市民農園整備促進法

市民農園整備促進法
(平成二年六月二十二日法律第四十四号)


最終改正:平成二三年八月三〇日法律第一〇五号

第一条  この法律は、主として都市の住民のレクリエーション等の用に供するための市民農園の整備を適正かつ円滑に推進するための措置を講ずることにより、健康的でゆとりのある国民生活の確保を図るとともに、良好な都市環境の形成と農村地域の振興に資することを目的とする。

第二条  この法律において「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいう。
 この法律において「市民農園」とは、第一号に掲げる農地及び第二号に掲げる施設の総体をいう。
 主として都市の住民の利用に供される農地で次のイ又はロのいずれかに該当するもの
 特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律 (平成元年法律第五十八号)第二条第二項 に規定する特定農地貸付け(第十一条第一項において「特定農地貸付け」という。)の用に供される農地
 相当数の者を対象として定型的な条件で、レクリエーションその他の営利以外の目的で継続して行われる農作業の用に供される農地(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転を伴わないで当該農作業の用に供されるものに限る。)
第三条  都道府県知事は、当該都道府県の区域内において相当数の市民農園の整備が見込まれる場合において、その適正かつ円滑な整備を図ることが必要であると認めるときは、市民農園の整備に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めることができる。
 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 市民農園として整備すべき区域の設定に関する事項
 市民農園施設の設置その他の市民農園の整備に関する事項
 市民農園の利用条件その他の市民農園の運営に関する事項
 基本方針においては、前項各号に掲げる事項のほか、市民農園の整備の基本的な方向その他必要な事項を定めるよう努めるものとする。
 基本方針は、良好な都市環境の形成及び農村地域の振興に資するように定めるものでなければならない。
 基本方針は、都市計画及び農業振興地域整備計画との調和が保たれたものでなければならない。
 都道府県知事は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更することができる。
 都道府県知事は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

第四条  市町村は、基本方針に基づき、農業委員会の決定を経て、当該市町村の区域内の一定の区域で次に掲げる要件に該当するもの(市街化区域(都市計画法 (昭和四十三年法律第百号)第七条第一項 の規定による市街化区域をいう。第七条第一項において同じ。)内にある区域を除く。)を市民農園として整備すべき区域(以下「市民農園区域」という。)として指定することができる。
 当該区域内に相当規模の一団の農地が存在し、かつ、その自然的条件及び利用の動向からみて、市民農園として利用することが適当と認められること。
 当該区域の位置及び規模からみて、その周辺の地域における農用地(耕作の目的又は主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供される土地をいう。次条第三項において同じ。)の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがないこと。
 交通施設の整備の状況その他都市の住民の利用上必要な立地条件からみて、市民農園の利用者が相当程度見込まれる区域であること。
 市町村は、市民農園区域を指定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。
 市町村は、市民農園区域を指定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 市町村は、基本方針の変更その他情勢の推移により必要が生じたときは、その指定した市民農園区域を変更するものとする。
 第二項及び第三項の規定は、前項の規定による市民農園区域の変更について準用する。

第五条  市町村は、前条第一項の規定により市民農園区域を指定し、又は同条第四項の規定によりその指定した市民農園区域を変更しようとする場合において、その指定し又は変更しようとする市民農園区域内における土地の保有及び利用の現況、農業経営の動向等からみて当該市民農園区域内にある土地の一部が市民農園以外の用途に供されることが見通されることにより、当該市民農園区域及びその周辺の地域における土地の市民農園としての利用と農業上の利用との調整に留意して当該市民農園区域内にある土地の市民農園としての利用を確保するため特に必要があると認めるときは、当該市民農園区域内にある土地を含む一定の土地に関し交換分合を行うことができる。
 市町村は、前項の規定により交換分合を行おうとするときは、農林水産省令・国土交通省令で定めるところにより、交換分合計画を定め、その交換分合計画により交換分合をすべき土地について所有権、地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者のすべての同意を得て、都道府県知事の認可を受けなければならない。
 交換分合計画は、第一項に規定する市民農園区域及びその周辺の地域における土地の市民農園としての利用と農業上の利用との調整に留意して当該市民農園区域内にある土地の市民農園としての利用を確保するとともに、当該市民農園区域の周辺の地域における農用地の集団化その他農業構造の改善に資するように定めるものでなければならない。

第六条  農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)第十三条の三の規定並びに土地改良法 (昭和二十四年法律第百九十五号)第九十九条 (第一項及び第二項を除く。)、第百一条第二項、第百二条から第百七条まで、第百八条第一項及び第二項、第百九条、第百十二条、第百十三条、第百十四条第一項、第百十五条、第百十八条(第二項を除く。)並びに第百二十一条から第百二十三条までの規定は、前条第一項の規定による交換分合について準用する。この場合において、これらの規定の準用について必要な技術的読替えは、政令で定める。

