日本郵政株式会社法

日本郵政株式会社法
(平成十七年十月二十一日法律第九十八号)


最終改正:平成二四年五月八日法律第三〇号


 第一章 総則(第一条―第三条)
 第二章 業務等(第四条―第十二条)
 第三章 雑則(第十三条―第十六条)
 第四章 罰則(第十七条―第二十二条)
 附則

   第一章 総則

第一条  日本郵政株式会社(以下「会社」という。)は、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有し、日本郵便株式会社の経営管理を行うこと及び日本郵便株式会社の業務の支援を行うことを目的とする株式会社とする。

第二条  政府は、常時、会社の発行済株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法 (平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項 の規定により議決権を有するものとみなされる株式を含む。以下この条において同じ。)の総数の三分の一を超える株式を保有していなければならない。

第三条  会社でない者は、その商号中に日本郵政株式会社という文字を使用してはならない。

   第二章 業務等

第四条  会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行うものとする。
 日本郵便株式会社が発行する株式の引受け及び保有
 日本郵便株式会社の経営の基本方針の策定及びその実施の確保
 前二号に掲げるもののほか、日本郵便株式会社の株主としての権利の行使
 前三号に掲げる業務に附帯する業務
 会社は、前項に規定する業務のほか、総務大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を行うことができる。

第五条  会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有する。
 前項の「生命保険」又は「郵便局」とは、それぞれ日本郵便株式会社法 (平成十七年法律第百号)第二条第三項 又は第四項 に規定する生命保険又は郵便局をいう。

第六条  会社は、常時、日本郵便株式会社の発行済株式の総数を保有していなければならない。

第七条  会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
 前項の先取特権の順位は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

第八条  会社は、会社法第百九十九条第一項 に規定する募集株式(第二十一条第三号において「募集株式」という。)若しくは同法第二百三十八条第一項 に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。
 会社は、新株予約権の行使により株式を交付した後、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

第九条  会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

第十条  会社は、毎事業年度の開始前に、総務省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

第十一条  会社の定款の変更、剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。)、合併、会社分割及び解散の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

第十二条  会社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度の貸借対照表、損益計算書及び事業報告書その他会社の財産、損益又は業務の状況を示す書類として総務省令で定める書類を総務大臣に提出しなければならない。

   第三章 雑則

第十三条  会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
 総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

第十四条  総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第十五条  総務大臣は、第八条第一項、第十条又は第十一条(定款の変更の決議に係るものにあっては、会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

第十六条  会社は、その株式が金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二十四条第一項第一号 に規定する有価証券に該当しないときは、同号 に規定する有価証券の発行者が同法第二十五条第二項 の規定により公衆の縦覧に供しなければならない書類の写しに記載される情報を勘案して総務省令で定める情報を、総務省令で定めるところにより、公表しなければならない。
 会社は、前項に定めるもののほか、第四条第二項、第九条又は第十条の規定による認可を受けたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。

   第四章 罰則

第十七条  会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。
 前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

第十八条  前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第十九条  第十七条第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
 前条第一項の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二条 の例に従う。

第二十条  第十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。

第二十一条  次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。
 第四条第二項の規定に違反して、業務を行ったとき。
 第六条の規定に違反して、日本郵便株式会社の株式を処分したとき。
 第八条第一項の規定に違反して、募集株式若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付したとき。
 第八条第二項の規定に違反して、株式を交付した旨の届出を行わなかったとき。
 第十条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。
 第十二条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書、事業報告書若しくは同条の総務省令で定める書類を提出せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。
 第十三条第二項の規定による命令に違反したとき。
 第十六条第一項又は第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。

第二十二条  第三条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

(施行期日)
第一条  この法律は、郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第三十六条第九項の政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 第三条、第九条、第十一条(定款の変更の決議に係る部分に限る。)及び第二十三条の規定 郵政民営化法附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日
 次条の規定 郵政民営化法の施行の日

