第一条―第四条)
 第二章 公的統計の作成
  第一節 基幹統計(第五条―第八条)
  第二節 統計調査
   第一款 基幹統計調査(第九条―第十八条)
   第二款 一般統計調査(第十九条―第二十三条)
   第三款 地方公共団体又は独立行政法人等が行う統計調査(第二十四条・第二十五条)
  第三節 雑則(第二十六条―第三十一条)
 第三章 調査票情報等の利用及び提供(第三十二条―第三十八条)
 第四章 調査票情報等の保護(第三十九条―第四十三条)
 第五章 統計委員会(第四十四条―第五十一条)
 第六章 雑則(第五十二条―第五十六条)
 第七章 罰則(第五十七条―第六十二条)
 (定義)
第二条  この法律において「行政機関」とは、法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 若しくは第二項 に規定する機関又は国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 に規定する機関をいう。
 この法律において「独立行政法人等」とは、次に掲げる法人をいう。
 独立行政法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。次号において同じ。)
 法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人を除く。)又は特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの
 この法律において「公的統計」とは、行政機関、地方公共団体又は独立行政法人等(以下「行政機関等」という。)が作成する統計をいう。
 この法律において「基幹統計」とは、次の各号のいずれかに該当する統計をいう。
 第五条第一項に規定する国勢統計
 第六条第一項に規定する国民経済計算
 行政機関が作成し、又は作成すべき統計であって、次のいずれかに該当するものとして総務大臣が指定するもの
 全国的な政策を企画立案し、又はこれを実施する上において特に重要な統計
 民間における意思決定又は研究活動のために広く利用されると見込まれる統計
 国際条約又は国際機関が作成する計画において作成が求められている統計その他国際比較を行う上において特に重要な統計
 この法律において「統計調査」とは、行政機関等が統計の作成を目的として個人又は法人その他の団体に対し事実の報告を求めることにより行う調査をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
 行政機関等がその内部において行うもの
 この法律及びこれに基づく命令以外の法律又は政令において、行政機関等に対し、報告を求めることが規定されているもの
 政令で定める行政機関等が政令で定める事務に関して行うもの
 この法律において「基幹統計調査」とは、基幹統計の作成を目的とする統計調査をいう。
 この法律において「一般統計調査」とは、行政機関が行う統計調査のうち基幹統計調査以外のものをいう。
 この法律において「事業所母集団データベース」とは、事業所に関する情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。
 この法律において「統計基準」とは、公的統計の作成に際し、その統一性又は総合性を確保するための技術的な基準をいう。
10  この法律において「行政記録情報」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した情報であって、当該行政機関の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関が保有しているもののうち、行政文書(行政機関の保有する情報の公開に関する法律 (平成十一年法律第四十二号)第二条第二項 に規定する行政文書をいう。)に記録されているもの(基幹統計調査及び一般統計調査に係る調査票情報、事業所母集団データベースに記録されている情報並びに匿名データを除く。)をいう。
11  この法律において「調査票情報」とは、統計調査によって集められた情報のうち、文書、図画又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)に記録されているものをいう。
12  この法律において「匿名データ」とは、一般の利用に供することを目的として調査票情報を特定の個人又は法人その他の団体の識別(他の情報との照合による識別を含む。)ができないように加工したものをいう。

第三条  公的統計は、行政機関等における相互の協力及び適切な役割分担の下に、体系的に整備されなければならない。
 公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならない。
 公的統計は、広く国民が容易に入手し、効果的に利用できるものとして提供されなければならない。
 公的統計の作成に用いられた個人又は法人その他の団体に関する秘密は、保護されなければならない。

