(日本学術振興会の解散等)
第二条
日本学術振興会(以下「旧振興会」という。)は、振興会の成立の時において解散するものとし、次項の規定により国が承継する資産を除き、その一切の権利及び義務は、その時において振興会が承継する。
2
振興会の成立の際現に旧振興会が有する権利のうち、振興会がその業務を確実に実施するために必要な資産以外の資産は、振興会の成立の時において国が承継する。
3
前項の規定により国が承継する資産の範囲その他当該資産の国への承継に関し必要な事項は、政令で定める。
4
旧振興会の平成十五年四月一日に始まる事業年度は、旧振興会の解散の日の前日に終わるものとする。
5
旧振興会の平成十五年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。この場合において、当該決算の完結の期限は、解散の日から起算して二月を経過する日とする。
6
第一項の規定により振興会が旧振興会の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、振興会が承継する資産の価額(次条の規定による廃止前の日本学術振興会法(昭和四十二年法律第百二十三号)第四条の基本金に相当する金額を除く。)から負債の金額を差し引いた額は、政府から振興会に対し出資されたものとする。
7
前項の資産の価額は、振興会の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
8
前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
9
第一項の規定により旧振興会が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(先端研究助成基金等)
第二条の二
振興会は、将来における我が国の経済社会の発展の基盤となる先端的な研究及び有為な研究者の海外への派遣を集中的に推進するため、平成二十一年度の一般会計補正予算(第1号)により交付される補助金により、平成二十六年三月三十一日までの間に限り、次の各号に掲げる業務に要する費用に充てるためにそれぞれ当該各号に定める基金を設けるものとする。
一
第十五条第一号に掲げる業務のうち先端的な研究の総合的かつ計画的な振興のための助成に係るもの及びこれに附帯する業務 先端研究助成基金
二
第十五条第三号に掲げる業務のうち有為な研究者の海外への派遣に係るもの及びこれに附帯する業務 研究者海外派遣基金
2
先端研究助成基金又は研究者海外派遣基金の運用によって生じた利子その他の収入金は、それぞれこれらの基金に充てるものとする。
3
通則法第四十七条及び第六十七条(第四号に係る部分に限る。)の規定は、先端研究助成基金及び研究者海外派遣基金の運用について準用する。この場合において、通則法第四十七条第三号中「金銭信託」とあるのは、「金銭信託で元本補てんの契約があるもの」とする。
4
振興会は、先端研究助成基金及び研究者海外派遣基金を廃止する場合において、これらの基金に残余があるときは、政令で定めるところにより、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
(業務方法書)
第二条の三
文部科学大臣は、通則法第二十八条第一項の規定による業務方法書(前条第一項第一号に掲げる業務(先端研究助成基金をこれに必要な費用に充てるものに限る。以下「先端研究助成業務」という。)に係る部分に限る。次項において同じ。)の認可をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、総合科学技術会議の意見を聴かなければならない。
2
文部科学大臣は、通則法第二十八条第二項の規定により、業務方法書に記載すべき事項に係る文部科学省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、総合科学技術会議の意見を聴かなければならない。
(中期目標及び中期計画)
第二条の四
文部科学大臣は、通則法第二十九条第一項の規定により、中期目標(先端研究助成業務に係る部分に限る。)を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、総合科学技術会議の意見を聴かなければならない。
2
文部科学大臣は、通則法第三十条第一項の規定による中期計画(先端研究助成業務に係る部分に限る。)の認可をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、総合科学技術会議の意見を聴かなければならない。
(区分経理)
第二条の五
振興会は、次に掲げる業務については、それぞれ特別の勘定を設けて経理しなければならない。
一
先端研究助成業務
二
附則第二条の二第一項第二号に掲げる業務(研究者海外派遣基金をこれに必要な費用に充てるものに限る。以下「研究者海外派遣業務」という。)
(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の準用)
第二条の六
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の規定(罰則を含む。)は、先端研究助成業務又は研究者海外派遣業務として振興会が支給する資金について準用する。この場合において、同法(第二条第七項を除く。)中「各省各庁の長」とあるのは「独立行政法人日本学術振興会の理事長」と、同法第二条第一項(第二号を除く。)及び第四項第一号、第七条第二項、第十九条第一項及び第二項、第二十四条並びに第三十三条中「国」とあるのは「独立行政法人日本学術振興会」と、同法第十四条中「国の会計年度」とあるのは「独立行政法人日本学術振興会の事業年度」と、同法第二十六条第一項中「各省各庁の機関」とあるのは「独立行政法人日本学術振興会の機関」と読み替えるものとする。
(国会への報告等)
第二条の七
振興会は、毎事業年度、先端研究助成業務及び研究者海外派遣業務に関する報告書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に文部科学大臣に提出しなければならない。
2
文部科学大臣は、前項の報告書の提出を受けたときは、これに意見を付けて、国会に報告しなければならない。
(過料)
第二条の八
附則第二条の二第三項において準用する通則法第四十七条の規定に違反して先端研究助成基金又は研究者海外派遣基金を運用した場合には、その違反行為をした振興会の役員は、二十万円以下の過料に処する。
(日本学術振興会法の廃止)
第三条
日本学術振興会法は、廃止する。
(日本学術振興会法の廃止に伴う経過措置)
第四条
前条の規定の施行前に同条の規定による廃止前の日本学術振興会法(第十条及び第十九条を除く。)の規定によりした処分、手続その他の行為は、通則法又はこの法律中の相当する規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。
第五条
附則第三条の規定の施行前にした行為及び附則第二条第五項の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第六条
附則第二条、第四条及び前条に定めるもののほか、振興会の設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。