第九条
前条第一項の規定による指定(以下単に「指定」という。)は、第二条第三項の政令で定める経済連携協定ごとに、かつ、経済産業省令で定める物品の区分ごとに、経済産業省令で定めるところにより、発給事務を行おうとする者の申請により行う。
第十条
次の各号のいずれかに該当する者は、指定を受けることができない。
一
この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
二
第二十一条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
三
法人であって、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
第十一条
経済産業大臣は、第九条の規定により指定の申請をした者が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、その指定をしてはならない。
一
当該申請に係る発給事務を適確かつ円滑に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有するものとして、経済産業省令で定める基準に適合するものであること。
二
特定の者に支配されていないものその他発給事務の実施が不公正になるおそれがないものとして、経済産業省令で定める基準に適合するものであること。
三
当該申請に係る経済連携協定の円滑な実施を妨げるものでないこと。
第十二条
指定は、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
2
前三条の規定は、前項の指定の更新について準用する。
第十三条
指定発給機関は変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
第十四条
指定発給機関は、発給事務に関する規程(以下「発給事務規程」という。)を定め、発給事務の開始前に、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2
発給事務規程で定めるべき事項は、経済産業省令で定める。
3
経済産業大臣は、第一項の認可をした発給事務規程が発給事務の公正な遂行上不適当となったと認めるときは、指定発給機関に対し、その発給事務規程を変更すべきことを命ずることができる。
第十五条
指定発給機関は、経済産業省令で定めるところにより、帳簿を備え、第一種特定原産地証明書の発給に関し経済産業省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
第十六条
指定発給機関の役員(法人でない指定発給機関にあっては、当該指定を受けた者。次項、第二十六条第六項及び第三十九条において同じ。)若しくは職員又はこれらの職にあった者は、発給事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
2
発給事務に従事する指定発給機関の役員又は職員は、
刑法
(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第二十条
指定発給機関は、経済産業大臣の許可を受けなければ、発給事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
第二十一条
経済産業大臣は、指定発給機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて発給事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一
第十条第一号又は第三号に該当するに至ったとき。
二
第十三条、第十五条、第十九条、前条又は第二十六条第五項の規定に違反したとき。
三
第十四条第一項の認可を受けた発給事務規程によらないで発給事務を行ったとき。
四
第十四条第三項、第十七条又は第十八条の規定による命令に違反したとき。
五
正当な理由がないのに第三十条第二項の規定による求めに応じなかったとき。
六
不正の手段により第八条第一項の指定(第十二条第一項の指定の更新を含む。)を受けたとき。
第二十二条
次に掲げる場合であって、経済産業大臣が発給事務の全部又は一部を自ら行う場合における発給事務の引継ぎその他の必要な事項については、経済産業省令で定める。
一
指定発給機関が第二十条の許可を受けて発給事務の全部又は一部を休止し、又は廃止した場合
二
前条の規定により指定を取り消し、又は指定発給機関に対し発給事務の全部若しくは一部の停止を命じた場合
三
指定発給機関が天災その他の事由により発給事務の全部又は一部を実施することが困難となった場合
第二十三条
経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、指定発給機関に対し、発給事務に関し報告をさせ、又はその職員に、指定発給機関の事務所に立ち入り、発給事務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
第二十四条
経済産業大臣は、指定をしたときは、指定発給機関の名称及び住所、発給事務を行う事務所の所在地並びに指定発給機関が行う発給事務の区分を官報に公示しなければならない。
2
経済産業大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
三
第二十一条の規定により指定を取り消し、又は発給事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。
四
経済産業大臣が発給事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行っていた発給事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
第二十五条
指定発給機関が行う第一種特定原産地証明書の発給に係る処分又はその不作為について不服がある者は、経済産業大臣に対し、
行政不服審査法
(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
第四章 第一種特定原産地証明書の発給の決定の取消し等