第四条  政府は、公的統計の整備に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、公的統計の整備に関する基本的な計画(以下この条において「基本計画」という。)を定めなければならない。
 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 公的統計の整備に関する施策についての基本的な方針
 公的統計を整備するために政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
 その他公的統計の整備を推進するために必要な事項
 基本計画を定めるに当たっては、公的統計について、基幹統計に係る事項とその他の公的統計に係る事項とを区分して記載しなければならない。
 総務大臣は、統計委員会の意見を聴いて、基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
 総務大臣は、前項の規定により基本計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、総務省令で定めるところにより、国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
 政府は、統計をめぐる社会経済情勢の変化を勘案し、及び公的統計の整備に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本計画を変更するものとする。この場合においては、前二項の規定を準用する。

   第二章 公的統計の作成

    第一節 基幹統計

第五条  総務大臣は、本邦に居住している者として政令で定める者について、人及び世帯に関する全数調査を行い、これに基づく統計(以下この条において「国勢統計」という。)を作成しなければならない。
 総務大臣は、前項に規定する全数調査(以下「国勢調査」という。)を十年ごとに行い、国勢統計を作成しなければならない。ただし、当該国勢調査を行った年から五年目に当たる年には簡易な方法による国勢調査を行い、国勢統計を作成するものとする。
 総務大臣は、前項に定めるもののほか、必要があると認めるときは、臨時の国勢調査を行い、国勢統計を作成することができる。

第六条  内閣総理大臣は、国際連合の定める国民経済計算の体系に関する基準に準拠し、国民経済計算の作成基準(以下この条において単に「作成基準」という。)を定め、これに基づき、毎年少なくとも一回、国民経済計算を作成しなければならない。
 内閣総理大臣は、作成基準を定めようとするときは、あらかじめ、統計委員会の意見を聴かなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 内閣総理大臣は、作成基準を定めたときは、これを公示しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

第七条  総務大臣は、第二条第四項第三号の規定による指定(以下この条において単に「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ、当該行政機関の長に協議するとともに、統計委員会の意見を聴かなければならない。
 総務大臣は、指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
 前二項の規定は、指定の変更又は解除について準用する。

第八条  行政機関の長は、基幹統計を作成したときは、速やかに、当該基幹統計及び基幹統計に関し政令で定める事項を、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。
 行政機関の長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該基幹統計の公表期日及び公表方法を定め、インターネットの利用その他の適切な方法により公表するものとする。
 行政機関の長は、国民が基幹統計に関する情報を常に容易に入手することができるよう、当該情報の長期的かつ体系的な保存その他の適切な措置を講ずるものとする。

    第二節 統計調査

     第一款 基幹統計調査

第九条  行政機関の長は、基幹統計調査を行おうとするときは、あらかじめ、総務大臣の承認を受けなければならない。
 前項の承認を受けようとする行政機関の長は、次に掲げる事項を記載した申請書を総務大臣に提出しなければならない。
 調査の名称及び目的
 調査対象の範囲
 報告を求める事項及びその基準となる期日又は期間
 報告を求める者
 報告を求めるために用いる方法
 報告を求める期間
 集計事項
 調査結果の公表の方法及び期日
 使用する統計基準その他総務省令で定める事項
 前項の申請書には、調査票その他総務省令で定める書類を添付しなければならない。
 総務大臣は、第一項の承認の申請があったときは、統計委員会の意見を聴かなければならない。ただし、統計委員会が軽微な事項と認めるものについては、この限りでない。

第十条  総務大臣は、前条第一項の承認の申請に係る基幹統計調査が次に掲げる要件のすべてに適合していると認めるときは、同項の承認をしなければならない。
 前条第二項第二号から第六号までに掲げる事項が当該基幹統計の作成の目的に照らして必要かつ十分なものであること。
 統計技術的に合理的かつ妥当なものであること。
 他の基幹統計調査との間の重複が合理的と認められる範囲を超えていないものであること。

第十一条  行政機関の長は、第九条第一項の承認を受けた基幹統計調査を変更し、又は中止しようとするときは、あらかじめ、総務大臣の承認を受けなければならない。
 第九条第四項の規定は前項に規定する基幹統計調査の変更及び中止の承認について、前条の規定は同項に規定する基幹統計調査の変更の承認について準用する。