第七条  市民農園区域内又は市街化区域(都市計画法第四条第六項 に規定する都市計画施設の区域、同条第七項 に規定する市街地開発事業の施行区域その他の区域で政令で定めるものを除く。)内において市民農園を開設しようとする者は、農林水産省令・国土交通省令で定めるところにより、市民農園の整備及び運営に関する計画(以下「整備運営計画」という。)を定め、これを申請書に添えてその所在地を管轄する市町村に提出して、当該市民農園の開設が適当である旨の認定を受けることができる。
 前項の整備運営計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 市民農園の用に供する土地の所在、地番及び面積
 市民農園の用に供する農地の位置及び面積並びに第二条第二項第一号に掲げる農地のいずれに属するかの別
 市民農園施設の位置及び規模その他の市民農園施設の整備に関する事項
 利用者の募集及び選考の方法
 利用期間その他の条件
 市民農園の適切な利用を確保するための方法
 資金計画
 その他農林水産省令・国土交通省令で定める事項
 市町村は、第一項の認定の画の内容が基本方針に適合するものであること。
 市民農園の適正かつ円滑な利用を確保する見地からみて、市民農園の用に供する農地及び市民農園施設が適切な位置にあり、かつ、妥当な規模であること。
 市民農園の用に供する農地及び市民農園施設の位置及び規模からみて、周辺の道路、下水道等の公共施設の有する機能に支障を生ずるおそれがなく、かつ、周辺の地域における営農条件及び生活環境の確保に支障を生ずるおそれがないものであること。
 利用者の募集及び選考の方法が公平かつ適正なものであること。
 前項第五号から第八号までに掲げる事項が市民農園の確実な整備及び適正かつ円滑な利用を確保するために有効かつ適切なものであること。
 その他政令で定める基準に適合するものであること。
 市町村は、第一項の規定による認定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事の同意を得なければならない。
 第一項の認定を受けた者(以下「認定開設者」という。)は、当該認定に係る整備運営計画を変更しようとするときは、市町村の認定を受けなければならない。
 第三項及び第四項の規定は、前項の規定による整備運営計画の変更の認定について準用する。

第八条  市町村長は、認定開設者に対し、市民農園の整備又は運営の状況について報告を求めることができる。

第九条  市町村長は、認定開設者が認定に係る整備運営計画(第七条第五項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定計画」という。)に従って市民農園の整備又は運営を行っていないと認めるときは、当該認定開設者に対し、相当の期限を定めて、必要な改善措置をとるべきことを勧告することができる。

第十条  前条の規定による勧告を受けた認定開設者が当該勧告に従わないときは、市町村は、第七条第一項又は第五項の規定による認定を取り消すことができる。

農地法 等の特例)
第十一条  第七条第一項又は第五項の規定による認定が第二条第二項第一号イに掲げる貸付けにつき特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律第三条第三項 の承認を受けたものとみなす。
 認定開設者が認定計画に従って農地を農地以外のものにする場合には、農地法 (昭和二十七年法律第二百二十九号)第四条第一項 の許可があったものとみなす。
 認定開設者が認定計画に従って農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地(農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。以下この項において同じ。)を採草放牧地以外のもの(農地を除く。)にするためこれらの土地について所有権又は使用及び収益を目的とする権利を取得する場合には、農地法第五条第一項 の許可があったものとみなす。

都市計画法 の特例)
第十二条  認定開設者が認定計画に従って整備する市民農園施設のうち休憩施設である建築物(建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号 に規定する建築物をいう。以下この条において同じ。)その他の市民農園の適正かつ有効な利用を確保するための建築物で政令で定めるもの(次項において「認定市民農園建築物」という。)の建築(建築基準法第二条第十三号 に規定する建築をいう。)の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更であって市街化調整区域(都市計画法第七条第一項 の規定による市街化調整区域をいう。次項において同じ。)に係るもの(都市計画法第三十四条 各号に掲げる開発行為に該当するものを除く。)は、都市計画法第三十四条 の規定の適用については、同条第十四号 に掲げる開発行為とみなす。
 都道府県知事又は地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市、同法第二百五十二条の二十二第一項 の中核市若しくは同法第二百五十二条の二十六の三第一項 の特例市の長は、市街化調整区域のうち都市計画法第二十九条第一項 の規定による許可を受けた同法第四条第十三項 に規定する開発区域以外の区域内において、認定市民農園建築物を新築し、又は建築物を改築し、若しくはその用途を変更して認定市民農園建築物とすることについて、同法第四十三条第一項 の規定による許可の申請があった場合において、当該申請に係る認定市民農園建築物の新築、改築又は用途の変更が同条第二項 の政令で定める許可の基準のうち同法第三十三条 に規定する開発許可の基準の例に準じて定められた基準に適合するときは、その許可をしなければならない。

第十三条  国の行政機関又は地方公共団体の長は、認定計画に従って土地を認定に係る市民農園の用に供するため法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該市民農園の整備の促進が図られるよう適切な配慮をするものとする。

第十四条  国及び地方公共団体は、認定計画に従って行われる市民農園の整備に要する経費に充てるために必要な資金の確保又はその融通のあっせんに努めるものとする。

第十五条  国及び地方公共団体は、認定開設者に対し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めるものとする。

第十六条  第六条において準用する土地改良法第百九条 の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第十七条  第八条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の罰金に処する。

第十八条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

   附 則 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成六年六月二九日法律第四九号) 抄

(施行期日)
 この法律中、第一章の規定及び次項の規定は地方自治法の一部を改正する法律(平成六年法律第四十八号)中地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二編第十二章の改正規定の施行の日から、第二章の規定は地方自治法の一部を改正する法律中地方自治法第三編第三章の改正規定の施行の日から施行する。

   
 この法律の施行の際現に旧市民農園整備促進法第四条第二項の規定によりされている同意の申請は、新市民農園整備促進法第四条第二項の規定によりされた協議の申出とみなす。

(国等の事務)
第百五十九条  この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。

(処分、申請等に関する経過措置)
第百六十条  この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。

(不服申立てに関する経過措置)
第百六十一条  施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
 前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(手数料に関する経過措置)
第百六十二条  施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)
第百六十三条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第百六十四条

第二百五十一条  政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

第二百五十二条  政府は、医療保険制度、年金制度等の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って、検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

   
附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

   附 則 (平成一二年五月一九日法律第七三号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成一八年五月三一日法律第四六号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成二一年六月二四日法律第五七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第四十三条の規定 公布の日

(政令への委任)
第四十三条  この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成二三年八月三〇日法律第一〇五号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。

(罰則に関する経過措置)
第八十一条  この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第八十二条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。