第二十六条
経済産業大臣は、証明書受給者については第六条第一項各号に掲げる事実、特定証明資料提出者については同条第二項各号に掲げる事実について確認するため必要な限度において、証明書受給者若しくは特定証明資料提出者に対して必要な報告を求め、又はその職員をして証明書受給者若しくは特定証明資料提出者について、当該証明書受給者若しくは特定証明資料提出者の同意を得て、実地にその設備若しくは第七条第一項に規定する書類その他の物件を検査させることができる。
2
経済産業大臣は、第三条第五項の規定により第一種原産品誓約書の提出を受けて第一種特定原産地証明書を発給したときは、次に掲げる事実について確認するため必要な限度において、第四条第五項の規定による第一種特定原産地証明書を発給した旨の通知を受けた第一種原産品誓約書交付者(以下「特定第一種原産品誓約書交付者」という。)に対して必要な報告を求め、又はその職員をして特定第一種原産品誓約書交付者について、当該特定第一種原産品誓約書交付者の同意を得て、実地にその設備若しくは第七条第二項に規定する書類その他の物件を検査させることができる。
一
当該第一種特定原産地証明書の発給を受けた物品が特定原産品でなかったこと。
二
前号に掲げるもののほか、当該第一種原産品誓約書の記載に誤りがあったこと。
3
経済産業大臣は、指定発給機関が第一種特定原産地証明書を発給した場合には、当該第一種特定原産地証明書を発給した指定発給機関に、前二項の規定による報告を求めさせ、又は検査を行わせることができる。
4
経済産業大臣は、前項の規定により指定発給機関に報告を求めさせ、又は検査を行わせる場合には、当該指定発給機関に対し、当該報告を求める事項その他必要な事項を示してこれを実施すべきことを指示するものとする。
5
指定発給機関は、前項の指示に従って第三項に規定する報告を求め、又は検査を行ったときは、その結果を経済産業大臣に報告しなければならない。
6
指定発給機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、第三項に規定する報告又は検査に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
第二十七条
経済産業大臣は、第一種特定原産地証明書の発給を受けた物品が特定原産品でなかったと認めるときは、当該第一種特定原産地証明書の発給の決定を取り消さなければならない。
2
経済産業大臣は、証明書受給者、特定証明資料提出者又は特定第一種原産品誓約書交付者が、正当な理由がなく、前条第一項若しくは第二項の報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条第一項若しくは第二項の同意を拒んだときは、当該事案に係る第一種特定原産地証明書の発給の決定を取り消すことができる。
3
経済産業大臣は、締約国等に第二種特定原産地証明書が作成された物品が輸出された場合において、当該締約国等の権限ある当局から当該物品が特定原産品であるか否かに関する情報の提供を求められた場合には、政令で定める期間内に、その求めに応じなければならない。ただし、当該求めに応じて提供しようとする情報に認定輸出者、第二種原産品誓約書交付者その他の関係者に関する情報が含まれている場合において、当該情報を当該締約国等の権限ある当局に提供することについてその者の同意がない場合は、この限りでない。
4
経済産業大臣は、締約国等の権限ある当局から前項の情報の提供を求められた場合には、当該求めに応ずるために必要かつ適当であると認められる範囲内において、第二種原産品誓約書交付者に対し、期限を付けて、必要な報告を求め、又はその職員をして第二種原産品誓約書交付者について、当該第二種原産品誓約書交付者の同意を得て、実地にその設備若しくは第七条の十第二項に規定する書類その他の物件を検査させることができる。
5
経済産業大臣は、証明書受給者が第六条第一項の規定に違反して同項各号に掲げる事実を通知していないことを知ったとき、又は特定証明資料提出者が同条第二項の規定に違反して同項各号に掲げる事実を通知していないことを知ったときは、経済産業省令で定める者に対し、速やかにその旨を通報しなければならない。
第三十一条
何人も、第四条第一項(第八条第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定する場合を除くほか、原産地証明書(物品が我が国を原産地とすること又は特定原産品であること若しくは経済連携協定に相当する他の国際約束の規定に基づき原産品とされるものであることを外国の税関当局(
関税法
令を執行する経済産業大臣の行う第一種特定原産地証明書の発給を受けようとする者の納付するものについては国庫の、指定発給機関の行う第一種特定原産地証明書の発給を受けようとする者の納付するものについては当該指定発給機関の収入とする。
3
第七条の五第一項の認定の更新を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納めなければならない。
第三十三条
経済産業大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、農林水産大臣に対し、必要な資料又は情報の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる。
2
農林水産大臣は、その所掌事務に係る物資に関する第一種特定原産地証明書の発給又は第二種特定原産地証明書の作成の適正かつ確実な実施のため必要があると認めるときは、この法律の施行に関し、経済産業大臣に対し、意見を述べることができる。
第三十三条の二
この法律に規定する経済産業大臣の権限は、経済産業省令で定めるところにより、経済産業局長に委任することができる。
第三十三条の三
この法律の規定に基づき政令又は経済産業省令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令又は経済産業省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第六章 罰則
第三十四条
第十六条第一項又は第二十六条第六項の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第三十五条