第十二条  総務大臣は、第九条第一項の承認に基づいて行われている基幹統計調査が第十条各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該行政機関の長に対し、当該基幹統計調査の変更又は中止を求めることができる。
 総務大臣は、前項の規定による変更又は中止の求めをしようとするときは、あらかじめ、統計委員会の意見を聴かなければならない。

第十三条  行政機関の長は、第九条第一項の承認に基づいて基幹統計調査を行う場合には、基幹統計の作成のために必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。
 前項の規定により報告を求められた者は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。
 第一項の規定により報告を求められた者が、未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者を除く。)又は成年被後見人である場合においては、その法定代理人が本人に代わって報告する義務を負う。

第十四条  行政機関の長は、その行う基幹統計調査の実施のため必要があるときは、統計調査員を置くことができる。

第十五条  行政機関の長は、その行う基幹統計調査の正確な報告を求めるため必要があると認めるときは、当該基幹統計調査の報告を求められた者に対し、その報告に関し資料の提出を求め、又はその統計調査員その他の職員に、必要な場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第十六条  基幹統計調査に関する事務の一部は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長又は教育委員会が行うこととすることができる。

第十七条  何人も、国勢調査その他の基幹統計調査の報告の求めであると人を誤認させるような表示又は説明をすることにより、当該求めに対する報告として、個人又は法人その他の団体の情報を取得してはならない。

第十八条  この法律に定めるもののほか、基幹統計調査の実施に関し必要な事項は、命令で定める。

     第二款 一般統計調査

第十九条  行政機関の長は、一般統計調査を行おうとするときは、あらかじめ、総務大臣の承認を受けなければならない。
 第九条第二項及び第三項の規定は、前項の承認について準用する。

第二十条  総務大臣は、前条第一項の承認の申請に係る一般統計調査が次に掲げる要件のすべてに適合していると認めるときは、同項の承認をしなければならない。
 統計技術的に合理的かつ妥当なものであること。
 行政機関が行う他の統計調査との間の重複が合理的と認められる範囲を超えていないものであること。

第二十一条  行政機関の長は、第十九条第一項の承認を受けた一般統計調査を変更しようとするときは、あらかじめ、総務大臣の承認を受けなければならない。ただし、総務省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。
 前条の規定は、前項に規定する一般統計調査の変更の承認について準用する。
 行政機関の長は、第十九条第一項の承認を受けた一般統計調査を中止しようとするときは、あらかじめ、総務大臣にその旨を通知しなければならない。

第二十二条  総務大臣は、第十九条第一項の承認に基づいて行われている一般統計調査が第二十条各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該行政機関の長に対し、報告を求める事項の変更その他当該要件に適合するために必要な措置をとるべきことを求めることができる。
 総務大臣は、前項の行政機関の長が同項の規定による求めに応じなかったときは、当該一般統計調査の中止を求めることができる。

第二十三条  行政機関の長は、一般統計調査の結果を作成したときは、速やかに、当該一般統計調査の結果及び一般統計調査に関し政令で定める事項を、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。ただし、特別の事情があるときは、その全部又は一部を公表しないことができる。
 第八条第三項の規定は、一般統計調査の結果に関する情報について準用する。

     第三款 地方公共団体又は独立行政法人等が行う統計調査

第二十四条  地方公共団体(地方公共団体の規模を勘案して政令で定めるものに限る。第三十条、第四十一条第五号及び第六号並びに第五十三条を除き、以下同じ。)の長その他の執行機関は、統計調査を行おうとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 調査の名称及び目的
 調査対象の範囲
 報告を求める事項及びその基準となる期日又は期間
 報告を求める者
 報告を求めるために用いる方法
 報告を求める期間
 総務大臣は、前項の規定による届出のあった統計調査が基幹統計調査の実施に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該地方公共団体の長その他の執行機関に対し、当該届出のあった統計調査の変更又は中止を求めることができる。