(業務の特例)
第二条  会社は、当分の間、第四条に規定する業務のほか、同条に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、次に掲げる業務を行うことができる。
 次に掲げる施設の運営又は管理
 承継計画(郵政民営化法第百六十六条第一項に規定する承継計画をいう。ロにおいて同じ。)において定めるところに従い会社が承継した郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号。ロにおいて「整備法」という。)第二条の規定による廃止前の郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)第四条第一項の施設
 承継計画において定めるところに従い会社が承継した整備法第二条の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第百一条第一項の施設
 前号に掲げる業務に附帯する業務
 会社は、前項に規定する業務を行うに当たっては、当該業務と同種の業務を営む事業者の利益を不当に害することがないよう特に配慮しなければならない。

(政府保有の株式の処分)
第三条  政府は、その保有する会社の株式(第二条に規定する発行済株式をいい、同条の規定により保有していなければならない発行済株式を除く。)については、できる限り早期に処分するものとする。

(会社法の施行の日の前日までの間の読替え)
第四条  会社法の施行の日がこの法律の施行の日後となる場合には、会社法の施行の日の前日までの間における次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第二条 株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項 商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百十一条ノ二第四項に規定する種類の株式を除き、同条第五項
第八条第一項 会社法第百九十九条第一項に規定する募集株式(第二十二条第三号において「募集株式」という。)若しくは同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない 新株、新株予約権若しくは新株予約権付社債を発行し、又は自己の株式を処分しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。ただし、新株予約権が行使されたことにより新株を発行し、又は自己の株式を移転しようとするときは、この限りでない
第八条第二項 新株予約権の行使により株式を交付した後 前項ただし書の場合においては、当該新株を発行し、又は自己の株式を移転した後
第十条 事業年度 営業年度
第十一条 剰余金の配当その他の剰余金の処分(損失の処理を除く。) 利益の処分
第十二条 事業年度 営業年度
事業報告書 営業報告書
第十三条第二項及び第三項 事業年度 営業年度
第十八条第一項及び第二十一条 執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員) 執行役
第二十二条 執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員 執行役
第二十二条第三号 募集株式若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換に際して株式若しくは新株予約権を交付したとき 新株、新株予約権若しくは新株予約権付社債を発行し、又は自己の株式を処分したとき
第二十二条第六号 事業報告書 営業報告書


   附 則 (平成二四年五月八日法律第三〇号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条の規定(郵政民営化法目次中「第六章 郵便事業株式会社 第一節 設立等(第七十条―第七十二条) 第二節 設立に関する郵便事業株式会社法等の特例(第七十三条・第七十四条) 第三節 移行期間中の業務に関する特例等(第七十五条―第七十八条) 第七章 郵便局株式会社」を「第六章 削除 第七章 日本郵便株式会社」に改める改正規定、附則第四条、第六条、第十条、第十四条及び第十八条の規定、附則第三十八条の規定(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)附則第二条第一項、第四十九条、第五十五条及び第七十九条第二項の改正規定、附則第九十条の前の見出しを削り、同条に見出しを付する改正規定並びに附則第九十一条及び第九十五条の改正規定を除く。)、附則第四十条から第四十四条までの規定、附則第四十五条中総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第三条及び第四条第七十九号の改正規定並びに附則第四十六条及び第四十七条の規定は、公布の日から施行する。

(日本郵政株式会社法の一部改正に伴う経過措置)
第三条  第二条の規定による改正前の日本郵政株式会社法(以下この条において「旧法」という。)の規定により日本郵政株式会社に対して行い、又は日本郵政株式会社が行った処分、手続その他の行為(郵政民営化法第五十二条の規定により旧法第四条第二項の認可を受けたものとみなされる業務に係る郵政民営化法第百六十三条第三項の認可を含む。)は、第二条の規定による改正後の日本郵政株式会社法の相当する規定により日本郵政株式会社に対して行い、又は日本郵政株式会社が行った処分、手続その他の行為とみなす。

(罰則に関する経過措置)
第四十六条  この法律(附則第一条ただし書に規定する規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第四十七条  この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。