第三十一条の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。
第三十五条の二
第二種特定原産地証明書に虚偽の記載をした認定輸出者は、五十万円以下の罰金に処する。
2
認定輸出者が第二種特定原産地証明書の作成をするに当たり、当該認定輸出者に対して交付した第二種原産品誓約書に虚偽の誓約をした第二種原産品誓約書交付者も、前項と同様とする。
第三十六条
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一
経済産業大臣又は指定発給機関に対し、第一種特定原産地証明書の発給を受けるに当たり虚偽の発給申請書又は虚偽の資料を提出した発給申請者
二
経済産業大臣又は指定発給機関に対し、虚偽の資料(第三条第三項の規定により提出されたものに限る。)を提出した証明資料提出者
三
発給申請者が第一種特定原産地証明書の発給を受けるに当たり、経済産業大臣又は指定発給機関に対して提出された第一種原産品誓約書に虚偽の誓約をした第一種原産品誓約書交付者
四
経済産業大臣に対し、第七条の二第一項の認定(第七条の五第一項の認定の更新を含む。)を受けるに当たり虚偽の認定申請書又は虚偽の書類を提出した認定申請者
第三十七条
証明書受給者が、第一種特定原産地証明書の発給を受けた日以後第六条第一項の経済産業省令で定める期間を経過する日までの間において当該第一種特定原産地証明書の発給を受けた物品が特定原産品でなかったことを知ったにもかかわらず、経済産業大臣(当該第一種特定原産地証明書が指定発給機関により発給されたものであるときは、当該指定発給機関)に対し、遅滞なくその旨を書面により通知しなかったときは、三十万円以下の罰金に処する。
2
認定輸出者が、第二種特定原産地証明書を作成した日以後第七条の九第一項の経済産業省令で定める期間を経過する日までの間において当該第二種特定原産地証明書を作成した物品が特定原産品でなかったことを知ったにもかかわらず、経済産業大臣に対し、遅滞なくその旨を書面により通知しなかったときも、前項と同様とする。
第三十七条の二
第七条の十二第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第三十八条
第二十九条の規定に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。
第三十九条
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定発給機関の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
一
第八条第三項の規定により読み替えて適用する第五条の規定に違反したとき。
二
第二十条の許可を受けないで発給事務の全部を廃止したとき。
三
第二十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第四十条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十五条から第三十八条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、日メキシコ協定の効力発生の日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から起算して四月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(準備行為)
第二条
指定及びこれに関し必要な手続その他の行為は、この法律の施行前においても、第九条から第十一条まで、第十四条第一項及び第二項並びに第二十四条第一項の規定の例により行うことができる。
(検討)
第三条
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、第三章の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附 則 (平成一八年五月一九日法律第三九号)
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して四月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条
この法律の施行前にこの法律による改正前の経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律(以下この条において「旧法」という。)第三条第一項の規定により申請があった特定原産地証明書の発給の手続については、なお従前の例による。
2
この法律の施行前に旧法第四条第一項の規定により発給された特定原産地証明書は、この法律による改正後の経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律(次項において「新法」という。)第四条第一項の規定により発給された特定原産地証明書とみなす。
3
この法律の施行の際現に旧法第九条の区分に係る旧法第八条第一項の規定による指定を受けている者は、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定について当該区分に係る新法第九条の物品の区分に係る新法第八条第一項の規定による指定を受けたものとみなす。
(罰則の適用に関する経過措置)
第三条
この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第四条
前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
附 則 (平成二一年七月一七日法律第八四号) 抄
(施行期日)
第一条
この法律は、日本国とスイス連邦との間の自由な貿易及び経済上の連携に関する協定の効力発生の日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置の政令への委任)
第二条
この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。