第二十五条  独立行政法人等(その業務の内容その他の事情を勘案して大規模な統計調査を行うことが想定されるものとして政令で定めるものに限る。)は、統計調査を行おうとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

    第三節 雑則

第二十六条  行政機関の長は、統計調査以外の方法により基幹統計を作成する場合には、その作成の方法について、あらかじめ、総務大臣に通知しなければならない。当該作成の方法を変更しようとするとき(政令で定める軽微な変更をしようとするときを除く。)も、同様とする。
 総務大臣は、前項の規定による通知があった基幹統計の作成の方法を改善する必要があると認めるときは、当該行政機関の長に意見を述べることができる。
 総務大臣は、前項の規定により意見を述べようとするときは、あらかじめ、統計委員会の意見を聴かなければならない。

第二十七条  総務大臣は、行政機関、地方公共団体及び第二十五条の規定による届出を行った独立行政法人等(以下「届出独立行政法人等」という。)による正確かつ効率的な統計の作成及び統計調査における被調査者の負担の軽減に資することを目的として、基幹統計調査又は一般統計調査に係る調査票情報の利用、法人その他の団体に対する照会その他の方法により、事業所母集団データベースを整備するものとする。
 行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関又は届出独立行政法人等は、次に掲げる目的のため、総務大臣から事業所母集団データベースに記録されている情報の提供を受けることができる。
 その行う事業所に関する統計調査の対象の抽出
 事業所に関する統計の作成

第二十八条  総務大臣は、政令で定めるところにより、統計基準を定めなければならない。
 総務大臣は、前項の統計基準を定めようとするときは、あらかじめ、統計委員会の意見を聴かなければならない。これを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
 総務大臣は、第一項の統計基準を定めたときは、これを公示しなければならない。これを変更し、又は廃止したときも、同様とする。

第二十九条  行政機関の長は、他の行政機関が保有する行政記録情報を用いることにより正確かつ効率的な統計の作成又は統計調査における被調査者の負担の軽減に相当程度寄与すると認めるときは、当該行政記録情報を保有する行政機関の長に対し、その提供を求めることができる。この場合において、行政記録情報の提供を求める行政機関の長は、当該行政記録情報を保有する行政機関の長に対し、利用目的その他の政令で定める事項を明示しなければならない。
 行政機関の長は、前項に定めるもののほか、基幹統計調査を円滑に行うためその他基幹統計を作成するため必要があると認めるときは、他の行政機関の長に対し、調査、報告その他の協力を求めることができる。

第三十条  行政機関の長は、前条に定めるもののほか、基幹統計調査を円滑に行うためその他基幹統計を作成するため必要があると認めるときは、地方公共団体の長その他の関係者に対し、協力を求めることができる。

第三十一条  総務大臣は、基幹統計の作成のため必要があると認めるときは、当該基幹統計を作成する行政機関以外の行政機関の長その他の関係者に対し、当該基幹統計を作成する行政機関の長への必要な資料の提供その他の協力を行うよう求めることができる。
 総務大臣は、前項の規定による求めを行おうとするときは、あらかじめ、統計委員会の意見を聴かなければならない。

   第三章 調査票情報等の利用及び提供

第三十二条  行政機関の長又は届出独立行政法人等は、次に掲げる場合には、その行った統計調査に係る調査票情報を利用することができる。
 統計の作成又は統計的研究(以下「統計の作成等」という。)を行う場合
 統計を作成するための調査に係る名簿を作成する場合

第三十三条  行政機関の長又は届出独立行政法人等は、次の各号に掲げる者が当該各号に定める行為を行う場合には、その行った統計調査に係る調査票情報を、これらの者に提供することができる。
 行政機関等その他これに準ずる者として総務省令で定める者 統計の作成等又は統計を作成するための調査に係る名簿の作成
 前号に掲げる者が行う統計の作成等と同等の公益性を有する統計の作成等として総務省令で定めるものを行う者 当該総務省令で定める統計の作成等

第三十四条  行政機関の長又は届出独立行政法人等は、その業務の遂行に支障のない範囲内において、学術研究の発展に資すると認める場合その他の総務省令で定める場合には、総務省令で定めるところにより、一般からの委託に応じ、その行った統計調査に係る調査票情報を利用して、統計の作成等を行うことができる。

第三十五条  行政機関の長又は届出独立行政法人等は、その行った統計調査に係る調査票情報を加工して、匿名データを作成することができる。
 行政機関の長は、前項の規定により基幹統計調査に係る匿名データを作成しようとするときは、あらかじめ、統計委員会の意見を聴かなければならない。

第三十六条  行政機関の長又は届出独立行政法人等は、学術研究の発展に資すると認める場合その他の総務省令で定める場合には、総務省令で定めるところにより、一般からの求めに応じ、前条第一項の規定により作成した匿名データを提供することができる。

第三十七条  行政機関の長又は届出独立行政法人等は、その行った統計調査に係る調査票情報に関し第三十四条又は前条の規定に基づき行う事務の全部を委託するときは、その業務の内容その他の事情を勘案して政令で定める独立行政法人等に委託しなければならない。

第三十八条  第三十四条の規定により行政機関の長に委託をする者又は第三十六条の規定により行政機関の長が作成した匿名データの提供を受ける者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国(前条の規定による委託を受けた独立行政法人等(以下この条において「受託独立行政法人等」という。)が第三十四条又は第三十六条の規定に基づき行う事務の全部を行う場合にあっては、当該受託独立行政法人等)に納めなければならない。
 前項の規定により受託独立行政法人等に納められた手数料は、当該受託独立行政法人等の収入とする。
 第三十四条の規定により届出独立行政法人等に委託をする者又は第三十六条の規定により届出独立行政法人等が作成した匿名データの提供を受ける者は、実費を勘案して、かつ、第一項の手数料の額を参酌して届出独立行政法人等が定める額の手数料を当該届出独立行政法人等に納めなければならない。
 届出独立行政法人等は、前項の規定による手数料の額の定めを一般の閲覧に供しなければならない。

   第四章 調査票情報等の保護

第三十九条  次の各号に掲げる者は、当該各号に定める情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。
 行政機関の長 当該行政機関の行った統計調査に係る調査票情報、第二十七条第一項の規定により利用する基幹統計調査又は一般統計調査に係る調査票情報、事業所母集団データベースに記録されている情報、第二十九条第一項の規定により他の行政機関から提供を受けた行政記録情報及び第三十五条第一項の規定により作成した匿名データ
 地方公共団体の長その他の執行機関 当該地方公共団体の行った統計調査に係る調査票情報及び第二十七条第二項の規定により総務大臣から提供を受けた事業所母集団データベースに記録されている情報
 届出独立行政法人等 当該届出独立行政法人等の行った統計調査に係る調査票情報、事業所母集団データベースに記録されている情報及び第三十五条第一項の規定により作成した匿名データ
 前項の規定は、同項各号に掲げる者から当該各号に定める情報の取扱いに関する業務の委託を受けた者その他の当該委託に係る業務を受託した者について準用する。

第四十条  行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関又は届出独立行政法人等は、この法律(地方公共団体の長その他の執行機関にあっては、この法律又は当該地方公共団体の条例)に特別の定めがある場合を除き、その行った統計調査の目的以外の目的のために、当該統計調査に係る調査票情報を自ら利用し、又は提供してはならない。
 第二十七条第二項の規定により総務大臣から事業所母集団データベースに記録されている情報の提供を受けた行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関又は届出独立行政法人等は、同項各号に掲げる目的以外の目的のために、当該事業所母集団データベースに記録されている情報を自ら利用し、又は提供してはならない。
 第二十九条第一項の規定により行政記録情報の提供を受けた行政機関の長は、当該行政記録情報を同項の規定により明示した利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供してはならない。

第四十一条  次の各号に掲げる者は、当該各号に定める業務に関して知り得た個人又は法人その他の団体の秘密を漏らしてはならない。
 第三十九条第一項第一号に定める情報の取扱いに従事する行政機関の職員又は職員であった者 当該情報を取り扱う業務
 第三十九条第一項第二号に定める情報の取扱いに従事する地方公共団体の職員又は職員であった者 当該情報を取り扱う業務
 第三十九条第一項第三号に定める情報の取扱いに従事する届出独立行政法人等の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者 当該情報を取り扱う業務
 行政機関、地方公共団体又は届出独立行政法人等から前三号の情報の取扱いに関する業務の委託を受けた者その他の当該委託に係る業務に従事する者又は従事していた者 当該委託に係る業務
 地方公共団体が第十六条の規定により基幹統計調査に関する事務の一部を行うこととされた場合において、基幹統計調査に係る調査票情報、事業所母集団データベースに記録されている情報及び第二十九条第一項の規定により他の行政機関から提供を受けた行政記録情報の取扱いに従事する当該地方公共団体の職員又は職員であった者 当該情報を取り扱う業務
 前号に規定する地方公共団体から同号の情報の取扱いに関する業務の委託を受けた者その他の当該委託に係る業務に従事する者又は従事していた者 当該委託に係る業務

第四十二条  次の各号に掲げる者は、当該各号に定める情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。
 第三十三条の規定により調査票情報の提供を受けた者 当該調査票情報
 第三十六条の規定により匿名データの提供を受けた者 当該匿名データ
 前項の規定は、同項各号に掲げる者から当該各号に定める情報の取扱いに関する業務の委託を受けた者その他の当該委託に係る業務を受託した者について準用する。

第四十三条  次の各号に掲げる者は、当該各号に定める業務に関して知り得た個人又は法人その他の団体の秘密を漏らしてはならない。
 前条第一項第一号に掲げる者であって、同号に定める調査票情報の取扱いに従事する者又は従事していた者 当該調査票情報を取り扱う業務
 前条第一項第一号に掲げる者から同号に定める調査票情報の取扱いに関する業務の委託を受けた者その他の当該委託に係る業務に従事する者又は従事していた者 当該委託に係る業務
 第三十三条の規定により調査票情報の提供を受けた者若しくは第三十六条の規定により匿名データの提供を受けた者又はこれらの者から当該調査票情報若しくは当該匿名データの取扱いに関する業務の委託を受けた者その他の当該委託に係る業務に従事する者若しくは従事していた者は、当該調査票情報又は当該匿名データをその提供を受けた目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供してはならない。

   第五章 統計委員会

第四十四条  内閣府に、統計委員会(以下「委員会」という。)を置く。

第四十五条  委員会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

第四十六条  委員会は、委員十三人以内で組織する。
 委員会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
 委員会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。

第四十七条  委員及び臨時委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
 専門委員は、当該専門の事項に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

第四十八条  委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
 委員は、再任されることができる。
 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
 専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。
 委員、臨時委員及び専門委員は、非常勤とする。

第四十九条  委員会に、委員長を置き、委員の互選により選任する。
 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

第五十一条  この法律に規定するもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。

   第六章 雑則

第五十二条  基幹統計調査及び一般統計調査に係る調査票情報に含まれる個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律 (平成十五年法律第五十八号)第二条第二項 に規定する個人情報及び独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律 (平成十五年法律第五十九号。次項において「独立行政法人等個人情報保護法」という。)第二条第二項 に規定する個人情報をいう。以下この項において同じ。)、事業所母集団データベースに含まれる個人情報並びに第二十九条第一項の規定により他の行政機関から提供を受けた行政記録情報に含まれる個人情報については、これらの法律の規定は、適用しない。
 届出独立行政法人等であって、独立行政法人等個人情報保護法第二条第一項 に規定する独立行政法人等に該当するものが行った統計調査に係る調査票情報に含まれる個人情報(同条第二項 に規定する個人情報をいう。)については、独立行政法人等個人情報保護法 の規定は、適用しない。

第五十三条  国及び地方公共団体は、公的統計の作成方法に関する調査、研究及び開発を推進するとともに、統計調査員その他の公的統計の作成に従事する職員の人材の確保及び資質の向上のために必要な研修その他の措置を講じなければならない。

第五十四条  総務大臣は、公的統計を利用しようとする者の利便を図るため、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて迅速に公的統計の所在に関する情報を提供できるよう必要な措置を講ずるものとする。

第五十五条  総務大臣は、行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関又は届出独立行政法人等に対し、この法律の施行の状況について報告を求めることができる。
 総務大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表するとともに、委員会に報告しなければならない。
 委員会は、前項の規定による報告があったときは、この法律の施行に関し、内閣総理大臣、総務大臣又は関係行政機関の長に対し、意見を述べることができる。

第五十六条  総務大臣は、前条第一項に定めるもののほか、この法律を施行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長その他の関係者に対し、資料の提出及び説明を求めることができる。

   第七章 罰則

第五十七条  次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 第十七条の規定に違反して、国勢調査その他の基幹統計調査の報告の求めであると人を誤認させるような表示又は説明をすることにより、当該求めに対する報告として、個人又は法人その他の団体の情報を取得した者
 第四十一条の規定に違反して、その業務に関して知り得た個人又は法人その他の団体の秘密を漏らした者
 第四十三条第一項の規定に違反して、その業務に関して知り得た個人又は法人その他の団体の秘密を漏らした者
 前項第一号の罪の未遂は、罰する。

第五十八条  基幹統計の業務に従事する者又は従事していた者が、当該基幹統計を、第八条第二項の規定により定められた公表期日以前に、他に漏らし、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第五十九条  第四十一条各号に掲げる者が、その取り扱う同条各号に規定する情報を、自己又は第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 第四十三条第一項各号に掲げる者が、その取扱い又は利用に係る調査票情報を、自己又は第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときも前項と同様とする。

第六十条  次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 第十三条に規定する基幹統計調査の報告を求められた者の報告を妨げた者
 基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者

第六十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
 第十三条の規定に違反して、基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした者
 第十五条第一項の規定による資料の提出をせず、若しくは虚偽の資料を提出し、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
 第三十六条の規定により匿名データの提供を受けた者又は当該匿名データの取扱いに関する業務の委託を受けた者その他の当該委託に係る業務に従事する者若しくは従事していた者で、当該匿名データを、自己又は第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用した者

第六十二条  第五十七条第一項第二号及び第三号、第五十八条、第五十九条並びに前条第三号の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。

   附 則 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一章及び第五章並びに附則第三条及び第二十二条の規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(準備行為)
第三条  改正後の統計法(以下「新法」という。)第六条の規定による作成基準の設定、新法第二十七条の規定による事業所母集団データベースの整備、新法第二十八条の規定による統計基準の設定及び新法第三十五条の規定による匿名データの作成並びにこれらに関し必要な手続その他の行為は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、新法の例によりすることができる。

(最初の国勢調査の実施時期)
第四条  新法第五条第二項本文の規定による最初の国勢調査は、平成二十二年に行うものとする。

(指定統計に関する経過措置)
第五条  この法律の施行の際現に改正前の統計法(以下「旧法」という。)第二条の規定により指定を受けている指定統計(施行日において総務大臣が公示したものに限る。)は、新法第二条第四項第三号の規定により指定を受けた基幹統計とみなす。

(指定統計調査に関する経過措置)
第六条  施行日前に旧法第七条第一項の規定により承認を受けた指定統計調査(同条第二項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの)は、新法第九条第一項の規定により承認を受けた基幹統計調査とみなす。

(届出統計調査に関する経過措置)
第七条  施行日前に旧法第八条第一項の規定により届け出られた統計調査(行政機関が届け出たものに限る。)については、施行日から起算して一年を経過する日までの間は、新法第十九条第一項の規定にかかわらず、総務大臣の承認を受けることを要しない。
 施行日前に旧法第八条第一項の規定により届け出られた統計調査のうち、地方公共団体が届け出た統計調査については施行日において新法第二十四条第一項の規定により届け出られた統計調査と、独立行政法人等が届け出た統計調査であって施行日以降新法第二十五条の規定が適用されるべき統計調査に該当するものについては施行日において同条の規定により届け出られた統計調査とみなす。

(調査票の使用に関する経過措置)
第八条  この法律の施行の際現に旧法第十五条第二項の規定により調査票を使用している者は、施行日から起算して六月を経過する日までの間は、新法の規定にかかわらず、従前の例により当該調査票を使用することができる。
 施行日前にされた旧法第十五条第二項の承認の申請であって、この法律の施行の際、承認又は不承認の処分がなされていないものについての処分については、なお従前の例による。

(調査票及び統計報告に関する経過措置)
第九条  旧法の規定により指定統計を作成するために集められた調査票に記録されている情報は、新法の規定による基幹統計調査に係る調査票情報とみなす。
 旧法の規定により届出統計調査(行政機関が行ったものに限る。)によって集められた調査票に記録されている情報は新法の規定による一般統計調査に係る調査票情報と、旧法の規定により届出統計調査(地方公共団体が行ったものに限る。)によって集められた調査票に記録されている情報は新法の規定により地方公共団体が行った統計調査に係る調査票情報と、旧法の規定により届出統計調査(独立行政法人等が行ったものであって施行日以降新法第二十五条の規定が適用されるべき統計調査に該当するものに限る。)によって集められた調査票に記録されている情報は新法の規定により届出独立行政法人等が行った統計調査に係る調査票情報とみなす。
 附則第二条の規定による廃止前の統計報告調整法(以下「旧統計報告調整法」という。)の規定により統計報告の徴集によって得られた統計報告に記録されている情報は、新法の規定による一般統計調査に係る調査票情報とみなす。ただし、新法第三十二条から第三十八条まで、第四十条第一項及び第五十二条の規定は、統計報告のうち旧統計報告調整法第四条第二項の申請書に記載された専ら統計を作成するために用いられる事項に係る部分以外の部分に記録されている情報については、適用しない。

(結果の公表に関する経過措置)
第十条  施行日前に公表されていない指定統計調査の結果に対する旧法第十六条の規定の適用については、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)
第十一条  施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(統計報告の徴集に関する経過措置)
第十二条  施行日前に旧統計報告調整法第四条第一項の承認を受けた統計報告の徴集は、旧統計報告調整法第五条第二項の規定により定められた承認の期間が満了するまでの間は、新法第十九条第一項の承認を受けた一般統計調査とみなす。

(異議の申出に関する経過措置)
第十三条  施行日前に旧統計報告調整法第十一条第一項の規定に基づき総務大臣に対してなされた異議の申出の手続については、なお従前の例による。

(旧法等の規定に基づく処分又は手続の効力)
第十四条  施行日前に旧法若しくは旧統計報告調整法又はこれらに基づく命令の規定によってした処分、手続その他の行為であって、新法又はこれに基づく命令に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、新法又はこれに基づく命令の相当の規定によってしたものとみなす。

(条例との関係)
第十五条  地方公共団体の条例の規定で、新法で規制する行為を処罰する旨を定めているものの当該行為に係る部分については、この法律の施行と同時に、その効力を失うものとする。
 前項の規定により条例の規定がその効力を失う場合において、当該地方公共団体が条例で別段の定めをしないときは、その失効前にした違反行為の処罰については、その失効後も、なお従前の例による。

(政令への委任)
第十六条  附則第五条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(検討)
第十七条  政府は、この法律の施行後五年を目途として、新法第三十七条の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。